PFI事業に関与する公共アドバイザーの役割とは?
新年明けましておめでとうございます。本年もPFI/PPPブログご愛顧の程よろしくお願いいたします。
さて、昨年度の当ブログは、マイナーなテーマであるにもかかわらず、開設以来の累計ヒット数が36,000ヒットを越しました。開設日が2006年の8月末でしたので、500日として、1日平均のヒット数が72となります。
ところが、年度末において急に閲覧者の方の参加で活気付き、1日のヒット数が100~150であったのが、250を越す日が数日続きました。
年収めから、閲覧数がガクッと下がり、昨日は84と従来の平均ヒット数近くに戻っています。
昨年の経験から、ヒット数は、閲覧者の方のコメントや、閲覧者同士の議論、閲覧者間での情報の交換等から、新たな方向の展開があった場合に、相当増えることがわかりました。昨年度は、しきのぴいちゃんさん、オーキさん、PFI侍さん他、ご参加いただきありがとうございました。今年も、積極的なご意見をお待ちしております。
さて、年度末に、オーキーさんからアドバイザーについてのテーマを取り上げるご提案があり、PFI侍さんから、
アドバイザーとは本来、どうあるべきなのか。現実はどうなのか。発注者がアドバイザーについて誤解していることはないか。よい機会なので、少し考えてみませんか。
というご提案をいただきました。
このテーマについては、わたしも個人的にもいろいろと考えさせられるテーマでもありますので、わたしの考えているところを述べた上で、皆さんからのコメントをいただければと思います。
【わたしのPFI事業との出会い】
わたしがPFIという言葉をはじめて聞いたのは、1998年の10月ぐらいだったでしょうか?ポーランドで60億円規模の建設プロジェクトが完成した後に、ロンドンの駐在員事務所の所長としてPFI事業の情報収集およびPFI事業への参画を目的として赴任の辞令を受けたときでした。
1998年といえば、今でこそ、大きな流れが良くわかるのですが、まだ、ブレア政権においてPFIタスクフォースが、ガイドラインの策定を行っている最中であり、当時のPFIのガイドラインといえば、CUPガイダンスぐらいしかなかったのが実情です。しかも、そのCUPガイダンスも、現在のようにWeb上でダウンロードできるような状態ではなく、英国財務省に出向いて、ハードコピーを購入するような状況でした。予算として200ポンドを超えるハードコピーを入手するのに、ためらいがちであったことが記憶に残ります。(CUPガイダンスが、Web上で公開されたのは、たぶん、2000年以降ではなかったかなという記憶があります。)
1999年に、このCUPガイダンスを購入したおかげで、PFIの仕組みが若干わかるようになりました。そして、この仕組みは、今までの公共調達の考え方を根本的に変えるものであると感心しましたが、その感想を素直に述べると、多くのロンドンの英国人のPFI関係者からも、PFI事業は、今後標準として確実に発展し定着するので、一生ものの仕事になるよといわれたのを覚えています。
そうこうしているうちに、日本でPFI法が施行され、ロンドンから帰国するように辞令を受け取りました。
帰国して、新しく制定されたPFI法の内容を確認すると、PFI法といいながら、PFI的な「どのようにして民間資金を使うのかについての原理原則」がまったく記載されていない法律であることがわかりました。
当時、PFI法が制定される前から取り組んでいた、金町浄水場のプロジェクトに事業者側のメンバーとして参加させてもらい、民間事業者としてPFIの本質である「官と民のリスク分担」を真剣に討議しながら仕組みを構築していたことに感銘を覚えた記憶があります。
【PFIアドバイザーへの転身】
当時は、まだ、法律が出来たばかりで、民間事業者としての案件がほとんどありませんでした。たまたま、ロンドンで利用していたPWCの野田パートナー(当時)(現横浜副市長)に挨拶に行ったところ、アドバイザリー業務で忙しくて手が足りないという話を聞きました。なぜか、そのとき、法律で決められていない仕組みを紹介するには、現地の状況を知っている自分が適任であるという気持ちになり、転職の決意をしました。
2000年の3月に帰国して、5月に会社に辞表を出しましたが、後任との調整の関係上、PwCに移ったのは2000年の10月でした。(話の本筋から外れるので詳細は述べませんが、様々ないきさつから、2003年4月にKPMGに移り、昨年の10月から現在のAbeamコンサルティングで働いています。)
さて、当時は、英国のタスクフォースガイドラインがWeb上に公表されたばかりで、追加でどんどんと新しいガイドラインが出ている最中でした。
タスクフォースガイドラインの翻訳監修や、1999年9月に公表されたSoPC(PFI契約の標準化)の翻訳監修、リスクの定量化等に関する調査、在ベルリン英国大使館のPFI事業の現地調査、実現しなかった三重県の警察署PFIの導入可能性調査、京都市のPFIガイドラインなど、この時に様々な業務に従事しましたが、そのときに参照したのは、英国のガイドライン、アイルランドのガイドライン、オーストラリアビクトリア州のガイドラインなどでした。今でも、これらの内容の多くの部分は、適用可能なものです。
【PFIの基本指針を構築した英国の報告書】
この時に複数の国のPFIガイドラインを比較した結果、それぞれのいい点を参照し、悪い点を他山の石として、PFIのアドバイスを行うべきであるという結論に達しました。
特に、この時に、これらのガイドラインの整備を可能にした、各種戦略報告書には感銘を受けました。わが国では、あまり注目されていませんが、1997年に、PFIタスクフォースを作ったときのベーツ報告書、建設業界の改革を求めた1998年のイーガン報告書、タスクフォースの期限が終わってから1999年に出された第2ベーツ報告書、2001年に地方自治体の改革を求めたバイアット報告書等のPFI推進基本戦略なくして、英国のPFIの進展がなかったことは明白です。
特に、昨年その一部が公表された、特定事業に関するPFI調達パック(特定事業のPFIのためのアウトプット仕様書の書き方、事業特有の支払メカニズム、標準契約等をひとまとめにしたもの)は、1999年の第2ベーツ報告書で策定すると明言していたものであり、この仕組みを構築するのに、英国でさえも、8年間の期間を費やしていることがわかります。
【アドバイザーとしてよりどころにする先人のノウハウであるガイドライン】
わたしは、1998年以来PFI事業に関与し続けることが出来たおかげで、様々なガイドラインの変遷及び、どのような戦略で、どのような組織で、現在のPFIの仕組みが発展してきたのかを見続けることが出来ました。
このような背景から、わが国のPFI事業において課題となるような問題は、大体において諸外国でも課題となった問題と重なりますので、それらを参照しながらアドバイスすることを心がけています。
【日本のPFIアドバイザーの悲劇】
日本のPFI事業を分析するだけではPFIのノウハウは習得できないことは、わたしにとっては明らかです。
しかしながら、割賦払いを前提としたわが国のPFI業務に従事し、もう少しで300件になろうとしている国内のPFI事業の情報を収集することだけに専念しているのが、わが国のPFIアドバイザーの実態なのではないでしょうか。
【PFI情報の更新の解読の必要性】
実は、かく言う私も、ここのところ頻繁に更新されているPFIのガイドラインに追いつくのが大変な状態です。
昨年4月に出た、SoPC4(PFI契約の標準化第4版)、PFI調達パック、リスクマネジメントガイドライン等は、従来の仕組みとどの部分がどのように変わったのかを参照しながら読んでいく必要があるからです。それは、新しく改定された部分は、大体において、過去の問題として懸案だった部分を解決していることが多いからです。
本来ならば、このような、解読をPFIアドバイザーもしくは、自治体のPFIの選任担当者等と一緒にしていくことが重要だと考えています。たとえば、昨年出版した”脱「日本版PFI」のススメ”の中にも記載していますが、昨年2月に最新版であった、NHSの標準サービス仕様書は、昨年4月に改定されています。この違いの解読を今行っていることろです。解読作業に参加したいという方がいらっしゃいましたら、ご連絡ください。
【自治体のPFI担当者の期待するアドバイザー】
さて、話を戻して、それでは、自治体のPFI担当者はPFIアドバイザーにいったい何を期待しているのでしょうか。
実際のところ、PFIアドバイザーを選定する段階で、どのような業務を委託するかについて発注者としての要求が示されています。ところが、その要求内容が、割賦支払いの仕組みを作るだけである場合に、アドバイザーはどのような役割を果たすことが出来るのでしょうか。本来のあり方を提案しても評価されないため、アドバイザーとしては選定されないのが実情です。
本来適用可能なPFIの仕組みを導入したくありませんかという質問に対して、よその自治体がしているのと同じようにPFI事業を実施したいという要望を聞いたことがありますし、また、よその自治体が実施しているPFI事業の内容を見て、PFIをすることに異議がないと考えているという意見も聞いたことがあります。前者は、本来のPFIの仕組みを活用することを求めていませんし、後者は、アドバイザーをそもそも求めていないのです。
【本来求められているはずのNPMアドバイザー】
PFIとは、単なる手法であり、本来求められているのは公共セクターへのニューパブリックマネジメント(NPM)の導入であるべきです。
このNPMは、1980年代からスタートしており、英国ではPFIとして昇華していますが、同じ考え方が米国では業績連動サービス調達PBSA(Performance Based Service Acquisition)として昇華しています。
わが国では、PFIのアドバイザーが必要だが、PFIでなければ、別にアドバイザーは必要ないようなイメージがあるように思えますが、公共サービスを分析し、業務にともなうリスク管理を適切に行い、事業契約のPDCAサイクルをまわしていくという考え方は、普遍だと思います。このような、サービスおよび契約の改善にアドバイザーが求められ、アドバイザーのノウハウが活用できるようになれば、アドバイザーの業務が本来求められるべきものに近づいていくのではないかと思います。
P/S:
1月16日(水)の朝日新聞朝刊のオピニオン欄“わたしの視点”に、「PFI/民間の知恵生かす改革を」という記事を寄稿します。
カテゴリー[ アドバイザーの役割 ], コメント[7], トラックバック[0]
登録日:2008年 01月 05日 01:56:23
コメント
改めて、あけましておめでとうございます。
熊谷氏に頼んで、一旦書いたものを削除してもらいました。どうも、自身が経験したアドバイザーの話だと生々しくなりすぎの感があり。。(笑)
さて、PFIの本旨としては、熊谷氏が指摘するように、可能な限り民間にリスクを移転し、民間の創意工夫が生きるように、仕様発注ではなく性能発注に、していくということが大事ではあります。で、この点、公共側も理解しないのではないのです。
ただ、PFIを実際に発注する立場の、官庁営繕などの現場の役人としては、PFIのモデルケースのようなものを作り上げる、というよりは、まずは無難に入札がなされ、法的要請、あるいは各入居官署の要請にきちんと沿ったものが計画され、建設される、ということが重要となります。
この点、現場の人達を責めることはできないはずです。従来型よりも不都合が多くなれば、それだけ彼らに対する内部の批判が大きくなるのですから。こうした人達と、さらに予算上の制約なども考慮に入れてPFIを計画していくと、どうしても仕様発注的になってしまいがちです。そこがまさにアドバイザーの役目じゃないのか、という批判もあるかもしれませんが、いざ入札をやってみて望まれる施設とは程遠いものができたとしたら大変なので、ある程度仕方がありません。
もし、このような中で強引にPFIで性能発注だ、として事業を進めると、なぞなぞのような入札になってしまいます。つまり、ヒントは与えられるものの、完全な答えは与えられず、「本当に必要な施設は、さて何でしょう?」と言った具合です。
もちろん、その入居官署がそこで提供する業務、サービスのBPRを同時に進めていけるのであれば、施設が仕様発注的になったとしてもまだVFMが出る余地はありますが、この点でも、そもそも施設整備と直接関係ない部署、官署のことであれば口出しもできません。
私は多くのアドバイザーに対して批判的ではりますが、そもそもアドバイザーとそこに仕事を発注する公共側の窓口では、そもそも限界があると感じたものです。
これを解決するには、公共側に外部のアドバイザーとは別に、省庁横断的というか、各官署を横断してPFIを推進できるチームが必要なのではと思います。
英国のPUK(パートナーシップUK)は一定程度、そういった役割を果たしていると聞いたことがあります。実態については熊谷氏の方が詳しいでしょうが、公共側にある様々な懸念、施設の法的要請、各入居官署との調整、さらに提供されるサービスについての民間へのリスク移転のためのアウトラインなどを整理できる人間がいないと、まさか一アドバイザーが公共側に入り込んでいってかき回すわけにも行かないのです。
と、自己弁護も含めてアドバイザーを擁護したものの、そもそも日本のPFIで本当のフィナンシャル・アドバイザーはいるのでしょうか?
日本ではダンピング合戦の上、フィナンシャルでもなんでもない技術アドバイザーが元受としてフィナンシャル・アドバイザーの地位を獲得できます。そもそも、フィナンシャルもテクニカルも、そしてリーガルさえも一括で発注するというシステムは相当おかしいですし、多くの案件では弁護士法に違反したリーガル・アドバイスが行われているのが実態ではないでしょうか。私はまず、アドバイザリー業務の発注方法にまず不満がありました。
英国の例ではなく、アメリカのパブリック・ファイナンスのフィナンシャル・アドバイザーとは、公共側の基本計画の段階からプロジェクトに参加し、その段階からどのようなスキームを選択すれば金利負担が少なくなるか、事業の持続性が確保できるか、というような観点からアドバイスを行い、レンダーを呼びつけ、どのような担保スキーム(米国では、日本の債務負担行為のような裏づけから、より踏み込んだTax Incement Financeや、PFIに近いスキーム、それを証券化したレベニュー・ボンド等々選択肢が多い)がその事業に最適なのかを探るのがフィナンシャル・アドバイザーの役目と聞いています。
以上のようなことから私はアドバイザーのあり方として次のような形が望ましいと思います。
・公共側にPFIを推進していくインセンティブを持つチームを作ること。
・フィナンシャル・アドバイザー、リーガル・アドバイザーは別個の委託とし、PFIの計画のかなり初期の段階からそうした組織横断的なチームに対してアドバイスできるような体勢とすること。
そうでなければアドバイザーは生きないと私は思います。
オーキー @ 2008年 01月 11日 00:17:43
オーキーさんのおっしゃることは、実態そのものなのでしょう。自治体であっても、ごく一部を除いては、似たりよったりなのでしょうね。以下、3つコメントします。
1.FAは内製化していますという技術系のコンサルに限って、PFIは割賦以外にありえないとか、レンダーは貸さないとか、そればかりをおっしゃいます。Fの力をうまく使い、VFMを追求するシステムを構築するには、ADの発注方法を変える必要がある、これは私も賛成です。やることにそれほど障害はないはずですが、自治体側に、両社(これにLAを加えると3社)をマネージするだけの人間がいるかどうかが問題になりますが。
2.官庁横断的な推進組織の必要性は、私も同感です。英国でPUKがそうなのか、4Psがそうなのかは分かりませんが、権限を持った、横断的な、プロ集団が必要です。ただし、その必要性、効果、意義を国全体の政策の方向の中に、しっかりとした位置づけがなされなければ、機能しません。この点、英国は明快です。
3.これは本論とは違いますが、熊谷さんへ質問。PFIのメリットの一つ、英国ではオフバランスが認められるものもあり、これが英国の財政状況の改善に一役買ったといわれているわけですが、ブラウン政権において、オフバランスの取り扱いを見直す動きがあると聞いたのですが、どのような状況なのか、ご存知でしたら。
PFI侍 @ 2008年 01月 13日 19:05:06
年頭メッセージに名前を出していただいて恐縮です。他の方々はアドバイザー等プロの方が多いようですが、その中でど素人で恥ずかしいかぎりです。
そこで、教えて君の仕事始めなのですが、最近まで、PFIはノンリコースローンと同一だと思っていました。でも、ウィキペディアのノンリコースローンの説明(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8E%E3%83%B3%E3%83%AA%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%B3)を見ると、ノンリコースローンの場合はキャッシュフローを返済原資とするものの、担保(差し押さえ対象)はローンで取得した不動産に及ぶようです。
一方、PFIの場合には、今日の朝日新聞で熊谷さんが書いておられたように、担保の方もキャッシュ・フローのみです。これは、思うに、事業内容が公共であり施設は公物なので、サービス提供を中断すべきではないし、銀行としても、学校や病院くらいならともかく刑務所を差し押さえてもどうしようもない。その代わりに、ノンリコースローンならSPCごと銀行の支配下に置いた上で他の事業者を探すであろうところを、直接契約という形で、スキームを壊す(清算して貸し倒れを確定する)前に銀行が他の事業者を探す権利を与えて補おう、ということなのかと思ったのですがいかがでしょうか。
しきのぴぃちゃん @ 2008年 01月 16日 19:25:01
しきのぴぃちゃん さん、
別に素人だからと言って恥じることなど無いではないですか。玄人と称するわけのわからんアドバイザーやら何やらが好き放題やっているのが日本のPFIですから、どんどん素朴な疑問を熊谷氏にぶつけてください。
さて担保の件では少し誤解があるようです。PFIにしろ、他のプロファイ等のノンリコースにしろ、不動産も担保に取るのですよ。むしろ、ボロワーの資産という資産は全部担保に取るというのが正しいです。英国ではこれをフローティング・チャージ(不動担保)という包括的な担保によって押さえます。
これは貸し金の回収のためではなく、第三者などが一部でも権利を取得することにより、資産の譲渡を行う必要が生じた際に権利関係が複雑になり、結局譲渡がうまく行かなくなるのを避けるためです。したがって、PFIのローン契約でもSPCの資産は資産は不動産も含めて全部担保に取ります。
つまり、返済原資はキャッシュ・フローであるものの、回収目的ではなく、事業の一体性の確保のためにボロワーの全ての権利を担保に取るのです。
オーキー @ 2008年 01月 21日 21:59:06
オーキーさん、お気遣いありがとうございます。安心して暴れます(笑)
数十年前のPFIなんかない時代に行政法を学んだ人間としては、「刑務所や道路、河川管理のための構造物に私権の設定なんかあるのか」と思ったのですが、そもそも所有がSPCなのだからあるのでしょうね。フローティング・チャージなら抵当権を細切れにもできないのでしょうし、万一第三者譲渡でも債権に対応して一括になるのでしょうし。
フローティング・チャージの考え方も、民法で「工場抵当法」の考え方は習いましたが、当時は現実にはほとんど活用されていないということでした。時代は変わったのですね。
話が変わりますが、オーキーさんと熊谷さんのハコモノ論争というのは、実は、コア業務を民が受託できるかどうかという理解でよいのでしょうか。例えば、病院は医療法で医師等の直接雇用義務があるとか、刑務所は収監自体は公権力の行使で国が直接実施せざるを得ないとかありますよね。そうすると、PFIは建物の建設コスト+維持管理サービスの超長期委託になって、建物をリスク・フリー資金で建て、維持管理を一定の期間で入札にかけるより、競争がなくなる分、費用面だけでも高くなってしまう気がします。また、コア業務も受託できるなら、サービス業績契約を結んだ上で、コア業務の従事者が使いやすい建物を受託者が自由に設計すればよいですが、コア業務が官のままだと、民に設計の裁量を任せれば使い勝手が悪くなるし、それを避けようとすると結局設計に官がかなり口を挟まねばならなくなり、PFIにする意味が減るような気がします。
今日の朝日新聞で病院PFIに対する熊谷さんのコメントを読みました。最近、伊関友伸さんの「まちの病院がなくなる!?」(時事通信社)の病院PFIについての分析を読んで、実は現在の日本の医療法制とPFIはなじまないのかな、と思っていたところで熊谷さんの名前を拝見し、オーキーさんとの議論を思い出しましたものです。
しきのぴぃちゃん @ 2008年 01月 22日 10:54:30
フローティング・チャージは浮動担保ですね、字が間違っていました。
熊谷氏との議論は、病院のコアを外だしするかどうか、ということとは直接関係ないです。ハコモノの建設、維持管理のみの案件でVFMがでるかどうか、というのがポイント。熊谷氏の持論では、それも要求水準の作りこみによって可能となうという事でした。もっとも、熊谷氏もBPRの必要性を説いており、実は考えにそれほど差が無いかもしれません。
病院は、熊谷氏はコアの外だしにはあまり肯定的ではありませんね。私は、それもありではないかとは思ってます。ただ、自治体病院で医療業務も民間に委託するとなると、もうそれは公設民営というか、民営化そのものですよね。であれば、PFIの枠組みでやる意味はあまりないかな、とも思ってます。
オーキー @ 2008年 01月 25日 08:19:24
逆にいうと、オーキーさんの議論の出発点は、建設+維持管理ではVFMは出ず、コアかどうかは別として+αの業務がないとVFMが出にくいということしょうか。
canとshallで差はあると思いますが、PFIでSPCが請け負う事業が、建設+維持管理に加えてどこまでなのかというのが、だんだん分からなくなってきました。例えば、高知医療センターは医療関連サービスもPFIに入れていますが、これは必ずしもインフラとペアではないですよね。美祢の受刑者への教育などもそうですよね。維持管理は建設と同じ主体が請け負うことはなんとなく分かるのですが、セグメントとして分けられる業務をぼこぼこそこに入れていくというのは、なんとなくどんぶり勘定のような気がするのですが。インフラとの相乗効果ということなのでしょうか。
逆に、(これはコアの外出しに肯定的ではない熊谷氏への質問になりますが)コアまで入れても、PFIのプロジェクト・ファイナンス的メリットは失われない(病院であれば、一定水準の医療を黒字で提供できない事業者を金融機関が蹴りだして別の医療事業者を探してくる)というのはあると思うのですがいかがでしょうか。特に、公権力の行使でも自然独占でもない医療などの場合、代替事業者というのはありえると思うのですが、どうなのでしょうか。また、インフラとの相乗効果ということであれば、医療従事者が使いやすい建物や医療設備というのが、一番インフラの効果を高めるとも思うのですが・・・
なんとも難しい世界ですね。
しきのぴぃちゃん @ 2008年 01月 28日 19:46:56
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- プロフィール

- Hiroshi Kumagae
- (男)
- 1959年05月06日
- アビーム コンサルティング㈱ ディレクター
- 著書:脱「日本版PFI」のススメ 相模書房 ISBN978-4-7824-0705-9
- ESADE大学院 国際経営修士
慶應義塾大学院 特別招聘講師(非常勤)
三田図書館・情報学会会員、PMFJ会員 公益事業学会会員
平成18年度内閣府PFI事業の総合評価検討委員会委員
平成19年度自治体PFI推進センター専門家委員会委員
日刊建設工業新聞 所論/緒論コラムニスト
東京LEC 法律文化 連載中
剣道3段、居合道3段(夢想神伝流)
福岡県生まれ横浜市在住
連絡先:
hkumagae-mobile@softbank.ne.jp
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