中国の都会で増え続ける「房奴」とは?

胡国家主席、温暖化対策と著作権侵害防止を明言

【6月11日 AFP】スウェーデンを訪問中の胡錦涛(Hu Jintao)中国国家主席は10日、地球温暖化対策と著作権侵害の防止に積極的に取り組んでいくと明言した。
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(c)AFP

AFPBB News


「房奴」とは「住宅の奴隷」。多額の住宅ローン返済に追われ、借金返済のために日常生活を送っている状態の人々を指す。

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この言葉は、06年半ば頃から中国のメディアなどに頻繁に登場するようになったと思う。明確な定義があるわけではないが、新聞などの用例を見ていると、おおむね住宅ローンの返済額が毎月の固定収入の50%以上を占めるような状態を指すと考えていいようだ。

 例えば次のような例だ。上海に住む20代後半の男性Aさんは月収5000元強のホワイトカラーである。毎月2700元を住宅ローンの返済に充てている。さらに携帯電話や通勤など交通・通信費に500元、食費や友人との付き合いなどに700元、故郷の両親への送金が500元(中国では仕事を持つ子供が親に収入の一部を渡すのは、ごく普通のことだ)、電気や水道などの光熱費や雑費を入れるとほとんど残らない。ごく基本的な生活以外には何もできないという状態が続いている。

それでもAさんの場合、それなりに普通の生活はできているから、「奴隷」というほどでもないだろう。極端なのは次のようなケースである。

月収5000元で月々の返済金額が7000元

同じく上海に住む大卒キャリアウーマンのBさんはやはり月収5000元前後。2年ほど前、上海市内に約100平米のマンションを購入した。購入価格は120万元。両親に頭金40万元を出してもらい、残りはローンで、毎月の返済額は7000元になる。

目論見では、この部屋を人に貸して家賃をローンの返済に当て、自分は安い賃貸住宅に住む。不動産価格は今後も上昇するはずだから自然と価値は上がり、ローンを払い終われば部屋は自分のものになる。

計画ではうまくいくはずだったが、見込み違いが2つあった。ひとつは部屋が思ったほどの家賃で貸せなかったことだ。同じような目論見で投資目的の不動産オーナーになる市民が急増、賃貸物件が増えて家賃相場は低迷。Bさんもやっと借り手を見つけたものの、家賃収入は毎月3500元ほどにしかなっていない。

5000元強の収入から、ローン返済との差額3500元を負担し、現在、自分が住んでいる家の家賃を支払ったら、もうほとんど生活費も残らない。

もうひとつの見込み違いは不動産価格の上昇が思い通りではなかったことだ。値上がり期待がしぼんでしまい、物件を売却しようにも買い手がつかない。無理に売り急げば大きな売却損が出る。進退極まって、今はなんとか両親に援助してもらいながら食いつないでいる状態という。

一定の収入がある人ほど「房奴」になりやすい

上記の2つの例もそうだが、「房奴」に陥りやすい人は、一定の収入があり、都会生活に憧れが強い大卒の若手ホワイトカラーに多いという特徴がある。チャレンジ精神旺盛で、自分の給料も上がるはずだという自信のもとに強気の判断で無理なローンを組んでしまう傾向が強いらしい。

ローンの重圧と余裕のない生活の連続で精神的な疾患に至る例も少なくない。多額の負債があるため転職がしにくいことも心理的な負担を増しているとの指摘もある。ある調査では、ローンを抱える人の98%以上が日常的に何らかの焦燥感を感じており、約20%が「眠れない」などの症状を訴えているという。

「房奴」は生活の急速な都市化と住宅価格の上昇がもたらした新たな社会問題のひとつと言っていいだろう。もちろん誰もがこういう状態になっているわけではないので、自己責任と言ってしまえばそれまでだが、中国社会では個人の利殖とか投資に賭ける熱意は強烈なものがあるだけに、今後ともこうした問題は続いていくだろう。

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登録日:2007年 06月 11日 15:18:55

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プロフィール
田中 信彦
(男)
http://chinahr.way-nifty.com/
1959年東京生まれ。早稲田大学政経学部卒。
毎日新聞社記者を経て、日本と上海の両方に活動拠点を持ち、企業の中国事業に対するコンサルティングに従事するほか、雑誌等への執筆、講演など多数。亜細亜大学大学院アジア・国際経営戦略研究科で「日中人事・労務比較論」を講義している。
■主な著書
「中国で成功する人事 失敗する人事」(日本経済新聞社)・「人事・採用の基礎知識--中国編」(メディアファクトリー)・「ぼくの上海行商紀行」(文藝春秋)・「日本人の知らない中国人の私的事情」(講談社)
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