-- バンクーバーに向けて
【セストリエール/トリノ 12日 AFP】トリノ・パラリンピック、アルペンスキー滑降・男子座位。日本の鈴木猛史(Takeshi Suzuki)は、1分22秒29をマークし4位でこの競技を終えた。(c)AFP/ALBERTO PIZZOLI
●トリノの成果、そして課題
10日間にわたり熱戦が繰り広げられたトリノパラリンピックが、現地時間の19日
に閉幕した。
日本人選手が獲得したメダル数は、大日方選手、小林選手の金メダル2個を含
む9個。銅メダル3個に終わったソルトレークシティー大会のメダル数を、大幅に
上回った。また、アルペンスキーの立位部門でパラリンピック史上初の日本人メ
ダリストが誕生(男子大回転の東海将彦選手が銀メダルを獲得)する等、新たな
歴史の1ページが記された大会でもあった。
選手やスタッフ、現地入りした応援団等が一体となって、素晴らしい成果を残し
たかに見える、トリノパラリンピック。だが、一方で今後に向けての課題も、浮き
彫りとなった。
●若手選手の育成、そしてサポート
今大会のメダリストの顔ぶれを見てみると、大日方選手が33歳、小林選手、東
海選手が32歳、アルペンスキー回転(座位部門)で銅メダルを獲得した青木辰
子選手が46歳と、ベテラン勢が大半を占めている。ベテラン選手はベテラン選
手で、年齢からくる持久力の衰えを、持久力でカバーする等の工夫に取り組み、
まだまだメダルが狙えるのだという事を証明してみせた訳だが、やはり若手選手
がもう少し活躍してくれないと、次回大会への希望がなかなか見出せない。
実業団チームの創設や科学トレーニング等は、元々実力を備えていたベテラン
選手の総合力向上には効果を発揮したと言えるが、若手選手の育成という点で
は、効果が現れているとは言い難い。才能を秘めた選手を発掘したり、選手層
をもっと厚くしたりといった努力が求められる。
同時に、大舞台で若手選手を支えるスタッフや、体調管理等を行うアドバイザー
の数も、もっと増やしていく必要があるのではないだろうか。今大会、若手のホー
プとして期待されていたアルペンスキーの鈴木猛史選手は、滑降で4位入賞を
果たしたものの、体調を崩してスーパー大回転は欠場、大回転では途中棄権、
回転でも12位と、本来の力を発揮する事が出来なかった。体調管理について
的確なアドバイスの出来る人が、鈴木選手の傍に居たならば、結果はまた違っ
ていたかも知れない。
●メダルまでの「あと一歩」
また、大日方選手、小林選手をはじめとして女子選手の活躍が目立った一方、
男子選手が思ったほど活躍出来なかった点も、気にかかった。アルペンスキー
でもノルディックスキーでも、男子のほうが出場選手数が多いのだが、成績はあ
まり振るわなかった。
と言っても、4位や5位に入賞した選手が居たように、世界トップクラスの選手と
の差がそれほど大きい訳ではない。メダルまで、あと何が足りないのか。それを
研究、分析し、次回大会では是非、男子選手のメダルラッシュに繋げてもらいた
いものである。
●メダルまでの「支え」
そして一番の課題が、パラリンピックに注目するメディアやスポンサーが、まだ
まだ少ないという点だろう。今大会で金メダル1個、銀メダル2個を獲得した日本
のエース・大日方選手でさえ、現役続行について「個人的には(現役を)続けたい
が、時間的、経済的負担が増えれば続けられない」と、複雑な胸の内を明かして
いる。
実業団チームが発足する等、障害者スポーツに対する支援は、少しずつ広がっ
てきてはいる。だが、個人で競技を続けている選手にとっては、資金面でも環境
面でも、依然として支えが足りない。
スポンサーの獲得には、メディアでパラリンピック等が多く採り上げられる事が、
必要不可欠である。そして、メディアでの露出機会を増やすには、スポーツを愛
する人にもっともっと、障害者スポーツに関心を持ってもらう事が必要になる。
選手やスタッフ、スポンサー、メディア、そしてスポーツファン。全ての人々が手を
とり合って、バンクーバーパラリンピックに向け、障害者スポーツの支援の輪を
広げていってもらいたい。
カテゴリー[ ハンディキャッパー ], コメント[2], トラックバック[0]
登録日:2006年 03月 21日 16:21:39
コメント
こんばんは。
世の中いろいろな差別意識に取り囲まれて
とても生き難い現代ですが
その困難を乗り越えて活躍する方々のニュースには
胸を打たれるものがありますね。
くぼ @ 2006年 03月 22日 01:13:18
くぼさん、コメント有り難うございます。
障害者の方々は、自ら背負ったハンディ以上に、多くの障害との戦いを強い
られています。
障害者の方々を妨げているものは、障害者スポーツに対する理解、認知度、
偏見等、実に様々です。
一人でも多くの方が、パラリンピック等の大会に挑戦できるように…。
そして、パラリンピックがその存在感を保ち続ける為に…。
私達を含めたメディアが、もっと積極的に動いていかなければ、と痛感させら
れます。
牧人 @ 2006年 03月 22日 22:51:03
コメントを追加
Trackback
この記事に対するトラックバックURL:
- プロフィール
- 高瀬 牧人
- [・・Office Q3・・]
-
1978年12月4日、石川県生まれ。10歳から福井県で過ごす。
大学卒業後、IT関連企業等に勤務。現在は、個人事業主としてライティング、コンテンツ制作等の各種業務に取り組んでいる。
ライティングやウェブコンテンツ制作等のお仕事を承っております。詳しくは、上記ウェブサイトをご覧下さい。
- 最近のエントリー
- [12/31] -- 追悼2007
- [11/30] -- マンスリー競馬ニュースダイジェスト
- [10/31] -- マンスリー競馬ニュースダイジェスト
- [09/30] -- マンスリー競馬ニュースダイジェスト
- [08/31] -- マンスリー競馬ニュースダイジェスト
- [07/31] -- マンスリー競馬ニュースダイジェスト
- [06/28] -- マンスリー競馬ニュースダイジェスト
- [05/30] -- マンスリー競馬ニュースダイジェスト
- [04/30] -- マンスリー競馬ニュースダイジェスト
- [03/30] -- マンスリー競馬ニュースダイジェスト
- 最近のコメント
- [07/05] -- 馬券の言い訳 K
- [02/26] -- 一年 牧人
- [02/14] -- 一年 すずか
- [02/13] -- 一年 すずか
- [01/21] -- 金融機関に望むこと 牧人
- [01/21] -- ドメイン転売屋の行く末 牧人
- [01/21] -- 骨を支える骨 牧人
- [01/20] -- ドメイン転売屋の行く末 くぼ@赤ウサギ
- [01/17] -- 骨を支える骨 くぼ@赤ウサギ
- [01/16] -- 骨を支える骨 藤原Hikki
- 月別アーカイブ
- 2007年 12月 [1]
- 2007年 11月 [1]
- 2007年 10月 [1]
- 2007年 09月 [1]
- 2007年 08月 [1]
- 2007年 07月 [1]
- 2007年 06月 [1]
- 2007年 05月 [1]
- 2007年 04月 [1]
- 2007年 03月 [1]
- 2007年 02月 [1]
- 2007年 01月 [6]
- 2006年 12月 [7]
- 2006年 11月 [8]
- 2006年 10月 [6]
- 2006年 09月 [7]
- 2006年 08月 [4]
- 2006年 07月 [5]
- 2006年 06月 [6]
- 2006年 05月 [7]
- 2006年 04月 [7]
- 2006年 03月 [14]
- 2006年 02月 [6]
- 検索