8月15日に
【東京 14日 AFP】東京都内の広域で14日朝、停電が発生した。関係当局や報道によると、複数の鉄道路線が一時不通となったほか、交通渋滞が発生するなどした。東京電力の広報担当者はAFPの取材に対し、停電は午前7時38分に発生し、都内の広域および千葉県で影響が出たと話している。写真は14日、東京メトロ東銀座駅で、停電事故発生を乗客に知らせる電光掲示板。(c)AFP/Kazuhiro NOGI
14日の首都圏の大停電にはびっくりした。ちょうど電車に乗ろうとしたときで、たまたま私の乗る電車は大幅に遅れながらもなんとか動いたので助かったが、人身事故でも架線故障でもなく停電だといっているのに、その原因もわからず妙に胸騒ぎがした。
ロンドンでのテロ未遂の直後だけに、東京もすわテロかと。
まあ、本当に純粋に事故による停電だったということがわかり、テロの危惧は免れてその点は安心したものの、送電線の切断というきわめてアナログな事故で現代社会が深刻な打撃を受けることがまた露呈されたわけで、うーんデジタル社会も結局アナログな攻撃にかくも弱いのかと考え込んでしまった一日であった。
で、ロンドンのテロ未遂である。
9・11の恐怖もまだ記憶に新しいのだが、相変わらず自爆テロは止む気配はない。今回の逮捕者も17歳や19歳の少年も含まれていて、痛ましい。自爆テロを使命と考え、任務を遂行しようとしたその少年の心が。
<今日は>
おりしも、今日は終戦記念日である。日本でも多くの少年たち(もちろん少女たちも。そしてそのひとりが私の母であり、父であり、その兄弟たちである。まだ私たちの世代までは戦争は身近にある)が戦い、自ら命を皇国(と信じる日本)のために捧げた。決して遠くない日のことである。
私の両親の、その兄弟たちの世代、と書いたが、実際母の兄である伯父はひとり息子ながら少年兵として志願し、中国を転戦、なんとか命長らえて復員したものの、戦傷病者として一生を病院で過ごした。
夫の父はビルマで九死に一生を得たが、やはり病をかかえ、遅い結婚をした後も死ぬまで戦争のことを話すのはおろか、戦争のテレビを見ることさえ嫌がった。
その弟である叔父はやはり少年兵として志願した特攻隊の生き残りで、鹿屋から出撃したものの、エンジンの不調でどこかの島に不時着し、二度目の出撃を待つ間に終戦を迎えたという人である。
<その違いはどこに>
自爆テロのニュースを聞くたびに、あの戦争の特攻隊を思う。特攻生き残りの叔父は、おめおめ生き残って、という苦い思いがなかったわけではなさそうだったが、血のつながりもない私にその本心を伝えることはなく、意外なほどの明るさでその生き残った経緯やら、訓練時の話やらを淡々と語り、当時の航空帽(というのか?)を子どもにもかぶらせてくれたりもした。
一方ビルマ帰りの義父は前述したように戦争当事のことについては一言も口を開かず、テレビで戦争の場面にたまたま行き当たったときには顔をしかめ、傍から見てもその苦痛が手にとるようにわかった。
兄弟ではあっても性格が違うといえばそうなのかもしれない。それでも義父と叔父の戦争への思いの違いは、あの戦争を直接には体験していない私にも不思議だった。特攻というきわめて特殊な経験をし、奇跡的に生き残った叔父のあの明るさは何なんだろう、と折にふれ考えていた。
そこにロンドン自爆テロ未遂の犯人として名前のあがった少年たち、である。
先に痛ましいと書いたが、叔父と重ね合わせてみると、いやその根幹にある宗教も環境もまったく違うから完全に重ね合わせるのは無謀だろうが、それでも想像することは可能だ。
戦争の何たるか、前線で戦った義父とは戦争へのとらえ方が違ってくるのは仕方ないのではないか。特攻の兵士は出撃するまでは比較的安寧に過ごしていたと聞く。
自爆テロの少年たち(少年に限らないが)もきっと戦争の何たるかは知らないのではないか。その独特の宗教観と教育により自己犠牲を美化することはあっても、自爆することにより起きる被害者や残された家族の痛み(それを戦争と言うこともできるだろう)については想像が及ばないのであろう。
そして流れる血や吹き飛ぶ体・・・。
戦争はアナログだ。頭の中で考え美化する行動は一種のデジタルなのではないか?
・・・などということをつらつら考えている今日、終戦記念日。
そして今日の靖国参拝にこだわった小泉首相ももちろん戦争を知らない。
タカ派の戦中派だった中曽根首相も海軍のお偉いさんだから、前線は知らないのだ。
戦中派にだってデジタルは存在する。
カテゴリー[ 独断と偏見・時事 ], コメント[9], トラックバック[0]
登録日:2006年 08月 15日 20:13:03
コメント
私は、つい最近「アナログな死」に直面して、死の捉え方がガラリと変わりま
した。
死の重み、そして生の重みを、忘れてはいけないな、と思っています。
高瀬 @ 2006年 08月 16日 11:11:16
高瀬さま
重い経験をなさったのですね・・・。デジタルな死などあるはずもないし、あっていいはずもないのですが。
8月15日を子どもたちにちゃんと伝えられているのか、心もとなく思っています。
すずか @ 2006年 08月 16日 20:14:10
小泉さんはステレオタイプの政治家の典型だと思う。
特定の団体との公約を実現するために
最後の最後でやりました、終戦記念日の靖国参拝。
あのときほど「こいつキモイ」、と、思ったことはない。
くぼ@赤ウサギ @ 2006年 08月 16日 21:40:28
少しばかり偉い地位だったらしい私の叔父は
とてもお聞かせできない内容を「戦時中の経験」として
酔った勢いで話します。逆説的にとらえる事は不可能、
「恥」と胸の痛みを強烈に感じます。
ところで、長いブログスランプに苦しんでいます。
自分のブログにタッチできるまでリハビリさせてください。
bonao @ 2006年 08月 17日 17:51:04
くぼさま
昨日の朝日、半藤さんの文章、すばらしかった。
自分の頭の中を整理させてもらった気がしました。
小泉さんへの違和感がこれでわかった気がしました。
bonaoさま
ブログ更新がないので忙しいんだろうと思っていました。
ブログがストレスにならない程度に無理しないで更新したいときに気楽にね。
でも待ってます。
おじさん・・・困る。
すずか @ 2006年 08月 17日 22:08:33
最近新聞を読んでいない私は、回収袋から引っ張り出してきて半藤さんの文章を読みました。ねっこは右派だと思うんですがね、見てきた人(彼の場合は空襲現場)の平和に対する思いってのはやはり筋が通ってますね。安倍ちゃんなんか、ホント、小泉以上に危なっかしいと思いますよ、はい。
テツ @ 2006年 08月 19日 22:23:12
テツさま
ねっこは右、というかそういうものの考え方ってあの世代、うちの親なんかにも共通する意識だと思います。うーん、なんと言っていいか・・・。いけいけどんどん、ではないことは確か。当たり前か。
すずか @ 2006年 08月 20日 09:51:20
死んだじぃちゃんが、やはり戦争の話は一切クチにしないというタイプでした。
私が感じる戦争の悲惨さは、情報の域を越えません。
戦争を知らない人間が戦争を語り、その悲惨さを伝えるというのもおかしな話ですが、でも、それ以外に伝える方法もないんですよね。
藤原Hikki @ 2006年 08月 21日 05:39:44
藤原さま
そうですね、伝える側ももう戦争を知らない世代なんですよね。
しかし、体験することはできなくても、追体験することはできると思います。実感することは。
同じ時代、同じ場所にいなくても、きっと伝えられるはず。
そう信じたい。
すずか @ 2006年 08月 21日 19:45:04
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- 福岡は玄界灘に面した町で生まれ育つ。
九州大学卒業後、国と外郭団体にて女性労働行政に携わった後、大学の生涯学習研究所や弱小業界紙、大手進学塾の採点室を経て、現在、ライター&介護生活佳境&3人の子育て終盤戦。
「女・年寄り・子ども」の視点から、介護・おシゴト・受験・ちょこっとエコについて書いています。
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