「時間」は日系企業が成功する大きなファクター

中国各地で藻が異常繁殖、駆除に数億ドル

【6月26日 AFP】中国南西部の雲南(Yunnan)省昆明(Kunming)郊外の湖、タイ池 (Dianchi)で藻が大量繁殖し、水面が緑色に変色。
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(c)AFP

AFPBB News


「うどん2杯で110元! 何をバカなことを言ってるんだ」。1980年代末、上海の虹橋空港にある日系ファミリーレストランで店員に食ってかかっていた中国人客の言葉を今でもよく覚えている。

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ここ数年、中国で大きな利益を上げる日系企業も増えてきたが、調べてみるとその多くは80年代か、90年代前半には中国に進出し、数々の失敗やトラブルを克服して経験を蓄積してきた企業である。パッと出ていってスパッと儲かったという話はあまり聞いたことがない。

中国で日系企業が成功するカギは?

「中国で日系企業が成功するカギは何か」。上海で日系企業のお手伝いをしているとよく聞かれる質問である。

いろいろな回答がありうると思うが、私は最近、結局なんのかんの言っても「時間」ではないかと思うようになった。より正確に言えば「経験の蓄積」ということになるかもしれない。当たり前すぎて面白くもない話ではあるが、中国を相手にするには長期的な視野と粘り強い取り組みが不可欠ということだ。

冒頭のファミリーレストランは日系の外食産業の中国進出の草分けと言ってもいい企業で、80年代後半には既に上海空港などに店があった。当時はまだ日本料理、特に洋食が食べられる店は少なかったので私も随分お世話になった。店の名物「牛肉うどん」は今でも好物である。

この「牛肉うどん」は記憶している限り、90年代初め頃から1杯50元(1元は現在約16円、当時は12円ぐらいだったと思う)ほどで現在まで十数年間ほとんど変わっていない。この価格は当時としては恐るべきもので、その頃は一般ワーカーの賃金は市内でも1カ月500元ほど、ちょっと郊外に出れば月300元あればましなほうだった。街の食堂ならメン1杯が1~2元という時代である。

ある時、中国人の2人連れがろくにメニューも見ないで「メン2杯」を注文し、110元と言われて目を剥いて怒ったのが冒頭の場面である。今の日本人の感覚からすれば、うどん1杯1万円と言われたような感じだろう。他人事ながら見るに忍びず、気まずい思いでそそくさと退散したのを覚えている。

物価はどんどん上昇し、高価格 か当たり前に

ところが十数年を経た今となれば、ちょっとしたレストランでうどん1杯50元は、驚く人は誰もいない。もちろん決して安い値段ではないが、「それなりの構えのレストランに入れば、それなりの値段はするものだ」という「常識」が市民の間に広がったのが大きい。

このレストランは日本国内の業績は芳しくはないと聞いているが、中国でこれだけ「高い、高い」と非難されながらも頑固に路線を貫き通してきた根性は、ある意味で見上げたものだと思う。(決して皮肉ではなくてそう思う)。やっと時代が追いついてきたという感じだろう。

日系企業の成功例として常に引き合いに出される資生堂にしても、中国との関係は80年代前半に始まり、既に20年を超える。それでも利益の面で本格的に成功と言えるようになったのはここ数年の話で、それまでの十数年間の苦闘の歴史は聞くも涙のドラマである。

家電業界にしても、中国で最も信頼度が高い松下電器産業が今は亡きトウ小平と松下幸之助、両巨頭直々の約束で北京市の郊外にブラウン管工場を設立したのは87年のことだ。

ちょっと性質は違うが、このところ業績好調の鉄鋼業界にしても中国との関係は深く、長い。既に40代も終わりに近い私が学生の頃、新日本製鉄は上海・宝山製鉄所とのプロジェクトに取り組み始め、当時から中国語を学んでいた筆者にも就職の誘いがあった。20数年前の話である。

現在の成功は過去の蓄積のうえにある

これら大企業以外にも既に20年近く、もしくはそれ以上にわたって中国でノウハウを積み上げてきた中堅、中小企業もたくさんある。そうやって有形無形の資産を蓄積してきた企業が、このところの中国経済の急成長や数年前の「中国特需」のチャンスをモノにして利益を上げられたのであって、単に時流が変わったからとか、神風が吹いたから儲かったというわけではない。

このところ外食産業や流通業、サービス業などを中心に、中国の国内市場を狙って数多くの日本企業が進出しているが、端的に言ってそう簡単に儲かるとは思えない。流通業では伊勢丹は中国進出日系企業の中では成功した例に数えていいと思うが、上海での最初の店のオープンは93年で、既に14年が経過している。これは決して短い時間ではない。

一時の勢いに流されるのではなく、どこまで腰を据えて中国と取り組み、初期の志を貫けるか。中国という国は奥が深いだけに「中国での自社の成功とは何か」という定義を明確にし、長期的な覚悟の下に取り組むことが不可欠であることを物語っている。

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登録日:2007年 06月 26日 18:37:05

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プロフィール
田中 信彦
(男)
http://chinahr.way-nifty.com/
1959年東京生まれ。早稲田大学政経学部卒。
毎日新聞社記者を経て、日本と上海の両方に活動拠点を持ち、企業の中国事業に対するコンサルティングに従事するほか、雑誌等への執筆、講演など多数。亜細亜大学大学院アジア・国際経営戦略研究科で「日中人事・労務比較論」を講義している。
■主な著書
「中国で成功する人事 失敗する人事」(日本経済新聞社)・「人事・採用の基礎知識--中国編」(メディアファクトリー)・「ぼくの上海行商紀行」(文藝春秋)・「日本人の知らない中国人の私的事情」(講談社)
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