頭がいい

チンパンジーの子どもはヒトに勝る記憶力の持ち主

【12月4日 AFP】チンパンジーの子どもが大人のヒトより格段に優れた記憶力の持ち主であることが明らかになった。
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(c)AFP

AFPBB News


 何をもって「頭がいい」というかは、意外にむつかしい。

 僕は二十歳前まで「大学生」とか「大学を出た人」の知り合いがいないような、ある種「野性的」な環境で育ったので、うすぼんやりと「さぞかし大学の人とかは

頭がいい」のだろうと、稚拙な幻想をいだいていたのだけれど、そんなものは知り合ったとたんに崩れた。ていうか当たり前のことではあるけれども、頭の良し悪しに「大学」は関係ない。人による。ていうか今考えれば「大学の人」の頭が悪かったのではなくて、そんな風に疑いもなく考えていた僕の頭に問題がある。

 けども。なら何をもって「そうでもない」と思ったのか。何をもって「そうでもない」と思ったのかが書けたら、何をもって「頭がいい」が書けるではないか。

 と、しばらく考えてみたけど考えつかないので、思い出した話を書く。

 昔、僕は「字」がおぼえられなかった。そのことにいらついた父親が大きな紙に「字」を書いて、棒で「これはっ。これはっ」と指し示し、読めずにいると、その棒で僕を脅かした。というまあ、今なら「虐待」といわれかねないことがあったのだけれど、それでも僕はおぼえなかったものだから、今度は、ひとつ「字」をおぼえたら、ひとつお菓子を僕にあたえる作戦に父は変更した。けども、残念ながら大した成果はあげられず、しまいに父は断念し「ま、いずれおぼえるやろ」と、ようやくまともな態度にもどった。

 で。棒で脅かされはじめたとき、当初、僕はうろたえた。「これはまずいことになった」と慌てた。けれども、何度も脅かされているうちに、そんなに怖くもないということがわかってきた。亡き父の名誉のために書き添えておくと、父も野生派ではあったけれども鬼畜ではなかったので、そうそう棒で僕を殴りつけたわけでもなかった。だから僕もそのことを見切って、ビクついたふりをしながら、肝心の「字」をおぼえるという僕にとっていちばん「いや」な作業をしのいだ。

 次のお菓子作戦は、はなから問題にならなかった。戦時中ならいざ知らず、お菓子なんてどこででも手に入るのだから、そんなものにつられて「字」をおぼえる気になんかなるわけがない。育った時代を戦前生まれの父は読み違えたのである。

 ちなみに。だからいまだに僕は「字」にうとい。

 と、ここまで書いてひとつ思い当たる。あいかわらず何をもって「頭がいい」というのかはいまだ、むつかしい問題だけれども、それでももし、このチンパンジーが、そんな風に、僕が父の罠から逃れたように、博士の罠を逃れて「数字を瞬時におぼえようぜゲーム」から逃げ出そうとしたりしたら、ていうか逃げて、博士なんかにはその目論みが読み取れずに「素質なし」の烙印をおされたりした奴がいたとしたら、抜群の記憶力の持ち主の優等生よりも「頭がいい」ような気が、何だかするのですけど、どうでせう。

 もちろん、そのことを書きながら「僕は頭がいい」と書きたい訳なんかではない。僕は「人」だから、どうやらそのことで「頭がいい」なんてことにはならない。むしろ「そうでない」側に入れられる。けども、だけど「チンパンジー」がそうしてたとしたら、うちのバカな「猫」が実はそうしてたとしたら、となると「人」でも、と思うと、まあここらでまた、何をもって「頭がいい」というのか問題に突き当たるのだけれども、長くなりそうなのでもうやめる。

 ていうかだいたい。チンパンジーの何かが人より優れているというのなら、瞬く間に木に登ったりする身体能力でしょ。テレビによく出て来て芸をする「何とかちゃん」とかいうチンパンジーが、前に運動選手とウンテイとかロープ登りとかを競争してたのがあって、で、やっぱりびっくりするくらい早くて、人間に仕込まれた芸をしているときには何の興味もなかったけど、そのときはじめてそのチンパンジーのすることに僕は驚きましたもの。
 
 12月ですね。みなさん、おそろしいことに、今年も間もなく終わりますよ。
 

コメント[4], トラックバック[0]
登録日:2007年 12月 05日 03:12:10

コメント

そのひとが、そのひとのすることをすればすばらしい気もする。
そのチンパンちゃんが、そのチンパンちゃんのすることをすればすばらしいように。
かっぽうぎを着た磯野フネさんが、いつものように、いつものとおりに作る晩ごはんは
すばらしく美味しいのだろうなとか。
山下澄人は山下澄人の作文を書いていて私のようなファンが大喜び。
ていうか、おとうさまも、「字」をそんなに覚えさせたかったなんて。
息子さんは「字」どころか、台詞を組み立てていらっしゃいます。

桜井浩子 @ 2007年 12月 06日 01:26:54

師走になりました。
銀杏、紅葉の葉が色時期を終えて、足元にじゅうたんを広げて
その上をカサカサさせて歩くのは、楽しいです。

『そのひとが、そのひとのすることをすればすばらしい気もする』

ほんと、そうですね。

『やらされている。』
と受け取ってやると、身に付かないし・・・。
そうすると、チンパンは、例え美味しいものにつられているにしろ自分の意識で『やる』。のか・・・。
その、生まれもった能力に、あった作業なのか・・・。

生まれてこのかた『頭がいい』と言われたことはありませんが、
いまさら、『頭がいい』といわれたら、
その人の頭は良くないと思ってしまう、その私の頭は、『いい』
というのか、『悪い』のか・・。(素直でないのか)

問題に突き当たったので、終わります。

kumi @ 2007年 12月 06日 14:04:28

考えることの出来る人…

詰め込み教育では人の魅力は醸し出せないし、つまらない。
答えを導く過程やひらめきがその人の魅力。
でも頭がいいからと言って、いい人格とは限らない。

人との係わり合いとの中で考えることの出来る人。
最近そんな人は珍しい。
反面教師にしても、居すぎてグッタリしてしまう。

気持ちに余裕が無いのは師走のせいだけでは無いようで…
セチガライ世の中です。まったく。

頭が悪いよりいい方が良いに決まっているが
気持ちの優しい人であって欲しいな~

街はクリスマス模様。
日陰のイチョウは未だ青々としているのに…
あ~年賀状作らなくちゃ…

季節感無いな~~~~^_^;

kiki @ 2007年 12月 08日 00:35:17

あたしもそろばんの割り算がどうしても理解できなくて
よく親父にそろばんで殴られました。
最近で言う虐待以外の何物でもないです。

そういえば東大出身の社会人がエレベーターに乗って
その方向を向いたまま立っているという話を聞いたことがあります。
アホやろ。

今年も終わりですね。おそろしいですね。

yuko @ 2007年 12月 09日 01:43:22

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プロフィール
山下澄人
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FICTION構成員の日々
「FICTION 」主宰。映像、ラジオドラマのシナリオも手がけ、2005年には初監督作品「ON THE ROCK」を発表。

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