日本型PFIの課題
前回のブログのエントリーに対してのPFI侍さんのコメントを参照します。
>なるほど。そういうことなんですね。それにしても、当たり前のように思えることが、
>なぜ、市販の文献なんかを見ても書いていないんでしょうかね。自治体の現場の人が
>気づくのも面白いですが、本来、ガイドラインにも明確な記載があってしかるべきでは
>ないかと思いますが。単なる支払い平準化可能な便利な手法との認識しか持って
>いない人、多いと思いますよ。
市販の文献にPFIの本質が記載されていない点について
市販の文献といっても、日本の文献は、日本の法律にのっとって、過去の日本のPFI事業と呼ばれるものに関してのもの、いわゆる日本型PFIについてのものが多いのでそういう風に思われるのだと思います。
この点については、このブログの下にもリンクを張っていますが、私が前職のときに公表した下記の連載論文に記載しています。ちょっと古いものですので、一部修正変更などが必要な部分も含まれていますが、大筋においては現在でも通じる考え方です。
PFI事業のあるべき姿「地方行政」(2004年3月1, 4, 8, 11日号/時事通信社)
日本型PFI改善への具体策「地方行政」(2004年8月2, 5, 9, 23, 26, 30日号/時事通信社)
ただし、この2004年以降のPFI事業の世界的な標準化とガイドライン化のスピードには目覚しいものがありますので留意する必要があります。
わが国のPFIガイドラインに明細な記載がない点について
前述のPFI事業のあるべき姿にも記載しましたが、日本のPFI法は、1998年5月に当時の与党三党により衆議院に草案が提出され、修正が加えられた上で1999年6月に衆議院建設委員長提案の法案として改めて提出されたものです。このPFI法案は同月には衆議院で可決され、7月には参議院で可決・成立し、公布されました。
しかしながら、日本のPFI法が検討及び交付された時期には英国のPFIのガイドラインはまだ出来上がっていませんでした。99年当時の英国では、それまでにPFI事業に関与した弁護士たちがPFIのあるべき姿を現在のSoPC(ソプシーと発音されるPFI契約書の標準化書類)の下書きを検討していたところで、私も、その検討原稿を2度ほど手に入れて、その官民のリスク分担に感銘を受けたことをよく覚えています。(わたしは、その当時、英国で民間事業者としてPFI事業に関与していました。)
これに先立つ97年に誕生したブレア政権は、保守党の「出来る限り民間部門に任せる」というPFIの考え方を「官民の長所が生かせるような官民の役割分担のもとでのパートナーシップで事業を推進する」というPPP(パブリックプライベートパートナーシップ)の考え方に変更しました。そして、この新しい考え方のもとでPFIタスクフォース(PFI推進専門部隊)を作り、2年の期限を切って「PFIによる公共調達ガイドラインの作成」と「PFI事業支援活動」を行いました。ガイドラインは当初の計画では99年には完成するはずでしたが、実際にその大部分が公表されたのは2000年に入ってからであったことを記憶しています。
このように、わが国のPFI法を起案した段階で、PFIの姿が見えていなかったということが大きな問題だったと思われます。
2006年末から2007年はじめにかけて、PFIガイドラインを策定した内閣府が海外のPFIの実態調査も含めて、わが国のPFIのガイドラインの見直しもしようとしているはずです。
遅かれ早かれ、世界標準の流れに乗るのではないかと思います。
単なる支払い平準化可能な便利な手法との認識しか持っていない人が多いこと
そのうち、日本型PFIの問題点が浮き彫りにされてきますので、PFIが単なる支払い平準化手法ではないことがわかってくるはずです。
今後は英国型PFIという名称を使わずに、BPRリスク移転型PFIにしてみようかなと思っています。
そもそも、このブログを立ち上げたのは、マスコミを含めてPFIの本質を理解していない人が多そうだなと思ったからです。
ただ、目的を十分に達成するほど、ブログの更新ができていない点については、反省しておりますが・・・。
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登録日:2007年 03月 26日 01:28:43
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- プロフィール

- Hiroshi Kumagae
- (男)
- 1959年05月06日
- アビーム コンサルティング㈱ ディレクター
- 著書:脱「日本版PFI」のススメ 相模書房 ISBN978-4-7824-0705-9
- ESADE大学院 国際経営修士
慶應義塾大学院 特別招聘講師(非常勤)
三田図書館・情報学会会員、PMFJ会員 公益事業学会会員
平成18年度内閣府PFI事業の総合評価検討委員会委員
平成19年度自治体PFI推進センター専門家委員会委員
日刊建設工業新聞 所論/緒論コラムニスト
東京LEC 法律文化 連載中
剣道3段、居合道3段(夢想神伝流)
福岡県生まれ横浜市在住
連絡先:
hkumagae-mobile@softbank.ne.jp
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