イラク戦争/占領犠牲者は約65万5000人!?
「イラク国民の推計死者数65万5000人」との調査結果、大統領は否定 - 米国
【ワシントンD.C./米国 12日 AFP】ホワイトハウス(White House)で記者会見を行ったジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)大統領は11日、米軍がイラクへ進攻した03年以降のイラク国民の死者数が65万5000人と推計する米大学の調査結果について、「信頼性がない」とはねつけた。
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(c)AFP/Jim WATSON
「03年3月のイラク戦争開戦から今年6月までのイラク人犠牲者の数は、約65万5000人に達する」・・・英有力医学誌ランセットは8日、衝撃的な論文を掲載した。イラク人の犠牲者数に関し、ブッシュ大統領は、昨年12月の演説で「3万人前後」と言及しているが、ランセット誌の論文が正しい場合、ブッシュ政権の推計の22倍近くにも及ぶことになる。
続き)
■米・イラク共同調査
今回の論文を発表したのは、ジョンズ・ホプキンス大医学部のギルバート・バーンハム教授ら4人の米国とイラクの研究グループ。同グループは、今年5月から7月かけ調査を実施。イラク全国47地域でランダムに選んだ1万2800人を対象に死亡者の数、死因などについてインタビューを行った。その調査を元に年間の死亡率を割り出した結果、イラク戦争開戦前に比して、65万4965人の人々がより多く亡くなった、という計算になるという。
■報道されない死者数
イラクの民間人犠牲者数については、諸説分かれるが、有名なものに「イラク・ボディー・カウント」がある。これは、英米の研究者チームが運営するサイトで、報道された犠牲者数を集計していくというもので、現在集計された犠牲者数は、4万3850~4万8693人だ。
しかし、この間イラク情勢に関心を持ち、現地と連絡を取り続けてきた経験からいえば、報道がイラク情勢の実態をカバーするのは、どんどん難しくなってきている。イラク情勢は悪化の一方をたどり、「毎日が過去最悪の状況」だ。そのため、外国人記者は勿論、イラク人記者もその活動が難しくなっている。カメラを持っていただけで殺されたり、攻撃にさらされている故郷の町の状況をブログで訴えたイラク人ブロガーが、米軍に拘束され、ブログ内容について尋問を受けたりもしている(全くどこが「イラクの民主化」なんだか)。だから、ランセット誌掲載の論文が正しいかは置くとしても、実際の犠牲者数は、報道されている数よりもはるかに多い可能性は充分あるだろう。
■米軍動向と一致する内容
ランセット誌掲載の論文は、私も読ませてもらったが、興味深いのは、地域別に観ると、やはりアンバル州やニナワ州など、スンニ派住民が多く、米軍が激しい掃討作戦を繰り広げている地域での死亡率が高い、ということである。2004年4月、11月のファルージャ市での虐殺を始め、ラマディ、カイム、ハディーサなどの地域で、街を包囲し病院や学校、一般住宅をも無差別に攻撃を行う、ということを米軍は繰り返してきた。これらの地域には、報道関係者はおろか、医療関係者も排除されたので、現地での被害実態はこれまで明らかになっていなかったが、今回の論文により「米軍が活発に活動している地域ほどイラク人の死亡率が高い」ということが明らかになったと言えるだろう。
■米国にはレッドカードを
イラクには大量破壊兵器はなく、開発計画すらイラク戦争以前に断念されていたなど、イラク戦争の大儀は既に崩れ去っている。ブッシュ政権は「イラクの民主化」を訴えているが、宗派間対立が事実上の「内戦」にまで発展し毎日100人前後が殺されているなど、現在のイラクの人権状況は「サダム時代よりも酷い」、という有様だ。こうした事態に米軍は何ら手を打たず、「治安維持」という意味でも、全くの役立たずだ。そればかりか、今だにバカの一つ覚えでスンニ派地区での掃討作戦を続け、街を破壊し、市民を殺している。「犠牲者数65万5000人」という推計は多すぎる、という意見もあるだろうが、例え「ランセット誌掲載論文の数値は大げさ」だとしても、現在のままの状況では、犠牲者数が数十万単位となることは避けられないだろう。
国連安保理では今、「核実験を行った」としている北朝鮮にいかに制裁を与えるかに関心が向いているようだが、不当な侵略戦争を仕掛けた上、イラクをもはや救いようも無い程に混乱させておきながら、なおも軍を居座らせている米国に対しても、制裁を検討するべきではないか。米国が安保理の常任理事国であるため、実際には制裁を科すことは不可能だとしても、国際社会が米国にレッドカードを突きつける意志を示すことが重要なのでは、などと思うのだ。
カテゴリー[ イラク・中東 ], コメント[1], トラックバック[0]
登録日:2006年 10月 13日 16:41:02
コメント
まさに歯止めが効かない状態ですね。
民主主義、自由社会のお手本であるかのように描かれる米国はもはや昔の話ですね。「知る」ことのできない恐ろしさを感じてます。むしろ「無知の知」が無いという深刻な状況下に世界があるのかもしれません。
earth @ 2006年 10月 14日 00:44:52
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- プロフィール

- 志葉 玲(シバレイ)
- (男)
- HP:志葉玲Official Web Site
- ■1975年生まれ。番組制作会社を経て2002年からフリーに。イラク、レバノンなどの紛争地での現地取材の他、地球温暖化などの環境問題、共謀罪など国内政治まで幅広く取材している。
■志葉関係の本が相次いで出版されました!二冊とも、御一読いただければ幸いです。
『川田龍平 いのちを語る』 (川田龍平 著 志葉玲 写真/明石書店)
『たたかう!ジャーナリスト宣言 ボクの観た本当の戦争』(志葉玲 著・写真/社会批評社)
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