「中国化?」する日本の放置自転車対策

中国の過熱する経済、更なる引き締め措置の実施も

【7月22日 AFP】今年3度目となる金融機関の貸出および預金金利の引き上げが実施された中国では、過熱気味の経済を抑制するため、いっそうの引き締め措置が実施されるとみられている。(c)AFP

AFPBB News


日本の放置自転車対策はだんだん中国並みになってきた。東京の自宅に戻って、久しぶりに自転車で近くの駅周辺の商店街に買い物に行って、その自転車対策の変化に驚いた。

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この駅は私の自宅から自転車で15分ほど。私鉄の駅前にバスターミナルがあって、ちょっとしたデパートやショッピングセンターなどもある地域の中心になっている駅である。自転車を降りて、目当ての店に入ろうと思うのだが、自転車を置くところがない。

以前だったら、店の前の歩道でもどこでも、空いているところに置けばそれまでだった。しかし今は様子が全然違う。少なくとも駅周辺では歩道に置かれている自転車などまったくなく、ところどころに「自転車放置禁止」などと書いた貼り紙があったり、これ見よがしにロープが張ってあったりする。

そして、市役所を定年退職しましたみたいな腕章をしたおじさんたちが巡回しており、少しでも自転車を停めそうな気配を感じると、鋭い視線をなげかけてくる。まるで上海の街角に立って歩行者を指導している交通協管のおじさんやおばさんと同じである。

「どこかに停められるところはないか」と走り回ると、「無料自転車置き場」というものが設置されていた。道端のスペースに「3時間までは無料」とあって、ここには黄色い帽子をかぶったおじさんが待機していて、ちょっと間隔を空けて自転車を置いたり、置き方が斜めだったりすると、すぐに寄ってきて修正する。なかなかのプレッシャーである。

次に寄ろうとした店では、近くの自転車置き場が満杯で、停められない。近くをグルグルと走り回ったが、結局停められるスペースが発見できず、面倒くさくなって帰って来てしまった。これだったら駅まで車で来てデパートの地下駐車場に入れ、後は歩いて買い物をしても同じである。自転車で駐車場難に遭うとは思わなかった。

中国の放置自転車対策は日本の先を行く

 中国でも駅前に自転車は置かれている。だが、この問題に関する限り、中国の取り組みは日本の先を行っている。失業者や定年退職者の活用として点でも先輩格である。「社会的な自転車置き場の整備」という点では中国社会の現状はなかなかのもので、習慣とは社会で育てるものだということがよく分かる。

  たとえば上海の住宅地にある地下鉄の駅に行くと、どこにも自転車置き場がある。自宅からここまで自転車に乗ってきて、駅前に止め、地下鉄に乗って中心部に向かう人が多い。利用は有料で、自転車は1回5角(日本円約8円)、バイクは1元(同16円)ぐらい。市政府の委託を受けた管理人が常時いて、使用料を徴収している。

利用者が自転車に乗ってやってくると管理人が近寄り、「ここに停めろ」と指示をする。そして料金を受け取って領収書を出す。いいかげんな停め方をするとやり直しをさせられるので、みんな結構真剣に止めている。

地下鉄駅前のレンタサイクルも

駅前だけでなく、繁華街近くやデパートの前、公共施設の付近などにこうした路上の駐輪場はたくさんあって、どこも有人で管理費を徴収している。こうしたやり方は社会主義計画経済の頃から長年続いているので完全に市民に定着しており、「自転車を路上に放置してどこかに行ってしまう」という行為は少なくとも都会では見当たらない。何でも乱雑に放置されているかの印象が強い中国の街では、自転車は異色の存在である。

  地下鉄の駅には、地下鉄で駅に到着した人のためのレンタサイクルも配備されている。借りたい人は管理人にその旨を告げ、保証金として150元(2400円)程度を預ければ、その場で乗って出られる。利用料金は1日5元(90円)ほどである。これは非常に便利かつ資源節約、環境保護にもなる仕組みであって、日本でも見習うべき点と思う。

自転車の社会的地位の高さ故の現象か

当地の日系企業の皆さんに話を聞いていると、とにかく従業員が整理整頓の概念が乏しいとの悩みをよく聞く。確かに街中では歩道上に荷物が無造作に積み上げてあったり、あちこちにゴミが散乱していたり、公共マナーの悪さは目に余るものがある。

上海の自転車置き場にしても、管理人がいなければこのように整理された状態は維持できないだろう。ただそうは言っても、管理が厳しいから仕方なくきちんと置いているというよりも、昔から自転車は自転車置き場に置くものだから、すでに習慣としてそうやっているという感じが強い。要は「自転車は決められた場所に置く」という行為は既に市民の規範として頭の中にあり、別に抵抗なく実施されているのである。

  これは中国社会で自転車の占める重要性と無縁ではないだろう。ここ10数年ほど、地下鉄やマイカーなど新しい交通手段が普及するまで、路線バスと自転車だけが市民の頼れる交通手段だった。自転車の社会的存在感が大きかったので、それを効率的に利用するための独自の規範が発達したのだろう。

日本の「自転車文化」はまだ未成熟

  その点、自動車に関する社会的ルールは中国では全く未発達で、運転のマナーのなさ、自己中心の身勝手ぶりははたで見ていて腹が立つほどである。中国社会が長い年月をかけて育ててきた自転車社会の良き習慣をぜひ大切にしてほしいと思う。

一方、日本では自転車に関する社会的なマナーはまだまだ発展途上だ。駅前の放置自転車はちっともなくならないし、歩道をわが物顔に占領している自転車もよく見かける。だいたい私がそうだったように、自転車の停め方を人に管理されるという発想になじみがない。マナーというものは、要は「しつけ」の問題であって「慣れ」が重要だということがよくわかる。

カテゴリー[ 中国社会 ], コメント[2], トラックバック[0]
登録日:2007年 07月 24日 22:51:31

コメント

在中国,自行车又称作单车。知道吗?

自行车 @ 2008年 04月 04日 01:07:04

在中国,自行车又称作单车。知道吗?

自行车 @ 2008年 04月 04日 01:07:07

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プロフィール
田中 信彦
(男)
http://chinahr.way-nifty.com/
1959年東京生まれ。早稲田大学政経学部卒。
毎日新聞社記者を経て、日本と上海の両方に活動拠点を持ち、企業の中国事業に対するコンサルティングに従事するほか、雑誌等への執筆、講演など多数。亜細亜大学大学院アジア・国際経営戦略研究科で「日中人事・労務比較論」を講義している。
■主な著書
「中国で成功する人事 失敗する人事」(日本経済新聞社)・「人事・採用の基礎知識--中国編」(メディアファクトリー)・「ぼくの上海行商紀行」(文藝春秋)・「日本人の知らない中国人の私的事情」(講談社)
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