地球温暖化から観る参院選―どの党・候補が人類の未来を救えるのか?
【7月7日 AFP】アル・ゴア(Al Gore)前米副大統領が地球温暖化防止を訴え、開催を提案した世界規模のコンサート「Live Earth」が7日、京都の東寺(Toji temple)でも開催され、歌手のYellow Magic Orchestraが登場した。(c)AFP
金沢への講演ツアーに行っていたので、私は観れなかったのだが、7日に日本を含む世界8カ国で開催された「Live Earth」は大いに盛り上がったようだ。「全人類共通の課題」地球温暖化への国際的な関心の高さを改めて感じさせる。
だが、地球温暖化による破滅的な影響を考えれば、この未曾有の危機に対しての関心の高さはまだまだ充分とはいえない。英インディペンデント紙の予測によれば、地球の平均気温が現在より2.4度上昇しただけで、地球上の生物の3分の1が絶滅するとされ、3.4度で「地球の肺」である熱帯雨林が砂漠化。さらに、5.4度上昇で世界の食料配給は尽き、70メートルの海面上昇で東京やNYなど世界の大都市が水没する。そして、6.4度上昇した場合では、海中に凍結した状態で大量に眠る強力な温室効果ガス・メタンガスが大気中に噴出、温暖化は正に暴走状態になり、地球上の生物のほとんどは死滅するだろうとされている。
こうした地球温暖化の真の恐ろしさについては、私も時折ご指導いただいている、未来バンク理事長の田中優氏の新刊『地球温暖化/人類滅亡のシナリオは回避できるか』に詳しく紹介され、最悪のシナリオを避けるための提言も書かれている。正に「全国民必読の書」なので、本ブログ読者の皆さんにも、是非読んでいただきたい。
さて、前フリが長くなってしまったが、本エントリのテーマは参院選。もはや、地球温暖化を食い止めるための猶予は10年もないとされているが、総じて政治家達の危機感は乏しいと言わざるを得ないだろう。勿論、年金問題も重要なテーマではあるが、人類が滅亡するような事態になれば、年金も何もない。本来ならば、地球温暖化対策こそ、最重要課題として、参院選の争点とされるべきだろう。
続き)
■各党の地球温暖化対策は?
「最優先課題」ではないとはいえ、各政党および、無所属の候補者のHPなどを見ると、やはり地球温暖化についての記述は見られる。やはり全く無視することはできないと言ったところか。以下、ネット上に公開された情報を元に、論評していきたい。
●自民党
http://www.jimin.jp/jimin/jimin/2007_
seisaku/kouyaku/contents/04.html#03
まずは今、何かと大変な自民党。HPでは、〈環境へ主導力を示す〉として、来年開催される北海道洞爺湖サミットに向け“「環境外交」の戦略的な展開”を目指すとしている。具体的には、今年6月に策定された「21世紀環境立国戦略」を元に、“米国・中国・インドへの、温暖化防止の枠組み参加の呼びかけ”を行うとしている。
なるほど、一見良さそうな感じではあるのだが、公約のディティールや過去の実績を見ると、自民党の地球温暖化対策には、大きな問題がいくつもある。まず、日本は京都議定書で定めた「’90年度比で、2012年までに6%削減する」という目標を達成できないばかりか、逆に+7.8%(05年確定値。今年5月末の政府発表)と、増加させてしまっており、2012年までの目標達成は絶望視されている。これは、産業界と経産省が強く主張した「自主行動計画」にまかせてしまった結果なのだろう。環境税の導入や自然エネルギーの活用など、政府が温室効果ガス削減の経済的な基盤つくりを整備したドイツ(18.7%削減)やイギリス(15.7%削減)では、大きな成果を出しているからだ。
また、「21世紀環境立国戦略」では、“2050年までに温室効果ガス排出を半減させる”としているが、その主要な対策としてあげられているのが、「原子力発電の活用」。EUでは多くの国々が原発の段階的な廃止に向かっているため、日本政府の提案はむしろ激しい反発を受けることが予想される。以上のことから、来年のサミットでも日本が「主動力を示す」ことができるかは、甚だ疑問だ。
自民党の場合、他国へ口を出すのもいいが、まずは京都議定書の目標値すら実現できそうもない現状に対しての猛省が必要なのではないだろうか。
●公明党
http://www.komei.or.jp/election/sangiin07/
policy/06_2.html
公明党は、「“もったいない”の精神のCO2削減する広範な国民運動を」と第一に掲げている。勿論、すべての国民一人一人が省エネなどに取り組むべきなのだが、上述したように、小泉・安倍両政権の温暖化対策の大きな問題点は、一般市民の省エネ任せであったことだ。一方、企業・公共部門の排出量は全体の8割で、より厳しい対応を迫る必要があるだろう。
「家庭やオフィスへの自然エネルギー*の導入への補助金」「エコカーやエコ住宅への税制の優遇」など、公明党が掲げている政策には評価すべきものもあるが、やはり政権与党であっただけに、自民党と同じく、「’90年度比で7.8%の排出量増加」の怠惰ぶりを、まずは猛省すべきである。
*太陽光発電や風力発電など、自然由来で、発電時等に温室効果ガスを出さないエネルギー。再生可能エネルギーとも言う。
●民主党
http://www.dpj.or.jp/special/manifesto2007/
pdf/manifesto_2007.pdf
民主党のマニフェスト「3つの約束、7つの提言」でも“地球環境で世界をリードする”が挙げられているが、提言の6つめと、イマイチ優先順位が高そうにない。「再生可能エネルギーの強力な導入」という言葉もあるが、数値目標でみると、「2020年までに10%に引き上げる」と控えめだ。EUは2001年に「2010年までに12%まで引き上げる」と目標を設定している(関連情報)。もっとも、2010年の日本の導入目標は、わずか1.4%なので、政府与党の目標値に比べれば、民主党の目標値は高いのではあるが。
自民党と比較して、特筆すべきは地球温暖化対策税(環境税)*1や、排出権取引*2の導入を掲げていることだろう。環境税は、環境省主導で政府与党が導入を検討したものの、結局、経団連や経産省の猛反対の中、見送りとなった経緯がある。もし、民主党がこれらの制度を本気で導入しようとするならば、その姿勢は評価されるべきだろう。
*1環境税とは、二酸化炭素の排出量に応じ課税することによって、排出量を減らそうというもの。炭素税とも言われる。すでにEU諸国で導入されており、スウェーデンやノルウェイなどでは、税制の優遇や補助金など共に、環境税を導入された。
*2 排出権取引とは、二酸化炭素の排出枠を決め、それをオーバーすれば「排出権」を買わねばならず、逆に下回った場合には余った排出量を売ることができるという制度。市場のメカニズムを利用して全体の二酸化炭素の排出を抑えることが期待されている。
●共産党
http://www.jcp.or.jp/seisaku/2007/07saninseisaku/
107-kobetsu.html
共産党は「温室効果ガスの排出量を2020年までに30%、2050年までに70%削減」とEU諸国並みの高い目標に設定している。また、排出量の8割を占める企業・公共部門での削減がカギだとしている。具体的な削減策としては、発電などのエネルギー部門での自然エネルギーの開発・活用、2020年までに15~20%までに引き上げると目標設定し、電力会社が自然エネルギーを積極的に買い上げること、さらに原発の段階的な廃止も盛り込んだ。環境税の導入や、公共交通機関へシフトしていくことで、車の使用を減らしていく、など全体として、かなり妥当な政策だと思われる。これらの政策の多くは、既にドイツや北欧などの環境先進国で行われているので、実現可能な政策なのだ。・・・ただ、問題は、共産党が単独で与党になるのは無理だろうし、民主党との連立も難しいということだが・・・。
●社民党
http://www5.sdp.or.jp/central/seisaku/
manifesto07s.html
社民党も、2020年までに30%、2050年までに70%と高い目標設定をしている。環境税や排出権取引を導入、自然エネルギーも2020年までに20%に引き上げるという。脱原発を推進し、原発関連の予算は自然エネルギーの開発・普及に当てる。さらに、林業への雇用促進や、木材自給率を高めると同時に、世界各地で深刻な環境破壊の原因となっている、違法伐採による木材の流入規制を強化する、としている。
社民党の政策で特筆すべき点は、林業の育成や違法伐採による木材の規制に言及していることだ。日本の木材消費は北米や南米、東南アジアやロシアなどで、すさまじい森林破壊を引き起こしており、日本は単に国内でCO2を排出しているだけでなく、国外で「CO2吸収源」を破壊してしまっているという問題がある。また、盛んに行っている植林も、現地の生態系を無視した形で行われることが少なくない。生物多様性の保全も国際社会の大きな課題であるだけに、森林に目をつけたという点で社民党の政策は評価できると言えるだろう。
●新党日本
http://www.love-nippon.com/panfu_1.htm
財政危機や税金の無駄使いなどは得意分野とする新党日本だが、残念ながら地球温暖化に関しては、特に目立った記述はない。「新党日本は広く皆様からのご意見をお待ちしています」とあるので、goiken@love-nippon.com へ温暖化対策についても取り組むよう、要望を送ってみるといいのかもしれない。
●国民新党
http://www.kokumin.or.jp/seisaku/
senkykouyaku.shtml
国民新党も、少なくともHPで公開されている政策の中には地球温暖化に関する記述はない。以下のメールフォームに、温暖化対策の要望を送るしかないようだ。
http://www.kokumin.or.jp/opinion/
■その他の党・無所属の候補
JANJANの全国政治家データベース「ザ・選挙」によれば、今回、無所属、或いは主要政党以外の政党から出馬する参院選候補は75人。ただし、これらの候補の中で、地球温暖化に関して言及して、さらに対応策まで挙げている候補となると、ごく僅かだ。あくまで、ネット上で公開されている情報からのみだが、各候補の主張を紹介したい。
●川田龍平(無所属)
http://www.ryuheikawada.jp/manifest.shtml#detail
環境先進国ドイツに留学したり、「将来は環境政党を作りたい」と語ったりと薬害問題だけではなく、環境問題にも高い関心を持つ
川田候補。先月7日、東京選挙区から出馬する候補が集まり政策を語った「政策を聞く会」でも「地球温暖化にはすぐにでも取組むべきだ」と発言。地球温暖化防止を呼びかける号外配布アクション「TEAM GOGO!2007」の呼びかけ人の一人でもある。
温暖化防止への具体策については、マニフェストの中で「一極集中型の発電から、地域分散型の自然エネルギーへの転換の促進。2020 年までに消費エネルギーの20%を再生可能エネルギーとする」と提案。省エネ社会のための経済的なシステムつくりや、環境税の導入、公共交通の活用による車社会からの脱却を主張している。原発についても、安全性の問題から廃止すべきとの立場である。
●上田剛史(無所属)
http://www.uedatakeshi.jp/enjoy.html
上田候補は、「環境経済立国」を主張。温暖化防止のために、「原発から自然エネルギーへの転換」「企業のCO2排出量を発表する義務化の法整備」、そして地産地消*が一番CO2排出を減らすとして、「国内農業支援の法律の整備」の3点をあげている。
*地域で生産されたものを、その地域で消費すること。
●大坂佳巨(平和党)
http://blogs.yahoo.co.jp/heiwaparty/11227846.html
大阪候補は、地球温暖化の原因は、大量生産を前提とする資本主義にあるとブログで書いている。対応策としては、現在の利子が増えていく金融システムではなく、逆に時間と共に価値が下がる減価通貨制度によって、地産地消型の経済が実現され、ひいては温暖化抑止になるとしている。また、同様にケインズが提唱した世界共通の通貨「バンコール」を使うことにより、各国通貨の差を無くし、石油・ウランなど海外依存している資源を使用するよりも、自然エネルギーを利用した方が効率が良くなる、と訴えている。
■有権者が主張しよう
今回、地球温暖化というテーマで各政党・候補のHPなどを一通り目を通した。どの政党・候補が、本当に地球温暖化防止のために貢献するのかは、本ブログの読者の皆さんも、 ご自分で見比べて、判断していただければと思う。本来ならば、主要政党の各議員のサイ トを見比べたかったのだが、時間の関係で今回は断念した。ブログ読者の皆さんがご自分 の選挙区の候補のサイトを見たり、街頭演説を聴くなどして、判断してもらいたい。
その他、環境政策ネットワーク「エコロ・ジャパン」がまとめた“参議院選 2007 候補者の「環境通知簿」”というサイトもある。この「環境通知簿」の評価方法に関しては、
・加点形式のみで環境破壊につながるような活動をしていても減点されることがない
・与党と野党、大政党と少人数の政党の、国会質問での持ち時間の差を考慮していない
など、公平性に関しては、私個人としては大いに異論もあるのだが、こうした情報をまとめる姿勢自体には、敬意を表したい。
大切なことは、有権者が政治家、特に自分の選挙区の政治家に対し「地球温暖化を何と かしてほしい」と訴えることである。多くの場合、政治家は有権者が関心を持たないことには、関心を持とうとしない。中には、自らの信念として環境問題に取り組む政治家もいるが、そうした政治家たちも世論の後押しを必要としているのだ。「どうせ、誰に投票しても同じ」という無関心さが、ますます政治をダメにしていく。有権者が変わらない限り、政治が変わることはありえないのだ。
カテゴリー[ ホットトピックス ], コメント[2], トラックバック[1]
登録日:2007年 07月 11日 18:11:53
コメント
(・o・) これは勉強(参考)になります。
何が大切か・・ そこから絞って各党を比較すると
答えが出てきますね
えん @ 2007年 07月 12日 22:35:53
おまえは気違いか?
スパイラルドラゴン @ 2008年 07月 15日 23:10:25
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技術革新の視点から以下の論点を述べる。エネルギー問題が揶揄されている中で、日本は資源大国にもなりうる可能性がある。昨今の原油高騰は、日本にとってチャンスなのではないだろうか?その一つが、海底に潜むメタンハイドレートである。見た目は氷に似ているが、火をつ...
date:2007年 09月 08日 01:37:12
- プロフィール

- 志葉 玲(シバレイ)
- (男)
- HP:志葉玲Official Web Site
- ■1975年生まれ。番組制作会社を経て2002年からフリーに。イラク、レバノンなどの紛争地での現地取材の他、地球温暖化などの環境問題、共謀罪など国内政治まで幅広く取材している。
■志葉関係の本が相次いで出版されました!二冊とも、御一読いただければ幸いです。
『川田龍平 いのちを語る』 (川田龍平 著 志葉玲 写真/明石書店)
『たたかう!ジャーナリスト宣言 ボクの観た本当の戦争』(志葉玲 著・写真/社会批評社)
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