PFIでは官が民民のプロファイにおける金融機関の考え方をする必要はないこと

しきのぴいちゃんから面白いコメントをもらいました。

>1.担保とは、通常の債務履行がなされないときに債権を確保するためにある
>2.PFI事業によるキャッシュ・フローは、金融機関からの債務を弁済する原資で
>あるのは当然である。
>3.このキャッシュ・フローが担保であるというのは、通常の債務履行の手段を
>担保に取っているということになり、担保にならないのではないか

>ということになると、担保として機能する(担保権ではない)はステップ・イン
>する権利であり、これを円滑に行うための手段の一つとしてフローティング・
>チャージがある、ということなのかなと思うのですが、変でしょうか。


PFI事業における公共側の発想としては変だと思います。
もちろん私が一般的な民民のプロジェクト・ファイナンスのアドバイザーとして金融機関側にたてばそのように主張すると思います。ただし、PFIの場合には一般的な民・民のプロジェクト・ファイナンスとは異なります。

官側の発想に立って考えて見ましょう。

1.担保とは、通常の債務履行がなされないときに債権を確保するためにある。
官と民間事業者は、事業契約を締結しているだけなので、官側には債権はありません。民の債権はサービス提供後に、サービス提供分の債権を生じるだけです。
民と金融機関が融資契約を結ぶ場合には、金融機関には債権はありますが、それを直接契約でどのように締結するかは、三者の合意によるものですから、金融機関の債権を担保するために、公共施設を民が担保とすることを認める必要はありません。

2.PFI事業によるキャッシュ・フローは、金融機関からの債務を弁済する原資で
>あるのは当然である。

事業契約の内容は、民が民の所有する施設を活用して官に提供したサービスの対価を支払うことであり、民が金融機関に対して持っている債務を弁済するのは、民と金融機関の融資契約に基づくものです。極端な場合、金融機関から融資を受けずに、全額出資する事業者がいた場合に、官にとって問題のない事業であったならば、明らかにこの場合には金融機関からの債務を弁済する原資ではありません。

3.このキャッシュ・フローが担保であるというのは、通常の債務履行の手段を
>担保に取っているということになり、担保にならないのではないか

そもそも、プロジェクト・ファイナンスの場合には債務不履行の場合、貸手は担保資産の売却により回収をはかり、それ以上に借り手に償還請求権を持ちません(ノンリコース)。しかしながら、PFIの場合には、官は不動産を売却してもらっては困るので、一般的には不動産を担保に取らせません。ただし、金融機関は直接契約を締結することによって、キャッシュ・フローが生み出すバリューを毀損しないような手続き(担保の代わりにステップインする権利の行使)が取れるので、その権利を直接契約で締結することによって融資していると考えられます。

前述の考え方をフローティング・チャージに絡める必要性はないと思います。ただしフローティング・チャージを活用することが官にとってメリットがある場合に、官がフローティング・チャージを認めることを否定するものではありません。

カテゴリー[ PFI事業の資金融資 ], コメント[2], トラックバック[0]
登録日:2008年 03月 31日 21:38:25

コメント

質問です。最後の部分で、「フローテイング・チャージを活用することが官にとってメリットがある場合」とありますが、どういう場合が想定されますでしょうか?教えてくださいませ。

PFI侍 @ 2008年 04月 10日 14:48:01

言葉足らずですみません。上記コメントは、資金の出し手たる金融機関側から見て整理していました。金融機関側からすればステップインする権利の行使で融資を実質的に担保しているという認識が間違っていないとすれば、熊谷さんと認識は一致していると思います。

ただ、担保(物)権については、日本の民法を勉強した頭で考えると、PFIの事業資産の所有権は形式的にはSPCにある訳ですから、金融機関に担保物権を設定させる権利は事業者ないしはSPCにある一方、それを公共目的であるから設定させないというのは、事業者から見れば事業契約上の債務に過ぎず、これに違反して担保物件を設定してもそれは債務不履行であって、担保物件には劣後するのではないか、という気がしてしまいます。

フローティング・チャージについては、PFI侍さんと同じ疑問を持ちました。私は、ステップ・インする際の便宜、すなわち、事業資産全体に一括してコントロールがかかるようにするための一便法がフローティング・チャージなのかなと思っていました。

しきのぴぃちゃん @ 2008年 04月 14日 18:48:46

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プロフィール
Hiroshi Kumagae
Hiroshi Kumagae
(男)
1959年05月06日
アビーム コンサルティング㈱             ディレクター
著書:脱「日本版PFI」のススメ 相模書房 ISBN978-4-7824-0705-9
ESADE大学院 国際経営修士
慶應義塾大学院 特別招聘講師(非常勤)
三田図書館・情報学会会員、PMFJ会員 公益事業学会会員
平成18年度内閣府PFI事業の総合評価検討委員会委員
平成19年度自治体PFI推進センター専門家委員会委員
日刊建設工業新聞 所論/緒論コラムニスト
東京LEC 法律文化 連載中 
剣道3段、居合道3段(夢想神伝流)
福岡県生まれ横浜市在住
連絡先:
hkumagae-mobile@softbank.ne.jp
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