中国での人事制度の基本は「自分の土俵で相撲を取る」こと~その4

ローリング・ストーンズ 中国で初公演を開催 - 中国

【上海/中国 8日 AFP】英国のロンクバンド、ローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)が、バンドの歴史史上初の中国公演を開催した。ローリング・ストーンズは25年前に中国公演を計画したが、中国政府と折り合いがつかず実現ならず、さらに2003年に計画した公演では当時蔓延していた新型肺炎、SARSの影響で中止となっていた。今回実現した中国公演にあたり、中国政府はバンド側に人気曲「ブラウン・シュガー」「ホンキートンク・ウィメン」を含む5曲の演奏を禁止した。(c)AFP/LIU Jin

AFPBB News


中国現法で若手社員の定着性の低さが大きなネックになっている。しかし賃金カーブを上方修正すると人件費が増えてしまう。この点をどう考えたらいいのだろうか?

確かに若手社員の定着率を上げるために賃金カーブを上方修正すれば、企業にとっての総人件費は上昇する。一定のコストアップになることは間違いない。

しかしその点についてこの日系メーカーではあまり大きな問題とは考えていない。

「新入社員の人件費は相対的に低いし、数千人のワーカーを抱える製造業の中で全体から見た比率は高くない。人材の定着性が高まるメリットのほうが格段に大きい」

 つまり賃金カーブの変更によるコストアップは確かにあるが、その絶対額はさほど大きくはないということだ。言い方を変えれば、定着率向上のためにその程度のコストは覚悟するという経営判断をしているということでもある。

その結果、同社はここ数年、若手社員の層が着実に厚みを増してきている。その一方、比率は低いながらも創業時から残ってきた人材が10年選手として副部長レベルまで育ち、中核マネジャー層として機能している。

こうした基盤ができたことで、次はこの中堅マネジャークラスの人材をいかに次代の経営者候補として育てていくかが新たな段階の課題と認識されており、そのためのプログラムを用意しているところだ。つまり同社にとっての人事課題全体が一段ステップアップしたことになる。

職能資格制度に中国風の味付けを

 この例では「若手社員の定着性の向上が自社の競争力確保に不可欠。その実現のためにはコストも厭わない」という決断をしたことが出発点となっている。その判断の下、なじみ深い職能資格制度を基本に、中国人若手社員のモチベーションに合わせ、絶妙の味付けを運用上に加えることで有効な仕組みとして機能させることに成功している。

非常に現実的かつ堅実な、まさにプロならではの技と言えるだろう。

中国事業の規模が拡大し、多拠点化した現在、有効な人事制度の導入は、現場サイドのみでは手に負えない課題となりつつある。本社の人事部門のプロが積極的に関与し、中国の事情を深く理解したうえで、現場と連携して総合的な施策を打っていくことが必要だ。その際、本社サイドで留意すべきポイントは以下のようなものが考えられる。

・事前の調査と問題点の把握
人事や教育のプロの目で現場を見て、インタビューやアンケートなど必要な手段を講じて課題を把握する。事実を客観的につかむことが重要。

・赴任前教育の徹底
 マネジメントスキルや評価者訓練、中国文化の理解などの赴任前研修は大きな効果が実証されている。赴任者は何を目的に行くのか、ミッションを明確にしなければならない。

・現法に派遣する日本人の人選
成果をあげられる人材を赴任させる。人選に強く関与する。

・本社の人事・教育研修部門の継続的な関与
中国とて「人」の問題を扱う基本は変わらない。人事や教育に興味関心と専門知識を持った人材が不可欠。

・外部リソースの活用
本社の人事教育部門の関与には時間的、地理的に限度もある。この領域のプロとして言語を共有し、現法の活動のファシリテーターとしてタイミングよくトスを上げられる中国人事の専門コンサルタントの活用はよきパートナーとなり得る。

冒頭でも述べたように、中国の日系企業には優れた経験の蓄積がある。歴史的に日本企業の出してきた強みを考え合わせた時、中国においても今後取るべき人事施策の方向性はおのずと定まりつつあるように思われる。

その基本はあくまで「自分の土俵で相撲を取る」ことにあり、自分たちの相撲の型に合った人材を探し出し、引き寄せ、運命共同体の中で成長させることにある。
その観点からも、高い専門性を持った人事・教育部門のプロの関与が今ほど求められている時期はないのである。

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登録日:2006年 04月 09日 13:17:41

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プロフィール
田中 信彦
(男)
http://chinahr.way-nifty.com/
1959年東京生まれ。早稲田大学政経学部卒。
毎日新聞社記者を経て、日本と上海の両方に活動拠点を持ち、企業の中国事業に対するコンサルティングに従事するほか、雑誌等への執筆、講演など多数。亜細亜大学大学院アジア・国際経営戦略研究科で「日中人事・労務比較論」を講義している。
■主な著書
「中国で成功する人事 失敗する人事」(日本経済新聞社)・「人事・採用の基礎知識--中国編」(メディアファクトリー)・「ぼくの上海行商紀行」(文藝春秋)・「日本人の知らない中国人の私的事情」(講談社)
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