人間らしい社会に--中国で進む「人性化」

外貨準備高、1兆2000億ドルを突破 - 中国

【北京/中国 12日 AFP】中国人民銀行(People’s Bank of China)は12日、世界最大を誇る同国の外貨準備高が前月末に1兆2000億ドル(約143兆円)を突破したと発表した。

 同国の外貨準備高は年初から12.7%、 12か月前からは37.4%増加した。今年第1四半期の貿易黒字は466億ドル(約5兆5600億円)で、海外直接投資は159億ドル(約1兆9000億円)と発表されていた。

 写真は100元紙幣と1元硬貨(2007年1月14日撮影)。(c)AFP

AFPBB News


「人性化」は近年、中国社会でよく聞かれるようになった言葉だが、一言で日本語に訳すのが難しい。あえて直訳すれば「人間的な」とでもなろうが、そこから転じて「温かみのある」「血の通った」「人情味がある」「行き届いた」「便利な」といったトーンで使われることが多い。

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先日、中国のブログを読んでいたらこんな話があった。筆者の男性が街で突然お腹の具合が悪くなり、トイレに行きたくなった。近所の人に聞くと近くに仮設のトイレがあるという。走っていくと確かに移動式の仮設トイレがあった。イベント会場や工事現場などによくあるボックス式のやつである。

 「助かった」。

ドアを開けようとするが、妙に現代風のデザインで、開け方がわからない。

必死にノブを探すこと2分、やっとボックスの側面にレバーを発見、開けて入った。

やれやれとしゃがもうとすると、今度はカギのかけ方がわからない。途中でドアを開けられては一大事である。しかし忍耐はすでに極限に来ており、止むなくドアを手で押えたままたしゃがみ込み、大声で歌を歌って中に人がいることを外に知らせつつ事を終えた。

 「なんと人性化していないトイレであろうか--」。

と、こういうふうに使う。

 毎年春節の時期になると、メディアには「人性化」の文字が頻繁に出てくる。

今年目についたのは「農歴の大晦日(年三十)を政府は休日にせよ」という主張である。中国政府の公布する規定では毎年、農歴の元旦(初一)から7日間が休日となっており、大晦日は通常通り出勤である。しかし大晦日は元旦の準備も必要だし、実質的には仕事にならない。

 いわく「中国の伝統的な正月を楽しむために大晦日も休みにするのが人性化したやり方である」。また春節の前後は帰省する人々で長距離列車は殺人的な混雑になることはよく知られている。ここでも毎年新聞などに「当局は手段を講じて人性化したサービスを提供せよ」との主張が登場する。

大学受験も「人性化」せよ

 中国の大学受験競争は熾烈なことで知られているが、統一入試(高考)の世界でも人性化の必要性が叫ばれている。たとえば大学入試シーズンには大規模な建築工事を禁止して受験生の安眠を妨げないとか、試験会場には医務室を設ける、英語のヒアリング試験の時間には付近の車両の通行を禁止するなど、ここまでやるかなというものもあるが、これも人性化のひとつの側面である。

 このように人性化が大いに叫ばれるようになった背景には、当然ながら昔はそうではなかったという前提がある。計画経済の時代には人が計画に合わせるのが当たり前であったし、改革開放が始まって以降も、基本的にはモノ不足、ヒト余りの時代が続き、モノでもサービスでも買い手よりは供給する側のほうが強い状況が存在していた。

 しかし社会が豊かになって、消費の観念が成熟し、モノの買い手やサービスの受け手を中心に置く思考が次第に広がってきた。その中心的な表れが「人性化」にほかならない。春節の帰省列車は「乗れれば幸運、文句を言うな」という時代から、「オレたちは家畜じゃない。客だ」という時代になった。

政府機関の提供するサービスに対しても、「偉そうなことを言うな。オレたちは納税者だ」という意識が出てきた。人性化という言葉の普及には、そうした中国社会の大きな意識の変化が如実に反映している。

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登録日:2007年 04月 17日 21:54:06

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プロフィール
田中 信彦
(男)
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1959年東京生まれ。早稲田大学政経学部卒。
毎日新聞社記者を経て、日本と上海の両方に活動拠点を持ち、企業の中国事業に対するコンサルティングに従事するほか、雑誌等への執筆、講演など多数。亜細亜大学大学院アジア・国際経営戦略研究科で「日中人事・労務比較論」を講義している。
■主な著書
「中国で成功する人事 失敗する人事」(日本経済新聞社)・「人事・採用の基礎知識--中国編」(メディアファクトリー)・「ぼくの上海行商紀行」(文藝春秋)・「日本人の知らない中国人の私的事情」(講談社)
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