2008年 02月

2者間契約のプロジェクト・ファイナンスと3者間契約のPFIの違い

私とオーキーさんの議論が白熱してきました。

私が、「英国のPFIにフローティング・チャージが活用されている事例があることは認めるものの、フローティング・チャージありきが前提ではありませんよ」とコラムに書いたのに関して、オーキーさんが反論したことから発展した議論です。

オーキーさんの論理展開は次のように、「プロジェクト・ファイナンス=PFI」で一貫しているようですが、私はそう考えていません。ここが議論の食い違いが生じる原因かと思われます。

確かにPFI事業には、プロジェクト・ファイナンスの要素が含まれていますが、「プロジェクトファイナンス=PFI」ではありません。公共サービスを提供するための資産は、公共施設であることから転売が困難であるという特殊要素と、PFI事業の契約は三者間の契約であるというSoPC4の考え方に私は基づいています。

今までの議論を簡単に整理してみました。

最初の議論は、PFI事業では、公共の資産を担保に取るのではなく、事業のキャッシュ・フローが生み出すバリューを担保に取るのですよという「英国のPFI事業における基本的な考え方」に対して、オーキーさんが反論したところからスタートしました。

オーキー> PFIにしろ、他のプロファイ等のノンリコースにしろ、不動産も担保に
取るのですよ。むしろ、ボロワーの資産という資産は全部担保に取るというのが正しいです。英国ではこれをフローティング・チャージ(不動担保)という包括的な担保によって押さえます。
これは貸し金の回収のためではなく、第三者などが一部でも権利を取得することにより、資産の譲渡を行う必要が生じた際に権利関係が複雑になり、結局譲渡がうまく行かなくなるのを避けるためです。したがって、PFIのローン契約でもSPCの資産は不動産も含めて全部担保に取ります。 (1月21日)


この意見に対して、私は、英国の直接契約の雛形を事例として示し、フローティング・チャージを活用したPFI事業を否定はしないものの、標準的なPFIでは、事業のキャッシュ・フローから生まれるバリューを担保にして融資が行われるので、わが国のPFI事業においても、官が直接契約の雛形を策定し、英国型のように事業のキャッシュフローの担保に切り替えるべきですよという意見を「官が示す必要のあるPFI事業の直接契約の雛形」(2月11日付け)で示しました。

これに対してのオーキーさんのコメントは、次のようなものでした。

オーキー> 英国のPFIでフローティング・チャージを利用していないものがあると
したら、フローティング・チャージを用いなくても同様の効果が得られるか、単純にコーポレート・ファイナンスの手法を用いているからですよ。

熊谷> この断定的な意見の根拠は何なんでしょう?
オーキー> 簡単です。包括的な担保を取らないファイナンスはプロジェクト・
ファイナンスとは呼べないからです。何故、包括的な担保が必要かはおって説明します。
熊谷氏もプロジェクト・ファイナンスは、事業のキャッシュ・フローに依拠するファイナンスだと言っています。で、本気で、事業契約のみがキャッシュ・フローの源泉とお考えですか?
それはそもそも熊谷氏が提唱するユニタリー・チャージの考えとも矛盾します。熊谷氏によれば、施設のアベイラビリティとサービスは一体なんですよね?それなら何故、担保を不動産と事業契約に分けるのですか?
プロジェクト・ファイナンスは特定の事業にかかる全ての資産をもって成り立つものです。施設とサービスは不可分であり、だからこそユニタリー・チャージの考えが成り立つのです。

熊谷> PFI事業とは、不動産の担保を取って融資しているのではありません。
事業のキャッシュフローから生まれるバリューを担保にとって融資しているのです。
オーキー> ここに熊谷氏のプロファイへの無理解がある意味凝縮されています。
そもそも、プロジェクト・ファイナンスで不動産を担保に取るのはその換価価値に着目しているからではありません。事業の継続から資金の回収をはかるからこそ、不動産の担保も必要なのです。
熊谷氏もPFIで事業者が破綻した場合は、レンダーが事業を継承するものを探してくる、ことに触れていますよね。事業契約の担保だけで本気でワークするとお思いですか?じゃあ、施設はどうするのですか?公共が新たに入札をかけるのですか?そうではないでしょう。施設も一体として、新たな事業者に継承させるんですよね?それには、事業を包括的に担保する仕組みが必要なのです。
公の施設を担保に取ることは、公物管理の観点から難しい側面もありますが、英国にはわが国のような公物管理の概念はありません。フローティング・チャージで事業者の資産の一切を担保に取ることに障壁は少ないはずです(無いとは言いませんが。)。

熊谷> さらに、SoPC4で規定しているような直接契約が存在しなければ、事業者は公共とレンダーが勝手に決めたステップイン、ステップアウトの取り決めに従う必要はありません。利害が衝突しているからです。
オーキー> 直接協定の存在と事業者の義務は関係ありません。何故ならステップインにかかる事業者の義務は融資契約に書かれるからです。それが証拠に、海外のPFIではないプロジェクト・ファイナンスでは直接協定がないものも結構あります。無くてもステップ・インはワークするのです。PFIで公共性が問題となるから直接協定が必要となるのです。
もうこれは反論とか何とかではなく、プロジェクト・ファイナンスにおけるコモン・センスです。


さて、それでは、反論しましょう。
まず、私は前述のように公共施設整備と関連したPFI事業のことについて述べているのであって、一般的なプロジェクト・ファイナンスについて述べているのではありません。オーキーさんがプロジェクト・ファイナンスとPFIが同じであるという前提に立って、私の説明(PFIのSoPC4に基づく一般的な考え方であって、別に私の個人的な見解ではありませんが・・・)に矛盾があると指摘している部分を見てみましょう。

>熊谷氏もプロジェクト・ファイナンスは、事業のキャッシュ・フローに依拠する
>ファイナンスだと言っています。で、本気で、事業契約のみがキャッシュ・フロー
>の源泉とお考えですか?

「キャッシュ・フローの源泉」という意味がよくわかりませんが、SoPC4に基づいたPFI事業で行われる資金調達は、「事業契約のキャッシュフローが生み出すバリュー」を担保として金融機関が融資をすることが原則であると考えます。

>それはそもそも熊谷氏が提唱するユニタリー・チャージの考えとも矛盾します。
>熊谷氏によれば、施設のアベイラビリティとサービスは一体なんですよね?
>それなら何故、担保を不動産と事業契約に分けるのですか?

私は、民間資金の融資契約における担保はプロジェクトのキャッシュ・フローが生み出す価値であるとのべましたが、担保を不動産と事業契約に分けると述べた記憶はありません。

>プロジェクト・ファイナンスは特定の事業にかかる全ての資産をもって成り立つもの
>です。施設とサービスは不可分であり、だからこそユニタリー・チャージの考えが
>成り立つのです。

そもそも、ユニタリー・チャージとプロジェクト・ファイナンスを連動させなければいけない理由が何かあるのでしょうか。ユニタリー・チャージによる支払いをするのは、担保のためではなく、施設の不具合リスクとサービスの品質低下のリスクを包括的に民間事業者に移転するためのものであり、担保とは直接的な関係があるものではないことを指摘しておきます。

>ここに熊谷氏のプロファイへの無理解がある意味凝縮されています。
議論の対象となっているのはPFIです。一般的なプロジェクト・ファイナンスの話をしているのではありません。
>そもそも、プロジェクト・ファイナンスで不動産を担保に取るのはその換価価値に
>着目しているからではありません。事業の継続から資金の回収をはかるからこそ、
>不動産の担保も必要なのです。

公共の所有する土地の上に立っている建物を担保にするものではありませんよというPFI事業の雛形をどのように考えて、不動産の担保が必要といっているのか理解できません。不動産を担保にしないとお金を貸さないという金融機関がいたとしたら、官はそれなら結構ですというだけであって、不動産を担保にしないという官に対して、不動産の担保が必要だといっていったい何になるのでしょう。

>熊谷氏もPFIで事業者が破綻した場合は、レンダーが事業を継承するものを探してくる
>ことに触れていますよね。事業契約の担保だけで本気でワークするとお思いですか?
>じゃあ、施設はどうするのですか?公共が新たに入札をかけるのですか?
>そうではないでしょう。施設も一体として、新たな事業者に継承させるんですよね?
>それには、事業を包括的に担保する仕組みが必要なのです。

プロジェクト・ファインナンスは事業そのものが生み出すバリューが担保となる融資契約です。金融機関が事業契約のキャッシュ・フローが生み出すバリューを担保に融資を行うという決断をすれば成り立つものですから、フローティング・チャージのように事業にかかるすべての資産を担保に入れる必要はありません。

>公の施設を担保に取ることは、公物管理の観点から難しい側面もありますが、
>英国にはわが国のような公物管理の概念はありません。フローティング・チャージで
>事業者の資産の一切を担保に取ることに障壁は少ないはずです(無いとは
>言いませんが。)。

英国には、わが国のような公物管理の概念はありませんが、前述の幹部用住宅のような用途を転用することが可能な資産を除き、公共施設を転売するのは簡単ではありません。だだし、公物管理の概念の有無の観点からフローティング・チャージを公共施設に適用できるかどうかの論点は、PFIプロジェクトに対する融資の担保が事業のキャッシュ・フローから生まれるバリューであるということを否定することの根拠にはなりませんよ。

私は、PFIではない一般的なプロジェクト・ファイナンスにおいて金融機関が融資に際して事業者の資産の一切を担保に取ること(フローティング・チャージの活用)を否定しているわけではありません。たとえば、石油の精製施設のように、自治体のような発注者が存在せずに、SPCが自ら事業を行い、事業のキャッシュ・フローからバリューが生まれるプロジェクト・ファイナンスの場合に、金融機関が資産のみならずSPCの石油精製品の売買契約まで含めた事業全体を担保に取るフローティング・チャージの合理性は認めます。

しかしながら、契約とは契約当事者が合意しない限り締結できないものであり、一般的なプロジェクト・ファイナンスのように、金融機関と事業者との2者間はなく、官という発注者の存在するPFI契約においては、フローティング・チャージを活用することが官のメリットにならない限り、官はフローティング・チャージの活用を認める根拠がないはずです。この疑問は、フローティング・チャージの代わりに、公共施設としての不動産を担保としているわが国のPFI事業においても浮かんでくるものです。

官にとって、金融機関にフローティング・チャージの適用を認めたり、金融機関に公共施設を担保としてとらせることにどんなメリットがあるのでしょうか。私は、メリットは何もないと思います。ですから、このような契約は、官は結ぶべきではありません。
ただし、例外の事例としては、たとえば、上級公務員の住宅をPFI事業で整備し、事業契約終了段階に高額な資産の残存価値が期待できる場合に、SPCに対してのフローティング・チャージを活用すれば、活用しない場合に比べて大幅に融資コストを下げることができるという民間からの提案が出てきた場合に、官がそれを認める可能性があることを否定するものではありません。

オーキーさんSoPC4をまず読んでみてください。フローティング・チャージを用いずに事業を包括的に担保する仕組みがNovation(契約更改)条項に記載されています。

PFIの考え方は次のようなものです。
①官民のPFI事業契約:要求を満たしさえすれば、利益を生み出す支払いを受けることができるもの。
②事業者と金融機関の間の融資契約:①の事業契約のキャッシュフローを担保とした資金融資契約
③官と民と金融機関の三者による次のような3つの要素を持つ直接契約。
要素1:民間事業者が事業契約の債務を履行している限りにおいては、事業者は事業に干渉されないこと。
要素2:事業契約の債務が不履行となった場合には、事業契約は解除され、事業者は資産を市場価値で清算した金額を受け取ること。
要素3:事業契約が解除される場合には、事業者は金融機関が選定した新たな事業者に事業契約から得られる全ての権利を移転すること。
これらの3つの契約を同時に締結することによって、明らかにフローティング・チャージでもありませんし、コーポレートファイナンスでもありませんが、金融機関にとって、フローティング・チャージと同じ効果を生み出すことができるのです。

直接契約のNovationの部分は次のとおりです。参照して下さい。
8 NOVATION
(a) Subject to Clause 8 (b), at any time:
(i) during which an Event of Default is subsisting; or
(ii) during the Step–In Period, the Agent may, on [30] days’ prior written notice to the Authority and any Appointed Representative, procure the transfer of the Contractor’s rights and liabilities under the Contract to a Suitable Substitute Contractor.
(b) The Authority shall notify the Agent as to whether any person to whom the Agent proposes to transfer the Contractor’s rights and liabilities under the Contract is a Suitable Substitute Contractor, on or before the date falling [30] days after the date of receipt of all information reasonably required by the Authority to decide whether the proposed transferee is a Suitable Substitute Contractor.
(c) The Authority shall not unreasonably withhold or delay its decision on whether the proposed transferee is a Suitable Substitute Contractor.
(d) On any transfer referred to in Clause 8(a) becoming effective:
(i) the Contractor shall be released from any obligations arising under or in
connection with the Contract from that date and the new Contractor shall become liable for obligations arising on or after that date;
(ii) any accrued [performance points and/or warning notices] incurred under the
Contract shall, for the purposes of termination only, and without prejudice to the rights of the Authority to make financial deductions, be cancelled;
(iii) any then subsisting ground for termination of the Contract by the Authority
shall be deemed to have no effect and any subsisting Termination Notice shall
be automatically revoked; and
(iv) the Authority shall enter into a direct agreement with the Senior Lenders
lending to the new Contractor on substantially the same terms as this Agreement.

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登録日:2008年 02月 22日 00:49:18

直接契約について金融機関がこんな説明をしていたら要注意

2月11日付の「官が示す必要のあるPFI事業の直接契約の雛形」に対して、オーキーさんから衝撃のコメントを受け取りました。もしかすると、自治体職員は、このような金融機関からの説明を受けて、金融機関が準備した直接契約を締結していませんか。

オーキーさんのコメントのみを引用して、簡潔に説明しましょう。
>熊谷氏はフローティング・チャージは必ずしも一般的ではないと言いながら、
>その根拠となるものを何も示してませんね。

私は、フローティング・チャージを用いてファイナンスしているPFI事業を否定しているわけではありません。一般的でないといっているだけです。それは、直接契約の雛形を読めばわかることです。
(翻訳するのは苦手なので、あまりしたくないのですが、根拠は既に示しています)

2 CONSENT TO SECURITY(担保に関する合意事項)
(a) The Authority acknowledges notice of, and consents to, the security interest granted over the Contractor’s rights under the Contract effected by the Contractor in favour of the Senior Lenders under the Security Document.
当局は、事業者が、担保(を規定した)書類に基づき、事業契約に基づいて持っている権利をシニアレンダーに対して、担保権として与えていることに関する通知を受け取っており、この点については合意するものである。
(b) The Authority confirms that it has not received notice of any other security interest granted over the Contractor’s rights under the Contract.
当局は、事業者が事業契約に基づいて、これ以外に担保権を(誰かに)与えたという通知は受け取っていないことを確認する。


ここの「事業契約に基づいて事業者が持っている権利」とは、事業契約の要求水準に基づいてサービスを提供しさえすれば、契約に記載されたとおりの金額が受け取れるというキャッシュフローから生まれるバリューが事業者の権利であることを意味します。つまり、金融機関からの融資は、事業契約のキャッシュフローから生まれるバリューが担保になっていることがわかります。不動産担保ではありませんし。フローティング・チャージによる包括的なSPCの担保でもありません。

>何故、プロジェクト・ファイナンスでフローティング・チャージを用いるか
>わかりますか?英国のPFIでフローティング・チャージを利用していないもの
>があるとしたら、フローティング・チャージを用いなくても同様の効果が
>得られるか、単純にコーポレート・ファイナンスの手法を用いているからですよ。


この断定的な意見の根拠は何なんでしょう?

>フローティング・チャージは包括性を維持したまま担保に取るのに優れた手段です。
>包括性が維持されるのであればフローティング・チャージではなくても
>構わないのですが、フローティング・チャージがもっとも手間がかからないと
>思われます。
>私は、海外のノンリコース案件でフローティング・チャージではなくて、
>SPCの定款に他の借り入れはレンダーの承認事項としたり、ネガティブ・
>プレッジが入っているのを見たことがあります。
>これで実効性が担保されるのならこれもありなのでしょう。
>他に一般債権者があまり入り込んでこないスキームだったらいいかもしれません。


上記からは、フローティング・チャージを用いれば、包括的に担保が取れることに触れているだけであり、まるで、Due Diligenceをしなくても、フローティング・チャージを用いさえすれば、融資ができるように見えてしまいます。

PFI事業とは、不動産の担保を取って融資しているのではありません。事業のキャッシュフローから生まれるバリューを担保にとって融資しているのです。

>PFIではSPCとサブ・コントラクターとの契約があり、レンダー以外にも
>債権者がありえますし、これらと権利が同順位もしくは劣後してしまったら
>そもそも事業の継続などできませんよ。だからこそプロジェクト・ファイナンスでは
>事業を包括的に担保に取る必要があるのです。包括的に事業が担保されていなくては
>ステップ・インはワークしなくなり、破綻時に事業の継続は保証されません。


PFIの標準契約約款の雛形を前提にしての議論です。PFIではSPCとサブコンの契約があるのは理解できますが、SPCがサブコンに対して資産の担保権を設定することはありませんし、そのような債権者がいないことは、直接契約で示されています。

>それと直接協定のところで前にも言いましたが、事業者が直接協定でサイン
>しなくてはならない理由はなんでしょうか?
>熊谷氏のコメントでは、1で事業者も加えて三社で協定を結ぶとありますが、
>2から4までで事業者がいなくてはならない理由は見出せませんね。
>事業者には事業権の譲渡(ノーベーション)の時、最後まできちんと施設、
>事業の継承に責任を持ってもらわなくてはなりませんね。でも、それは事業契約で
>規定されますし、融資契約にもレンダーとの関わりの部分は書けますね。
>事業者が直接協定で負う義務があるとしたら、公共とレンダーの間の
>ステップイン、ステップアウトの取り決めに従う、とすることでしょうか。
>でも、たいした問題ではないですね。何らかの形でアクノレッジさせれば済むことです。


別に私がコメントしているのではありません。
THIS AGREEMENT3 IS MADE ON [ ], [ ]
BETWEEN:
(1) [RELEVANT DEPARTMENT OR GOVERNMENT BODY] (the “Authority”);
(2) [ ] (the “Agent” for the Senior Lenders); and
(3) [PROJECT COMPANY] (the “Contractor”).
と、直接契約は、三者間の契約であることは、PFIの直接契約の常識です。

発注者と事業者には、事業契約という直接の契約関係があります。
事業者と金融機関には融資契約という直接の契約関係があります。
ところが、発注者と、金融機関には直接契約がありません。だから、3者が直接契約を締結することによって、発注者と金融機関の間の直接的な関係が結ばれるのです。

たいした問題ではないという部分が、実は直接契約において最も重要なポイントです。この最後の5番目が機能するために1番から4版までの要件が必要になるのです。
もし、SoPC4で規定しているような直接契約が存在しなかったら、まず、発注者は金融機関との直接的な契約がないので、ステップインの権利を与えるためには、新たな契約を締結する必要が出てきます。すぐに与えることはできません。
さらに、SoPC4で規定しているような直接契約が存在しなければ、事業者は公共とレンダーが勝手に決めたステップイン、ステップアウトの取り決めに従う必要はありません。利害が衝突しているからです。
直接契約がなぜ必要なのか、どのような直接契約が必要なのかについて、発注者として認識しておく必要があります。

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登録日:2008年 02月 14日 22:10:35

PFI事業の資産残存価値リスクの民間移転

2月11日付の「自治体がもっとキャッシュフローを改善したいのならリスク移転型PFIの活用が可能」についいてPFI侍さんから質問を受け取りました。

>熊谷さんに質問があります。
>ここで掲げられているテーマは、非常に興味深く、標準的になれば自治体のCF改善に
>大きく貢献するばかりか、PFIのメリットとして、注目されるものになると思います。

>たとえば、15年が標準の給食センター事業のスキームを大きく変える可能性がありま
>す。(通常、自治体はハコモノにかかる起債を15年で償還することはほとんどなく、総務
>省の指導もあり、例えば、市場公募債も、いわゆる縁故債も、10年、10年、10年で2回
>借り換え、30年で償還します。したがって、単年度あたりの支払額は増えているはず
>で、CF改善には繋がっていない。
>これを、事業者は必要な資金を借りるとして、公共は、それを事業期間中14/30だけ
>支払い、施設の引渡しを受けるときに、施設を鑑定評価し、残りを改めて起債するか何
>かで、事業者に残債を一括で支払う。事業者は融資期間30年のプロジェクトファイナン
>スで資金を調達し、15年目に公共から残存価値分の支払いを受け、一括償還する?)
>そこで、質問です。

>■100年はともかく、たとえば、耐用年数60年の施設を、事業期間30年+延長オプショ
>ン付で、自治体が30/60年分だけ払い、最終年度に残存価格を鑑定評価して支払うと
>した場合、こういう事業にレンダーは信用供与するものなのでしょうか。そこまでのリス
>クを負うからには、単なるハコモノではだめで、事業への参加と継続を動機付けるもの
>が必要だと思いますが、よくある公務員宿舎や、庁舎整備事業では、なかなかこうはい
>かないと思うのですが、どうでしょうか?

>■PFI、または、PFI以外の事例で、何か類似のものはありますでしょうか。

このようなキャッシュフロー上のメリットが注目されていなかったこと自体が、分割払いPFIの元凶だったのかもしれませんね。

ただし、以下の点について留意しなければなりません。
30年間に30 / 60年だけ払うことを発注者は条件として要求できないという点です。
設定可能なのは、最低限事業者に保証してもらいたい耐用年数です。
残存価値をいくらまで保証できるかは、事業者と出資者とレンダーとの合意の下に決定される民間へのリスク移転に基づいて決定されます。
いかにしてキャッシュフローを下げさせ、長期的な耐用年数を事業者に保証してもらうかは、発注者が設定する評価方法を含んだ事業枠組みの影響を受けますので留意する必要があります。

英国のPFI事業を見る限りにおいては、単なるハコモノでは、だめだということでもありません。むしろ、運営上の不確実性の高いリスクを排除したハコモノ案件こそ、このような残存価値リスクを移転しやすいと考えることができます。

この契約期間についての考え方は標準的なものであり、SoPC4の第2条に次のように記載されています。

2 DURATION OF CONTRACT
2.1 INTRODUCTION
2.1.1 The Contract must specify its duration. It will usually also specify a Service
Commencement Date to distinguish the time (if any) from the signing of the Contract and before the Service Period from the Service Period itself. The choice of duration should be considered in the light of the issues set out in Section 2.2 (Factors to Consider).
2.2 FACTORS TO CONSIDER
2.2.1 The Authority will wish to specify a duration which is expected to result in the best value for money solution for the Project. Factors to be taken into account when deciding on the durationof the Contract will include:
􀁸 the Service requirements of the Authority (see Section 7 (Price and Payment
Mechanism)) and the Authority’s ability to forecast quality and quantity outputs in the longer term;
􀁸 the expected life of the assets underpinning the Service and any possible residual value(see Sections 2.2.2 and 20 (Treatment of Assets on Expiry of Service Period)) and theneed for and timing of major refurbishment or asset refreshment programmes during the
Contract (see Section 11 (Maintenance));
􀁸 the importance of continuity in the delivery of the Service, including the degree of transition difficulties and inefficiencies that might be caused by changing Contractors;
􀁸 the importance of maintaining performance incentives over time;
􀁸 the viability of recompeting the Contract regularly, including private sector capacity and bidders’ likely willingness to bid against the incumbent;
􀁸 the ability of the Contractor accurately to forecast its base cost; and
􀁸 the possibility of an option to extend the term of the Contract by entering into a further contract period with the initial Contractor (this can equally be structured as a no cost early termination option – see Sections 20.2.5 and 20.6 (Valuation of Terminal Payments on Expiry where Residual Value Risk has been transferred)) even if there is no alternative use.
See further paragraph 3.10 of HMT’s Value for Money Assessment Guidance November 2006.
2.2.2 Some assets (e.g. vehicles or property) may have an alternative use which means that they can generate revenue for the Contractor after the Contract expires (see Section 20(Treatment of Assets on Expiry of Service Period)). If this is the case, the Contractor should not expect to recover the full cost of financing its investment (i.e. debt and equity return) over the life of the Contract, as it will be able to recover the balance by putting the assets to such alternative
use after the Contract expires (e.g. selling them). The price the Contractor charges to the Authority can therefore be lower and the Contract duration shorter than would be the case if the Contractor needed to recover all of its costs over the life of the Contract (see Section 20.2 (Assets where the Authority retains Residual Value on Expiry)).

2.2.3 Given the rapid pace of both technological change and Authority functions (particularly in projects such as hospitals), the Authority should ensure that the Contract is sufficiently flexible to allow changes to the Service over time (see Section 13 (Change in Service)). If, however, the Authority is concerned that changes will be so radical that the Service in its present form may become redundant it may wish to retain some flexibility by having shorter Contract periods,
consistent with an affordable financing plan, or break points (see Section 21.5.4 (Authority Break Points)).
2.2.4 The impact of certain events on the duration of a Contract is dealt with in the Sections on Compensation Events (see Section 5.2 (Compensation Events)), Relief Events (see Section 5.3(Relief Events)) and Force Majeure (see Section 21.3 (Termination on Force Majeure)). A delay in the Service Commencement Date should not lead to an extension of the Contract (see Section 5(Supervening Events)).
Required drafting is as follows:

2 Duration of Contract
(a) This Contract and the rights and obligations of the parties to this Contract shall take effect on the [date of this Contract][Effective Date].
(b) The Service Period will commence on the Service Commencement Date and
terminate on the earlier of:
(i) the Expiry Date; and
(ii) the Termination Date.


中ほどに太字で示した20.2.5とは、契約に強制的な契約延長のオプション(耐用年数がたとえば契約期間の30年よりも長い場合に、契約を延長する権利を発注者が持つオプション)が適用される部分であり、20.6は用途転用可能な施設の残存価値の算定方法について記載されている部分です。
基本的には、契約終了時の残存価値は、市場価格で認識されるべきものであることが記載されています。

http://www.hm-treasury.gov.uk/media/3/5/pfi_sopc4pu101_210307.pdf 

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登録日:2008年 02月 12日 21:30:35

自治体がもっとキャッシュフローを改善したいのならリスク移転型PFIの活用が可能

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 去る2月1日に、地域総合整備財団(ふるさと財団)と総務省の共催で行われたPFIセミナーの講師をしました。今年のPFIセミナーのテーマはPFI事業におけるリスクでした。

 私は、今年ふるさと財団の傘下の自治体PFI推進センターの専門委員に就任していることから、ふるさと財団から依頼を受け「リスク管理の総論と実務」というタイトルでセミナーを行いました。近日中にそのPPTはふるさと財団か、自治体PFI推進センターのURLにアップされると思われます。

 さて、セミナーのなかでPFIが生み出すメリットのひとつとして次の点を説明しました。
*****************************************************************************************
現在のわが国の分割払いのPFI手法を国際標準のリスク移転の考え方に基づくPFI手法に変えれば、現在のPFI処方で整備している施設よりも、より耐用年数が長く、威厳のある施設をより少ないキャッシュフローで作ることができるというメリットがあります。
*****************************************************************************************

【現状の分割払いPFIの背景】
 いま、自治体はキャッシュフロー上の問題から、施設整備費を分割払いするためにPFI手法を使っています。ファイナンスの関係もあり、もっとも長い契約期間は約30年です。
このような30年間の分割払いは、施設整備費の30分の1と民間貸付の利息を毎年支払うという仕組みです。公債によって資金調達をすることができる公共にとってはこのような分割払いは、確かにキャッシュフローの改善には貢献するものの、従来よりも民間資金を使うことによって支払いが増えているのが実態です。民間資金を使うのだから、利息分の支払いが増えるけれども、従来よりは、支払いが少なくなるのだから、仕方がないという考え方だと思われます。

【従来型よりも年度負担コストが悪化している可能性】
 しかしながら、30年間の支払いが減ったとしても、投資を削減することと30年の耐用年数さえあればよいという考え方で、民間事業者が施設整備をすると、たとえば、従来の官の設計で45年の耐用年数が合ったとすれば、1年間あたりのコストでは、PFI手法のほうが高くなっている可能性があります。

【200年住宅、200年公共施設の仕様】
 このところ、住宅や、公共施設の100年の耐用年数は常識であり、200年住宅等が施策として取り上げられています。
 この背景には、品質の高い施設投資を行い、耐用年数を延ばせば単年度あたりのコストを意図的に下げ、しかも、品質の高い住宅整備により付加価値も生まれ、経済の活性化にも繋がるという考え方があります。

【30年PFIと100年PFIの比較】
 たとえば、PFI事業も100年施設、200年施設を作れば、初期投資を下げることが目的の30年計画よりも、より高い品質の施設整備が可能になります。この場合、30年施設と100年施設の施設整備費の支払いを30年間の契約期間中に同じように比較することはナンセンスです。30年の耐用年数のある施設を30年間かけて支払うのであれば、100年の耐用年数のある施設は100年かけて支払うのがイーコールフッティングの考え方のはずです。

 このような支払いにするためには、100年施設であるといって契約しておいて実際には30年しかもたないような施設整備をされてしまうことが問題となります。ここにPFI事業のリスクがあるのです。

 そこで、このようなリスクを、民間に移転するためには、民間に施設を所有させ、30年分の施設提供サービスの対価として施設整備費の100分の30を支払い、残りは、残存価値が残っていれば支払うという仕組みやオプションで100年まで契約を延長する仕組みを活用することができます。

 いくつかの前提条件がありますが国際標準のPFI手法とは、このような現在のわが国のPFI手法よりも、よりよい施設をより少ないキャッシュフローで達成できる手法です。

 割賦払いを前提にしてしまうと、このような本来のPFIの仕組みによる支払いが理解できなくなる可能性があります。ハコモノPFIとは、このような仕組みによって成り立っているのであり、成り立つべきものです。

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登録日:2008年 02月 11日 17:44:14

官が示す必要のあるPFI事業の直接契約の雛形

 PFI事業に関与する公共アドバイザーの役割とは?に対してのオーキーさんのコメントの中に、PFI事業融資の担保に関して英国のフローティングチャージについて触れた部分があります。ここに大きな誤解があるようです。

>さて担保の件では少し誤解があるようです。PFIにしろ、他のプロファイ等のノンリコース
>にしろ、不動産も担保に取るのですよ。むしろ、ボロワーの資産という資産は全部担保
>に取るというのが正しいです。英国ではこれをフローティング・チャージ(不動担保)とい
>う包括的な担保によって押さえます。
>これは貸し金の回収のためではなく、第三者などが一部でも権利を取得することにより
>、資産の譲渡を行う必要が生じた際に権利関係が複雑になり、結局譲渡がうまく行かな
>くなるのを避けるためです。したがって、PFIのローン契約でもSPCの資産は資産は不
>動産も含めて全部担保に取ります。

>つまり、返済原資はキャッシュ・フローであるものの、回収目的ではなく、事業の一体性
>の確保のためにボロワーの全ての権利を担保に取るのです。

>オーキー @ 2008年 01月 21日 21:59:06

 英国のPFI事業にフローティングチャージを活用した事例があるのは事実ですが、それは標準的なものではありません。
 英国のDAの雛形は SoPC4の中に提示されていますので、それを参照してみましょう。
 最初の部分(第1条から第3条まで)は次の通りです。

THIS AGREEMENT3 IS MADE ON [ ], [ ]
BETWEEN:
(1) [RELEVANT DEPARTMENT OR GOVERNMENT BODY] (the “Authority”);
(2) [ ] (the “Agent” for the Senior Lenders); and
(3) [PROJECT COMPANY] (the “Contractor”).
IT IS AGREED AS FOLLOWS:
1 INTERPRETATION (省略)
2 CONSENT TO SECURITY
(a) The Authority acknowledges notice of, and consents to, the security interest granted over the Contractor’s rights under the Contract effected by the Contractor in favour of the Senior Lenders under the Security Document.
(b) The Authority confirms that it has not received notice of any other security interest granted over the Contractor’s rights under the Contract.

3 NOTICE OF TERMINATION AND EXISTING LIABILITIES
The Authority shall not terminate or give notice terminating the Contract15 on the grounds of Contractor Default without giving to the Agent.
(a) at least the Required Period of prior written notice stating:
  (i) the proposed Termination Date; and
  (ii) the grounds for termination in reasonable detail, and
(b) not later than the date falling 30 days after the date of a Termination Notice or (if earlier) the date falling 30 days after the date on which the Agent informs the Authority that an Event of Default.16 has occurred, a notice containing details of any amount owed by the Contractor to the Authority, and any other existing liabilities or unperformed obligations17 of which the Authority is aware (having made reasonable enquiry):
  (i) at the time of the Termination Notice or the notification of an Event of Default;
  and/or
  (ii) which will fall due on or prior to the end of the Required Period, under the    Contract.

http://www.hm-treasury.gov.uk/media/4/E/pfi_sopc4ch31-37_210307.pdf より
【本来の機能を果たしていないPFI事業の直接契約】
 このようなプロジェクトファイナンスであるはずのPFI事業の直接契約(DA)が本来の機能を果たしていない事例が散見されます。現在、DAのドラフトを、金融機関が用意しているばあいがほとんどであり、公共がその内容を十分に理解しないままDAに捺印している可能性があります。

【直接契約締結の目的】
 そもそも、直接契約とは何を目的として誰が結ぶのでしょうか
 DAの要素として重要なものに次の5つがあります。
1. 契約当事者:発注者、事業者、金融機関の三者が合意する契約である必要があること。
2. 事業の担保権:発注者は、契約に基づいて事業者に与えられている事業者の権利に関する担保権を、
保証状に基づいて事業者がシニアレンダーに与えている旨は認識しており、これに合意すること。
3. 契約解除の制限:発注者は、金融機関に通知することなしに、事業者の債務不履行を理由として、契約を解除しないこと
4. 事業介入の制限:金融機関の事業介入が適切でない場合に自治体の取れる行為等
5. 更改契約(ノベーション:事業者を交代する場合の契約)について

【融資契約の担保は何か】
 PFI事業の融資によって、金融機関が担保として取ることができるものは、事業者が事業契約締結によって
得た事業の権利(すなわち、要求通りのサービス提供を条件として、事業者利益を生み出すサービス料金を自治体から受けとることが出来るという権利であり、事業契約のキャッシュフローが生み出す利益を指す)であって、建物や、備品の担保権ではありません。

【DAによって自治体が得られるメリットの有無】
 DAで最も重要なポイントであり、発注者である自治体にとって最も大きいメリットは、事業者の債務不履行が見つかった場合に、自治体が事業解約するまえに金融機関が事業介入してくれて、事業のキャッシュフローから生まれるバリューが低下しないように、業務改善してくれることころにあります。
 DAでは、金融機関の担保権は事業契約から生まれるキャッシュフローが生み出すバリューであることを明確にした上で、そのバリューを守るために、金融機関の事業介入を公共が認める必要があります。
 また、DAは、債務不履行で事業者を入れ替える“更改契約”が発生した場合には、既存の事業者が新たな事業者に対して事業契約に基づく権利を明け渡すことに合意する契約でもあります。
 ところが、このような本来のDAのあり方に対して、我が国で一般的に用いられているようなDAでは、 本来の目的を達成することはできません。すなわち、その実態は、金融機関が、自治体に、金融機関が事業者の資産や備品の担保を取っていることを認めさせる契約になっており、官のメリットがない契約になっています。

【なぜわが国のDAに本来のPFIのDAの機能がなくなったのか】
 わが国のBOT方式のPFI事業では、金融機関と事業者の融資契約で、PFIの事業対象となっている施設や備品が金融機関の融資の担保になっています。PFI事業ではなく、一般的な融資と同じ形態の担保です。
 本来のPFI事業では、事業のキャッシュフローが生み出す、バリューを保護するために金融機関が介入するのですが、わが国のPFIのようなDAでは、金融機関は事業介入しないはずです。なぜなら、事業介入しなければ、官が間違いなく分割払いを保障してくれるからであり、もし事業介入して、事業がおかしくなった場合には、金融機関としての責任問題が生じるからです。このような状況においては、事業介入して立て直すというインセンティブは働きません。
 全ての金融機関が同じ考え方に立っているかどうかの検証はできていませんが、従来の与信審査が、事業の破綻後の担保に基づいて行われる以上、割賦支払いでない、プロジェクトのキャッシュフローから生まれるバリューを担保にした審査をしたことがない可能性もあります。

【自治体はどう対処すべきか】
 そもそも、いくらBOTであるからといっても、公共の施設を担保にして融資を受けてよいわけがありません。また、事業者が勝手にそんな融資契約を金融機関と結ぶことを、自治体は認めるべきではありません。

【DAの情報開示について】 
 わが国ではDAは、契約内容の中に金融機関のノウハウが詰まっているという理由で銀行は対外的にオープンしないとしており、また、そのためもあってか、自治体も開示していない事例が一般的です。しかしながら、このDAのあり方は、わが国のPFIでリスク移転が進まない根本的な原因にもなっています。
 このDA問題は、今までのところ、PFI事業の課題として取り上げられてはいませんが、自治体の担当者、弁護士、アドバイザーは、このような日本版直接契約を結ぶことをすぐにやめて、本来のプロジェクトファイナンスのDAに改める必要があると思われます。
 また、PFI事業はプロジェクトファイナンスであるという常識と、PFI契約のDAの雛形が既にパブリックドメインとして開示されている状況において金融機関もこのようなDAを結ぶべきではありません。

 「金融機関がPFI事業への融資を通じて公共サービス提供という社会的役割の一翼を担う」という命題を達成するためにも、『財務モニタリングの実質的な効果を金融機関から得たい』という公共側の考えを実現するためにも、現在の日本版直接協定は見直す時期に来ているのではないでしょうか?

 官が、直接契約のあり方を理解した上で、その雛形を示すのが改善の近道だと思われます。

カテゴリー[ 直接契約 ], コメント[1], トラックバック[0]
登録日:2008年 02月 11日 17:12:23

プロフィール
Hiroshi Kumagae
Hiroshi Kumagae
(男)
1959年05月06日
アビーム コンサルティング㈱             ディレクター
著書:脱「日本版PFI」のススメ 相模書房 ISBN978-4-7824-0705-9
ESADE大学院 国際経営修士
慶應義塾大学院 特別招聘講師(非常勤)
三田図書館・情報学会会員、PMFJ会員 公益事業学会会員
平成18年度内閣府PFI事業の総合評価検討委員会委員
平成19年度自治体PFI推進センター専門家委員会委員
日刊建設工業新聞 所論/緒論コラムニスト
東京LEC 法律文化 連載中 
剣道3段、居合道3段(夢想神伝流)
福岡県生まれ横浜市在住
連絡先:
hkumagae-mobile@softbank.ne.jp
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