時間
当たり前だけど年は少しずつとる。ごくごく当たり前だけれど、これはなかなか大変なことなのである。
老化は突如おそいかかってくる訳ではなく1ミリずつ徐々に来る。チリが積もって山となる。それは太るのに似ている。ただ、老化は後戻り出来ないけど太ったの
は何とかなる。余計なものを食わなきゃいい。動けばいい。怖い目にでもあえばいい。
ぼくは子供のときから視力だけは自慢で、調子が悪くても1・2。良ければ2・0でやってきた。遠くの看板をすらすらと読み上げては「おお」とまわりをうならせていた。それがある日、ガチャガチャに入っている説明書きを読んでいるとき、そこに書かれた小文字がかすんでいるのに気がついた。
目の老化。老眼である。
だけど、その時点でそれが老化だなんて、小指の先ほども思わない。思えるわけがない。読もうとしていたのはガチャガチャの説明書きなのである。ガチャガチャで老化に気づきたくない。疲れ目か、何か薄い膜のようなもの(膜って)が目に「入りやがったな」ぐらいにしか思わない。ていうか思えない。けれどもそうしてかすみ続けたある日、ぼんやりと、忘れていたことを思い出したように「老化?老眼?」という言葉に思い至り、少し愕然とする。
けども。これはまだ徐々にだから少し愕然とするくらいで耐えられるのである。こんなものが突然襲ってきたら人は耐えられない。1ミリずつ時間をかけて老いていくから、まだ、笑ってられる。
だから時間というものは、すごいのである。少しずつ「経つ」から、たいがいの物ごとは風化し、変化し、ほっとける。
ということで、しばらく更新出来ずにあれしてたらずいぶんたくさんのコメントをいただいて、っていうかそのうちいくつかは自分ですけど。ありがとうございます。
あ、それから。『SHIFT』というオンラインマガジンの「People」という欄でぼくのインタビュー記事がのってます。黒い犬の絵が目印です。よかったら見てみてください。
アドレスはこちら http://www.shift.jp.org/ja/
コメント[5], トラックバック[0]
登録日:2008年 03月 20日 04:34:06
コメント
山下さんの書く文は、興味深い視点で、スーッと読めちゃう文体の面白さはもちろんですが、本当に「私もそうなのぉ!!」と思うコトが多くて、「私も視力そうなのぉ!!」と今回も楽しく読みました(笑) 先日、知人が話題!?のレーシック手術をし、0.1未満が1.5になって、世界がこんなに明るいとは思わなかった、と言っていました。残念ながら、老眼は治らないようですが。 10歳離れている姉が3年前から老眼鏡をかけているので、遠視気味の私も恐ろしいです。
ガチャガチャって、何欲しかったのかしら(笑)
SHIFTインタビュー読みました。
〈…「書けるかなあ」と少しだけ躊躇しましたが、つまらないものはわかっていましたので…〉これが山下さんの凄いトコなんだって思った(*^_^*) 創作には試行錯誤や時には遠回りしてならではの発見もするけれど、いつもだらしない怠け者みたいに言っているけれど(言ってない?(笑)) 自分のしたいことがちゃんと見えているんだな、と思った。いいものをつくるには、悪いものをちゃんと見極められないといけないんだな…って。いいものの判断は人によって違うけれど、山下さんから生み出されるものらの、ぶれない強さ、創作活動の原点なのかな、と感じた。そのぶれなさ加減が、いい感じにいい加減でこれまた、にくいトコなんですが(笑)何事も芯あっての創作の広がりってことなのかな~な~んて、エラそうに…
パチンコと懐かないネコとの、ぼんやり生活かと思いきや(笑) どうして、どうして、小説ぅ~~?映画のきゃくほぉ~ん? それにワークショップに、フォログに、メルマガ…おぉぉ~~素晴らしい♪
小説は、山下さんの近所の〈なかなか趣味のいい本屋さん〉に置かれたら、うふふっ♪ですね~。
kiki @ 2008年 03月 20日 12:22:59
初めてコメントします。
山下さんの劇やフォログをいつも楽しみに拝見しています。
「気軽にコメントしてくださいね」って言われて少ーしその気なった途端、私の一番苦手な数字もの!
何億年、何万光年と言われても、間抜けたように「へぇ~」とか思うんだけど、実際何の感慨もなくコメントのしようもなく、ものすごい遠い将来、地球が大変なことになるのだろうなぁ・・・と思いつつ、やっぱりそんな事はすぐ忘れて生きているから私もいい加減な人間です。だから幸せかな・・・と思って、今日フォログを覗いてみたら!!!
わかりやすいテーマといつもながら何の抵抗もなく入ってくる山下さんの文章!そうそう!そうなのよっ!としか書けない私の乏しい表現力もワークショップで少しは、磨かれるかしら?それも楽しみです。
前置きが長くなりごめんなさい。
今回のテーマで衝撃的なのはやはり「時間」・・・知らず知らず
経ってしまう「時」の怖ろしさ。
さらにショックなのは「太る」ことと同じでと言われ、じわりじわりやってくるという、まるで何の自覚もないような、どうにでもなるようなあの一行!悲しい・・・
この一年間に私は劇的に太ったのです!!そうじわじわっと。
でもどうにもならないの!事はそんな簡単ではないの!!って涙で画面が歪みそう・・・
そして気がついたらかすんで見えるのは「目」ではなく、「頭」のせいなのです。
頭の老化・・・徐々にくるから耐えられそうな気がするけど、失語症になったように言葉がでなくなる「その一瞬」はある時を境いにはっきりと自覚し愕然とするものです。
書くことは私にとってはリハビリなのです。
山下さん、コメントを書いたり読んだりされる皆様、私のリハビリにお付き合いさせて申し訳ありませんです。
邪魔が入ったので初回はここら辺で失礼いたします。
これほんまにちゃんと行くのかしら???
nana @ 2008年 03月 21日 18:00:28
確かに。怖い目にあうと痩せます。
病的に痩せます。
yuko @ 2008年 03月 22日 02:29:56
おばさんが、青年を見て「かわいい!!!」とか言っているのを聞くと、何だか寒~い感じがして、こんな大人にはなりたくないな…と思っていた。なのに、今日、世界フィギュアスケート男子の20代半ばのジェフリー・バトル(ショート1位)を観て思わず「かわいいっ!!!」と言ってしまった自分にびっくりした(笑) 年とってみて初めてわかる真実…(笑) 外人は特別、特別…とまだ自分に言い聞かせている私(笑) あっ、フリー始まった!真央ちゃんに続いて、髙橋大輔、ガンバレ~~(*^_^*) 伊藤みどりさんの時代は、とにかくジャンプが成功するかの時代だったのに…最近の日本人は全身力強く、それでいて柔らかい演技で、自信にあふれていて見ごたえ充分♪
山下さんはもう富良野かな~?
しばらくここ、静かになりそうですね。さびしい。
kiki @ 2008年 03月 23日 00:09:04
時間ってほんと凄いですよね。
昔、『時をかける少女』やら、外国のタイムトラベラーやらマシンやら、自分が主人公になった気分で、ドキドキしていまいた。
過去にさかのぼったり、未来にいったり。。なにげない日常のやり直したいことをなかったことにしたり・・・。
時間空間のねじれには、遭遇したことありませんが、徐々にくる老化には今、体験中です。。
老化も山下さんと楽しみながら、受け止めていけたらいいですね。
10年20年たっても・・。FICTION を楽しみにしていられたら楽しいですよね。。
kumi @ 2008年 03月 25日 16:35:22
コメントを追加
Trackback
この記事に対するトラックバックURL:
- プロフィール
- 山下澄人
- (男)
- FICTION WEB
- FICTION構成員の日々
- 「FICTION 」主宰。映像、ラジオドラマのシナリオも手がけ、2005年には初監督作品「ON THE ROCK」を発表。
新作公演 FICTION Vol.30「しんせかい」
東京公演
8月5日(火)から10日(日)
@THEATER/TOPS
富良野公演
9月5日(金)・6日(土)
@富良野演劇工場
旭川公演
9月8日(月)・9日(火)
@シアターコア
札幌公演
9月12日(金)から
15日(月・祝)
@シアターZOO
- 最近のエントリー
- [07/18] 怒濤の日々
- [06/30] おもしろいこと
- [06/26] 1度目に劣る2度目
- [06/07] 窓外の木
- [05/28] 呪いに負けぬ心
- [05/16] ややこしさ溢るる実物のややこしさ
- [04/28] いえてるけどいえてないこと2
- [04/21] いえてるけどいえてないこと
- [04/16] 記憶の捏造再び
- [04/03] ワークショップ
- カテゴリー
- 月別アーカイブ
- 2008年 07月 [1]
- 2008年 06月 [3]
- 2008年 05月 [2]
- 2008年 04月 [4]
- 2008年 03月 [2]
- 2008年 02月 [3]
- 2008年 01月 [5]
- 2007年 12月 [3]
- 2007年 11月 [3]
- 2007年 10月 [5]
- 2007年 09月 [1]
- 2007年 08月 [1]
- 2007年 07月 [3]
- 2007年 06月 [3]
- 2007年 05月 [3]
- 2007年 04月 [4]
- 2007年 03月 [3]
- 2007年 02月 [4]
- 2007年 01月 [3]
- 2006年 12月 [3]
- 2006年 11月 [3]
- 2006年 10月 [4]
- 2006年 09月 [3]
- 2006年 08月 [4]
- 2006年 07月 [5]
- 2006年 06月 [3]
- 2006年 05月 [5]
- 2006年 04月 [3]
- 2006年 03月 [3]
- 2006年 02月 [5]
- 検索