ソウルの中国語表記「首爾」は定着したが……

中国で今年3度目の追加利上げ、過熱気味の景気抑制へ

【7月21日 AFP】中国人民銀行(中央銀行)は20日、金融機関の貸出および預金金利の引き上げを発表、翌21日からそれぞれ0.27%引き上げられ、貸出基準金利が6.84%、預金基準金利が3.33%になる。
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AFPBB News


韓国の首都・ソウルの中国語表記を従来の「漢城」から「首爾」に変えるとソウル市当局が発表したのが2005年1月。中国国内でも次第に「首爾」が普及してきた。

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もともと「漢城」の発音は「ハンチョン」だが、「首爾」の読みは「ショウアル」という感じで、ソウル市当局としては、より韓国語発音に近い表記に変えることにしたわけだ。ソウル市当局は「中国政府にも変更を呼びかける」としていたが、中国国内でも次第に「首爾」が普及してきた。新聞は大半が「首爾」の表記が用いられており、空港などの表記も「首爾」になってきた。ソウル市当局の意図は達成されつつあるようだ。

改めて言うまでもないが、中国語は文字自体が意味を持つ表意文字を使用する言語である。例えばアルファベットの「b」という一文字は、単独ではほとんど意味を持たないが、中国語はどの文字を取っても一文字で固有の意味を持つ。それだけに表現力が極めて高いという特徴があり、これは日本語の漢字も同様である。

「おのずと意味を持ってしまう」という宿命

しかし逆に言えば、単に「音」だけあって「意味」を持たない表音文字が中国語にはないので、本来は特段の意味を持たせたくない言葉でも、漢字で書いた途端に意味を持ってしまうという厄介な性格もある。外国の地名や人名など固有名詞を中国語にする際、この問題は常につきまとう。

以前、このブログで「中国の人名にカタカナのルビは必要か」という趣旨の原稿を書いた。中国語と日本語は漢字文化を共有しているのだから、あえて原語の読み仮名のルビを振る必要はないのではないかとの考えを述べたものだった。しかしこの意見には反論も少なくなかった。

反論の趣旨の大半は「外国語の固有名詞は、できる限り原語の発音に近い表記にするべきだ」というものである。こうした考え方は非常に根強いということだろう。今回のソウル市の措置もそうした文脈にあるものに違いない。

「音」をとるのか、「意味」をとるのか

その理屈はよく分かる。韓国の人々にしてみれば「Han Cheng(ハンチョン)」と言われても何のことか分からないだろう。また「漢城」の「漢」という字は「漢字」や「漢民族」という言葉があるように中国の代名詞的に使われる。中国語の「城」は「都市」の意味だから、「漢城」イコール「中国の都市」と読めないこともない。別に現代の中国人がそういう意識で使っているとは思わないが、韓国の人々は愉快でないかもしれない。

しかし中国サイドに立ってみると、「漢城」という名称には歴史的な由来があり、意味がある。また先に述べたように中国語は表意文字を使って表記する原語なので、単に漢字の音だけを借りて表記する「万葉仮名方式」は必ずしも便利でない。例えばロンドンは倫敦(ルンドゥン)、ニューヨークは紐約(ニューユエ)と表記するが、お世辞にも発音は原音に近いとは言えないうえに、ロンドンは倫理とは何の関係もないし、ニューヨークとヒモに何か因縁があるわけではない。 

中国語での外国の地名表記には、数は少ないが意味から発しているものもあって、例えばサンフランシスコは旧金山(ジュウジンシャン)という。これは言うまでもなく19世紀のゴールドラッシュに由来する。中国人的にはこの方が分かりやすいし、これで米国側に何か不都合があるかといえば、特にないだろう。サンフランシスコにはもうひとつ「三蕃市(サンファンシー)」という音訳から来た言い方もあるが、大陸中国ではあまり普及していない。

 「漢城」も中国人からすれば歴史的にそう呼んできたからそう言っているだけのことで、別にこれでもいいじゃないかというところにちがいない。

「東京」や「河内」はどうなのか

では日本やベトナムはどうなのか。例えばベトナムの首都ハノイ(Hanoi)はもともと中国語の「河内(現代中国の標準語ではHenei)」である。だいたいベトナム(Vietnam)という国名からして「越南(同Yuenan)」という中国語の音に由来する。当然、中国では今でも「越南的首都是河内」と書く。ベトナムは「中国語表記をやめよ」と要求するかもしれない。

 日本も同様で、東京のことを中国人は「ドンジン」と発音する。「東京はドンジンではない。とうきょうだ」と中国に要求するか。そうなれば日本人も北京は「ペキン」ではなく「ベイジン」と呼び、蘇州は「そしゅう」ではなく「スージョウ」と呼ぶことになるのだろう。だとすると「成都」をそのままで「チョンドゥー」と読める人は少ないだろうから、最初から漢字でなくカタカナで書く必要があるだろう。

そういえば中学校の頃の地図帳では中国の地名がカタカナで書いてあって、「広州」のことは「コワンチョウ」と書いてあった覚えがある。

まあスジ論ではそうなるし、ソウル市を見習って石原都知事が中国にそう要求すればそうなるのだろう。ただ私としては、せっかく文化を共有しているのだから、「スージョウ」などと書くより、より「蘇州」と書いて素直に「そしゅう」と読めば、その方がよほど美しいし、双方の文化を尊重することになると思う。

「ドンジン」ではなくて、「トーキョー」と呼ばせようと思ったら、中国語ではどのように表記したらいいのだろう? ちょっと考えてみたが、いい案が思いつかない。私の自宅の近くに昔「トーキーョケイバジョーマエ」という駅があって、日本一長い駅名として知られていたのだが、こういうものは音で表記しようと思うと非常に不便である。「東京競馬場前」と書けば一瞬でわかるのだけども。

カテゴリー[ 中国社会 ], コメント[2], トラックバック[0]
登録日:2007年 07月 22日 01:47:44

コメント

はじめまして、りゅうと申します。まだ全部は読ませていただいてはいないのですが、私自身、学生のときに一度、出張で三度ばかり中国へ行ったことがありまして、田中様が書いていらっしゃる文を読むと当時のことを思い出します。とてもおもしろく、また詳しくそしてわかりやすいということで、これからも読ませていただきたいと思います。

りゅう @ 2007年 08月 18日 18:44:35

はじめまして、中国人の李と申します。この文章を拝読いたしまして、本当に良い勉強になりました。しかし、中国人としてのわたくしの意見を述べさせていただきたいと思います。日本語は下手なので、中国語で書きます。
日语中对于相同的汉字,可以读出二种甚至更多种读音。而且,日本人似乎热衷于改变汉字原本的读音,随着自己的意愿来读也是很平常的。比如说人名吧,我有一个朋友叫“萌子”,竟然叫“ともこ”。只是愿意读这个音,就决定了。
可是汉语可不一样,读音都是固定的。如果说,汉字仍然是“汉城”,可是单单读音改成“shou er”,也就罢了。可是汉语不允许瞎读汉字。如果那样的话“东京”的拼音,就成为toukeyou了吧!

李剛 @ 2008年 06月 16日 01:05:24

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プロフィール
田中 信彦
(男)
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1959年東京生まれ。早稲田大学政経学部卒。
毎日新聞社記者を経て、日本と上海の両方に活動拠点を持ち、企業の中国事業に対するコンサルティングに従事するほか、雑誌等への執筆、講演など多数。亜細亜大学大学院アジア・国際経営戦略研究科で「日中人事・労務比較論」を講義している。
■主な著書
「中国で成功する人事 失敗する人事」(日本経済新聞社)・「人事・採用の基礎知識--中国編」(メディアファクトリー)・「ぼくの上海行商紀行」(文藝春秋)・「日本人の知らない中国人の私的事情」(講談社)
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