カテゴリー [業績連動契約]

海外の業績連動契約のガイドラインについての質問

ここのところ、大体1日に150アクセスぐらいありますが、昨日更新をしたら、早速”しきのぴいちゃん”さんから次のような質問を受け取りました。
ちゃんと読んでるんですねえ。

>熊谷さんに教えていただきたいことがいくつかあります。

>1.詳細目標では手段や手法には触れないということだと、詳細分析設定プロセスは
>手段分析プロセスとは直接リンクしない、並行なプロセスだということですか。

>2.官民競争入札の場合、政府の実施部門と契約部門は、明確に組織が分かれて
>ファイアウォールもないと、現状分析プロセスでの民間からの情報収集は難しいよ
>うに感じるのですが。

>3.熊谷さんのご主張は「間接部門のコスト配賦は恣意的に操作できるので、間接部
>門を含んだ組織単位ごとに入札しよう」ということだと思うのですが、一方で最近の
>行革の動きは、間接部門に関し規模の経済を働かせるため、多少ミッションが違っ
>ても類似のものはくっつけてしまえという方向にあり、ますます市場化テストの環境
>としては悪くなっているように感じるのですが、いかがでしょうか。

>4.Performance work Statementでググるとかなりの文書が出てきますが、最初に読
>むべきガイドラインとして熊谷さんのオススメがありましたら教えてください。

>お忙しい中恐縮ですが、よろしくお願いいたします。
>しきのぴぃちゃん @ 2007年 11月 02日 18:16:18
ぴいちゃん、安易に答えだけを求めてはいけませんよ。日本版PFIの失敗はそこにあったのですから・・・

さて、4からお答えしましょうか。

最終的に現在の形がどのような過程を通して出来上がったものであり、ほかの方法だとどのような問題が起こりうる可能性があるかというコンサルタント的な立場で、この仕組みを理解しようとするのであれば、時系列的に情報をインプットしていくのが良いと思われます。
① Office of Federal Procurement Policy(OFPP) Pamphlet #4, "A Guide for Writing and Administering Performance Statements of Work for Service Contracts(1980)" (すでに無効)
② OFPP Policy Letter 91-2, Service Contracting,(1991)" (こちらもすでに無効)
③ the Government Performance and Results Act of 1993
④ the Federal Acquisition Streamlining Act of 1994 (FASA) (この中のTITLE V Acquisition Managemen(5000番台)が業績連動に関連した部分です。)
⑤ the Clinger-Cohen Act of 1996 (5113及び5123がPerformance based and Result-based Management)
⑥ FAR(連邦調達規則) 32.10 Performance based Payment  37.6 Performance based Acquisition 42.15 Contractor Performance Information 1102.2 Performance Standard
という順番で読んでいくと、最初の業績連動調達のアイデアから、調達の仕組みの改善の大きな流れが理解できます。

米国の情報は、すでに無効になったものも含めてネット上にアーカイブされています。英国では、バージョンアップされると古い情報が入手不可能になるケースが多く、ある意味で、研究の対象とするには米国の方がよさそうだなという気がします。ただし、古い情報を間違って新しい情報だと勘違いして収集しないように気をつける必要があります。
そもそもわたしがこのPWSの仕組みを見つけたのは、平成17年(2005年)に実施した市場化テストに関する海外事例調査のデータの中に、あまりにも古すぎるデータがまるで、現在も有効であるかのように記載されていたので、気になってウェブ検索したからです。
日本語になっているものだけを頼りにしていると大きな落とし穴に落ちますので注意してください。

えっ、でも、そんなの読んでられないよ!っていう声が聞こえてきそうですね。
そうです。だから、業績連動の仕組みを理解しているコンサル(わたしじゃないとだめですよ)を雇いましょう。





これで終わると、ちょっとかわいそうなので、現行のガイドラインの中で、一番わかりやすく、ユーザーフレンドリーなものを紹介しましょう。
Seven Steps to Performance-based Service Acquisition
です。
ネットサーフィンできるように、情報がうまく整理されているウェブ・サーフィン式のガイドラインです。

これを読むと、1と2の答えがわかるはずです。答えを自分で見つけると身につきます。まず、読むことからスタートしましょう。

ちなみに、3の類似のサービスを集約して、外部委託するのは、わたしはとてもいい考え方だと思います。ただし、今までに、そのようなサービスは存在していなかったわけですから、要求水準をどのような指標で評価し適切な水準値がどのくらいなのか、サービスの質を維持させるためのインセンティブをどのように設定するかにつては、検討する必要があると思います。

日本版PFIは、このような作業を行わず、安易に民間の資金を使って施設を整備する手法です。税金の無駄遣いにほかなりません。“脱「日本版PFI」のススメ”を読んで、改善しましょう。

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登録日:2007年 11月 02日 22:03:18

わが国の一般競争入札への先祖がえりは税金の無駄遣いでは?

久しぶりに更新した「PFI手法と米国生まれのPBC(業績連動契約)の共通点」に対して、PFI侍さんより次のようなコメントをもらいました。

>アメリカでも同じような考え方が、既にガイドラインに整理されているのですね。
>合理的でわかりやすい考え方だと思います。
(中略)
>一部にどうも、英国の考え方を導入するのは、複雑な案件ならいいが、
>一般の箱物には複雑すぎるから、日本型で、簡易なPFIにすればいいのでは、
>とする向きもいまだにありますが、PFIでないものを「簡易・・・」とか「・・・的」とか
>言うから、かえってややこしくなるのではないでしょうか。
>言葉の定義と、その内容をいい加減に扱ってはならないと思います。
>民間がやりやすいように、政府が事業を促進しやすいように、
>面倒くさいことはさておく、という発想が根底にあるとしたら、
>壮大な税金の無駄遣いであり、いつか来た道です。


実は、このコメントと関連するのですが、英国と米国の業績連動契約の仕組の発展の歴史を比較すると、次のようなことが分かります。

【業績連動契約発祥の地は米国】
実は、この業績連動契約の考え方は、1980年にアメリカのOFPP(連邦調達保険事務所)のパンフレットNo.4である「サービス契約の仕様書の中にパフォーマンスを書き込み管理するためのガイドライン(A Guide for Writing and Administering Performance Statements of Work for Service Contracts)」に記載されたものであり、①AQL(許容範囲品質レベル:Acceptable Quality Level)の考え方及び、②PI(業績指標 : Performance Indicator),③業績達成できない場合の減額等、― 現在の仕組の基本的な部分は全て押さえています。つまり、業績連動の発祥の地は、米国なのです。

【英米による政府調達の仕組の合理化競争】そして、この考え方が、英国のCUP Guidance No.30 の仕様書の書き方に記載されたのは、1991年でした。そして、英国が1992年に英国のメジャー政権がPFI手法を導入すると、アメリカのクリントン政権も、負けじと、政府業績成果法(1993)(Government Performance and Results Act of 1993)、連邦政府調達合理化法(1994)(Federal Acquisition Streamlining Act of 1994(FASA))、クリンガー・コーエン法(1996)(The Linger-Cohen Act of 1996)と、次々と業績連動契約を推進し、調達を合理化する法律を成立させました。つまり、英米は、政府調達の仕組みづくりで競争しあっていたのです。

【大型案件で注目された英国に引けを取らない米国の調達改善】
英米共に、この業績連動契約の仕組が急速に発展するのは、2003年前後からですが、英国はPFI事業という、ひとつのプロジェクトの投資額が20億ポンド(約50億円)を越す大型案件にこの仕組を用いたために、世界的に注目されましたが、米国では、25000ドル(約280万円)以上のサービス調達案件に適用したため、サービス調達契約1件あたりの契約額が、小さくなり、あまり世界からの注目を集めませんでした。しかしながら、2005年、2006年と連邦政府のサービス調達契約のほぼ50%を越し、実額にして2006年で722億ドル(約8・3兆円)がPBC(業績連動契約)で調達されたというのは注目に値する事実です。

【奇妙なわが国の調達の先祖がえりと税金の無駄遣い】
このように、世界的な調達の流れは、この業績連動契約の方向に流れているのに対して、わが国は、談合問題が影響したためか、一般競争入札に先祖がえりしようとしているのは、とても奇妙な動きです。

このような一般競争入札に、先祖がえりしているかのような調達の動きが、PFI侍さんのいう「面倒くさいことはさておく、という発想に基づくものであるとしたら、」壮大な税金の無駄遣いであることになります。

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登録日:2007年 09月 18日 21:48:04

プロフィール
Hiroshi Kumagae
Hiroshi Kumagae
(男)
1959年05月06日
アビーム コンサルティング㈱             ディレクター
著書:脱「日本版PFI」のススメ 相模書房 ISBN978-4-7824-0705-9
ESADE大学院 国際経営修士
慶應義塾大学院 特別招聘講師(非常勤)
三田図書館・情報学会会員、PMFJ会員 公益事業学会会員
平成18年度内閣府PFI事業の総合評価検討委員会委員
平成19年度自治体PFI推進センター専門家委員会委員
日刊建設工業新聞 所論/緒論コラムニスト
東京LEC 法律文化 連載中 
剣道3段、居合道3段(夢想神伝流)
福岡県生まれ横浜市在住
連絡先:
hkumagae-mobile@softbank.ne.jp
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