鼻故障

■公演が終わってから、腰痛の爆発にはじまり、続けて風邪をこじらせて、そして今度はその風邪が、何やら鼻炎に移行したようで(秋の鼻炎というのがあるんですってよ)、ここ何日も、鼻がこわれて、ものすごく、何ていうか、ちょーつらい。

 こうなるとやっぱり、人間の体というのは、全部が連動してる機械のようで、こわれているのは鼻だけなのにもかかわらず、そのことで、気は散るし、目はかすむし、体はだるく、何も手につかない。
 「ええ。ぼくはぼくのことをよくわかっておりますとも。何せ自分のことなのですから」などと、普段偉そうにぬかしてても、こうして、鼻ひとつ、思うように動かせず、鼻水たらして途方にくれる。それは、台風や地震といった自然の猛威に、踏んだり蹴ったりされて、途方にくれるときと似ていて、ていうか同じで、自分の体も含めての「自然」を前にして、ただただ「ぼく」は、この嵐が過ぎ去ってくれるのを、祈りつつ、待つしかない。
 いや。それも全部含めての、ようするに、それが「ぼく」なのか。ということは、「台風」も「地震」も、全部?

■先日、NHKで、「あきこうまえ茶屋」という名前の小さな店のドキュメンタリーをやっていて、途中から見たのだけど、それがすごくよかった。
 秋田の高校の前にある、プー太郎みたいな風貌のにーちゃんが、何とかやりくりするその店は、ものすごく安くお茶も飲めて、簡単な食事もできるうえに、駄菓子屋でもあるから、子供や、年寄りや、たぶんプー太郎や、学生といった、国家にとっては役立たずな人びとが集まってきて、だらだらだらだらいろんな話をして、たむろして、帰っていく。壁や柱には、みんなの落書きがあって、本もたくさん置いてある。あれで、あの奥に劇場があって、そこで劇や映画が見られたら、まさに理想の場、ていうか「劇場」ではないか、と思った。
 少しこ汚いから、きれい好きには敬遠されるかもしれないけれど、入ってみると、平日休日にかかわらず、いろんな人が(そのほとんどは役立たずなのだけど)そこにはいて、どーでもいい話をだらだらしゃべったり、訳のわからない絵を描いたり、むつかしい本を読んだり、雑音みたいな音楽を聞いたりしてて、お茶も飲めて、飯も食えて、それも安くて、見ると、奥に黒い扉があって、そこはどうやら劇場で、それはちょっとだけ怖そうで、だから、芸術を必要とする人たちと、勇気のある数人の子供たちだけが、そこで、何かの「なれの果て」みたいな人たちがする、劇や、踊りや、音楽にひたれて。みたいな。

■しかし鼻。とりたい。とって洗って、2日ほど日干しにしてから、あらためて、装着したい。

■いま、藤枝静男という小説家の小説を読んでいて、これがもう、べらぼうにおもしろい。何となく、こむつかしい文で書かれているから、こむつかしいのかと思ったら、『田紳有楽』(たしんゆうらく?)というやつでは、池に沈めた丼鉢や皿が、金魚と恋をしたり、空を飛んだり、地下にもぐったり、人にばけたりしながら、いろいろあーだこーだ考えたりしゃべったりして、『空気頭』というやつでは、中年の男が、究極の精力剤は「うんこ汁」だということを知り、それをいろいろ研究していろいろする、とかいう、そんな話。それを藤枝静男は「私小説」だというのです。すごいでしょ。

藤枝静男『田紳有楽・空気頭』講談社文芸文庫

■しつこいけど、しかし、鼻。鼻炎の薬を飲んだら、鼻汁は治まるけど、ぼーっとして眠たいし、口はかわくし、何やねん。

■いま、上に「ぼーっとして」と、小さな「っ」を書いて、いまさらながら、小さな「っ」は発音しないことに気がついた。これって、ようするに、そこは短い無音の状態、ということで、だから小さな「っ」は無音記号で、文のなかに「無音記号」がある言葉なんて、日本語以外にあるのでしょうか。

■今回から「■」を導入してみた。飽きたらやめる。

コメント[8], トラックバック[0]
登録日:2009年 10月 15日 03:07:30

コメント

鼻ツライですね。
ただでさえぼーってなるのに、クスリ飲むと薬効果でまたぼーって。
鼻と喉のクスリは眠くなる成分が入ってるとかで、一日とろーんてしちゃいます。

やはりホドホドに元気と言うのも難しいですね。
何かしてたら間違いない、なんてことはないですから。
ちょっと頑張って、ちょっとだらーんとすることにします。

よこ @ 2009年 10月 15日 11:29:57

山下さんの頭の中をのぞいてるみたいでおもしろい

みー @ 2009年 10月 15日 20:32:24

 鼻炎に誘発されて喘息まであらわれはじめました。秋きらい。

>頭の中

 ああそうか。ならもっと脈略なくていいのか。

山下 @ 2009年 10月 16日 20:02:41

春とか秋とか曖昧な季節が大好きですが、やはりすんなりとは馴染めなくて風邪引いちゃいます。
美味しいものがいっぱいで空気が澄んで空がキレイで、嬉しいこといっぱいなんですけどね。
楽しめたらいいです。

よこ @ 2009年 10月 16日 23:29:35

喘息、大丈夫ですか?

そのお店(?)
わたしの友人宅近所にできたお店を連想しました。
子供達から「ヨウヘイ」と呼ばれるその人物は
もともと日がな一日公園で過ごしていた人物で、
ある日、自宅のガレージを改造したような店舗(?)を構え、
公園で、もともと自分は引きこもりであったこと、子供達と仲良くしたいことなどが書かれたチラシを配ったらしいです。

「ヨウヘイ」はカードゲームの仕方などが得意らしく、
駄菓子やラムネなども置いてあって
口コミで子供達の間では大人気。
今や、学校帰りに「ヨウヘイんとこいこーぜ。」となってるらしいです。

う~ん、いいね。
わたしもそんないかがわしい匂いのするお店やろうかな。

優子 @ 2009年 10月 16日 23:36:55

 ヨウヘイの店、いいなあ。

山下 @ 2009年 10月 17日 03:06:40

へー、私小説ですか。すごいですね。

のげ @ 2009年 12月 08日 15:17:02

 すごいですよ。ほんとに

山下 @ 2009年 12月 09日 04:20:01

コメントを追加

Trackback

この記事に対するトラックバックURL:

カレンダー
< 2009年 10月 >




1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
プロフィール
山下澄人
FICTION WEB
FICTION構成員の日々
YAMASHITASUMITO+59
演劇映像絵音楽小説等等々。