-- 高尾のおじいちゃんへ
【ガジエ/レバノン 10日 AFP】南部の都市シドン(Sidon)の南3キロの村ガジエ(Ghaziyeh)で9日、イスラエル軍の空爆により民間人6人が死亡、28人が負傷した。現地では前日の攻撃で死亡した14人の葬儀が行われていたが、そこから500メートルしか離れていない地点が空爆された。この地域ではイスラエル軍とイスラム教シーア派武装組織「ヒズボラ(Hezbollah)」との間で激しい戦闘が続けられている。写真は空爆の犠牲となった2歳の少女の遺体を運ぶ男性。(c)AFP/ANWAR AMRO
●永眠
先日、母方の祖父が亡くなった。
前立腺、腎臓、肝臓等、全身を癌に蝕まれて闘病中だったが、母が看病の為
東京へ向かった11日に容態が悪化し、日付が変わって12日の午前0時30分、
息を引き取った。79歳だった。
私は、死の瞬間に立ち会う事は出来なかったが、最期は殆ど苦しみを感じる事
も無く、静かに旅立っていったと言う。
●表情
母方の祖父母は、住まいがJR中央線・高尾駅の近くなので、私や私の兄弟は
幼い頃から母方の祖父母の事を、「高尾のおじいちゃん、おばあちゃん」と呼ん
でいた。
高尾のおじいちゃんは、とても厳しい人で、ちょっと怖くもあり、しかし非常に頼
りがいのある人だった。
……記憶を辿ると、様々なおじいちゃんの「顔」が見えて来る。
小学生か中学生の頃、キャッチセールス(当時は、キャッチセールスの存在す
ら知らなかった)に引っかかってポカーンとしていた私を、凄まじい剣幕で怒鳴
りつけて勧誘員から引き離してくれたおじいちゃん。
母が産まれた頃の苦労話を、何となく懐かしそうに語ってくれたおじいちゃん。
病床でも、瞳は凛々しさを失わなかったおじいちゃん。
幾多もの表情が、私の中から浮かんで来る。
●雫
私にとって、2親等以内の親族の死に直面するのは、初めての経験であった。
その為、13日に行なわれた通夜と、14日に行なわれた葬儀・告別式で遭遇し
た数々の出来事は、殆どが未知のものであった。
通夜や、葬儀での僧侶の読経が、長唄のように聞こえた。
斎場に来ているにも関わらず、母が「病室に○○が置いてあった(筈だから取
りに行く)」といったような事を口走り、周囲の爆笑を誘った。
(実際には、斎場の控室に置いてあった物の事を指していたらしい)
焼香の際、暗記していた筈の手順を綺麗さっぱり忘れてしまい、結局は斜め
前に座っていた父のやり方を真似て事無きを得た。
懇談での、私に関する話題の半分以上が「肥満」「ダイエット」「メタボリック症
候群」に関するものだった。
約2年ぶりに会った弟が、驚くほど医学知識に精通していた。
(弟は、現在大学5年生)
父が、かつて喫煙していた事を、生まれて初めて知った。
(父は、現役の呼吸器内科医)
……何となくドタバタしていたような気もするが、とても素敵な葬式になった。
身内だけのささやかな葬式だったので、騒々しさに巻き込まれる事も無く、大
きなトラブルにも見舞われず、静かにおじいちゃんを見送る事が出来た。
……私は、葬式では絶対、涙を流すまいと心に誓っていた。
「男のくせにメソメソするな」と、おじいちゃんに一喝されそうな気がしたし、感
謝の笑顔で見送りたい、と考えていた。
だが、出棺の時だけは、どうしても堪え切れなかった。おじいちゃんの胸元に
花束を置いた時、みっともない涙がボタボタと、床に零れた。
●重さ
火葬が終わり……
おじいちゃんの骨壷を抱えた時には、もう涙は零れなかった。
天を見上げると、雲空にはいつしか、青い晴れ間が広がっていた。
あの空の向こうへと旅立っていったのだな、という気持ちが、自然と心に満ち
ていた。
その後、僧侶の話を聞く機会があった。
話の内容の大半は、記憶から抜け落ちてしまっているのだが、
「骨壷の重さは、殆どが『壷』の重さ」
「人が亡くなった後も、その人との思い出を作っていく事は出来る」
「故人、仏様の為にも、生き抜き、死に切らなければならない」
という言葉だけは、鮮明に心に刻まれている。
●リアルさ
身近な人の死に接した事で、それまで漠然としか捉えられなかった「死」のリ
アルさを、痛感させられた。
死のリアルさは、裏返せば「生」のリアルさに直結する。
死の重みを意識しながら、毎日を大切に生きていきたい。
おじいちゃん、立派になった姿を見せられなくて、申し訳御座いません。
おじいちゃんの言葉や生き方を思い返しながら、これから頑張って生きてい
きます。
本当に、有り難う御座いました。
カテゴリー[ ココロ ], コメント[3], トラックバック[0]
登録日:2006年 08月 16日 02:33:07
コメント
おじいさまをお亡くしになっていたのですね・・・。
きっと高瀬さんのことを見ていてくださっていますよ。
お力落としのないように・・・。
すずか @ 2006年 08月 18日 14:24:49
ありきたりな言葉ですが、ご愁傷さまです。
死は誰にでも必ず訪れるものとわかっていながら、自分の親や兄弟は、絶対に死なないでいつまでも生きていると信じたいです。
死も人生の一部とはよく言われることですが、それでも、やはり簡単に死を受け入れられるものではありませんよね。
でも、死は永遠の別れではないと考えます。
まぁ、生まれ変われば前世の記憶はないのだから、同じようなものかもしれないけど、それでも、高瀬さんのおじいさん、来世でも絶対にあなたと深いご縁があると思います。
これからも、おじいさんの魂を大切にしてあげてください。
藤原Hikki @ 2006年 08月 21日 05:49:20
>すずかさん
お気遣い有り難うございます。
四十九日の日取りも決まり、身辺もようやく落ち着いてきました。
祖父に怒られないよう、大切に人生を築いていこうと思っています。
>藤原Hikki さん
不思議と、今は「居なくなった」という感覚よりも、「今もどこからか私の事
を見ている(睨まれている?)」という感覚のほうが上回っています。
もう、会う事も話す事も出来ない訳ですが、これから私が生きていく中で、
「こんな時、おじいちゃんならこう言うだろうな」等と考える事が、僧侶の話
していた「思い出を紡ぐ」事なのかな、と思っています。
牧人 @ 2006年 08月 26日 23:37:06
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- 高瀬 牧人
- [・・Office Q3・・]
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1978年12月4日、石川県生まれ。10歳から福井県で過ごす。
大学卒業後、IT関連企業等に勤務。現在は、個人事業主としてライティング、コンテンツ制作等の各種業務に取り組んでいる。
ライティングやウェブコンテンツ制作等のお仕事を承っております。詳しくは、上記ウェブサイトをご覧下さい。
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