凡夫あっての「父」ではないか

「インスタントラーメンの父」の葬儀、「京セラ・ドーム」で「宇宙」がテーマ - 東京

【東京 24日 AFP】日清食品は24日、「インスタントラーメンの生みの親」で1月5日に96歳で死去した同社元会長安藤百福さんの社葬を来週、大阪の野球スタジアムで行うことを発表した。
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(c)AFP/Yoshikazu TSUNO

AFPBB News


 少し前、新聞のコラムで、このインスタントラーメンの「父」の追悼の文で

『ほとんどの、私(このコラムの書き手のことですね)をはじめとする、おおくの凡夫はたとえ生まれてきていなかったとしても歴史に大きな変化はなかったであろう。だけれど、こういう人こそ生まれてきてくれてなかったら大きく歴史は変わっ

ていただろう』(ちなみに「凡夫」とは広辞苑によると。煩悩に束縛されて迷っている人、普通の人、凡人、とある。)

 という意味合いのことが書かれてあるのを読んだ。

 とても穏やかな文調で(ま、追悼文ですから)、それなりにしみじみと書かれており、ぼんやり読みながら「まあなぁ」と、そのときはとくにひっかかりもせずに読み終えたのだけれど、しばらくして何か小さく突き刺さる小骨に気がついた。

 おおくの凡夫は、たとえ生まれてきていなかったとしても、大きく歴史に変化はなかったであろう?

 そうか?

 たしかに、その人のいわんとする、いわんとしたい「角度」はわからないではない。この「父」がいなけりゃ、インスタントラーメンは発明されておらず、それに付随する諸々のいろいろなことも実現されておらず、だから少なくとも今に至る食の歴史は大きく変化していたであろう、といいたかったのだろう。ま、この「父」が発明しなくとも、よその「父」がいずれ発明していたんじゃないの?とかいう、それこそ凡夫の意見はともかくとして。

 だけれども、膨大な歴史を考えれば、どんな凡夫も生まれてきていなければ、どこかで何か大きな歴史の変化は、やっぱりあるのではないか。

 それは何も「人はみな平等」的な「凡夫にもそれなりの人生。小さいけれども凡夫なりに大きな歴史」的な観点から書こうとしているのではなくて、もっと数学的な意味合いで、だから、この「父」のように生まれてきてなかったら大きく歴史は変わっていたであろうといわれる人が、生まれてくるためには、遡ること、まあ100万年でも200万年でも300万年でもいいけれど、とにかくあるとして、そこには膨大な数多くの凡夫の存在がなければ「父」だって生まれてきてなかったはずで、という科学的な意味合いからの屁理屈で。

 だって。

 何百万年か前の、何の取り柄もない雄ザルと雌ザルが出会って交尾して子を産んでを数代くり返した末に、ま、人っぽいサルになって、でその人っぽいサルの、これまた何の取り柄もない雄と雌が交尾して子を産んで、それを数代経て、人になって。でそのうちに、そのまた何の取り柄もない人の雄と雌が交尾して子を産んで、その子のどれかが、よその誰かを殺したりして、それがどう結びついていくかは書き出すときりがないし、妄想しだすときりがないからいちいち書かないけれど、だけどそういう直線的ではない事態も経ながら、どこぞのまたこれ何の取り柄もない雄と雌が交尾して子を産んでをくり返した何世代を経て、そしてその結果、この「父」が「ぽこ」っと生まれてきた訳でしょ。

 となると、今いたるところにいる数多くの凡夫も、いずれ何かのどこかにつながる可能性は、みな秘めているわけで、そうなると、やっぱり凡夫の誰が欠けても歴史は大きく変わる可能性は大いにある、ということになる訳でしょ。でしょ?

 ま、別に、社会に対する貢献度でその人の価値をはかるその理屈に命あるかぎりまっこうから逆らいたい「凡夫ですが何か?」な派な僕なので?有名な芸能人や、大きな会社の社長が死ぬたびに?「これでまたひとつ昭和が終わった」とか書くコラムとかどうでもいいっちゃあいいのだけれども、それでもだけど、その「人」がいたか、いなかったかで歴史が大きく変わったであろうということを、そんなに大事な出来事としてとらえたいのなら、こんな高卒の役立たずに突っ込まれるような書き方じゃなくて、もう少し厳密に書きなさいよ、とは思う。

 ていうか、思った。

 ていうか、そう思ったことを、思い出した。

 

コメント[3], トラックバック[0]
登録日:2007年 02月 27日 00:52:27

コメント

>おおくの凡夫は、たとえ生まれてきていなかったとしても、大きく歴史に変化はなかったであろう・・・

こんな事をゆわれて、兄さんのように
「しばらくして何か小さく突き刺さる小骨に気がついた」 
つうのは、かなり成熟した『おとなな人』なンぢゃないかと思う。

多くの凡夫のバヤイ、そこで追悼してる人に  

「は!」

てなモンだろうし、  稀な凡夫なら、キレちゃう!!
多くの人の人生を全否定してるぢゃないか。  
つうか、「アンタ、なんぼのモンぢゃい!!」 なんてゆっちゃいそうで、怖い。 
「アンタだって、アンタの歴史の中で意味ねぇなんて思っちゃねぇだろ」
くらいの事は、ゆってやりてぇ。
虫の居所が悪けりゃ胸ぐら摑んで ・・・ 泣く・・?

凡夫だって、いろいろある訳だし、それなりに頑張っているつもりだし、たまにゃ泣いたり、芝居観て元気になったり、酒呑んでわかんなくなったり、近所のおばちゃんに「あんた、ええ人ぢゃ」ってゆわれて、いい気になったり、・・・
凡夫ってゆわれりゃ凡夫だけど、ある意味主役気分になったりする訳だから、どの歴史を指してルのかしんないけど、凡夫まとめて「変化しねぇ」なんて、ゆわせたかねぇ!

で  ・・・思った。

「兄さん、おとなだ」

凡夫A @ 2007年 02月 27日 10:29:30

すっきりー!
私ひっかかる派。
そんなこと書くコラムのひとはイヤなんだもの。
澄さまの言いっぷりったら、
相手が起き上がる暇もなく連打しつづけるようで爽快ね!

>こんな高卒の役立たずに突っ込まれるような書き方じゃなくて、もう少し厳密に書きなさいよ

で、ノックアウト!!

その変なコラム書く新聞の人、
この劇のお兄さんの作文を読みなさい!

「だけどそういう直線的ではない事態も経ながら」
ここ!これ!ね?わかる?
これがより厳密に何かを伝えようとする人の書き方ですよ。
伝えようとするからこそこういうところにまで行きとどくわけですよ、
「書き出すときりがないし、妄想しだすときりがないからいちいち書かないけれど」
なんて、どう?これを言っておく心づかい!
しかも
「そのまた何の取り柄もない人の雄と雌が交尾して」
を何回か繰り返してると、
厳密に伝わる上に
なんだかロマンティックでしょ!!

桜井浩子 @ 2007年 02月 27日 23:33:19

あたしはいつもいちいち思う。

インスタントラーメン作る時、「これ考えた人すごいなー。」
電話しながら、「これ作った人すごいなー。」
芸人、「人笑かしてすごいなー。」
役者、「台詞覚えられてすごいなー。」

だけどみんな凡夫あっての歴史じゃない。
一人も欠けず凡夫さまさまじゃない。
この書き手はこの人のことを「天才」とでも言いたいのか。

あたしの一番嫌いな言葉、「天才」と。

yuko @ 2007年 02月 28日 05:41:16

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「FICTION 」主宰。映像、ラジオドラマのシナリオも手がけ、2005年には初監督作品「ON THE ROCK」を発表。
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