ひとまずの終わり

 東京での公演が終了した。

 梅雨明けしたはずなのに、毎日、天気が悪いと思ったら、後半は暑くて、てまあ、ほとんど劇場の中にいるのでぼくらにはまったく関係ないのだけど、でもだか

ら、そんななか来てくれた人たちにはとても感謝で、今回は内容がそうさせたのか、複数回見てくれた人がたくさんいて、そんなこともあわせて、ありがとうございました。

 まだ北海道でのツアーが、それも東京での公演数よりも長いツアーが待っているので、全然終わってないし、むしろ今回の劇の山場はもしかしたらこれからなのだけど、東京での公演期間中とても体も気持ちも「楽」で、こんなに疲れなかった公演も珍しくて、そのことに驚いた。だって、本番中に、出てた少年と、そのおっかあがうちに泊まりに来たりして、夜中の3時までPSPしてたりしたもの。ま、その次の日、少年は熱を出したりして、あきらかにみんなに「大人の、ていうか責任者のお前が何やってんねん」的な目で睨まれたりしたけど。

 それから、結局最後まで、やってる最中、次のシーンが何だったかがわからなかった。北海道の真ん中あたりになれば理解するのだろうけど、東京での何回かでは無理だったみたいで、毎回、楽屋と舞台をつなぐせまい場所に貼られた「シーン表」を見ながらやった。そんなことは芝居をはじめてから、たぶんはじめてで、そのことがやりながらすごくおもしろかった。だって、何回も稽古して、自分で書いてて、演出してて、なのに本番中、次のシーンがわからないなんて、ものすごいことじゃないですか?

 まあとにかく、そんな風味の劇だったから、何人かに「あそこのあそこはどういうこと?」的な質問をされたのだけど、そこはぼくにもよくわかってないからこたえてない。とかいうととても不思議そうな顔をされるのだけど、だけどそれは、からかってるのでもなくほんとうで、でも、ふだんの生活って、けっこうそういうアバウト感満載で、それでもほとんどそのことに何の不思議も感じてない。たとえば、よく知っていると思っている人の親の名前や、生まれた経緯、というかだから、その人がそこにいることの「理由」なんかよく知らないけど、だけどその人のことをよく知っていると思えていて、ていうか思っていて、で、別にそれで不都合もない。大体、みんな「大体」でやってけてる。

 なのに劇や映画やドラマだと、多くの人らがすべてのことを知りたがる。中にはそれがすっきり理解できないと、怒る人もいる。絵や音楽だと、わからない、ということが、それほど批判の対象にならないのに、劇や映画やドラマになると、とたんにそういう人が多くあらわれる。どうしてだかよくわからないけど、そう。ぼくだって別に、ただ「わからないものがいい」と意固地な擁護をしているわけではなくて、わかりやすかろうと、わかりにくかろうと、結局は、その作品がどこへ向いているかだと思うのだけど、そんなことはともかくとして、わからない、ということだけで「つまらない」という人がいる。

 へんなの。

 ただ、ひとつ申し訳なかったのは、舞台が低くて、いくつかのシーンがとても見にくかったとの声があったこと。舞台をいちばん高くして何とか努力はしてみたのだけど、そういう声がいくつかあって、それはもうごめんなさいというしかない。今度あそこでやるときは、大きい人はうしろ、みたいにしてみようか。予約段階で身長を申告してもらって、ってうそ。たぶん次は劇場を変える。

 ひとつ終わるといつもそうだけど、1日眠くて、寝てばかりいる。それもすごく小刻みに寝る。だから「何」という話ではないけど。

 昨日「は」と気づいたのだけど、ぼくが手書きでお手紙まで入れて個人的にDMを出した人のほとんどが、ずっと来てくれてないのに気がついた。みんな忙しいからと、今までとりたてて気にもしてなかったけど、よく考えてみると、それはさすがに少しおかしいと気がついた。えー、おれ、嫌われてたりするの?だからそのことに気がついて、いまに見ていろ売れたとき「山下などと気安く呼ぶお宅は誰?ああ、はいはい、○○さんね」とかいってやると、20代の頃のような頭の悪い遠吠えをしたりして、昨日の午後、ちょっとだけ泣きそうになったけど、でももう平気。

 ふふふ。

 さ、またひと月後、世界を変えにいきますよ。北へ。

コメント[14], トラックバック[0]
登録日:2009年 07月 29日 03:57:12

コメント

>毎回、楽屋と舞台をつなぐせまい場所に貼られた「シーン表」を見ながらやった。

いつも暗転すると、次なんだっけーって思って、で、音楽や音が出てくると、ん?って、思って、明るくなる直前に、もしくは完全にそのシーンが見えてから、あーーーこれかっ!!! って。シーンによっては誰かが出てきてもわからなかった(笑) それは私が覚えようとしていなかったからなのでしょうけれど… 6回観てもあやふやでした(笑) だから、話の筋で成り立っているものじゃないということがはっきりとわかる。みんなよく間違えないなーと思っていたら、そうか!!!シーン表を見ていたのか(笑)

全回観ようと思っていたから、必死に拾おうとせず、目の前で起こっていることをひたすら楽しんだ。あー、山下澄人って、すごーい☆って二日目に思った。一回だけで思う人もそれはたくさんいると思うけれど、複数回観るコトで感じるワクワクもまたそれはそれはあった。
日に日に自分に蓄積されていく様々なおかしさ、楽しさ、感動、恐怖(笑)、そういうものがいっぱいいっぱいになって、初めて最終日に眺めるように観られた。またそこで『ディンドンガー』のもっと大きな新しい面を感じて、これはかぶりつきで観ても、眺めるように観ても楽しいなーと思った。富良野の大きさも、シアターコアの小ささも、めーいっぱいはみ出ておもしろいと思います。そこで、どうシアターZOOへ転がっていくのかもまた楽しみですね。

東京公演が終わって、3日目、すごくシーンがランダムにふわっ、ふわっ、と浮かんできて、それは公演みたいで、様々なコトを反芻する楽しさを今味わっている。それは、観た私の中に『ディンドンガー』が染み込んで、私の何かになったということなのか。とても私の中の何かは、ほんわかしています。それはもう、山下澄人からは解き放たれ、勝手に私の中で膨らませて味わっています。

これまで楽しんできた人も、これからも楽しもうと思っている人も、見逃したら、悔やむ劇です。それはもう本当に。

kiki @ 2009年 07月 29日 15:10:16

>ちょっとだけ泣きそうになった

「うぅぅぅ、みんなしてボクのこと無視しやがって〜、、、」
と夕暮れの校庭を駆け抜け、
「ちきしょ〜、今に見てろー!ゴンッ!!」
とサッカーゴールを蹴飛ばし、
強く蹴りすぎて足首を痛めピョンピョン跳ねてる、
痛悔し泣きする、こどもやました君が目に浮かぶようです。

大きくなったら見返してやるんだよ〜。

>次のシーンが何だったかがわからなかった。

映画やドラマの世界じゃよくあるというか大抵そうだよね。
時間軸通りになんか撮影しないから。
そういう意味で舞台は特殊。
時間経過に沿ってシーンが作られて行く。
そうか、舞台であってもそれを敢えて壊して作ったら、
それはそれで面白そうだなー。
というか、ディンドンガーはそういう風にも見えた。
時間軸は壊れてないけど因果律が壊れてるんで、当然戸惑う。
暗転して新しいシーンが始まる。
そうすると、観客はさっきまで観ていたシーンと今観ているこのシーンがどう繋がるのか、、、と一所懸命頭の中で考える。
で、答えが見つからないうちに再び暗転!(笑)。
シーンとシーンとの繋がりが全くないわけじゃないのだけれど、微妙にその整合性が崩れている。
見え隠れするストーリーと、不条理劇ちょい手前くらいで行ったり来たりしている、その塩梅がすごくいい。

がぶん@@ @ 2009年 07月 29日 22:29:19

きゃああああ。
北ツアーたのしみー!!!!!!!!!

ハタノ @ 2009年 07月 30日 01:52:31

>みんなよく間違えないなーと思っていたら、そうか!!!シーン表を見ていたのか(笑)

 そういうことだったのです。2度ほど、出番のシーンじゃないのに暗転のなか、舞台に出て行きましたからね、ぼく。我ながら「へえ」と驚きました。

>大きくなったら見返してやるんだよ〜。

 いやもうほんとに、何年か経ってようやく気がつきましたよ。わははははは。

>北ツアーたのしみー!!!!!!!!!

 はいどうぞ、超お楽しみに。今回の演奏はいいよー

山下 @ 2009年 07月 30日 02:25:45

今回の舞台にも色々お誘い受けて、がじんも来るハズだったのにドタキャン、電話も通じず!
、、、、それもそのはず、京都警察にパクられ中だったー^、ははははははヤクザー!。今もまだ京都だけど。。。。

がぶん@@ @ 2009年 07月 30日 13:33:49

 えーー。

 そうですかぁ。見てほしかったのに残念です。みんなにも会わせたかったなぁがじんさん。

山下 @ 2009年 07月 30日 16:35:42

>2度ほど、出番のシーンじゃないのに暗転のなか、舞台に出て行きましたからね、ぼく。

(笑)(笑)(笑)
舞台裏でも、おかしいこと満載のようで、おもしろそう(*^_^*)
これがツアーになったら、盛りだくさん、ですね、きっと。
女子も多くて、少年もいて、わーなんだかにぎやかで、楽しそうな一行♪

kiki @ 2009年 07月 31日 01:42:54

 満載ですね。むしろ裏の方がといってもいいくらい。FICTIONはとにかく片付けがへたくそなので、舞台裏はいつもすごいことになっていて、いつも大体、何かが異様ににおっています。わはは。

山下 @ 2009年 07月 31日 02:26:49

〉楽屋と舞台をつなぐせまい場所に貼られた「シーン表」を見ながらやった。
そっかぁ(笑)見てる側がなんだっけなーってなるのも無理ないってことですね。

〉2度ほど、出番のシーンじゃないのに暗転のなか、舞台に出て行きましたからね、ぼく。
えーっ(汗)そのまま明転してたら...(笑)

〉昨日の午後、ちょっとだけ泣きそうになったけど、でももう平気。
私なら、ちょっと泣きます。
でも、前に久し振りに雄大さんの舞台に行った時に「8年も来ないで!」と言われて、めちゃめちゃ驚きましたから、そんなこともあるかもです。

〉さ、またひと月後、世界を変えにいきますよ。北へ。
〉はいどうぞ、超お楽しみに。今回の演奏はいいよー
うきゃーっ、これは行かないと後悔するかなー。
だって、「超」お楽しみに。だもの。
あれ?「演奏」?

ヨコ @ 2009年 07月 31日 12:24:48

へそ祭り終わりました!
次は、FICTION祭り!!(笑)
楽しみにしてますよ!。でも客席タリルカナ~

イトウフラノ @ 2009年 07月 31日 23:52:16

>あれ?「演奏」?

 そうなのです。もうあれは「演奏」なのです。

 あ、でイトウフラノさん。いろいろ任せた(笑)。問題作持っていくからねー

山下 @ 2009年 08月 01日 03:34:33

〉そうなのです。もうあれは「演奏」なのです。

なるほど、演奏なのですね。
てことは...澄人さんは指揮者、でしょうか。

ヨコ @ 2009年 08月 01日 10:26:38

>てことは...澄人さんは指揮者、でしょうか。

 指揮者というよりは、バンマス。指揮者は演奏しないけど、ぼくはぼくも演奏するし。

山下 @ 2009年 08月 02日 01:24:42

あ、そっか。
バンマス、なるほど、しっくりです。

ヨコ @ 2009年 08月 02日 11:56:53

コメントを追加

Trackback

この記事に対するトラックバックURL:

カレンダー
< 2009年 07月 >



1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
プロフィール
山下澄人
FICTION WEB
FICTION構成員の日々
YAMASHITASUMITO+59
演劇映像絵音楽小説等等々。