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PFI/PPPセミナー②【VFMの源泉となる官から民へのリスク移転の仕組み発展の歴史】

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ほとんど書き込みをしていなかったが、1昨日久しぶりに書き込みをしたところ昨日のアクセス数が119を記録した。
このアクセスの期待に背かないように、先日記載したPFI・PPPセミナーの内容についての第2弾を継続して記載しよう。今日説明するのは、VFMの源泉となる間から民へのリスク移転の仕組みの発展の歴史についてである。

【VFMの算定式】
前回は、物品購入をサービス購入に切り替えることでVFMを生み出す仕組みについて説明した。VFMの算定式は次のようなものである。

VFM= 不具合時の修繕及び修正コスト x 施設の不具合発生確率

【確実にVFMを生み出すために必要な条件】
上記法的式が成り立つと仮定すれば、確実にVFMを生み出すために必要なのは、民間に移転することが可能なリスク(ここでは、不具合時の修繕及び修正コスト)を特定し、その発生確率を予測することである。

【VFMを生み出す条件が妥当かどうかを事業者と検証することが必要】
そして、そのような民間リスク移転の仕組み(VFMを生み出す仕組み)を、発注者が事業計画段階で構築するために、そのリスク移転の妥当性について事前に潜在的な事業者と検証することが必要である。

ところが、この検証をせずに、未確認前提のまま、事業調達を行なうことがしばしばあるため、競争が働かなかったり、事業が途中で破綻してしまったりすることになる。

【過去に民間に移転されたリスク(道路の例)】
以下に、道路PFI案件における民間移転リスクについて、過去の事例に基づいたフェーズ1からフェーズ3までの事例の説明を行う。なお、これらの事例は、高速道路が無料の英国の事例であるため、通行した車両の数量に応じて政府が事業者にシャドートール(影の利用料金)方式を活用している。

【フェーズ1:需要リスク移転モデル】
初期のフェーズ1の段階においては、民間事業者が取ることが出来ると考えられたのは、需要変動リスクであった。
例えば、二つの大きな町の間に大河が流れており、橋がかかっていないような場合には、橋を架ければ交通需要は確実にあると想定することが出来る。

一般的に、先進国で、建設費がそれほど高くなければ、施設の耐用年数に投資は回収可能であり、利用料金もそれほど高すぎることはない。(四国大橋や、アクアラインの様に、コストが高すぎる場合は、利用料金のみで投資額が改修できるかどうかは疑問であるが・・・)

フェーズ1の図は、予測よりも実際には交通量が多く、資金回収が早めに済む場合を赤線で表しており、交通量が伸びずに、資金回収が十分に出来ない場合を点線で表している。実際に点線のような状況になったときは、コンセッションの期間を伸ばしてもらうなりして、資金回収させるという方法が一般的に取られる。

【フェーズ2:バンディングストラクチャーモデル】
実際に、フェーズ1で、コンセッションの期間を延長してもらえないような状況が発生すると、「フェーズ1の状態ではリスクがとれない」と事業者はそのリスクをヘッジするようになる。
そこで、有料道路の需要変動リスクを事業者が取れるように調整したのが、フェーズ2のバンディングストラクチャーである。
この事例では、1台あたり£2の料金帯、同じく£0.5、£0.25、£0.0の料金帯と、異なった4つの料金帯(バンド)で、支払額が構成されていることがわかる。バンド分けするから、バンディングストラクチャーである。
この場合は、投資回収が早めに終わることも想定しており、投資回収が終わると発注者から事業者に支払う額が削減される仕組みがフェーズ2の右側の図に示されている。

しかしながら、このような仕組みでは、官から民に移転されたリスクは、安全低下リスク、および、車道閉鎖リスク程度であるため、VFMがそれほど大きくはならない。

【フェーズ3: 間接的コスト削減影響活用モデル】
そこで考え出されたのが、フェーズ3の考え方である。
このフェーズにおいて民間に移転するリスクは、車道・歩道・自転車道等の利用可能性が確保されているかどうかのリスクと安全変動リスクであり、発注者が、大型車両の交通量が変動するリスクをとる。

フェーズ2とフェーズ3の支払要素の全体に占める割合は、ほとんど変わらないことが、右下の比較図からわかるだろうか。ところが、民間に移転したリスクは大きく異なる。
フェーズ2におけるVFMを生み出す要素は、安全変動リスクの部分しかない。
一方で、フェーズ3の場合には、安全変動リスクの民間移転はフェーズ2と同じであるが、大型車の通行量が増えて路面が傷むことのリスクを発注者が支払いによって担保する代わりに、道路の利用可能性変動リスクを民間に移転している。つまり、道路が利用できない場合には事業者支払いを減額することで、利用可能性変動リスクが民間に移転される。

また、夜間の道路閉鎖には罰則はないが、ラッシュアワー時に道路が閉鎖される場合には、大きな減額が発生する仕組みを組み込むことによって、夜間の工事が促進されている。

【リスク移転の考え方を道路案件以外へ適用する】
このような考え方は、道路PFIだけでなく、他のPFI事業にも活用できる。
すなわち、どのようなリスクを民間に移転することが出来るのかを洗い出して、最低限生み出せるVFMを確保するのである。なぜなら、最低限のVFMが確保できるならば、民間事業者が、その要求を満たした提案以外に、よりよい提案を出した場合には、VFMがさらに向上するからである。

【今日のポイント】
PFI事業において、確実にVFMを生み出すためには、事業を単に民間に任せればよいのではなく、発注者が取れないリスクで、民間がとれるリスクを事前に見つけ出し、そのリスク移転をするための仕組みを発注者が事前に設定しなければならない点が重要である。

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登録日:2011年 02月 16日 22:45:36

PFI/PPPセミナー①【物品購入をサービス購入に切り替えることで生み出されるVFMとは何か】

平成18年度より、PPPセミナーのモニタリングの講師を行なっているので、今年はもう4年目になる。
このセミナーの講師をする際には、特に自分の受け持っているモニタリングに関しての最新情報はどのようなものなのかについて、国内外の情報をなるべく整理するようにしている。

3時間に及ぶセミナーの中から、今年のトピックを説明しよう
まず最初は、PFI手法を活用することによって、なぜVFMが生まれるのかという疑問に対しての回答である。

【物品購入をサービス購入に切り替えることで生み出されるVFMとは何か】
これまでにも、PFI手法とは、施設整備費の延払いではなく、施設が機能しているサービスを購入するための契約であるという話をしてきたが、今回は、特にサービスとは何かについて、少し詳しい説明を行った。

コトラーのマーケティング・マネジメントによると、「サービスとは一方が他方に対して提供する行為やパフォーマンスで、本質的に無形で何の所有権ももたらさないものである。」というのがサービスの定義である。

このような、サービスには、3つの特徴がある。
まず第1に、製造と消費の同時性から、消費されなければサービスは消滅してしまうという特徴がある。
次に、その消滅性のために、サービスは在庫できず、回収できないサービス提供コストが確定してしまうという特徴がある。
そして、三番目に、このような消滅性と、在庫できない(非有形性)ことから、サービスには不均質性が生じ、標準化が困難であるという特徴がある。

施設の整備費の延払いではなく、施設が機能しているサービスを購入するための契約にすることでなぜVFMが生まれるのかという理由が、この3つの特徴と関連している。

すなわち、公共の発注者にしてみれば、受け取っていないサービス料金は支払う必要がなくなることから、サービスのパフォーマンスリスクを民間に移転することが出来るようになる。それまでは、サービスが想定通りに遂行されなかった場合には、施設整備に関しての債務はそのままであったことから、発注者は、新たな予算をつけて、改善を実施するか、我慢をすることしかなかった。このような施設購入の契約をサービス購入契約に転換することによって、サービスのパフォーマンスが達成できなければ、サービスを受け取ったとは見なさない契約を締結することが出来るようになる。サービスパフォーマンスリスクの民間への移転とは、まさにこのような契約の変更を意味する。

つまり簡単に言えば、

(予測通りに施設が機能しない確率) * (その場合の修繕及び修正コスト)= VFM

という等式が成り立つことになる。

これは、事業者にしてみれば、サービス品質を管理できない場合には、初期投資が回収できないことを意味し、また、その反面として、要求を満たすサービス提供が出来れば、確実に収益が生み出されることを意味する。
すなわち、このように、確実にサービスを提供できるような標準化手法があるならば、その標準化を行なうインセンティブはここから生まれてくるのである。

「PFI事業におけるリスク分担等に関するガイドライン」に記載されたように、
「協定等の締結の時点では、選定事業の事業期間中に発生する可能性のある事故、 需要の変動、天災、物価の上昇等の経済状況の変化等一切の事由を正確には予測し得ず、これらの事由が顕在化した場合、事業に要する支出または事業から得られる収入が影響を受けることがある。選定事業の実施に当たり、協定等の締結 の時点ではその影響を正確には想定できないこのような不確実性のある事由によって、損失が発生する可能性をリスクという。」
とリスクのネガティブな面だけを捉えるのではなく、リスクが生み出す、メリットに焦点を当てることによって、VFMを生み出す源泉を見つけ出してやることが重要である。

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登録日:2011年 02月 14日 22:53:05

セミナー情報 顧客指向の官民共同事業構築について整理する 

(1)官民共同事業、あるべき姿の構築
  ~ 募集要項・要求水準書・事業評価の観点から ~ 指定管理者制度や市場化テスト、PPPやPFIなど官民が共同で行う公共事業にはいくつかの手法がありますが、官から民への事業委嘱に際し事業者を募集・選定し、いずれその事業を評価するという点は共通しています。

 行政が住民に本当に必要なサービスを提供するために、どのように事業者を募集し選定し評価すれば良いのかを解説します。

参加は無料です

平成21年10月09日(金)14:00~16:00
名古屋ガーデンパレス  3階「錦」
〒460-0003 名古屋市中区錦3丁目11-13

http://www.toshokanshinko.or.jp/jigyou/semina.htm#3

お申し込みは下記の項目をご記入の上、 info【a】toshokanshinko.or.jp 宛にお送り下さい。※【a】を@にしてお送りください。
 ・お名前
 ・ご所属機関名およびご所属部署
 ・電話番号

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登録日:2009年 10月 07日 10:32:07

モニタリングは官だけの責任ですか?銀行はモニタリングしないの?(その3)

なかなか、面白い話の展開になってきました。

オーキーさんから
熊谷氏はちょっと物事をロマンティックに考えすぎるきらいがあるのではないですか?
というコメントをいただきましたが、合理的に、少なくとも、欧州や、過去に英国植民地であったアジア諸国(シンガポールや香港等)で成り立っている姿を前提に仕組みを考えているだけです。日本の銀行にリスク分析をする能力がないということになると、今、ニーズの高まっているアジアのプロジェクト・ファイナンスも、日本の銀行の欧州支店から対応することはできても、日本からは対応できないことになってしまいます。

さて、侍さんからの質問にお答えします。
1.最後の段落で、「「・・・その結果を活用して、発注者が示したままの・・・」とありますが、「その結果」とは、発注者が事前に提示するものなのか、それとも、金融機関が雇った技術アドバイザーの力を借りて、金融機関が算定した結果なのか。発注者がそれだけ詳細なデータを市場に提示すること自体、もし、日本で行うとしたら、革命的なことだと思いますが、実際のところはどうなんでしょうか。発注者も当然、技術アドバイザーを雇っているわけですから、両者の技術アドバイザーが存在して、それぞれチェックを行い、その結果を元に交渉したうえで、発注者と事業者、そして金融機関の三者間契約が成立する、と理解すればいいのでしょうか。

ここでは、発注者が適切な条件を設定することが前提として記載しました。
革新的かどうかは、わかりませんが、発注者が事業の枠組みを設定することが必要だと思います。実際の事業内容を最も理解しているのは、担当者なのですから、あまり技術アドバイザー頼みにならないようにする必要があります。
少なくとも、事業契約と、融資契約と、三者間の直接契約を同時に締結しないと官にとって不利な状況になることだけは確かです。

2.サービスの品質に関するモニタリングは、事業者がまず自ら行い、公共が事業者からの報告に基づいて行ったうえで、サービスフィーを払うことになりますが、レンダーが技術アドバイザーを雇って行う「モニタリング」は、これとは別のものではないのでしょうか。運営開始まではともかく、運営が始まってから行うモニタリングは、公共と事業者の間の話だと理解している人は、少なくないと思いますが、もし違うのであれば、ご教示ください。(たとえば、Independent engineerが、運営開始後も、定期的に、金融機関に技術評価レポートを送り、CFが変動する兆候がないかどうか等、情報を提供する。金融機関はこれを元に、事業をモニターすることが可能になる等)

サービスの品質といっても、要求水準には、アベイラビリティに関する要求と、サービスの品質に関連する要求、そして、KPIの変動に対しての対処に関連する要求など、さまざまな要求が含まれています。
したがって、事業者は、それぞれの要求のモニタリングをどのような仕組みで構築するのかを示す必要があります。モニタリングシステムを構築することは、事業者にとって、発注者の主観的な判断によって減額がなくなるというメリットにつながります。
ただし、要求水準が「ススメ」にも記載したように
1.要求水準を満たさない事象がヘルプデスクを通して認識されること(この場合は、発注者が示した重要度割合に基づいた減額が適用されます。ヘルプデスクの結果報告によって、自動的に出てくるものです。)
2.事業者提案が提案どおりに実施されないこと(提案が実施されない場合は、ペナルティポイントの適用が適切化と思われますが、ペナルティポイントの発動の仕組みを事前に合意しておく必要があります。発注者が確認できるものです。)
3.類似施設のベンチマークよりも下回っていること(この場合もペナルティポイントが適切だと思われます。特別なベンチマークの場合には、技術アドバイザーが関与する可能性があります。)
4.セルフモニタリングによって問題が発覚したり、セルフモニタリングが機能しない場合〔これらは、アベイラビリティと、パフォーマンスのどちらにも適用される可能性があります。事業者が一義的に確認したものを、発注者が確認します。)
5.サブコンの担当している業務の実態の実態をSPCの管理者が認識できていない場合(アベイラビリティとパフォーマンスの両方のケースがありえますが、それにプラスしてペナルティポイントが発生します。抜き打ち検査などによっての確認が一般的です。)
6.満足度調査の結果が悪化している場合に適切な対応がとられない場合(満足度調査そのものの結果ではなく、その結果が悪化している場合の対応に対するペナルティポイントが発動されます。運営委員会に対して、事業者からの改善プロポーザルが出てくるはずです。一義的には事業者の担当ですが、発注者の許可が必要な項目です。)
7.法令順守ができていない場合。(ケースによっては、法令順守が達成できるまでアベイラビリティの対象になることがあります。ペナルティポイントの対象です。定期的な法定検査の結果を確認するのは、発注者の役割です。)
8.監査の結果、不適切な運営が行われていることが発覚した場合。(これもペナルティポイントの対象です。監査は、監査法人が行うのが一般的です。)

このように見ていけば、技術アドバイザーが関与しなければならないモニタリングはほとんどないことがお分かりになるのではないでしょうか。
技術アドバイザーは、事業契約の内容を変更する場合など、もっと別のケースで関与してもらう必要があります。

理想的な姿であり、現在実施されていないかもしれませんが、実施できない仕組みではありません。

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登録日:2007年 12月 27日 01:28:45

モニタリングは官だけの責任ですか?銀行はモニタリングしないの?(その2)

オーキーさん曰く

金融機関に「事業」をモニタリングできる「能力」があるなら、今の日本の金融をめぐる問題の多くは解決しているはずです。
別に日本に限ったことではありません。
一定の基準を設けて、誰かにモニターさせて、それに基づき決定を下すことならできるでしょう。
英国においてもレンダーは事業に関し、技術アドバイザーを雇うなどして「モニタリング」をしているはずですが、いずれにしても一義的な責任など負えるはずもありません。


わたしはここにわが国のPFIの問題の核心があると思います。英国でPFI事業に関わったものとして、その考え方は間違っていると断言できます。
金融機関が、技術的な判断をすることは、本来の専門性から外れた行為であり、当然すべきではありません。しかしながら、英国においてレンダーは、事業に関して技術アドバイザーを雇いますが、技術アドバイザーにモニタリングをまかせきっているわけではありません。技術アドバイザーを活用して、客観的なモニタリングが行えるような仕組みをつくり、金融機関としてのリスクを取っているのです。

確かに、技術上の問題点があるかないかを判断するためには、技術アドバイザーが必要です。しかし、それを技術アドバイザーの分野だから、金融機関はモニタリングすることが出来ないとは考えるべきではありません。
英国では、技術アドバイザーに、客観的にサービスの質をモニタリングする枠組みを設定をさせ、具体的なモニタリングシステムの構築は、民間事業者に競争させて構築する仕組みがとられています。

残念ながら、わが国のモニタリングのガイドラインには、このモニタリング構築の方法が明確に記載されていないため、発注者がモニタリングをしなければならないと思い込んでいるのだと思います。つまり、公共事業であるので最終的に公共が責任を取らざるを得ないという部分が協調されすぎているように思われます。

モニタリングのガイドラインの記載を見てみましょう。
モニタリングの内容を説明する部分では、モニタリングは次の3つの確認となっています。
① 報告書等による履行内容の確認
ⅰ)取り決められた業務報告書が契約に定めた期限等で提出されているかの確認
ⅱ)報告書の具体的内容が要求水準を満たしたものとなっているかの確認
② 事実の確認
報告書の内容自体が事実行為として行われているかの確認。
ⅰ 測定機器による計測(電源装置など計測機器による処理量等の計測)
ⅱ サンプルの抽出による検査(安全基準、衛生基準等定めがあるもの)
ⅲ 現場での抜き打ち検査(選定事業者の仕様書等内容を抜き打ちで検査)
ⅳ サービス受益者等からの苦情等の連絡(受益者等からの苦情により情報を把握)
③その他:顧客満足度調査

これだけでは不十分です。誰が水準をきめるのか、そして、その水準の達成手段や手法を決めるのは誰か、どの水準が機械で測定するものであるのか、どの水準がサンプル抽出の対象であるのか、顧客満足度調査の対象は何か、もしくは、その決め方について、これらのルールの枠組みと具体的なシステムの構築をどのように官民で分担するのかが、記載されなければならないのです。実は、そこに技術アドバイザーの活躍の余地があります。ここで上手に技術アドバイザーを使って、客観的にサービスの質を評価する仕組みを構築することが出来れば、金融機関がモニタリングの結果を評価することが出来るようになるからです。

また、モニタリングの頻度については、わが国のガイドラインには次の3種類が記載されています。
1. 日常的に行うもの、
2. 一定の期間を定め定期的に行うもの、
3. 随時の抜き打ち等非定期的に行うもの等

日常的の中には、機械などを使って24時間継続して行うものと、窓口がオープンの時間帯だけ受付けるもの、通常の作業や巡回で発見するもの、連絡によって緊急に対応するもの、状況に応じて日常とは異なる方法で対処するものがあります。
一定の期間は、毎日、毎週、毎月、4半期、半年毎、毎年、3年毎、や5年毎等が考えられます。
抜き打ち等は、監査の時や、何らかの重要な問題が発生したり、発生する可能性があるときに実施します。

それぞれのモニタリング指標やモニタリング手法は、要求水準と同時に発注者が策定し、事業提案を求める際に事業枠組みとして示します。そして、それらの水準を達成する手法や手段及び、その要求水準を達成しているかどうかをモニタリングするシステムは、事業者に提案させることが重要です。これは、モニタリングはただで出来るものではないからであり、たとえば機械などを使って、兆候を発見したら対処する仕組みを組み込むことによって、リスクの顕在化を防ぐことが可能になったりするからです。そして、このような仕組みが構築できれば、金融機関が事業リスクを判断できるようになるのです。

この仕組みを構築するためには、どのようなリスクがどのような過程で顕在化する可能性があるかについて事前に、技術アドバイザーを交えて深く検討することが重要です。そして、導入可能性調査の段階から、問題が最小限で済む最善のケースから、問題が最大化する最悪のケースまでを、3種類もしくは5種類程度にわけ、どのようなリスクが顕在化するのかについてのコスト算定をするのです。
このリスク算定で示したリスクを民間に移転するために、事業検討の初期の段階ではシナリオ分析によるリスク分析を行います。そして、入札の段階では、事業者の提案によって公共が保持するリスクに対してどのような影響が発生するかについても算定要素の中に組み込めるような、モンテカルロシミュレーション手法などが用いられるのです。このリスク分析が行われていないのが問題なのです。

これらの算定は技術アドバイザーなしでは簡単に出来るものではありませんが、その結果を活用して、発注者が示したままの条件で融資をするか、それとも、事業契約の条件を緩和しなければ、資金調達コストが跳ね上がることを事業者と一緒に発注者と交渉するのが金融機関の役割です。
少なくとも、このようなプロジェクトファイナンスの考え方で、外資系の銀行は融資の検討をします。わが国のメガバンクも、海外のPFI事業には、このような対応をしています。もし、このような対応が出来ないという銀行があるのであれば、その銀行はPFI事業に参加する資格はありません。
いま、日本の銀行の格付けが改善していますが、やはり、このようなプロジェクトファイナンスができるようになってもらわないと、本来の銀行の役割は果たせないのではないかと思います。

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登録日:2007年 12月 24日 23:32:19

モニタリングは官だけの責任ですか?銀行はモニタリングしないの?

オーキーさんからの次のコメントには驚いています。

金融機関は与信審査はできても事業の中身をモニターすることなどできません。モニタリングはやはり官の責任においてすべきでしょう。PFIとは言え公共事業なのですから。

金融機関の与信審査って何ですか?
"ススメ”にも書きましたが、金融機関が事業価値を評価する項目として①事業用地の適切性、②事業に必要とされる技術と設計条件、③EPCコントラクター(ゼネコン)の経験と適切性、④EPC(設計施工)契約の技術面に関する事項、⑤建設費と予備費の配分の適切性、⑥建設スケジュール、⑦建設と運営に関する許認可、⑧事業の特殊要素(例えば原料供給事業協定)の適切性、⑨マネジメント体制・人事評価、⑩運営上の前提条件の将来予測、⑪運営および維持管理コスト予測 ― 等 の項目があげられます。
これって、事業の中身ですよね。

PFIは施設整備費を支払うのではなく、施設を利用して提供するサービスに対しての支払いです。少なくとも、事業がサービス業績に連動視する仕組みになっていて、金融機関が事業リスクを取る以上、これらの事業の中身を当然モニターする必要があるわけです。
上記の考え方は、割賦支払いになっているので、建物さえ出来れば、後は知りませんよといっているように感じてしまいます。

モニタリングは、サービスの品質が要求どおりに提供されているかを確認する仕組みであって、主観的にならずに、客観的にするために、”ススメ”では、8種類のモニタリング手法を示しました。

品質が悪いと、発注者が感じるのは、
①要求したサービス水準が満たされていないとき
②事業者が入札段階で実施提案をしておきながらそのとおりに実施しないとき
③他の類似施設の比較可能なサービスと比べて明らかに品質水準が低いとき
④セルフモニタリングで悪いことがわかったとき、または、セルフモニタリングが機能しないとき
⑤専門業者と管理者(SPC)のサービス提供内容の理解に整合性が取れていないとき
⑥顧客満足度調査、従業員満足度調査などが改善されないとき
⑦法律を遵守していないとき
⑧監査によって、不適切であることが判明したとき

このようなモニタリングをすることを前提として、要求水準をこれらのモニタリング手法で評価できるように設定することが重要です。

したがって、そのモニタリングを行うのは、官であったり、事業者であったり、機械であったり、監督省庁や監督機関であったり、公認会計士であったり、要求水準に基づいて異なるわけであり、これを官の責任であるとすることは、乱暴すぎるように思われます。

PFIの基本理念を整理しなおしてみました。

【対象となる事業】  
  長期的な契約によって、公共サービスの質を確保する民間ノウハウが存在し、イノベーションが活用可能で、より安く、より品質の高いサービスを提供することが出来る事業が、PFI手法の活用に適切な事業である。  
【サービス購入契約】
  官は公共サービスの質の設定と提供が重要なのであって、そのために施設所有する必要はない。かえって、その公共サービスの質を達成する手段や手法は民間の自主性、創意工夫を尊重しつつ、出来るかぎり民間事業者にゆだねて実施することことによってプロセスの見直しやイノベーションの導入が進む。ただし、公共サービスの性格上、適切なサービス提供ができなかった場合の責任は最終的に官が取らざるを得ない。
【官が事業枠組みを設定】
  そこで、官は、民にサービス提供の手段や手法を任せる条件として、官が適切な要求水準をきめ、その業績をモニタリングし、要求したサービス水準を達成できない場合にはペナルティを課する事業枠組みを設定する。民は、事業枠組みの範囲内で、従来の仕組みを大幅に見直したり、サービスの質を達成するためのイノベーション手法を活用して、ペナルティをかけられないような事業管理システムを構築し、サービスを提供する。
【役割分担の仕組み】
  このような新事業手法は失敗する可能性があるので、金融機関に精査させる。金融機関にとって、事業の失敗は不良債権につながることから、確実に融資が回収できるように民間の事業提案を改善させる。 実績のある事業者の提案を金融機関が精査した事業であれば、民間事業者は収益を十分上げながらも、財政資金の効率的利用を図る提案をすることが出来ると考えられる。
【成功を確保する仕組み】
  ただし、万が一であっても事業破綻は、官にとっても好ましくない。そのため、民の事業契約上の債務不履行が発生した場合には、契約解除する前に金融機関に事業介入させ、事業の建て直しができるように、官、民、金融機関の三者が合意する。このような、直接の契約関係になかった官と金融機関が民を介在して結ぶ三者契約を「直接契約」と呼ぶ。「官と民の事業契約」、「民と金融機関の融資契約」、「官と民と金融機関の直接契約」の3つを同時に締結し、三者のリスクバランスを最適化し、安定した事業を継続的に行う。このような安定した高品質のサービス提供は、サービス利用者にとってのメリットにもなる。
【パートナーシップの源泉】
  以上のような適切なPFI手法の活用ができれば、利害関係者の全てがマルチプルWINの状態となり、官民の適切な役割分担に基づく新たな官民パートナーシップが形成されていくものと期待される。

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登録日:2007年 12月 23日 23:57:38

プロフィール
Hiroshi Kumagae
Hiroshi Kumagae
(男)
1959年05月06日
アビーム コンサルティング㈱             ディレクター
著書:脱「日本版PFI」のススメ 相模書房 ISBN978-4-7824-0705-9
ESADE大学院 国際経営修士
慶應義塾大学院 特別招聘講師(非常勤)
三田図書館・情報学会会員、PMFJ会員 公益事業学会会員
平成18年度内閣府PFI事業の総合評価検討委員会委員
平成19年度自治体PFI推進センター専門家委員会委員
平成20年新宿区立図書館指定管理者選定委員
平成21年横浜市立山内図書館指定管理者選定委員
日刊建設工業新聞 所論/緒論コラムニスト
剣道3段、居合道4段(夢想神伝流)
福岡県生まれ横浜市在住
連絡先:hkumagae@yahoo.co.jp
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