コソボ独立宣言 ロシアから見ると…

米国連大使、コソボ独立に対するロシアからの強硬論をけん制

【2月23日 AFP】ザルメイ・ハリルザド(Zalmay Khalilzad)米国連大使は22日、コソボ独立を支持する西側諸国に対してロシアから厳しい批判の声が上がっていることに対し、そのような態度は国連でこれまでロシアが示してきた姿勢と異なると述べ、強硬論をけん制した。
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(c)AFP

AFPBB News


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2月17日、セルビア共和国のコソボ自治州議会が 独立宣言を採択しました。 コソボはもはやセルビアの一部ではなく、独立したひとつのクニになる! という宣言です。

コソボの独立への意思は 以前から明らかにされていました。 ひどい抑圧と紛争もあったことから、国連、EUなどで調整がこころみられていました。 しかし、このプロセスは不調のまま完全に停滞。 痺れをきらせるかたちで、今回の一方的な独立宣言へといたったわけです。 背後には、大統領選をひかえたアメリカが、今ならまだ後ろ盾になってくれるだろう、というコソボ側の判断があったものと思われます。

ちなみに、、、 「ユーゴスラビア問題」とか、「民族浄化」とか、「バルカン半島のムスリム人」とか、「NATOによるセルビア空爆」とか、、、 旧ユーゴスラビア紛争について語られてきた、これらの言葉はいずれも コソボ問題が核になっています。 この辺りの事情は、まずコソボの問題から整理していくのが王道といえます。

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今回の独立宣言に対し、各国、各地ではさまざまな反応が生じています。

 ―― 報道 ――
 ・ 「特集 旧ユーゴ・コソボ問題」 (AFPBB)
 ・ 日本各紙が報道した 各国の反応は、次のブログでまとめられています。
   「コソボ独立をめぐる各国の反応」 @『Intelligence News & Reports』

 ―― 問題整理、分析 ――
 ・ NHK「土曜解説」のブログ (07年5月26日付け)
 ・ 「コソボ独立宣言、迫る」 @『極東ブログ』 (08年2月13日付け)

賛成派の先頭にはアメリカ、反対派の先頭にはロシアがいます。

歴史から国際情勢から、「宗教」から「民族」から、、、 とにかく複雑な背景をもったこの問題を 全体的に整理するのは バルカン半島問題の専門家におまかせいたします。

ここではロシア側のスタンスを紹介、分析しておきたいと思います。

 ・ ロシアに注目して、今回の問題を分析している記事 
   同記事の別ブログへの掲載 

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ロシアはセルビア寄りの立場を 一貫してとってきた。 コソボの独立には当然 反対である。

なぜか?

ロシア政府の公式見解が、読売新聞に紹介されていた。

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 以下引用
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 EUが派遣を決めた使節団は、民族紛争が終結した1999年以降コソボを暫定統治してきた国連コソボ暫定統治機構(UNMIK)に代わり、6月中旬から新国家の行政・司法を監督する役割を担う。

 この計画に対し、ロシアのチュルキン国連大使は17日、独立宣言後にロシアの要請で緊急招集された国連安全保障理事会の非公式会合で「明白な国際法違反で容認できない」と糾弾。18日には公式会合に場を移して抵抗を続ける構えだ。

 ロシアがいう国際法とは、民族紛争後のコソボの暫定的地位を定めた99年採択の安保理決議1244を指す。同決議は、コソボの統治は「国連の庇護(ひご)」のもとで行われると定めており、UNMIKが権限を手放すなら、新たな決議が必要というのがロシアの主張だ。
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 引用おわり
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こうした国際法(この場合、安保理決議)遵守の要請が ロシアの本音であるとは、もちろん誰も信じてはいない。

大きく分けて、三つの「本音」を指摘することができよう。

(1)
ロシア自身、セルビアと同じように、自国内の民族独立闘争/分離主義運動からくる問題を有する。 これに対し、ロシア政府はきわめて強硬な姿勢で対応してきた。 コソボ独立を容認することは、こうした深刻な国内問題について 正反対のサインを出してしまうことになる。ひいては それが国家統合をさらに脅かすことにもなりかねない。

ちなみに、スペインやスリランカのような国にも同様の問題があり、実際 コソボ独立に対して慎重な姿勢を示している。

(2)
冷戦終結以来、東ヨーロッパにおけるロシアの影響力は どんどん縮小している。 NATO側が同地域で展開しようとするミサイル防衛網も、ロシアにとっては大きな脅威であり、また誇り高いロシア人エリートのプライドを傷つけてもいる。

最近は、エネルギーを梃子にして、それをいくらか回復させようとしている。 コソボ問題においても、これ以上の譲歩をする動機がロシアにはない。 むしろ、セルビアを足場に、東ヨーロッパに対する影響力の拡大をねらっている。

(3)
上のことと関連するのだが、ロシアはセルビアを通過するパイプライン建設で合意にいたったばかり。 いわゆる「南ルート」のことだが、これが国家戦略としてきわめて重要な意義を与えられているのは明らかだ。 

 ・ 「ロシア セルビア パイプライン」でグーグル検索 →

(4)
ロシアとセルビアが「同じスラブ系民族の国家」であることを指摘する向きもあるが、 ことこの問題に関するかぎり、「民族のきずな」がどれだけ重要な要素であるのか――かなり疑わしい。

【 近藤光博 記 】

【追記】

とくに別枠で指摘しておきたいのは、紛争において本当に苦しんでいるのは誰か、、、ということ。

これは間違いなく、当の地域の住民、難民、そして移民たちです。

殺し合いと憎み合いの記憶と情念は、彼ら/彼女らを これからも苦しめつづけるでしょう。 壊れてしまった社会や経済のつながりは、さらにその困窮を悪化させるでしょう。

国際政治や国家というものは、そうした現場とはかけ離れた場所で、勝手な力学にそって動いていくものです。 しかし、それは本当に苦しんでいる人たちの助けになるのでしょうか。 あえて政治学用語を用いていうなら、そうした人たちの「安全」と「権利」は、どのようにして守られるでしょうか。

マスコミや私たちのような市民メディアが注目しなければいけないのは、この側面ではないかと思います。 少なくとも、そこへの想像力を保ちながら、自分たちの生活を送りたいものだと思います。

カテゴリー[ ロシア情報 ], コメント[2], トラックバック[1]
登録日:2008年 02月 24日 08:58:56

コメント

TBありがとうございます。
いくつかの状況に関しては、エントリの前提として省略したのですが、
今にして思えば、貴殿のエントリに示されたようにもう少し補足を加えておく
べきであったかもしれません。
今後とも宜しくお願いいたします。

カワセミ @ 2008年 02月 24日 23:40:14

カワセミさま>
コメント ありがとうございます。 貴ブログにおける議論、今後ともぜひ参考にさせていただきたく、お願い申し上げます。 当方も、コツコツとやっていきたいと思っております。

コンドウ @ 2008年 02月 25日 04:20:38

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date:2008年 02月 24日 13:14:43

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