時計のなかの記憶

リンカーンの懐中時計に刻まれたメッセージが明らかに、米国

【3月11日 AFP】南北戦争で北軍を率いた米国の第16代大統領、エイブラハム・リンカーン(Abraham Lincoln)の懐中時計の内部に、ある言葉が刻まれていたことが明らかになった。
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(c)AFP

AFPBB News


由子は家にある壊れたボンボン時計がいつも気になっていた。

ねぇねぇ この時計鳴らないの?

家族に聞いても誰も答えてくれない。

いつから鳴らなくなっちゃったの?

新聞を読んでいた母親が由子に視線を落として
言った。

10年前の2月28日だよ。

そういうと母親はまた新聞を読み始めた。
顔を隠すように何か見られたくないように

新聞に顔をうずめて
こちらの視線を遮断するように

また新聞を読み始めた。

ねぇ、このボンボン時計、直してもいい?
時計屋さんに頼もうよ。

テレビを見ていた兄は
聴こえないふりをしたように

新聞を読んでいた母親は

じゃあ、明日、駅前にある時計屋さんに
行っておいで。
と言ったきり、何も話そうとはしなかった。


由子は、いつも想っていたことがあった。

家族にこの時計のことを聞くと
話さそうとしない。
いい顔をしない。

この鳴らない時計に何か秘密があるのかな
とも思った。






朝になり、由子は身支度をして駅前にある時計屋を尋ねた。

その時計屋はいつもショーケースも何もかも綺麗にしてあって
そこの店の主人はいらっしゃいませと言う代わりに
お得意様から預かった時計のなかを分厚いレンズで覗き込んでいた。

店の主人の奥さんが出てきた。

あのぉ、この時計、直してもらいたいんですけど。

奥さんは目を見開いて

この時計、いつから壊れているの?
と聞いてきた。

由子は答えた。
10年前の2月28日です。

そう。
と奥さんは返事をして

その後

大事にしてきたのね。ほら、ここ、
ここも 
針も

綺麗よ。普通はね、そんな前に壊れていたら
ほこりもかぶるし、色も汚くなってくるのよ。
家族の人、この時計のこと大事にしてきたのね。

由子は少し不思議な気持ちになった。

あのぉ
この時計のこと家族に聞いても
話すのが嫌そうで
誰も直しに行かないから
わたしが来たんです。
直してください!

直していいの?
このままの方がいいってこともあるし。
もしかしたらこの、針がさしている時間を
家族の人は大事にしてるんじゃないかしら。


時間?


止まってしまって音も鳴らないけど
この時計は、大事な時間を守ってるんじゃないかしら。

直して動きだしたら、針はこの時間から遠ざかっていくわ。

6時45分を指しているけど
何か思い当たることはない?

6時45分・・6時・・・4・・5・・ふん
10年前・・・

由子の頭のなかに何かが浮かんだ。

あのぉ、その日は父が亡くなった時間です・・。

店の奥さんはホッとしたように由子を見つめ

良かった。思い出したのね。
あなたの家族はその時間をいつもこころに留めているのよ。
本当は、そんな時間思い出したくないかもしれないけど
どこかで胸にしまっておきたいんじゃないかしら。
この時計を見るたびに思い出すことは多いかもしれないけれど
この針が未来の時間を指すことに絶えられないかもしれない。
この針が過去の時間を指すと、思い出が蘇ってくる。

あなたは記憶にないの?

あることは、たしかにあるんですが
断片的にしか憶えていないんです。

時計は先の時間に行くことも出来るし
反対回しにすれば過去にもいける。

あなたの時計は、このままの方が
幸せなのかもね。




家に戻って由子は家族に時計屋の出来事を話した。
母親も 兄も
なにも言わなかったが

由子のこころはホッとした。

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登録日:2009年 03月 15日 23:00:08

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プロフィール
月見里 薫 (Yamanashi kaoru)
月見里薫のアーティストさん いらっしゃ~い☆
出身地・・・東京都
血液型・・・O型

音や色。香りが好き。
想いを言葉にするのが好き。

写真が好き。
本を読むのがすき。

自由な時間
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自由な想いが 好き。

遠い記憶をよく覚えている。
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匂い。予感。泣き虫だった自分。

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