大卒2年目、上海市女性公務員の年収は120万円


上海市に住む24歳、大卒1年目の女性公務員が中国のネット上で公開した自分自身の収入明細が話題を呼んでいる。もともと中国の公務員は待遇がよく、中でも上海市は中国を代表する経済都市でもあり、物価水準も全国でも最も高い部類だから、収入が多いであろうことは周知の事実である。しかし、ネットで公開された金額とか手当の類があまりにも高かったので、地方の公務員や民間企業に勤める人々から羨望と怨嗟の入り混じった声が上がっている。

この手の話は私がどうこう言うより、まず事実を見ていただいたほうがいいと思うので、この女性が公開した内容をそのまま解説付きでご紹介する。わかりやすくするために各月の支給分を年収ベースに換算している。

(1元は約14円)

●毎月の基本給
1158.9元。中国では公務員に限らず年間13カ月の支給(1カ月ぶんは旧正月前のボーナス)合計で 1158.9×13=15,065.7元 (A1)

これは入局初年度のいわば見習い給与で、この女性の場合、2年目の来年度からは1550元ぐらいになるそう。なので2年目は 1,550×13=20,150元(A2) となる。

●毎月の住宅積立金
これは持ち家を普及させるための中国の法律で決まった制度で、毎月、給与の一定額を勤務先と本人が強制的に積み立てる制度。会社負担分は将来、住宅購入の資金として使えるので、用途は限定されるが収入の一種になる。
個人負担分と勤務先負担分合わせて 毎月212元。 212×12=2,544元(B1)
これも来年になると計算ベースとなる給与が上がるので、
毎月250元ぐらい。250×12=3,000元(B2)

●毎月のボーナス
ここではとりあえずボーナスと訳しておくが、中国の毎月の賃金は基本給部分と「奨金」と呼ばれる加算支給部分とでできており、これを通常は「ボーナス」と訳している。しかし毎月決まって支給されるものなので、昔日本でもよくあった「第二基本給」みたいなものと思ったほうがいい。
1,500元。1,500×12=18,000元(C1)
これも2年目になると倍になって、3,000元。 3,000×12=36,000元(C2)

この3種の収入が基本的なもので、合計すると、
(A1)+(B1)+(C1)=15,065.7+2,544+18,000=35,609.7元

(A2)+(B2)+(C2)=20,150+3,000+36,000=59,150 元

だいたい基本的な収入が1年目で50万円ぐらい、2年目で80万円ぐらいになる。

ただ公務員というのは、これ以外の付属的な収入がばかにならない。
この部分は1年目と2年目以降で大きな差がないので、一律で表記する。

●食事手当 毎月300元。 300×12=3,600元

●自動車手当 3カ月ごとに500元。500×4=2,000元

●4大祝日の「もち代」
元旦、旧正月(春節)、メーデー(五一)、国慶節(建国記念日)ごとに2,000元
2,000×4=8,000元

●夏期の高温手当 7,8,9月に各500元。500×3=1,500元

●旅行費(領収書ベースで本人建て替え精算) 年間2,000元

●フィットネス費(領収書ベースで本人建て替え精算)年間1,500-2,000元

●皆勤賞 年6,000元

●その他福利
市内大手スーパーのお買い物券、レストラン食事券、牛乳券など、年間約6,000元

合計すると、3,600+2,000+8,000+1,500+2,000+2,000+6,000+6,000=30,900元

これを上記の基本収入と合計すると、

35,609.7元+30,900元=66,509.7 (1年目) 日本円92万円ぐらい

59,150 元+30,900元=90,050 (2年目) 日本円126万円ぐらい

という計算になる。

どんなものだろううか?

大卒わずか2年目の地方公務員が日本円で120万円以上というのは、予想以上に高いと思われる方が多いのではないだろうか。

日本でも、大卒の初任給は22~23万円程度だから、仮にボーナスが年間5カ月あって計17カ月としても、三百数十万円である。そう考えると、中国の若手高給取りサラリーマン(ウーマン)の年収は実質的には日本の3分の1ぐらいということになる。

日本ではいまだに中国人の年収は日本の数十分の1と思っている人も多いので、ちょっと認識を改めていただく必要があると思う。もちろんここに挙げた数字は中国の中でもトップクラスに高い公務員の年収だから、これで全体を測ることはできない。同じ大卒でも年収でこの半分から3分の1というケースもはごく普通ではある。

それにしてもお食事券の類が年間で8万円以上ももらえて、旅行費とかフィットネス費とか、やはり公務員というのはどこの国でもお手盛りというか、いろいろな特典があるものである。中国の大学生の間でも公務員は人気の職種だが、むべなるかなと思う。

カテゴリー[ 中国社会 ], コメント[3], トラックバック[0]
登録日:2006年 07月 29日 20:10:59

コメント

為替では1元14~15円って事になってるけど、実際の購買力平価で言えば1元75円~85円相当らしいので日本で考えれば大卒のお嬢さんが年収700万円クラスで暮らせるっていう事でしょ?そりゃ反響大きいでしょうな。

ppp @ 2006年 08月 21日 23:05:37

しかも、中国人は基本的働かない。日本人みたいに働くと、倍の収入になるでしょう。

20代の若者が半数、My Home(平均100平米)をローンで購入済み。

infoqueen @ 2006年 11月 29日 14:16:03

購買力平価で言えば、不動産自動車を除けば、100円=1元の場合有るし、2元の場合もある。今の上海不動産価格東京と略同じになっているので、もし彼女は、マンション買わなければ、本当に東京にいる大卒らよりかなりいい生活過ごせると思います

日本にいる中国人 @ 2010年 08月 24日 09:48:14

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プロフィール
田中 信彦
(男)
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1959年東京生まれ。早稲田大学政経学部卒。
毎日新聞社記者を経て、日本と上海の両方に活動拠点を持ち、企業の中国事業に対するコンサルティングに従事するほか、雑誌等への執筆、講演など多数。亜細亜大学大学院アジア・国際経営戦略研究科で「日中人事・労務比較論」を講義している。
■主な著書
「中国で成功する人事 失敗する人事」(日本経済新聞社)・「人事・採用の基礎知識--中国編」(メディアファクトリー)・「ぼくの上海行商紀行」(文藝春秋)・「日本人の知らない中国人の私的事情」(講談社)
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