矛盾をはらみながら進むペットブーム
【上海/中国 26日 AFP】中国東部の上海(Shanghai)市には10万匹の犬や猫が飼われているが、市当局はペットの飼い主に市営の動物火葬場を使用するよう呼びかけた。公園や庭に埋められたり、ゴミ捨て場や川に投げ込まれるペットの死骸の数が増え、市民の健康上の脅威になりつつあるという。写真は2003年7月17日、上海のドッグショーでペットの犬を自慢げに見せる飼い主。(c)AFP

写真/映画「我が家の犬は世界一」より
■中国で空前のペットブーム?
ペット人口がうなぎ登りの中国。
上海には10万匹の犬や猫が飼われているとのことですが、
もちろん北京でも同じで、05年には42万頭の犬が登録され、
ペットショップが毎週オープンしているといった話も聞きます。
しかしながら、国民性というかペットに対する意識の違いというか、
上海では死んだペットをゴミ捨て場や川に平気で捨てる人がいるようで、
これにはちょっとビックリです。まあ日本でも、飼いきれなくなった
犬や猫を保健所や動物管理センターに「不用犬・不用猫」として
捨て去る人が大勢いる(03年の犬猫の殺処分数は約37万頭)こと
ですから、あまりよその国のことはいえませんが、公園や川に捨てる
という感覚は日本とはやや違うような気がします。
■非常にキビシイ中国の登録制度
05年に封切られた中国映画『わが家の犬は世界一』は、
そんな北京の愛犬家一家のある一日を描いたもので、
じつはこのパンフレットに批評文を書かせていただいたのですが、
ここでも「えっ、ほんと?」と思うような点が見受けられました。
映画では、95年に制定された犬の登録制度のせいで奔走させられる
一家の模様が淡々と描かれるのですが、この制度が非常にキビシイ!
第一に、飼えるのは体長35センチ以下の小型犬22品種のみで
大型犬は不可。登録は公安(警察)で行い、登録が終わったのちも
散歩時には写真・名前・犬種・飼い主名を印した「犬証」を
携帯しなければならず、これを怠ると問答無用で犬が拘束されて
しまうというものなのです。
■「犬証」は悪いことではない
しかも映画の舞台となった95年の時点では、この登録料がなんと
一般市民の給料の数カ月分に当たる5000元という高額。
主人公の一家にはこれが払えず、そのせいでかわいい愛犬が
公安に連れ去られ、それを連れ戻すために大変な一日が始まる
というわけですね。いまはこの悪名高き登録料も1000元程度に
引き下げられたそうですが、突然こうした過激な法律ができて
しまうあたり、中国はやっぱりおっかねえな~と思ってしまいました。
しかしながら、すこし頭を冷やして考えると、こうした登録料とか
「犬証」の発行というのは悪いことではありません。ドイツなど
欧州の先進国には、きちんと犬税なるものを払ってマイクロチップ
を装着するというのが義務づけられているわけで、ある意味、
中国は日本よりも先を行っている感もある。日本でも、登録料+
狂犬病予防接種で6000円程度(初年度)がかかることには
なっていますが(自治体によってまちまち)、マイクロチップや
「犬証」についてはまだまだ未整備。ために迷子になった犬が
保健所に保護されても、どこの誰の犬だかわからないのが現状です。
■税金を払ってしっかり要求
また、しっかり犬税を払った方がいいと思うのは、
ひとつには集めた犬税を使って自治体が動物愛護や保護活動を
行いやすい環境が整うから。あるいは虐待や、基準に則していない
飼育や販売が行われていた時に、それをきちんと取り締まる人員を
配備できると思われるからですね。さらにいえば、公園や公共施設の
一部にウンチ袋を常備するとか、犬のための水飲み場や足洗い場を
つくるとかの公共サービスについても、堂々と要求できるようになる。
きちんとお金を払うことで、ペットとの理想の共生社会づくりに
一歩踏み出せるのではないかと思うわけです。
それはともあれ、空前のペットブームを迎えた中国ではあちこちで
ドッグショーが開催され、高額の犬や猫がステータスシンボルに
なりつつあるそうですが、その一方で死んだペットを公園や川に
捨てたりする衛生感覚が存在し、いまだに狂犬病の多発国としても
よく知られています。こうした矛盾をはらみながらのペットブームは
、ある意味、わが日本の写し絵でもあり反面教師でもある。
人のフリみてなんとやらの喩えどおり、見習うべきところは見習い、
正すべきところは正していきたいものです。
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登録日:2006年 02月 02日 12:11:29
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date:2006年 04月 18日 23:23:54
- プロフィール
- 坂本徹也 Sakamoto Tetsuya
- (男)
- Pet Journal
- ペットジャーナリスト、住宅建築ジャーナリスト。1956年、兵庫県生まれ。
2頭のミニチュアシュナウザーを飼ったことからペット業界に疑問を持ち、ペット関連のルポルタージュの執筆を始める。著書に『アッシュと歩いたヨーロッパ』『よい獣医さんはどこにいる』『二歩先をゆく獣医さん』『ペットの命を守る』『ペットフードで健康になる』『建築家と家をつくる愉しみ』『バスター先生と小さな仲間たち』(翻訳)など多数
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