■隣りのひと
<第63回ヴェネチア国際映画祭>香港映画『夜宴、The Banquet(原題)』上映会開催 - イタリア
【ベネチア/イタリア 3日 AFP】先月30日に開幕した「第63回ヴェネチア国際映画祭(63rd Venice International Film Festival)」で3日、フォン・シァオガン(Feng Xiaogang)監督映画『夜宴、The Banquet(原題)』上映会が開催された。
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(c)AFP ALBERTO PIZZOLI
夏も終わりに近づき、惠子は先日買っておいた
秋物のワンピースに袖を通した。
そう。 今日は中学校の同窓会。みんなと何年ぶりに
会うのだろう。
『祥子元気かな? 健二郎、おじさんになってるんじゃ..』
惠子は38歳。中学を卒業して23年になる。
まだ独身。早く結婚したい。だけど相手がいない。
会社に素敵な男性はいるのだけれど、すでに妻子もち。
当たり前だよね。。
そんな中にも気になる人がいた。
席が隣りの男性。
惠子より2つ年上。
岸田課長だ。
課長は仕事が早い。長身。180㎝は越えていると思う。
阿部寛似でスポーツ万能。登山もする。
部署の女性はみんな岸田課長が好きだと思う。
おしゃれだし、優しいし。
だけど課長はすでに結婚している。妻子もちだ。
少しプレイボーイ的なところもある。
実は惠子は課長と一度だけ、
一緒に夜を過ごしたことがある。
誰にも話していない。
同僚に話したら瞬く間にうわさは広がってしまう。
言いたいけど、我慢。
去年の冬、課長が風邪で休んだとき、惠子は書類を届ける
ために岸田課長の家に行った。
何度、チャイムを鳴らしても出てこない。
『奥さんはいないのかな。。』
書類をポストに入れて帰ろうと思ったその時、
玄関のドアが開いた。
「課長?....」
「ごめ..ん、ゴホゴホッ..」
「大丈夫ですか!?」
「届けてくれてありがとう」
「あの~、奥さんは?」
「子どもとスキー合宿行って、いないんだ..」
「そうでしたか。。。風邪大丈夫ですか」
「大丈夫だと、言いたいところだけど...」
「熱は?」
額に手を当ててみる。
「すごい熱!! 早く横になってください!」
「仕事の方は私たちでちゃんとやりますから、心配しないで
くださいね」
「では、お大事に..」 と言いかけたところで 突然、
課長の腕が
惠子の背中にまわった...
「!?」
一瞬、息が止まってしまうかと思った。
心臓の鼓動がわかる。ドキドキドキ............
課長の身体は熱かった。
‘寂しいしんだ’ と聞こえたような気が した。
いつも笑顔でバリバリに仕事して 誰からも好かれている
岸田課長。
その声は弱々しく同じ人物とは思えないほどだった。
強引に課長の腕をふりほどき
「なに言ってるんですか 課長らしくない....」
惠子は、すでに泣いている自分に気づいた。
10代の頃、似たような思い出があった。
卒業する少し前、惠子は隣りの席の男子生徒に
突然、言われた。
「寂しくなっちゃうな」
「えっ?」
「俺はこのクラスが大好きだったんだ。楽しいし、先生も好きだし」
「みんなとも別れちゃうし...」
「そうだね。もう、卒業だもんね!」
「おまえ、やけに嬉しそうだな。寂しくないの?」
「そりゃぁ寂しいけど、
これから好きな道に進む期待の方が大きいかな」
「ふ~ん....」
「俺はおまえと離れるのが寂しいよ」
惠子は卒業前に男子生徒に言われた一言と
課長の言葉が重なった。
あの時、男子生徒の気持ちを受け止めてあげられなかった。
そして何年も月日が過ぎ、惠子も大人の女性になった。
女の子ではない、大人の女性に。
課長の意味していることはわかる。
大好きな岸田課長........。
......................................
..............
「惠子?」
「やーん、祥子!!久しぶり~!会いたかったよぉ」
惠子は同窓会の会場で久しぶりに会う級友たちと手を取り合った。
「知ってる?松尾くんと白石さん結婚したんだって!」
「えーーっっ、あの2人、つき合ってたっけ??」
「ううん、大学が一緒になって、それからつき合いだしたらしいよ」
「中学のときの同級生と結婚するって本当にあるのね。すごい!!」
級友は少しも変わらず、あっ、でもちょっと変わったか 笑
話しをすると15歳の自分達に戻ったよう。
昔ばなしに花が咲いた。
「健二郎と会ってる?」
「えっ」
「またまたぁ~、あれから健二郎とつき合ったんでしょう?」
「何のこと?」
「健二郎は惠子のことが好きだったのよ。ずーっと。。」
「惠子、しっかりしてよ、もう!本人だけが知らないってやつ?」
『知ってるよ....分かってるよぉ......』
‘俺はおまえと離れるのが寂しいよ’
惠子の頭の中でこの言葉が何度もこだました。
健二郎は来なかった。
本当は一番会いたかった人。
あの時の返事をしたかった。
恥ずかしくて言えなかった 言葉。
久しぶりに会った級友たちと、また会う約束をして。
帰り道、今日のことを思い出すと
急に惠子はひとりぼっちになったような気がした。
‘さびしいな’
一人暮らしのアパートに着く少し前
後ろからバイクの音がした。
自分の後をついてくるような気がした。
そして惠子の前を塞ぐようにバイクは止まった。
「なっ、なんですか?!」
その男性はヘルメットをぬぎながら、こう言った。
「俺だよ!オレ!元気だったか?」
隣りの席でいつも冗談を言い合っていた男子生徒
笑顔の健二郎だった。
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登録日:2006年 09月 04日 08:34:29
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