事業者と金融機関は、発注者側のレベルに合わせて入札の仕方を調整します。

PFI初心者さんから次のようなコメントが入ってきました。(初心者と謙遜してんのかな?)

 「ススメ」やこのブログを読んで、PFIにおける金融機関の役割の重要性を再認識しております。ただ1つだけ、疑問があります。これまでの多くのPFI事業では施設整備費の割賦払いにより、金融機関の融資の回収にある程度確実性があったとすると、熊谷氏が言われるような「要求水準とモニタリングと支払いメカニズムの連動の仕組み」を導入して、金融機関に監視の役割を担わせようとしたときに、果たして「国内の」金融機関がこれに応じて融資を行う可能性があるのでしょうか。海外と国内のダブルスタンダードは早急に改善されるべきものとしても、実際に手を挙げる事業者と金融機関がいなければPFI事業そのものが成立しないという恐怖感が公共側の意識を縛り続けるように思うのですが。

確かに施設整備費の割賦払いにPFI事業は使われてきました。それは実際に、従来型で投資しようにも、一般財源から支出するお金がないためであり、背に腹は変えられないからでした。
しかしながら、PFI事業を、サービスを受け取った後のサービス料人の支払いと捕らえることによって、まったく同じキャッシュフローで、民間にリスク移転することが出来るわけです。

海外と国内にダブルスタンダードがあるだとか、手を上げる事業者と金融機関がいないかもしれないというのは杞憂です。

なぜなら、海外のPFI事業に参画している日本の事業者は存在していますし、既に、シティバンク、デプファバング、デクシアバンク、その他、毎日M&Aで新聞紙上をにぎわせている外資系の銀行が数多くあります。従って、彼らが興味を持てるような仕組みを作ってやればよいだけです。

また、日本人が責任者であっても、プロファイは成り立ちます。事業者と金融機関は、発注者のレベルに合わせて入札の仕方を調整すると言うことを理解しなければなりません。
スプレッドが低いから、金融機関が興味はないというのは、卵が先か、鶏が先かの議論に似ています。リスクが移転されていないのですから、スプレッドは低いのは当たり前です。

ノウハウのある事業者のリスクを適切に評価すれば融資できる事業が作られた場合に、応募者の金融機関が外資系の金融機関ばかりになったってかまわないではないですか?そこからノウハウを吸収して、日本の銀行も参加すればよいだけです。

わが国のPFIの基本理念は、次のとおりです。

公共施設などの整備などに関する事業は、民間事業者に行わせることが適切なものについて、民間の自主性、創意工夫を尊重しつつ、公共施設などの整備などに関する事業を出来る限り民間事業者にゆだねて実施するものである。このことによって、財政資金の効率的利用が計られ、また、官民の適切な役割分担に基づく新たな官民パートナーシップが形成されていくものと期待される。(PFI法 第三条より)

これを、金融機関の立場も含めて、導入可能な範囲で書き直してみました。

【対象となる事業】  
  長期的な契約によって、公共サービスの質を確保する民間ノウハウが存在し、イノベーションが活用可能で、より安く、より品質の高いサービスを提供することが出来る事業が、PFI手法の活用に適切な事業である。  
【サービス購入契約】
  官は公共サービスの質の設定と提供が重要なのであって、そのために施設所有する必要はない。かえって、その公共サービスの質を達成する手段や手法は民間の自主性、創意工夫を尊重しつつ、出来るかぎり民間事業者にゆだねて実施することことによってプロセスの見直しやイノベーションの導入が進む。ただし、公共サービスの性格上、適切なサービス提供ができなかった場合の責任は最終的に官が取らざるを得ない。
【官が事業枠組みを設定】
  そこで、官は、民にサービス提供の手段や手法を任せる条件として、官が適切な要求水準をきめ、その業績をモニタリングし、要求したサービス水準を達成できない場合にはペナルティを課する事業枠組みを設定する。民は、事業枠組みの範囲内で、従来の仕組みを大幅に見直したり、サービスの質を達成するためのイノベーション手法を活用して、ペナルティをかけられないような事業管理システムを構築し、サービスを提供する。
【役割分担の仕組み】
  このような新事業手法は失敗する可能性があるので、金融機関に精査させる。金融機関にとって、事業の失敗は不良債権につながることから、確実に融資が回収できるように民間の事業提案を改善させる。 実績のある事業者の提案を金融機関が精査した事業であれば、民間事業者は収益を十分上げながらも、財政資金の効率的利用を図る提案をすることが出来ると考えられる。
【成功を確保する仕組み】
  ただし、万が一であっても事業破綻は、官にとっても好ましくない。そのため、民の事業契約上の債務不履行が発生した場合には、契約解除する前に金融機関に事業介入させ、事業の建て直しができるように、官、民、金融機関の三者が合意する。このような、直接の契約関係になかった官と金融機関が民を介在して結ぶ三者契約を「直接契約」と呼ぶ。「官と民の事業契約」、「民と金融機関の融資契約」、「官と民と金融機関の直接契約」の3つを同時に締結し、三者のリスクバランスを最適化し、安定した事業を継続的に行う。このような安定した高品質のサービス提供は、サービス利用者にとってのメリットにもなる。
【パートナーシップの源泉】
  以上のような適切なPFI手法の活用ができれば、利害関係者の全てがマルチプルWINの状態となり、官民の適切な役割分担に基づく新たな官民パートナーシップが形成されていくものと期待される。


実際に募集しても応募者のいないPFI事業も増えているようです。
国際標準に従わないで、応募者が出てこないなら税金の無駄遣いとして行政訴訟されるかもしれませんよ。
日本の事業者が外国のPFI・PPP事業に海を越えて参加しているのですから、参加する意思があるかどうかを、まずヒアリングすればよいと思います。

がんばって、みなの血税を効果的、効率的、合理的に使いましょう。

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登録日:2007年 12月 27日 21:51:41

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プロフィール
Hiroshi Kumagae
Hiroshi Kumagae
(男)
1959年05月06日
アビーム コンサルティング㈱             ディレクター
著書:脱「日本版PFI」のススメ 相模書房 ISBN978-4-7824-0705-9
ESADE大学院 国際経営修士
慶應義塾大学院 特別招聘講師(非常勤)
三田図書館・情報学会会員、PMFJ会員 公益事業学会会員
平成18年度内閣府PFI事業の総合評価検討委員会委員
平成19年度自治体PFI推進センター専門家委員会委員
日刊建設工業新聞 所論/緒論コラムニスト
東京LEC 法律文化 連載中 
剣道3段、居合道3段(夢想神伝流)
福岡県生まれ横浜市在住
連絡先:
hkumagae-mobile@softbank.ne.jp
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