「社区」が中国社会を変える!?
【7月27日 AFP】インサイダー取引など証券市場における違法行為が増える中国で、当局が取り締りの強化に乗り出した。
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(c)AFP
「社区」という言葉が中国社会で定着してきた。もともと英語の「コミュニティー」の訳語で、古くは1930年代に用例が見られるが、注目され始めたのは1990年代半ば頃から。最近になって日常生活やメディア上などでも登場頻度が高くなっている。
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日常生活の中で「社区」には大別して2つの使い方がある。ひとつは都市部の「区」や「鎮」などの下に連なる行政単位の下層部分としての名称であり、もうひとつは単に「コミュニティー」という人の集まる場所を指す普通名詞として使われる場合である。
もともとは行政単位の名称
「社区」は行政単位としての名称としては、90年代後半から本格的に始まった中国社会の新たな都市行政システム建設の中で普及してきた。
もともと中国の都市行政システムは4つの管理レベルからなっている。上から順に
「市政府」
「区政府」
「街道弁事処」
「居民委員会」
の4段階である。この中で、区政府より下の「街道弁事処」と「居民委員会」が担当している部分が、いわゆる草の根部分の地域社会に相当するもので、この部分を「社区」という概念で呼ぶのが普通だ。
たとえば、上海市の浦東新区という区にある花木鎮という町には、「由由」「培花」「聯洋」「欽洋」「東城」という5つの社区があり、各社区が人口に応じて4~10の居民委員会によって構成されている。ひとつの社区の人口は地域差があるが、花木鎮の場合は8000~1万人ぐらいが平均という。
こうした社区の主要業務は住民への各種サービス提供で、ゴミの収集などの環境関連やリサイクル活動の推進、住民間のもめごと処理、社会治安や安全の維持、老人や障害者など地域福祉、貧困者のための生活保護などで、中には就職あっせんや結婚相談といった個人的な問題にも活動領域は広がっている。
市民の生活空間を確保する
社区という新たな概念の確立に政府が力を入れている背景には、社会の大きな構造変化がある。
以前、計画経済の社会では政府機関や国有企業、学校などの大きな組織に大半の人々が所属し、仕事と生活が一体となった生活を送っていた。これらの組織は「単位」と呼ばれ、日々の仕事だけでなく、生まれてから死ぬまでの衣食住すべてにわたる生活の基盤となっていた。当然ながらそこでは共産党の政治的指導が前提になっており、人々の生き方のほぼすべてを規定していた。
しかし改革開放が加速し、人々の生活が豊かになり、国有企業は解体の方向に向かい、政治的にも自由度は飛躍的に高まった。従来の計画経済的体制を引きずる都市行政システムでは、多様化する市民の要求に応えられなくなっている。
人々を管理するという従来の感覚から、市民に対するサービスの提供という姿勢への転換を図る意図がこの社区というコンセプトには込められている。
ネット上のコミュニティーも「社区」
一方、コミュニティーという人の集まりに対して使われる「社区」は、さまざまな用例があるが、最も目立つのはインターネット上のコミュニティーである。ネット上の各種掲示板や論壇、ブログなどを見ると、あちこちで「社区」という言葉が使われている。これも階層的な組織の概念ではなく、同じ興味や趣味などを持つ人々が自分の意志で集まったものだ。インターネットという離合集散の自由な社会の雰囲気を表している。
社区という言葉の広まりには、中国社会が政治主導の管理社会から、人々が自分の意志で集う自由度の高い社会に移行しつつある現状が反映されている。
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登録日:2007年 07月 30日 12:26:36
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- プロフィール
- 田中 信彦
- (男)
- http://chinahr.way-nifty.com/
- 1959年東京生まれ。早稲田大学政経学部卒。
毎日新聞社記者を経て、日本と上海の両方に活動拠点を持ち、企業の中国事業に対するコンサルティングに従事するほか、雑誌等への執筆、講演など多数。亜細亜大学大学院アジア・国際経営戦略研究科で「日中人事・労務比較論」を講義している。
■主な著書
「中国で成功する人事 失敗する人事」(日本経済新聞社)・「人事・採用の基礎知識--中国編」(メディアファクトリー)・「ぼくの上海行商紀行」(文藝春秋)・「日本人の知らない中国人の私的事情」(講談社)
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