-- そして、物語は続いていく
<競馬>武豊/ディープインパクトの応援に駆けつけた日本人競馬ファン - フランス
【パリ/フランス 1日 AFP】世界最高峰の競馬レース、第85回・凱旋門賞(Prix de l’Arc de Triomphe)がフランスのロンシャン競馬場(Longchamp racecourse)で行われ、日本から参戦した武豊(Yutaka Take)のディープインパクト(Deep Impact)は、ゴール前の直線で一時は先頭に立つも、後続から追走するステファン・パスキエ(Stephane Pasquier)騎手のレイルリンク(Rail Link)、クリストフ・パトリス・ルメール(Christophe Patrice Lemaire)騎手のプライド(Pride)にかわされ、健闘の3着に終わった。
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(c)AFP/BERTRAND GUAY
●惜敗
フランスのロンシャン競馬場で現地時間の10月1日、伝統の凱旋門賞が行な
われ、ファーブル厩舎の「第三の馬」と目されていた3歳馬レイルリンクが優勝
した。日本から、海を渡って果敢に挑戦した昨年の三冠馬・ディープインパクト
は、最後の直線で一旦は先頭に立ったものの、勝ち馬、更に6歳牝馬のプライ
ドに差されて3着。欧州勢以外の凱旋門賞優勝という偉業は、またも来年以降
に持ち越しとなった。
鞍上の武豊騎手はレース後、「ディープ本来の走りではなかった。直線にはい
い形で向けたが、もう一つギアが入らない感じだった」とコメントしている。確か
に、いつものディープインパクトならば直線で先頭に立つ際、「弾け飛ぶような」
次元の違うスパートで後続を突き放すのだが、凱旋門賞ではその鋭いスパー
トが見られなかった。
●敗因は…
ディープインパクトの敗因としては、欧州の競馬を一度も経験していなかった事、
ロンシャンの馬場が(日本に比べて)柔らかく、スピードを活かし切れなかった
事、勝ち馬との斤量差(3歳馬は、4歳以上の馬よりも負担重量が3.5キロ軽い)
等が挙げられている。どれも正論ではあるが、決定的な敗因とまでは言い切れ
ない。
私個人としては、宝塚記念を使わず天皇賞後に欧州へ渡り、ステップレースを
一つでも使っていれば結果は変わっていたかも知れない、と考えているが、こ
れも所詮後付けに過ぎない。
ただ、収穫が何一つ無かったレース、という訳ではない。戦前に、ライバルとし
て名前の挙がっていたハリケーンラン、シロッコには先着しているし、勝ち馬に
完膚無きまでに叩きのめされた訳でもない。そして、日本の競馬ファンやマスコ
ミ等に、それほど悲壮感が漂っていなかった事も、救いだった。
「また来年、挑戦すればいい」
「繰り返し繰り返し、挑戦を続けていけばいい」
その通りである。世界の頂が霞んでしまった訳ではない。
ディープインパクト級の強い馬を作り、2歳、3歳のうちから海外の大レースに積
極的に挑み、海外で戦う為のノウハウを蓄積していけば、いつか必ず「世界」は
獲れる。
●海外の脅威
ところで、日本時間の1日、中山競馬場で行なわれたスプリンターズステークス
で、日本勢は一足早く、海外の脅威を痛感させられていた。
このレースには4頭の外国馬が参戦していたが、勝ったのはオーストラリア産馬
のテイクオーバーターゲット。前半から果敢に先行し、直線では更に後続を突き
放すという、完勝であった。スプリンターズステークスは、昨年も香港馬(生産地
はオーストラリア)のサイレントウィットネスが優勝しており、これで2年連続の外
国馬による戴冠となった。
●それぞれの物語
テイクオーバーターゲットは、調教師であり馬主でもあるジャニアック氏が1250
豪ドル(約11万円)で落札した馬である。ディープインパクトもセール出身の馬
なのだが、落札価格は7000万円。昨年の阪神ジュベナイルフィリーズを優勝し
「破格の安値で落札されたG1馬」として話題になったテイエムプリキュアですら、
250万円の値が付いている。
しかし、11万円の馬がこれまでに稼いだ賞金総額は、およそ3億1000万円。
調教師としての収入だけでは生活していけず、タクシードライバーとの兼業で
馬を育ててきたジャニアック氏は、この賞金でコフスハーバーに住宅兼厩舎を
新築し、12年間のキャンピングカー暮らしに別れを告げるとの事。
この後、テイクオーバーターゲットは香港スプリントへの参戦が予定されており、
ここで優勝すると香港スプリントの優勝賞金に加え、100万ドル(約1億2000
万円)のボーナスを手にする事になる。このボーナスを手に入れる事が出来れ
ば、ジャニアック氏はきっと、タクシードライバーを卒業する事が出来るだろう。
馬と人との「オージー・ドリーム」は、まだまだ終わらない。
近年、日本だけではなくオーストラリア産の馬達も、急速に力を付けてきており、
アメリカや欧州のビッグタイトルを狙っている。ニュージーランドや南米等の地
域からも、強い馬が出現してくる可能性がある。馬産は行なっていないが、香
港勢の充実ぶりも著しい。
欧州勢以外の凱旋門賞制覇という偉業を達成するのは、日本馬ではなくオー
ストラリア馬や香港馬かも知れない。力を付けてきているとは言え、日本馬も
油断していれば、すぐさまオーストラリアや香港に追い抜かれていく。
だからこそ、挑戦を続けていかなければならない。たった一度の敗戦に落胆し、
戸惑っている暇は無い。
「挑戦」の物語は続いていく。
「オージー・ドリーム」の物語も続いていく。
「物語」の競り合いが、また新たな物語を創造していく。
カテゴリー[ 競馬 ], コメント[3], トラックバック[0]
登録日:2006年 10月 07日 23:44:16
コメント
いやぁー、ついこの前、ドキュメンタリーでディープのハナシをやっていたのですが、ヤツは天才ですね!
ヒト並!
いや、もしかしたらそれ以上かも!!
あまりの感激のため、1人で泣きながら馬のテレビを観ていました。
即席知識で何ですが、ディープはかなり勝ち気な馬のようですが、今回優勝できなかったこと、どう思ってるんでしょうね。
藤原Hikki @ 2006年 10月 08日 15:26:13
きのう競馬関係の友人で集まって(あ、本当は仕事関係ですが 笑)、飲みました。そこで、ディープの話が出たのですが、アレだけの期間フランスにいながら、トライアルにエントリーしなかったのは、日本では超エリート、合格確実ラインにいたため、模擬試験を受けることなくハーバードを受験して落ちたようなものだ。と言ってる人がいました。鉄のカーテンよりも、前哨戦に走らせて、フランスのレースを肌で感じさせたり、うまくいかない場合はきちんとその課題を見つけ、当日に備えることが良かったんじゃないかと。
うむむむむむむ。
くぼ@赤ウサギ @ 2006年 10月 09日 11:42:45
>藤原さん
頭も良いですし、身体能力もずば抜けていますね。
その強さを、科学的に証明するという試みが、東京大学で行なわれたほど
ですし。
今回、初めて年下の馬や牝馬に敗れた訳ですから、ディープが「悔しい」と
いう感情を持っているならば、きっと相当悔しいと思っている事でしょう。
「悔しい」という感情を、「涙」で表現する事が出来るならば、悔し涙を流して
いたかも知れませんし。
7冠馬・シンボリルドルフが、天皇賞で2着に敗れた際、厩舎で涙を流して
いたというエピソードがあります。
サラブレッドは、人間が想像している以上に、豊かな感情と、その感情を表
現する方法を知っているのかも知れません。
>くぼ@赤ウサギさん
先述しましたように、ディープは非常に頭が良く、また学習能力の高い馬な
ので、本番のコースを一度でも体験していれば、その「経験」を踏まえた競
走が出来たかも知れません。
それでも、勝てていたかどうかは分かりません。
競馬は結果が全てですから、「想像」よりも「現実の未来」に、目を向けたい
ものです。
牧人 @ 2006年 10月 10日 16:20:18
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- 高瀬 牧人
- [・・Office Q3・・]
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1978年12月4日、石川県生まれ。10歳から福井県で過ごす。
大学卒業後、IT関連企業等に勤務。現在は、個人事業主としてライティング、コンテンツ制作等の各種業務に取り組んでいる。
ライティングやウェブコンテンツ制作等のお仕事を承っております。詳しくは、上記ウェブサイトをご覧下さい。
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