カテゴリー [脱「日本版PFI」のススメ]

私の視点 ◆PFI/民間の知恵生かす改革を 2008年1月16日 朝日新聞 朝刊

 英国で開発されたPFI(プライベート・ファイナンス・イニシアチブ)という手法に倣い、日本でも300近い事業が進行中だ。だが、わが国では財政難の自治体が民間資金で公共施設を整備するという側面ばかりが注目され、民間のノウハウを公共サービスの向上に生かすという本来の狙いがかすんでいる。

 英国のPFIは民間資本で施設を整備させ、そこで提供される「サービス」を官が購入する仕組みだ。発注にあたっては(1)要求するサービスの水準(2)サービスの水準を監視する方法(3)未達成の場合の罰則――の3点を詳細に定めた契約書を交わす。民が適切なサービスを提供できなければ支払いは受けられず、契約が解除されることもありうる。

 ところが、日本ではこうした仕組みがない例が目立つ。たとえばPFIで民間事業者が建設した仙台市のスポーツ施設「スポパーク松森」は、05年8月の宮城県沖地震でプールの天井が落ちて使用不能となったが、市は事業者への支払いを停止できなかった。

 PFI事業の効果として、多くの自治体は「従来より低コストで施設を整備できた」と言うが、安普請になっているだけのこともある。民間資金の調達コストは公債より高いので、むしろ差額分だけ税金が無駄遣いされたともいえる。

 日英では銀行の役割も違う。英国では、民間事業者に資金を融資している銀行は、提供サービスの対価として官から事業者に支払われる料金の受給権を担保にとっている。この場合はサービスが要求水準を満たさなくなり、官から民への支払いが止まると融資が焦げつくので、銀行は積極的に事業に介入し、立て直しのために知恵や労力を出す。

 ところが、日本の銀行は施設を担保に取っており、事業の運営が悪化しても困らない。これでは、サービスの向上に携わろうという意識は生まれない。

 日本版PFIからの脱却には、仕様書の改革と銀行の役割の明確化が必要だ。
 仕様書の改革とは、施設の形状やサービス提供の方法ではなく、サービスの要求水準を仕様書に明確に書き込むことだ。たとえば病院ならば「手術室など重要区画の電球は絶対に切れないように、廊下などは切れたら3時間以内に付け替える」といった具体的な要求水準と、達成度を監視する方法、未達の場合の罰則ルールを書き込むのだ。

 こうした改革により、事業者は施設やサービス手法の制約に縛られず、自由な発想で高いサービスを追求できるようになる。
 一方、銀行の役割の明確化とは、銀行にも一定のリスクを負ってもらい、サービスの向上に知恵を出さざるを得ない仕組みに改めることだ。そのためには、官と事業者と銀行の3者で契約を結び、銀行は施設ではなくサービス料金の受給権を担保とする代わりに、官と事業者は銀行が事業に介入することを認めるのだ。

 こうした改革は、民間のノウハウを十分に活用し、本来のPFIを実現するには避けて通れない道だ。

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登録日:2008年 01月 22日 12:50:15

ブログで話題になっているテーマ

わたしが、ちょっと更新をサボっている間に”脱「日本版PFI」のススメ に関しての質問(その3)”のコメント欄において、閲覧者間によるいくつかの議論が進んでいるようです。

1. ハコモノPFIが成り立つのかどうか(オーキーさん”以下「OKさん」”)
2. 融資債権の証券化について(しきのぴいちゃん”以下「Pちゃん」”)
3. モニタリングは官の役割なのか?(PFI侍さん”以下「侍さん」”とOKさん)
4. リスク移転からどうしてバリューが生まれるのか?(Pちゃんと侍さん)

それぞれ、別々のエントリーを作りますので、そこで議論を進めましょう。

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登録日:2007年 12月 23日 22:36:34

脱「日本版PFI」のススメ に関しての質問(その3)

オーキーさんから、質問(その2)に対して再度コメントがきました。
金融機関の考え方は、こうではないことを願いますが・・・

【公共が結ぶ理由を理解できない日本版PFIの直接契約】
熊谷氏がいみじくも言っておられるように、日本のPFIでは公共側が何故、金融機関と直接協定を結ぶかわからない、と言い出すことがままあります。ひどいのになると、民間ごときに言われたくない、と言って席をけってしまうことも。。。
私は、公共側がこの直接協定を結ぶ意味がわからない、というところに日本のPFIの問題点が集約されていると思います。


この公共が割賦払いのBOTに付随した直接契約を結ぶ理由を理解できないということは非常に重大なポイントです。
私の確認した直接契約も、割賦払いにおいて金融機関が事業者に対して物件担保を取っていることを公共に認めされる直接契約でした。このような直接契約なら結ぶ必要はありません。
(一部追加します。)そもそも、事業契約と、融資契約と、銀行の事業介入を認める直接契約の3つは同時に締結されるべきものであり、事業契約と直接契約の雛形は公共が提示するものです。この事業契約と直接契約によって構築された事業枠組みにあてはまる融資契約であれば、どのようなものでもかまいませんが、融資側にとって発注者の要求が無理な場合には、融資リスクが高くなります。そこで、金融機関との融資条件が事業におけるリスク移転の仕組みと同時に検討され、官民にとってもっとも適切にリスク配分がバランスするポイントを見つけ出すのがPFIの仕組みです。日本版PFIのように、事業契約が先に結ばれ、融資契約と直接契約が後から金融機関の提示された条件を飲むべきではありません。
また、事業者と、金融機関がどのような融資契約を締結したかについては、公共側は、確認する必要はありますが、民民の契約ですので開示する必要はないと思います。しかしながら、公共と金融機関の契約は、開示対象になるものです。そう考えると、金融機関が勝手に作ってきた直接契約が、公共にとって不利なものであった場合には、それに合意した公共の担当者は、住民から行政訴訟を受ける可能性が有るので留意する必要があります。


【ハコモノでないPFIって何?】
箱物ではないPFIで考えて見ましょう。病院でも刑務所でも良いです。ついでに日本によくあるBTOではなく、BOTとして熊谷氏が唱えるようにリスクが民間に移転されているとします。

どうも、ここに大きな前提条件の違いがあります。PFIとは、ハコモノ事業に生じる不具合リスク、大規模修繕リスク、施設整備および運営のサービスの品質が低下するリスク等を民間に移転するものであって、病院や刑務所はそのハコモノ事業の典型的なものです。

【事業者の事由による契約の解除】 
この場合の公共側の一番の懸念はなんでしょう?もちろん、VFMがきちんと出ていること、というのも関心事の一つでしょうが、やはり事業が継続されることに最大の不安があるのではないでしょうか。ある日突然、民間事業者が病院は不採算だから事業をやめる、と言い出した場合に公共サービスは停止されることとなります。状況によっては多少のペナルティを払っても事業を止めたいという事業者いるはずです。あるいは事業が不調であるため、融資銀行団が突然、担保権を行使して事業が停止してしまう、ということも考えられます。

事業者の事由によって契約を解除したいのであれば、解除することはできます。事業者が契約を解除することは、サービスの提供をストップすることであり、公共から事業者へのキャッシュフローがストップすることを意味します。事業者は、契約を解除すれば、理由なく施設に滞在できませんので、処分できる動産などを処分した後、処分できない不動産を放棄して事業から撤退することになります。公共は、新たな事業者を探すか、もしくは、自分で運営をします。
そもそも、公共が認めない限りは、金融機関は、公共の土地の上に立っている施設に対して、担保権の行使などできませんので、事業者に対して求償することになるはずです。
ここには、担保権の行使が発動する要素がありません。だから、直接契約で、金融機関に担保権を認めるのはナンセンスなのです。
ただし、SoPC4の「21.2.5.5事業者の債務不履行に伴い契約解除する場合の清算」に記載してあるように、契約が解除され、事業者が立ち退けば、民間が所有していた施設の所有権が公共に移るわけですから、民間が投資した施設をただで入手することは適切ではありません。英国では原則として施設の市場価格を支払うことになっています。これは、担保権の発動とは別物です。

【直接契約の意味とは?】
公共側にはこれを何としても阻止したい、という動機が本来あるはずであり、であれば直接協定の意味がわからない、などという発言が出るわけは無いのです。
公共としては銀行の担保権に一定に制約、約束事を課したいはずです。
だからこそ英国のPFIでは、直接協定においてPotenshal Event of Defaultの状況での銀行の権利、さらにいくつかのトリガーによる様々な権利行使の段階を経て、最終的には担保権の行使による事業者代替というプロセスになっているのです。
この間、実は銀行には事業を継続させて回収を図る考えと、事業を破綻させて手を引く考えと二つあるわけですが、公共としては何としても銀行に事業継続へのモチベーションを保って欲しいのはずです。


事業遂行のできない事業者に、公共事業の運営を任せたいという動機は公共側にはないはずです。だから、日本版直接協定の意味がないのです。
そもそも、サービスの購入に関する契約ですので、公共は施設整備費を払う約束などをすべきではありません。
事業契約をサービス購入にして、銀行が担保に取れるのは、官民の事業契約上のコンセッション権(すなわちキャッシュフロー)とすべきです。そうすれば、民の債務不履行が発生すると、キャッシュフローが生まれなくなり、金融機関は融資の回収ができなくなってしまいます。こうなっているから、金融機関は事業介入を行い事業の建て直しがしたくなるのです。(ここがキーポイントです。)
ところが、事業契約は、官と民のものであり、金融機関は関与していませんので、事業介入することは困難です。
公共にとって見れば、契約解除を前提に自ら事業介入する手段と、事業者に事業介入権をみとめて事業介入させるという方法があります。事業者に事業介入を認めれば、自らが介入せずとも、事業建て直しができる可能性があります。だから、三者で直接契約を締結し、民の債務不履行によりキャッシュフローが生まれないような状態になった場合、事業契約上では、官に契約解除権が発動するのですが、その解除権を発動する前に金融機関の事業介入を認めるのです。

【ハコモノPFI(リスク移転&サービス購入型)と割賦払日本版PFIは全く別のもの】
私に言わせれば直接協定の意義がわからないのであれば、それはすなわちPFI向きの事業ではないということです。つまり民間が手をひこうがどうしようが公共にとってはどっちでも良いもの、すなわち箱物PFIがそうですね。建物さえできてしまえば、維持管理だって公共内に官庁営繕の組織があり、従来型で維持管理だけ発注することもできる。その意味では直接協定は邪魔ですらあるわけです。
私の議論が、物的担保がどうの、という話ではないことはお分かりいただけたかと思います。日本のPFIの直接協定はその意味でもほんとうにひどい。箱物、割賦、BTOで公共側にも銀行側にも直接協定を締結するメリットがあまり無い。適当に書いておいて、最後は協議となっているケースがほとんどではないですか。(協議が悪いとは言いませんが) でも箱物はこのように話をすすめるインセンティブが働きやすいとも言えるわけで、ゼネコンにしてみたら従来と同様に建物をつくったのに、維持管理その他の運営でのペナルティによって工事代金が減額されるのたたまったものではないし、融資銀行にしてみたら、ゼネコン主導でFeeがかつかつなのにその上減額などとんでもない、ということでしょう。

この箱物の議論は、実は私と熊谷氏で最も意見が異なるところだと思うのですが、これについては別にコメントしましょう。


ここで議論が、前提条件の違いであるハコモノに戻ってきました。ハコモノのリスクを移転するのがPFIなのに、割賦払いにするので、このリスク移転ができなくなってしまうわけです。
SPCがハコモノの整備費をゼネコンに支払うのであって、公共は、不具合のない施設提供サービスに対してのサービス購入対価をSPCに支払うだけですから、公共と事業者が、工事代金を支払うという契約をしなければいいのです。
日本版PFIだけが、ハコモノPFIからVFMが出ないという考え方を示しています。それは、サービス購入ではなく、割賦払いが前提だからです。

【直接契約における事業者の権利とは?】
直接協定の雛形で事業者の権利が書かれているとしたらそれはそれで発見ですのでご教示ください。

契約ですので、権利と義務が記載されているのが一般的です。
事業者は、別途締結した事業契約においてコンセッション権(事業の運営権)を持っています。この事業契約がサービス不履行状態になると、直接契約が発動し、金融機関に事業介入件が与えられ、事業者は、金融機関に協力し、サブコンの変更もしくは、新たな事業者変更の場合に、コンセッション権を新たな事業者に渡さなければならなくなります。
直接契約を締結することにより、金融機関の事業介入権が認められない限りにおいては、事業者のコンセッション権は保証されていることになります。

コメントお待ちします。

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登録日:2007年 11月 14日 02:00:15

脱「日本版PFI」のススメ に関しての質問(その2)

オーキーさんから次のようなコメントをいただきました。

敢えてここでは意見の異なる点を述べさせていただきます。
直接協定が三者契約であるとの点には、正直かなりの違和感を覚えました。直接協定で規定すべきはレンダーの担保権の行使についての一定の手順を書いたものであり、もちろんその中で事業者代替も含まれますが、事業者には行使されうる担保に関して何らの権利は無く、直接協定にサインするとしたら単に内容をAcknowledgeするだけのはずです。(権利が交錯するのは金融機関として絶対に受けいれられないはずです。)
つまり直接協定の規定を実行するような段階になった場合に、プロセスの蚊帳の外で、実際に事業者代替が発動される段になって引き継ぎの義務が生じる程度です。
事業者と発注者(公共)との間で直接協定を結び、発注者の事業介入権を定めている例はありますが、それとてもレンダーとの間の直接協定に優先する建て付けとはならないはずです。


この手の各論はニッチ過ぎるのか、内閣府のPFI検討委員会あたりで出てきた場合にも、議論し尽くされていない部分だとおもわれます。しかしながら、この点が明確になっていないことが日本版PFIを生み出す要因である可能性がありますので、どのように考えるべきであるかを検討してみましょう。

【PFI事業の直接契約はそもそも三者間契約であること】
まず、オーキーさんは、“PFI事業の直接協定が三者契約であることに違和感を覚えた”とのことですが、それは、たぶん日本版PFIの観点から見るので違和感を覚えるのではないでしょうか。
今年の3月末に「PFI契約の標準化第4版(SoPC4)」が公表され、(わが国を除いて)世界的にPFIの基本的な考え方を示したバイブル的な資料として用いられています。
このSoPC4に基づいた考え方を理解すれば違和感はなくなると思います。
(朗報をひとつ。今年の3月末までの業務として内閣府がSoPC4を翻訳するはずですので、来年以降には、日本語版のSoPC4も参照することができるはずです。)
SoPC4で直接契約の雛形がウェブ上で更改されています。

日本語のものは、SoPCの最初のバージョンのもの(“SoPC0”と呼ばれるもので、1999年7月に公開されたもの)を翻訳したものがWeb上にあり参照可能です。
SoPC0とSoPC4の違いは、市場取引で成立するFair Valueという適正な価格の概念及び、Liquid Market(流動性のある市場: Fair Valueが成立する市場)および、保険の手続きが追加されている程度であり、SoPCの発展において、PFIの基本的な考え方として1999年7月からほとんど変更のない部分です。
このSoPC0に記載されている直接契約の雛形は、次のような文言でスタートしています。

********************************************
この合意は、○年○月○日、以下の全員を当事者に締結される。
(1) [関連省庁もしくは政府団体](“当局”という)
(2) [ ](優先債権者2の“代理人”という)
(3) [プロジェクト会社](“事業者”という)
以下のとおり、合意される。
********************************************


【なぜ、直接契約を締結するのか】
さて、なぜ、直接契約を締結するのでしょうか。
オーキーさんのいう、
直接契約はレンダーの担保権の行使についての一定の手順を書いたものであり、
(もちろんその中で事業者代替も含まれますが、)事業者には行使されうる担保に
関して何らの権利は無く直接協定にサインするとしたら単に内容をAcknowledge
するだけのはず」

とは、既存の日本版PFI事業で締結されているものについて述べているのではないかと思われます。もし、直接契約がそのような内容であるとするならば、発注者にとってそのような契約を締結することにいったい何の意味があるのでしょうか。
一度、ある自治体のPFI担当者に、この理由を聞いたことがあります。担当者曰く、金融機関が、直接契約はこういうものだといって持ってくるので、そういうものかと思っていたが、確かになぜ、このような直接契約を締結しているのか合点がいかないといっていました。


オーキーさんは続けて、
事業者には行使されうる担保に関して何らの
権利は無く、直接協定にサインするとしたら単に内容をAcknowledgeするだけのはずです。(権利が交錯するのは金融機関として絶対に受けいれられないはずです。)

とのことですが、「発注者と、事業者と、金融機関が直接契約を締結するということ」と、「事業者が行使されうる担保に関して何らかの権利を持つこと」とは、別の次元の論点ですので、3者で契約を締結することは必ずしも権利が交錯することにはつながりません。
また、その表現に続いて
つまり直接協定の規定を実行するような段階になった場合に、プロセスの蚊帳の外で、実際に事業者代替が発動される段になって引き継ぎの義務が生じる程度です。
事業者と発注者(公共)との間で直接協定を結び、発注者の事業介入権を定めている例はありますが、それとてもレンダーとの間の直接協定に優先する建て付けとはならないはずです。

とのことですが、このような考え方になるのは、前提条件として設定した「直接協定で規定すべきはレンダーの担保権の行使についての一定の手順を書いたもの」であるという部分の、レンダーの担保が「日本版PFI」のように、事業者の所有する不動産や備品に対して物的担保として設定されているからだと思われます。
施設整備費を割賦払いするという本来VFMを生み出さない契約内容でBOT契約を締結する日本版PFIにおいては、施設整備費の割賦である以上、その根拠となるのが物的担保になってしまうのではないかと思います。
直接契約で、発注者が、シニアレンダーに対して認めているのは、発注者と事業者の間で締結した事業契約に基づいて事業者に与えられている「事業者の権利」に関する担保権です。すなわち、事業のキャッシュフローそのものが担保になっており、この担保権は、サービスの品質が適切に提供できない場合には、減額される(変動する)ものです。

【二つの異なった事業介入】
もうひとつ、ここでは、事業契約の中に記載されるべき、発注者の事業介入権と、直接契約での金融機関の事業介入権の論点が混同されています。発注者の事業介入件の発動は、事業者の債務不履行とは必ずしも連動するものではなく、公共事業の特性において、事業介入すべき事象が生じた場合に発動するものです。
SoPC4でも第29章の当局の事業介入と、第31章の直接契約において発動する事業介入が別のものであることを明確に示しています。

【本来の日本版PFIの構築が必要】
日本は、海外のいろんな仕組みを輸入して、改善し、昇華してきたという歴史を持っている国です。私は、PFIも、海外で構築された仕組みを輸入して、改善し、「本来の日本型」に昇華できると考えています。オーストラリアのビクトリア州は、英国の仕組みをビクトリア流で改善し、昇華しており、パートナーシップビクトリア(PV)という名称を使っています。アジア諸国では、このPV方式のPPPは有名であり、アジア各国からのビクトリア州に視察が相次いでいます。

一方、現在の割賦払いの日本版PFIは、お金がないので、割賦払いで施設を整備しようという仕組みであり、発注者にとっても、事業者にとっても最も簡単な仕組みであるために推進されているように見受けられます。このような明確に海外で禁止されている仕組みを導入することは、改善でも昇華でもありません。日本版PFIの導入によって、損害をこうむっているのは、納税者です。このような日本版PFIを続けていると、その仕組みを推進したアドバイザー、事業担当者、議会、首長は、納税者から行政訴訟される可能性があります。そうならないように、既存の悪しき仕組み(日本版PFI)から脱しましょうというのが私からのススメです。

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登録日:2007年 11月 05日 23:16:50

脱「日本版PFI」のススメ」発売から2週間で(PFI分野書籍)ベストセラー

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本日、出版にご協力いただいた方から、AmazonのPFI関連書籍で今最も売れているのが”脱「日本版PFI」のススメ”ですよという連絡を受けてとても喜んでいます。

”脱「日本版PFI]のススメ”の発効日は9月20日ですが、流通ラインにのったのが10月3日でした。
でも、アマゾンでは、なかなか登録してくれなくて、写真なしで掲載されたのが10月8日、同日付でとても良い書評をyatsupiyon (宮城県)さんに書いていただいたためか、数日後には写真も載せてもらえました。
出足は、なかなか厳しかったのですが、順調に売上が伸びています。
PFI書籍分野でという前書きはつきますが、現在アマゾンで流通しているPFI専門書の中で(70件ヒットします。)ベストセラーになったというのはうれしいものですね。

実は、先ほど、出版のご支援を賜った国際商事法研究所で、本の紹介のセミナーを開き、懇親会を済ませてきたところです。皆様のおかげです。

ところで、セミナーに参加された方からコメントしていただいて、私自身気づいたことがあります。
それは、Web上でさまざまな情報が入手できることから、今までにもPFIのさまざまな仕組がインターネット上で、断片的には入手できたけれども、それを関連付けてリスク移転の仕組として紹介したのはたぶん英文の文献も含めてこれが最初ではないかという点です。(これから、英文で本国に逆輸入できないか、探ってみようと思います。)

ということで、第1版好評発売中です。印刷冊数および流通冊数が限られていますのでお買い求めはお早めに。

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登録日:2007年 10月 19日 22:14:57

脱「日本版PFI」のススメ の誤植に関して

脱「日本版PFI」のススメの発行までには、かなり見直しを行い、修正しつくしたつもりだったのですが、誤植、間違いが、3箇所見つかりました。

p3 はじめに の注釈1) PFI (Project Finance Initiativeの略)・・・ 
⇒ Private Finance Initiativeの略に訂正してください。 実は、私も、1998年にPFIに最初に従事したときは、Project Finance Initiativeのはずだと思い込んでいた時期がありました。いろんな方に、修正のご協力をお願いした段階で、私が修正をそのままOKしたためだと思われます。失礼しました。

p6 上から14行目 わが国でも仙台市のように、すでにPFI活動指針の中に・・・
⇒ PFI活用指針の間違いです。 PFI活動指針なんてありませんよと、仙台市の方に指摘されました。恐縮です。

p35 一番最後の行 ・・・③「事業会社に資金有しうる金融機関」・・・
⇒ ③「事業会社に資金融資する金融機関」

これ以外にも、誤植があるかもしれません。

お気づきの方は、お教えいただけますと幸甚です。

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登録日:2007年 10月 15日 22:12:24

脱「日本版PFI」のススメ に関しての質問をうけました

 さて、”脱「日本版PFI」のススメ”が書店に配本されてから10日程たちましたが、既に読み終わった方から次のような質問を受け取っています。 

> 1.省庁と金融機関の間の「直接契約」というのがありますが、
> 両当事者の債権債務関係はどうなっているのでしょうか。
> (ともに事業者を第三者とする「第三者のためにする債務」を負って、
> それが双務関係になっていて、不履行の場合に損害賠償請求権が
> 省庁と金融機関の間に生じる、ということなのでしょうか)


【直接契約は誰が結ぶのか?】
本稿では、直接契約の詳細については、ふれませんでしたが、
直接契約が、発注者と金融機関の2者間の契約であるというのは誤解です。
(ただし、わが国では、そうなっているケースがほとんどのようです。)
本来の直接契約とは、金融機関、発注者、事業者(SPC)の三者の契約であるはずです。
それは、事業者の利害が絡んでいるため、事業者なしには契約できないからです。

【直接契約が不要なケース】
発注者が任意にもしくは、発注者側の責任で契約を解除する場合には、発注者は事業者に対して補償する必要があります。
そうでなければ、危なくて事業者は投資をすることが出来ません。
また、発注者としても、契約を解除するまえに、解除するとどのくらいのコストがかかるかを算定しておく必要があります。
そのため、実際の英国のPFIでは、入札の段階で、事業者に補償の方法を次の3種類の中から選ばせます。
① オリジナルベースケースに基づいて補償する方法
② 契約終了時の市場価格に基づく方法
③ 契約解除日以降のオリジナルベースケースの利益率に基づく方法
この補償方法の決定は事業者だけによる意思決定ではなく、融資をした金融機関と事業者が同意したものです。
このような発注者の理由によって契約が解除される場合の補償条件が明確に設定されていれば、特に、直接契約がなくても問題はありません。

【なぜ、直接契約は必要なのか】
ところが、事業者による債務不履行を原因として契約が解除される場合には、事業者は、前述の3つの方法が適用できず、契約終了時の市場価格に基づく方法を適用することが決まっています。
ちなみに、初期の英国のPFI事業では、発注者の支払いなしで契約が解除されたものやわが国と同様に、融資残高の支払いを補償するようなものもあったようですが現在は、全てのPFI事業は、市場価格に基づいて清算されると決まっています。それが最も官民にとってフェアな条件だからです。

さて、金融機関は、事業者に対する融資を行う場合、事業契約を精査し、契約が生み出すキャッシュフローのバリューを担保にして融資を行っていますが、事業がうまくいけばこそ、融資が回収できるわけですから、契約が解除されるようなケースでは、市場価格が相当落ち込んでいる可能性があり、融資残高が回収できなくなる可能性が大です。
実は、このポイントが最も重要であり、このような融資回収不能リスクを金融機関が抱え込んでいるので、金融機関が事業に介入して事業を立て直すインセンティブが働くことになるのです。

【なぜ、金融機関は事業を立て直すのか】
そもそも、事業者の不履行が発生したとしても、SPCはペーパーカンパニーですので
主要下請け業者のどこかに問題があることになります。
そのため、主要下請け業者を変更することによって事業の建て直しが行われるのが一般的です。事業者に能力があれば、下請け業者を変更します。ところが、下請け業者をSPCが自ら変更できるような状態であれば、債務不履行による契約解除にまでは到っていないわけですから、そのような状態になったということは、SPCには、下請けを変更する能力が
ない状態になっていると考えられます。
そこで、事業者(SPC)は、契約の建て直しを第三者に引き継ぐ(これを契約の更改【Novation of contract】と呼ぶ)ために金融機関に事業建て直しの権限を委ねる必要が生まれるのです。
また、発注者にとっても、自分らが介入したり、新しい事業者を再入札で選んだりすることは大変手間のかかる作業ですので、金融機関に事業の建て直しのチャンスを与えることは、発注者にとってのメリットともなります。

【更改契約(Novation of Contract)]】
このような問題を解決する仕組が直接契約です。
直接契約とは、発注者と事業者と金融機関の三者による契約締結です。
直接契約において重要なポイントは、事業者の債務不履行が生じたら、契約を解除する前に、まず、金融機関に事業介入させる権利を与えることです。契約を解除されると、有す残高を全額回収することは困難ですが、金融機関が事業に介入し、事業の建て直しが出来れば、金融機関にとっても融資残高が問題なく回収できますのでメリットとなります。
事業者もしくは事業者の下請けの交代が必要な場合には、事業者を変更しなければなりませんので、直接契約の中で、事業者は、新たな事業者にたいして、従来の権利義務全てを更改する(引き継ぐ)ことを合意しておきます。

【流動性のある市場がない場合=再入札が出来ない場合】
話をあまり複雑化したくはないのですが、全てのPFI事業は、市場価格に基づいて
清算されると決まっているといいましたが、それは、再入札を行って事業を継続する権利を引き継ぐ新たな事業者が入札することを意味します。その入札額が市場価格となります。ところが、流動性のある市場が存在しない可能性があります。つまり、誰も事業に興味を示さないケースです。
そのような場合には、発注者が仮想の応募者がいた前提で、名目上の事業価値を算定して清算することになります。

【浮動担保について】
PFI事業とは、事業をうまく運営すれば利益が得るような権利が与えられているものであることから、そのような将来のキャッシュフローが生み出すバリューを担保として融資が行われており、金融機関の担保権は、このような事業契約全体に及んでいます。このような担保権は、金額や特定の不動産担保によって担保額を固定するのではなく、企業の変動する営業資産を担保とするものであるため浮動担保(Floating charge)と呼ばれます。(社)リース事業協会は、英国の浮動担保(Floating Charge)に範を採ったといわれる企業担保法制度が導入できるように、法改定を要求しましたが、法務省は、我が国においては、既にこの考え方を利用することは可能となっているとして、「浮動担保」制度は、既に活用できるものであるという見解を示しています。(ちょっと古いデータですが、平成12年1月に公表された、規制緩和推進3か年計画の改定作業状況(中間公表)より)

【直接契約の実態】
ところが、わが国のPFI事業における、実際の直接契約には、このような浮動担保を前提とした直接契約の本来のあり方について記載されていないものも多く、金融機関が事業者に対して不動産担保を取っていることを、発注者に認めさせることがその内容となっているものが見受けられます。
この部分も、本来なら、”脱「日本版PFI」のススメ”に記載したかった部分ですが、あまりはなしを複雑化したくなかったので記載しませんでした。
 
> 2.「減額係数」というのはどういう基準で決めるのでしょうか。

減額係数の決め方は、重要度、緊急度などに応じて決めるのが一般的です。
例えば、庁舎のPFI事業と、病院のPFI事業を比べてみると良く分かります。
異論はあるかもしれませんが、病院の中で最も重要度の高いエリアは手術室だとします。庁舎の中で、最も重要度の高いエリアは、首長の応接室だとします。
それでは、病院の手術室の電球が切れるのと、庁舎の首長の応接室の電球が切れるのは、どちらが重要でしょうか?前者の重要度が高いことは、一目瞭然でしょう。
それでは、同じ病院の中で、倉庫の電球を切れない状態で保つことの重要性と、手術室の電球が切れないように保つことの重要性には何倍の重要度の違いがあるでしょうか?
庁舎のような施設の場合には、せいぜい3倍程度、病院の場合でも最高で7倍程度の重要度の差が適切であるといわれているようです。

基準は、発注者の考え方と、そのリスクをとる事業者の考え方が折り合ったところできまりますので、競争的対話方式によって、合意されるのが一般的です。

分からない点、質問などありましたら、コメントの欄に記載して下さい。
出来る限り、お答えしたいと思います。

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登録日:2007年 10月 14日 23:54:57

プロフィール
Hiroshi Kumagae
Hiroshi Kumagae
(男)
1959年05月06日
アビーム コンサルティング㈱             ディレクター
著書:脱「日本版PFI」のススメ 相模書房 ISBN978-4-7824-0705-9
ESADE大学院 国際経営修士
慶應義塾大学院 特別招聘講師(非常勤)
三田図書館・情報学会会員、PMFJ会員 公益事業学会会員
平成18年度内閣府PFI事業の総合評価検討委員会委員
平成19年度自治体PFI推進センター専門家委員会委員
日刊建設工業新聞 所論/緒論コラムニスト
東京LEC 法律文化 連載中 
剣道3段、居合道3段(夢想神伝流)
福岡県生まれ横浜市在住
連絡先:
hkumagae-mobile@softbank.ne.jp
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