中国の履歴書をいかに読むか~その1

加熱する受験 低下する大卒の価値 - 中国

【合肥/中国 11日 AFP】中国中部、安徽(Anhui)省の合肥(Hefei)で11日、大学案内などが行われる高等教育フェアが開催された。最近の大学入試では約950万人が受験し、記録的な人数の入学が見込まれている。中国の厳しい雇用市場において、学士号はもはや良い就職口を保証するものではなくなってきている。写真は、高等教育フェアに設置された大学のブース。(c)AFP

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採用活動に履歴書が重要なことは日本も中国も同じだが、履歴書の中身やその見方については両国で大きな違いがある。中国で提出されてくる履歴書は一般的に日本の書式に則ったものより情報量が多いし、ビジュアルが多用してあったりして読んでいて面白い。だがその反面、かなり「売り込みがきつい」もの、明らかに誇張された表現などが目立つ。各種証明書類の偽造という行為も少なくない。そうした中で、いかに応募者の履歴書の有効性を判断し、有能な人材を見極めるか、そこが採用担当者のカギになる。

日本と中国の履歴書で何が最も違うかといえば、日本の履歴書は会社から求められている基本的なデータを明らかにするためのもので、規格が非常にハッキリしている。一方、中国の履歴書は「自分の魅力を際立たせるためのもの」であって、いかに人と違うか、自分はどれだけ優れているかをアピールするものになっているという点だろう。

どちらかといえば米国のレジュメ、職務経歴書の概念に近いかもしれない。そう思って見てみると、確かに日本の一般的な市販の履歴書というのはいかにも情報量が少ない。中国の大学で日本語学科を卒業した学生の中には日本の履歴書を真似てわざわざ情報量を少なくしている人もいたりする。これはもったいないし、第一読んでいて面白くない。

中国で人材募集すると提出されてくる履歴書にはいくつかのパターンがある。通常は自分の学歴や職歴などを列記した履歴書部分と、それ以外に自分の得意なことや興味関心のあること、これまでの業績などを自由な形式で表現した「自己紹介書」みたいなものとの2部分に分かれていることが多い。

履歴書部分にもいくつかのパターンがある。

もっとも代表的なのは、時間軸で整理していく書き方だ。これには日本と同様に古い順番に上から書いていくものと、アメリカ式に最近のものを上から順に書いていくものとがある。最近では中国の若い人の場合、アメリカ式に新しい順に記していく人が多くなってきた。確かにこのほうが実用性の面では合理的なように思う。

時間軸で整理するもののほかに、自分の専門性を軸に展開していく書き方もある。これは新卒学生の場合は適用できないが、社会経験のある応募者の場合、会計や財務、人事、営業、生産技術などと職種や一定のコンピューター言語などのスキルごとに自分の経歴を整理して、職務経歴を表現していくものだ。

新卒学生の場合、職務経験がないわけだから、時間軸で整理しても学歴しかないし、専門技能も持っていないから、このどちらもできない。そのため、この点は日本と同じだが、スポーツだったりアルバイト歴だったり、ボランティア歴、学業などについて一生懸命に書いてくる人が多い。

中には日本の市販の履歴書をコピーしたりして、そのまま使ってくる人もいる。日本の履歴書はいつからいつまで何をしたというつながりはよくわかるが、あまりに画一的で個性が出ない。面接の時の話のとっかかりぐらいにしかならないと考えたほうがいい。書類選考の段階でかなりの人数を絞ろうとするなら、自己紹介書なり職務経歴書なり、別個の資料を提出してもらう必要があるだろう。

履歴書は面接のチャンスを得るために書く

少なくとも中国では履歴書は面接のチャンスを得るために書かれている。このことを履歴書を見る人は常に念頭に置いておく必要がある。これはどこの国でもそういうものではあるが、経験上、中国で集まってくる履歴書、自己紹介書の類はかなり売り込み臭がきついものが多い。

特に日本語の堪能な、日系企業での勤務経験が豊富な人を中途採用するような場合、応募者は日系企業の風土や日本管理職の好みをよく知っているので、日本人に好感をもたれるように書いてくる。それも応募者として当然のことであるが、そういう意識で書いているのだという心構えは常に必要である。

 たとえば、ある人が朝出社して、顧客から会社宛てに届いたメールを部門別に分類し、社内の各部門に転送するという仕事をやっていたとする。こういう仕事が履歴書では「営業部門において当社主力商品のマーケティング調査に従事。顧客の要望をヒアリングし、社内関係部門に伝達、品質向上や顧客サービスの改善に貢献した。たとえば……」という話になったりする。

「何が書いてあるか」ではなく「何をやってきたか」を判断することが面接の目的であり、履歴書はそのための「とっかかり」にすぎない。従事していた業務自体は重要なものであっても、その人がその業務で果たしていた役割は重要でなかったかもしれない。逆にいえば、業務自体はさほど重要な業務でなくても、自分なりに工夫して真面目に成果を出していた可能性もある。

要は自分たちがどういう人を雇いたいのか、そのイメージをはっきりすることが大切だ。漠然と「いい人はいないかな」という感覚で履歴書を眺めていると、字面だけ立派な書類に引き寄せられてしまう可能性が高くなる。

(具体的な履歴書の読み方はまた後日……)

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登録日:2006年 06月 18日 11:52:13

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プロフィール
田中 信彦
(男)
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1959年東京生まれ。早稲田大学政経学部卒。
毎日新聞社記者を経て、日本と上海の両方に活動拠点を持ち、企業の中国事業に対するコンサルティングに従事するほか、雑誌等への執筆、講演など多数。亜細亜大学大学院アジア・国際経営戦略研究科で「日中人事・労務比較論」を講義している。
■主な著書
「中国で成功する人事 失敗する人事」(日本経済新聞社)・「人事・採用の基礎知識--中国編」(メディアファクトリー)・「ぼくの上海行商紀行」(文藝春秋)・「日本人の知らない中国人の私的事情」(講談社)
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