中国政府はちゃんと正面から政権党と話し合え

民主党の小沢代表が北京を訪問して胡錦濤・中国共産党総書記らと会ったという。小沢代表が野党の党首として独自性を出そうとするのは当然だし、小泉路線との違いを強調するために中国との関係改善に積極的に取り組むというのもわかる。しかし、中国の政府の側がそれにほいほいと乗ってサービスしているのをみると、やれやれという感想を禁じえない。大国にしては政府のやりかたが少々スケールが小さいのではないか。

どうも中国政府は何か勘違いしているのではなかろうか。

日本の国民が選んだ政権党は自民党であり、小泉総理は自民党の総裁であって、その意味で国民に選ばれたリーダーである。私は小泉総理の政策にすべて賛同するものではないし、靖国神社への総理の参拝はすべきでないと考えているが、日本の国民が選んだ指導者が小泉純一郎氏であることは事実であるし、そのことは尊重せねばならない。

中国政府が靖国問題をはじめとする小泉総理の政策に反対するのはいい。おかしいと思うなら抗議すればいい。違う国の政府どうしが考え方が違うのは当然であって、お互いに注文をつけあって、話し合って、妥協できるところは妥協すればいいし、どうしても妥協できないところがあるにしても、今の世の中、話し合い以外に解決策はないのだから、つまるところは粘り強く交渉を続けるしかない。

いずれにしても話し合うべき相手は日本国の代表たる政権党のトップであって、それ以外にはいない。小泉政権が合法的な日本の政権である以上、政権与党と話し合わないで何が解決できるというのだろうか。日本の民意は小泉総理を支持しているのである。そこを直視しなければならない。

まるで冷戦時代の思考様式

ところが中国政府の対応を見ていると、考え方が違うから小泉とは会わないという。この姿勢はどう考えてもおかしい。考え方が違うからこそ会わねばならないのではないか。それでいて、野党である民主党の党首ご一行とは喜んで会う。嫌いな相手が辞めるのを待ちつつ、自分たちに好意的な話をしてくれる相手とは機嫌よく話をする。陳腐な言葉で使うのも嫌だが、「敵の敵は味方」ということなのだろう。まあこの政治センスの古さというか、まるで冷戦時代の外交を見ているようで、いい加減うんざりする。

中国政府によく考えてもらいたいのだが、自民党が政権党であるということは、日本国民の中に自民党を支持する人のほうが多いということだ。支持する人が多いほうを放っておいて、支持する人が少ないほうと楽しく盛り上がって、いったいどんな展望が開けるというのか。

日本の世論を分断しようという「工作」だという解説もある。だとしたらこれまたいかにも古くさい、時代錯誤的なやり方だと言うしかない。中国政府が民主党に肩入れして、民主党が仮に親中的な政策をとったとして、それで日本国内が中国をテーマに国論を2分するような論争になるとでも思っているのだろうか。

ありえない話である。中国政府が日本国内の政治にちょっかいを出せば出すほど、日本人は警戒して、中国政府の思惑とは逆の方向に動いていくに決まっている。日本国民は馬鹿ではない。民主党にしたところで、そんな中国の思惑においそれと乗るようなマネができるはずがない。「敵の敵を動かして……」などというのはゲリラが取るべき戦術であって、中国のような大国の政府がやるべきことではない。

正面突破しか道はない

もし中国政府が日本人の心を本当に動かしたいなら、政権党である自民党の支持者と真っ正面から堂々と話し合うべきだ。正面突破しか道はない。

私も日中間の政治的問題は一日も早く解決すべきだと思う。現在のような状況は異常であって、早く正常化しなくてはならない。しかし、中国政府が日本の少数派といかに意気投合しても問題の解決にはならない。政権党どうしが堂々と正面から話し合うしか道はない。

カテゴリー[ 中国社会 ], コメント[2], トラックバック[0]
登録日:2006年 07月 05日 02:26:38

コメント

そう簡単に解決できる問題ではないんですから。リーダーたちの知恵が足りなくて、これからも十分の知恵を持っているリーダーのご登場を待ちましょう。

サイ @ 2006年 07月 23日 23:37:38

ちょっと認識は片方的に感じるのですが、要する個人的ではないか。国際政治や外交について単純すぎな見方ですよね。

リコウ @ 2006年 11月 01日 12:50:10

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プロフィール
田中 信彦
(男)
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1959年東京生まれ。早稲田大学政経学部卒。
毎日新聞社記者を経て、日本と上海の両方に活動拠点を持ち、企業の中国事業に対するコンサルティングに従事するほか、雑誌等への執筆、講演など多数。亜細亜大学大学院アジア・国際経営戦略研究科で「日中人事・労務比較論」を講義している。
■主な著書
「中国で成功する人事 失敗する人事」(日本経済新聞社)・「人事・採用の基礎知識--中国編」(メディアファクトリー)・「ぼくの上海行商紀行」(文藝春秋)・「日本人の知らない中国人の私的事情」(講談社)
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