被爆63年目の核大国ニッポン

63回目の「原爆の日」、広島で平和祈念式

【8月6日 AFP】6日、63回目の原爆の日を迎えた広島市の平和記念公園(Peace Memorial Park)で、平和記念式典(原爆死没者慰霊式・平和祈念式)が営まれた。(c)AFP

AFPBB News


 毎年、この頃になると、少年時代を思い出す。何故なら、小学生の頃、私は広島に住んでいたからだ。近所の山や川などの遊び場だけでなく、平和公園や原爆資料館も、私にとって非常に印象深いものだった。今、私が戦争や環境問題を取材しているのも、広島にいたことが大きいのかもしれない。

 そして、毎年のように思う。核の本当の恐ろしさを知る数少ない国であるのに、なぜ、核を捨てられず、核に依存するのかと。

続き)
■長崎型原爆32発分のプルトニウムが首都圏を通り輸送される

 この5月と7月の2回にかけて、長崎型原爆32発分のプルトニウムを含む核燃料が、茨城県の東海村から首都圏を通り、福井県へと密かに運ばれた。1995年に、冷却材のナトリウムが漏れ、あわや大惨事かという事故を起こした高速増殖炉「もんじゅ」が、今年10月の再稼動を目指し、新たな燃料を必要としていたからだ。

 だが、もんじゅは、先月10日、原子力保安院からも「点検・連絡体制が不十分」として、12項目もの改善点が指摘され、同24日には「部品の取り付け誤り」という単純ミスで、冷却材を循環させる主ポンプ6台全てが停止するというトラブルに見舞われている。

 通常の原発でも、万が一の被害は甚大だが、「1gで100万人分」というガン毒性を持ち、「史上最悪の毒物」と呼ばれるプルトニウムを多く含む燃料を使う、高速増殖炉が事故を起こしたら、と思うと空恐ろしい。実際、故・高木仁三郎氏は、生前、もんじゅの危険性をこう警告していた。

 「炉心内のプルトニウムの1%が粉塵となって吹き上げられ、高度200m、風速毎秒3mで周囲に流れていった場合、24~25㎞以内の住民は、10人に1人以上がガン死に至る。74㎞の距離にある京都北部は人が住めなくなる。140㎞の範囲の大阪市や神戸市でもコンクリートの建家に避難しなければならない。最終的には内部被曝の晩発性効果によって20万人ものガン死をもたらす」


■プルトニウムを量産する悪夢の施設

 プルトニウムと言えば、忘れてはならないのが、青森県の六ヶ所村の核燃料再処理施設だ。その危険性については、過去にも触れたので(関連記事)、ここでは省略するが、最大で年間8トン(!)ものプルトニウムを生産するとは、もはや正気の沙汰とは言えない。
長崎型原爆で言えば約1000発分、ガン毒性は全人類を1200回以上、ガンにさせるというもの。しかも、変動地形学が専門の渡辺満久教授(東洋大学)によれば、六ヶ所村再処理施設の直下に活断層がある可能性が高く、これが沿岸部海域の「大陸棚外縁断層」とつながっている場合、マグニチュード8クラスの地震が起きる恐れがあるという。


■被爆国の日本こそ、核を捨て自然エネルギーを

 常々、思うのだが、核がもたらした災厄を味わった日本だからこそ、「核の平和利用」などという幻想(というより、むしろ欺瞞)を捨て、自然エネルギーを中心とする国づくりを始めるべきだろう。それなしには、広島・長崎の人々の「核兵器廃絶」を訴える声を掻き消すことになる。なぜなら、核兵器を持とうとする国は、決まって「核の平和利用」を掲げてきたからだ。また、被爆労働者や劣化ウラン兵器の被害者など、大事故がなくとも、新たな「ヒバクシャ」は増え続けている。

 グッドニュース・ジャパンでも書いたが(関連記事)、今や自然エネルギーの積極活用は世界の潮流だ。その中で、日本はいまだに核に固執しているが、世界最先端の太陽光発電パネルの技術、周囲を海に囲まれ大規模な洋上風力発電が行える、火山国ゆえの豊富な地熱エネルギー、山が多く急峻な地形と豊富な降水量を活かした小水力発電、国土を覆う森を生かしたバイオマスなど、日本ほど、自然エネルギー大国になる可能性を秘めた国はそうないのではないか。

 広島・長崎の原爆被害者の無念を晴らすためにも、そして来るエネルギー危機時代に備えるためにも、日本がやるべきことは、核との決別と、恵まれた自然エネルギーの開発であろう。

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登録日:2008年 08月 06日 23:52:09

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プロフィール
志葉 玲(シバレイ)
志葉 玲(シバレイ)
(男)
HP:志葉玲Official Web Site
■1975年生まれ。番組制作会社を経て2002年からフリーに。イラク、レバノンなどの紛争地での現地取材の他、地球温暖化などの環境問題、共謀罪など国内政治まで幅広く取材している。

■志葉関係の本が相次いで出版されました!二冊とも、御一読いただければ幸いです。

『川田龍平 いのちを語る』 (川田龍平 著 志葉玲 写真/明石書店)

『たたかう!ジャーナリスト宣言 ボクの観た本当の戦争』(志葉玲 著・写真/社会批評社)
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