第2回日米PPPフォーラムからわかる米国のPPP

先日、東洋大学で第2回日米PPPフォーラムが開催されました。
米国からNCPPP(National Council for Public/Private Parterships)の会長のスミス氏とノートン氏らが参加していました。
フォーラムの後で、スミス氏になぜ、英国ではPFIが導入されないのかについて聞いたところ、次のことが分かりました。

1. 米国では、かつてのわが国と同様に、政府は長期にわたって支払いをコミットする契約を締結することが法律で禁止されているため、長期的な支払い契約であるサービス購入型のPFIを実施することは出来ないとのことでした。例外として、防衛関連の調達の場合には、民間投資を認めているため、ほぼPFIと同様な契約を締結しているとのことでした。

2. このような背景から、PFIではなく、官民のパートナーシップであるPPPの概念が次のように示されています。
A PPP(Public-Private Partnerships) is a contractual agreement between a public agency(federal or local) and a private sector entity. Through this agreement, the skills and assets of each sector(public and private) are shared in delivering a service or facility for the use of the general public. In addition to the shareing of resources, each party shares in the risks and rewards potential in the delivery of the service and/or facility.

3.事例としては、幾つかのパターンがありますが、代表的なものとしてサービスの業績を民間にコミットさせるタイプと、官民がそれぞれの資産や資源を共有するタイプ等が紹介されました。

4.サービスの業績を民間にコミットさせるタイプにはジョージア州のSandy Spring市の警察、消防、緊急医療以外の全ての公共サービスを民間に委託するというとてもユニークなものでした。この契約は、サービスの品質を評価する指標を前提として設定した上で、サービスの提供方法は事業者に任せる業績連動契約の事例です。

5.官民がそれぞれの試算や資源を要求するタイプのものとしては、公共図書館の駐車場を共用するコンセッションの権利を与えるケースが紹介されました。これは、1996-97年の事業であるテキサス州ダラス市立Oak Lawn 図書館のPPPの事例です。
チェーン網を持つ大手スーパーKrogerが、店舗を建替えたかったが、自分の持っている土地は、近代的な店舗と駐車場をカバーするだけの十分な広さのものではありませんでした。たまたま、隣にダラス市立Oak Lawn 図書館がありましたが、11000sqf(約1,020㎡)の建物は老朽化していました。
そこで、両者が時間をかけて交渉を行い、大手スーパーが12,900sqf (約1200㎡)の図書館・駐車場等の整備をおこなうことを条件として駐車場を共同で利用することに合意しました。
スーパーは自分の持っていた土地をフルに活用した店舗を立てることが出来ましたし、市の所有していた土地に作った十分な広さの駐車場を図書館と共有することが出来るようになりました。図書館もまた、老朽化した施設を民間資金で設計してもらい、スーパーと図書館の相乗効果が生まれており、建替え前の1995年度の利用者は 112,141 人であったのが、1997年には192,104 人となっており、利用者が70%以上増えたことがわかります。
Krogerは、駐車場を共同利用させてもらう権利を得るために、新しい図書館の設計をふくめた建築、土地の造成、駐車場整備、照明整備、造園、さらには、図書館の建設期間中の臨時施設利用のために$175,000を負担したといいます。スーパーと図書館を同一の利用者が利用することを前提に設計されているため、利便がよく、利用者からも評判がよいとのこと。この図書館はTexas Society of Architectsから1998年度の優秀設計賞も受賞しています。

この事例からも、米国のPPPにおいて、公共セクターは、施設整備費を民間事業者に支払う合意はしておらず、日本のPFIとも、英国のPFIとも異なった形態のものであることが分かります。

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登録日:2007年 10月 03日 22:32:52

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プロフィール
Hiroshi Kumagae
Hiroshi Kumagae
(男)
1959年05月06日
アビーム コンサルティング㈱             ディレクター
著書:脱「日本版PFI」のススメ 相模書房 ISBN978-4-7824-0705-9
ESADE大学院 国際経営修士
慶應義塾大学院 特別招聘講師(非常勤)
三田図書館・情報学会会員、PMFJ会員 公益事業学会会員
平成18年度内閣府PFI事業の総合評価検討委員会委員
平成19年度自治体PFI推進センター専門家委員会委員
日刊建設工業新聞 所論/緒論コラムニスト
東京LEC 法律文化 連載中 
剣道3段、居合道3段(夢想神伝流)
福岡県生まれ横浜市在住
連絡先:
hkumagae-mobile@softbank.ne.jp
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