浦和レッズVS上海申花サッカー観戦記~反省好きな日本人

<サッカー AFCチャンピオンズリーグ>浦和レッドダイヤモンズ 上海申花と引き分けに終わる - 中国

【上海/中国 25日 AFP】サッカー、AFCチャンピオンズリーグ(AFC Champions League)・第1ラウンド、グループE・第4節、上海申花(Shanghai Shenhua、中国)vs浦和レッドダイヤモンズ(Urawa Red Diamonds、日本)。試合は、0-0のスコアレスドローに終わり、両チームは勝ち点1を分け合った。写真は、上海申花のヂュン・クーウェイ(Zheng Kewei、左)からタックルを受けるレッドダイヤモンズの田中マルクス闘莉王(Marcus Tulio Tanaka)。(c)AFP/MARK RALSTON

AFPBB News


4月25日、上海の浦東にある源深体育中心スタジアムで行われたサッカー、浦和レッズ対上海申花隊の試合に行ってきた。スポーツにはほとんど関心がないので、通常サッカーというものを見ることはまずないのだが、友人の埼玉県民がこの試合のために上海に仲間らと大挙してやってくるというので、この機会に見せてもらうことにした。

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この試合はAFC(アジアサッカー連盟)チャンピオンズリーグ(ACL)の予選試合として行われるもので、ACLとはAFCが主催するクラブの国際大会の略称である。2002年-2003年シーズンに発足したというアジアの実力ナンバー1クラブを決定する大会で、優勝クラブには50万USドルの賞金が贈られると同時に、同年度12月に開催されるFIFAクラブワールドカップの出場権が与えられる。

ということで、それなりに権威のある大会の予選ということのようだ。詳しいことは省略する(というより、よくわからない)が、浦和は予選通過に向けてかなり好位置をキープしているらしく、一方の上海はまだ予選突破の可能性は理論的にはあるものの、ほぼ難しい状況で、この試合に勝たないと望みはゼロになるといった状況だという。

2004年のアジアカップサッカーでは、重慶や済南、北京などでの試合で日本チームが強烈なブーイングを浴び、北京での決勝では暴徒化したファンに日本公使の車のガラスが割られるという事件まで発生したのはご記憶の方も多いだろう。

「目立つ行動は控えましょう」

そんなことで在上海日本国総領事館は「ACL(浦和レッズ対上海申花戦)開催に伴うご注意」というものを発し、
(1)観戦に当たっては、スポーツ精神に則ったマナーの良い応援をしましょう。
 (2)野次ったり、騒いだり等、相手側に挑発的と受け止められるおそれのある行為は、しないようにしましょう。
 (3)人が集まっている場所に、興味本位で近寄らないようにしましょう。
 (4)試合会場の外でも、集団若しくは大声を出したり、レプリカ・ユニフォーム等チームグッズを装着したり等、過度に目立つ行動は取らないようにしましょう。

本件対戦に係る邦人の安全確保については、当館より中国側関係当局に対し、万全を期すよう強く要請しています。

などということで、サッカーにうとい筆者は、かつての北京の決勝戦のように、数万の中国人ファンの罵声の中、必死の応援を繰り広げる浦和レッズファンという図式を思い描いて出かけたのだった。

ホームチームより多い日本からのファン

午後4時の試合開始に向けてスタジアムに行くと、どうも様子がピンとこない。重要な大会という緊張感が感じられないのだ。スタジアムに近づいても人気(ひとけ)がない。レッズのTシャツを着た日本人らしきカップルがぽつりぽつりと歩いている程度である。

スタジアムの入口に着くと、入場者よりダフ屋のほうが多い。「チケットあるよ」と声をかけられるが、こんな様子ではとても商売にはなるまい。どうも妙だなと思いながら場内に入ると、「なるほど」と一瞬にして了解した。

2~3万人は入るであろうと思われるスタジアムだが、両チームの応援席以外、ほとんど人はいない。しかもファンの数はレッズのほうが圧倒的に多い。後ほど知った正式な発表では、レッズ側のファンが約2600人、一方ホームチームであるはずの上海ファンは1200人ほどだったという。

これも後で知った数字だが、2600人の日本側ファンのうち、日本で発売されたチケットが1400枚、上海で発売されたものが1200枚。つまりこの試合のために日本から約1400人が上海にやってきたことになる。これだけで上海側のファンより多い。

多くは仕事を休み(この日は平日である)、飛行機代とホテル代を使って外国からやってくるファンのほうが地元のファンより多いとはどうしたことか。もともと中国人は自国の選手やチームに厳しいとは思ってはいたが、これほどとは思わなかった。

統制のとれた見事な応援

当然ながら、多勢に無勢で、応援の声の大きさ、練度も圧倒的に浦和ファンのほうが上である。少数ながらいた観客席の入場客(多くは上海のサッカーファンであろう)は浦和の統制の取れた応援の様子にずっと見入っていた。

勝敗は0対0の引き分け。双方勝ち点1という結果で、上海の予選突破はなくなった。試合の内容に関しては何もわからないが、率直に言えばあまり面白いとは思わなかった。中国の新聞の評を見ても、上海チームのふがいなさを嘆くと同時に、この試合の両チームの低調さを指摘したものが目立った。

そんな様子だから、当然ファン同士のエキサイトした場面などあるはずもなく、淡々と試合が終わり、淡々と双方のファンは家路に着いた。

後で聞いてみると、上海申花隊は最近、「弱いくせに給料が高すぎる」とか、大事な試合前でも行きつけのナイトクラブを貸し切り状態で夜な夜な遊び呆けているといった批判がマスコミを賑わし、どうも市民の評判がよくないらしい。

反省会を開く浦和ファン

試合後、何人かの浦和ファンの人々と食事をしたのだが、そこで聞いた話が面白かった。日本の、というか少なくとも浦和の応援団(というものがあるのかどうか知らないが、積極的に応援している一群の人々)は、試合に負けると反省会というものをやることがあるらしい。

「あそこで声援が足りなかった」とか「あの場面でもっと声を出していれば」とか「あそこでもう少しタイミングよく応援していれば勝っていたかも」などと話す。応援というものがどの程度、選手の士気に影響するものなのか、実感はわからないが、この話を聞いていたある中国人は感心した様子で言った。

「中国人は自分の贔屓のチームが負けても選手や監督を罵倒するだけだ。『自分たちの応援の仕方が悪かった』などと反省する人はいない。サッカーにしても経済にしても、日本の成長が速いのは当たり前だ」。

まあそう短絡的なものでもないだろうが、なんとかチームを強くしたい、チームのために自分も何かしたい、“for the team” と考える日本人が多いのは事実だろう。だからこそわざわざ飛行機に乗って上海までやってくるわけだ。

サッカーひとつでも、いろんなことが見えてくるものだと勉強になった一日だった。

カテゴリー[ 中国社会 ], コメント[1], トラックバック[0]
登録日:2007年 04月 27日 14:57:31

コメント

うん、応援団はそこまでしているんですね、でも、選手と応援団の関係は 日本企業とそれを支えている消費者または、スポンサーの関係なのか、まあそれでこそ、日本企業が成長したともいえるのだろうか ただ反省だけなら、サルでもできるし、反省しただけで満足している者もおおいし、また反省しているふりをして体制にどっぷりつかつているやつも多いと思う。2400人が2400人とも、応援のせいで負けたと思うのなら逆に、考えが素直だが、幼稚だともいえる。でも反省は大事である。世の中の負け組嫌な言葉だが、負け組と思っている人たちよいまは負けたふりをして頑張って行こう!

KORO SUDO @ 2007年 07月 05日 09:44:44

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プロフィール
田中 信彦
(男)
http://chinahr.way-nifty.com/
1959年東京生まれ。早稲田大学政経学部卒。
毎日新聞社記者を経て、日本と上海の両方に活動拠点を持ち、企業の中国事業に対するコンサルティングに従事するほか、雑誌等への執筆、講演など多数。亜細亜大学大学院アジア・国際経営戦略研究科で「日中人事・労務比較論」を講義している。
■主な著書
「中国で成功する人事 失敗する人事」(日本経済新聞社)・「人事・採用の基礎知識--中国編」(メディアファクトリー)・「ぼくの上海行商紀行」(文藝春秋)・「日本人の知らない中国人の私的事情」(講談社)
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