2007年 10月
嗚呼、海外出張~ミラノ・パリコレで考える
【パリ 8日 上間常正】08年春夏パリ・コレクションは7日に最終日を迎え、ルイ・ヴィトンやランバン、ミュウミュウなど11ブランドのショーが開かれて閉幕した。
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今回の出張では、飛行機のトラブルにいくつか見舞われた。予約した便に乗れる、ラゲッジが一緒に届く、そんな当たり前のことが、外国の航空会社はどうしてできないのか?と不思議に思う。行きの便はKLMのアムステルダム経由だったが、ミラノでトランクが出てこなかった。パリ・コレの翌日にヴェニスに向かったときは、オーバーブッキングで一便遅れた。最後にパリから成田に帰るときも、ビジネスクラスがオーバーセリングだったらしく、場合によってはエコノミー席になるかもしれないと言われてうんざりした。
こんなトラブルは文句を言えばそれなりに何とかなる。しかし、もっとうんざりしてかつ情けなかったのは円安ユーロ高の現実だった。ユーロがスタートしたころと比べると、実感として物価は2倍になってしまった。滞在費のことを考えると、どうしても財布のヒモが固くなる。外国に出ると、前よりずっと貧乏になってしまった感じなのだ。それに比して、最近はウォン高らしく、パリのブランド店などでは韓国の人たちの姿が目立った。
日本経済がヨーロッパや韓国と比べて特に不調だとは思えない。おそらくこれは、輸出によって景気を浮揚させようとした円安誘導策のせいなのだろう。しかしトヨタやソニーがいくら利益を上げても国民には還元されず、利益はたとえば米国債などにつぎ込まれて実際にそのお金を使うのはアメリカ人だったりするのだ。大部分の日本国民にとっては輸入品が割高になり、外国に行くとみじめな思いをすることにしかならない。こんなことを一体だれが許したのか、と憤りに絶えないのだが……。
パリやミラノのファッションブランドにとっても、このユーロ高は商売に差し障るのではないかと思う。日本マーケットが萎縮しきらないうちに、何とか日本の一般消費者との共闘ができないか? そんな気がするのだが、もう日本はどうでもよくて、中国やロシア、インドの新マーケットの方が大事になりつつあるのかもしれない。コレクション会場の顔ぶれを見ていると、それも事実なのかもしれないとも思った。
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登録日:2007年 10月 15日 18:53:15
パリコレ最終日を振り返る
<08年春夏パリ・コレクション>オリヴィエ・ティスケンス、ニナ・リッチ新作を語る【動画】
【パリ 10日 AFP】フランス・パリ市内で10月7日、ニナ・リッチ(NINA RICCI)が08年春夏コレクションを発表した。
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(c)AFP/parismodes
パリ・コレ最終日の10月7日は、今シーズンの傾向を代表するような力作ぞろいだった。
フィナーレを飾ったルイ・ヴィトンは、マーク・ジェイコブス本来の毒がきいていて楽しめた。ここ数年は隠し味として留めていたダークな部分への感性や反抗精神などが、リチャード・プリンスとのコラボで前面に出た、という感じだ。リチャード・プリンスといえば、既存の写真を写真に撮ることで現実の題材と写真の関係を打ち壊してしまったアーティストだ。題材としても、時代の暗部に切り込むようなスキャンダラスな領域に踏み込んでいる。
ポップアートの世界でやられていることを、マークは服の表現で試みようとしたようだ。
透ける制服を着た娼婦のような看護婦や、前から見ると普通にかわいいのに後ろは下着が丸見えの服。そんな表現をルイ・ヴィトンの新作として通用させるのは、かなり大変だったに違いない。いわゆる前衛的なデザインということであれば、この程度の露出などはこれまでにいくらでもあった。
しかしマークはポップアートの手法の一つひとつを、ヴィトンの伝統やコマーシャリズムの制約の中でていねいに翻訳し直している。そんな努力と意気込みが伝わるショーだった。
ニナ・リッチのオリヴィエ・テイスケンスも、今回は彼本来のダークなものへテーストを表してしまったようだ。といっても、こちらはNYの都会風なポップではなくて、フランドルの森のゴシックな感性といったようなものが下敷きになっている。それが、たとえばアメリカ先住民のようなスタイルの表現になったのだろう。ショーの後のインタビューでオリヴィエは、一般受けするような適当なことを話している。しかしあれはダークな毒を少しでも和らげようとした配慮に違いない。
ミュウミュウの、身体表現をテーマにしたミックス感覚も面白かった。たいていのポップアートは同時代のものを混ぜるのだが、このコレクションでは時代の異なる題材がミックスされていた。しかもその結果できた服の造形はシンプルで緊張感に満ちていた。プラダのファンタジックでナチュラルなデザインをやった後でこれだけのコレクションを作ったミウッチャの力量と意欲にはいまさらながら感心させられた。
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登録日:2007年 10月 15日 18:50:27
パリコレも終盤
【パリ 7日 AFP】29日から9日間、フランス・パリ市内で08年春夏パリ・コレクションが開かれている。
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(c)AFP
ひさしぶりにパリに快晴が戻った。フランスの秋の日差しは東京より透明で、光りの一本々々を手で磨いたように見える。チュイルリーの公園の池ではたくさんの親子連れが模型の船を浮かべて遊んでいる。しかし、パリコレ組はその横を足早に歩く。
エルメスとクロエのショーは、そのチュイルリー公園の両端に設けられた特設テントで時を置いて開かれた。一方はガラス屋根なのでまぶしさと熱気に耐え、一方の黒布屋根の方ではほぼ暗闇の中で遅れがちなショーの開始を待った。テントは効率的だが快適性に欠け、待つ身にはつらい。1日に10以上のショーが開かれる休みなしの日程が1週間以上も続くと(ミラノからだと2週間を超える!)、こうした瞬間にも疲労感と眠気に襲われる。
今シーズンのファッションの大きなテーマの一つは、リラックス感や楽しさといってよいだろう。その背景には、アンダーカバーの高橋盾が言っていたように、みんなこんなに働いてどうするんだろう? その結果しあわせになったのか、環境は?という反省があるのだ。ところが、現実にそういうことを訴えるショーを作る側も見る側も、こんなに忙しくてバタバタしているのは矛盾ではないか? 眠気をがまんしながら、そんな疑問にも襲われた。
土曜の夜はラグビーのセミファイナルがあり、フランスが予想に反してオールブラックスに勝った。街ではみんな大騒ぎをしているが、そんなことにも関係なく大急ぎで食事をして原稿を書いている。
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登録日:2007年 10月 07日 17:35:41
パリ・コレ5日目
<08年春夏パリ・コレクション>イヴ・サンローラン、新作を発表
【パリ 5日 AFP】29日から9日間、フランス・パリ市内で08年春夏パリ・コレクションが開かれている。
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(c)AFP
パリ・コレ5日目。イヴ・サンローランとジャンバティスタ・ヴァリがとてもよかったと速報で書いたが、もう少し補足を。サンローランのコレクションでは「星」の形があちこちで使われていた。服の柄やペンダント、ダーツのつまみ方も星型だった。あの星は希望や夢、そして子供の頃の憧れを表しているそうだ。デザイナーのステファノ・ピラーティにとっては、憧れの的だったサンローランの象徴でもあるのだという。
ジャンバティスタ・ヴァリの今回の新作のデザインモチーフはとても多彩で、昔の名モデルのベリューシカ、ゴシック建築などにある森の植物柄の紋様、モダンアートなど。それらがうまく解け合って、独特なハーモニーが奏でられた。服のディテールもびっくりするほど凝っていて、コサージュも花びらの一つひとつが石を布で包んだものだった。
この日のハイダー・アッカーマンのコレクションも、ここ数シーズンでは最もいい出来栄えだった。サテンのパーカ付のジャケットと共布のミニドレスの組み合わせは独創的だし、マント型のロングドレスもよかった。素材も上質で揺れるような軽やかな服なのに、どこかハードで暗い強さがあった。
ズッカの茶とカーキを使ったナチュラルでスポーティーな服にも雰囲気があって楽しかった。このコレクションにはトライバルなしぶとさもあるが、ビートルズの曲が流れる中でどこかノスタルジックな「楽しさ」に包まれていた。最後に流れた「ラブ」が効果的だった。今シーズンはいろんなショーでビートルズがよく登場する。
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登録日:2007年 10月 06日 09:10:01
パリコレ4日目
【パリ 4日 上間常正】08年春夏パリ・コレクションの中盤を迎えた3日、ロエベやヴァレンティノ、クリスチャン・ラクロワなど11ブランドのショーが開かれた。
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パリ・コレ4日目となると、特にミラノから続いて来ている人たちは疲れがたまってくる。腰を痛めたり、下痢、悪性の風邪だったり、と症状は色々。睡眠と栄養不足が疲れに追い打ちをかけるのだ。
今日のスタートはヴァレンティノから。このブランドの創始者による最後のコレクションなので、やはり感慨深かった。ショーでは特に記念めいた仕掛けはなかったが、最後に現れたヴァレンティノの表情がとてもよかった。引退を事実上決めていた前シーズンは涙を浮かべていたが、今回は何かがふっ切れたような晴れやかな笑顔。こういうさりげなさの方が、人の心を打つものだ。
改めて見ると、ヴァレンティノの服は素材、デザインのバランス、シックな色使い、とどれを取ってもエレガントで完成度が高い。当たり前だと思っていたものの偉大さというのは、無くなった時にしか分からないということなのだろう。
今シーズンの特徴の一つは、色彩とプリント柄が久しぶりに復活したこと。ドリス・ヴァン・ノッテンはいつもよりずっと派手な色柄で、クリスチャン・ラクロワはむしろいつもより少し抑えた色調で表現した。そして、どちらもどこかアフリカを連想させる野性的でナチュラルなタッチだった。
それぞれニュアンスの差はあるが、「アフリカ」も今シーズンのキーワードの一つになった。そういえば、東京コレクションでネ・ネットが人類の起源としてのアフリカンテーストを出していたのを思い出した。東京も捨てたものではない。
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登録日:2007年 10月 05日 09:05:46
パリコレ3日目
【パリ 3日 AFP】29日から9日間、フランス・パリ市内で08年春夏パリ・コレクションが開かれている。
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(c)AFP
パリ・コレ3日目はコムデギャルソンの3ブランドやイッセイミヤケ、ツモリチサトのショーで、日本デーといった感じ。日本のデザイナーや、またその影響を受けたベルギーなどの前衛派が参加しなかったら、パリコレは多分、欧州ローカルのクラシック見本市みたいになってしまったに違いない。とはいえ、では東京ファッションとは何か?という世界に通用するアイデンティティーが相変わらず確立していないことも確か。
いつも思うのだが、パリのショーでも観衆が一番真剣な顔をして観ているのは、いまでもイッセイミヤケやコムデギャルソンやヨウジヤマモトなのだ。個々のデザイナーの実力は十分にあるのに、それがまとまってアピールするチャンスがなかったこと、国を含めてだれもそれを応援しなかったことが一番大きな理由だと思うのだが、それはとりあえずさておき。
コムデギャルソンの3番目のデザイナーブランドとして注目され始めたタオが、初めて一般会場でのフロアショーを開いた。これまでの作品はまだ遠慮気味で、シンプルでフェミニンな中に凛とした立ち位置を感じさせるに留まっていた。しかし今回は、その「凛」が前面に出てきて、服に強さと多彩さが加わった。
布を巻きつけたような造形と砂漠の土のようなベージュ、グレー、淡いが深いブルーなどの色遣いには、どこか野生を思わせる強さがあった。デザイナーの栗原たおは「どこにも属さない、自分だけのトライブ」と表現していた。確かにそんな感じだった。
ツモリチサトの夜の海辺を思わせるようなショーの設定と服も雰囲気があった。音楽はドビュッシーの「月の光」。海のブルーのグラデーションや波のようなプリント柄、またシルクジョーゼットの波のように揺れるプリーツの表情もよかった。ただし、ショーのラスト近くに登場した派手な色柄プリントとその使い方はちょっといただけなかった。
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登録日:2007年 10月 04日 07:46:49
パリコレ2日目
<08年春夏パリ・コレクション>ジョン・ガリアーノ、ディオール新作を語る【動画】
【パリ 3日 AFP】フランス・パリ市内で1日、クリスチャン・ディオール(Christian Dior)が新作を発表した。
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(c)AFP/parismodes
パリ2日目のスタートは、日本人の新人デュオ、コミューン(COMMUUN)。ドレスが中心のコレクションだが、新進とはいえ無駄と淀みのない見ごたえのある服だった。素材選びのセンスも良くて、シンプルなデザインを引き立てていた。シルクジョーゼットのすっきりしたドレスやオーガンディの重ね、ドレープの切り替え方も、さりげないが巧みだ。余計な色を使わなかったことも、このシックで軽やかな服の印象を高めていた。今年のANDAMの賞を受けたのもうなずけることで、今後も期待がもてそうだ。
ビッグブランドのトップをきったクリスチャン・ディオールは、ひたすらシックなクラシックスタイル。たいていの破天荒な天才画家が精確なデッサン力をもっているようにに、ジョン・ガリアーノには優雅さへのセンスと高いテーラード技術がある。今回はそちらだけを見せただけで、見る方は残念だがこういう時の方が服は売れるらしい。
この日のハイライトは、アンダーカバーとマルジェラだった。アンダーカバーのパンクの持ち味を効かせたリゾートウエアは、肩の力の抜けた凄みがあった。この服の中には、リゾートを求める気分とエレガントな服を作る技量の習熟という二つの「成熟」、そしていつまでも反抗精神をわすれない「若々しさ」が同時に含まれている。
リゾートへの思いは、目まぐるしく変化して忙し過ぎるファッション業界、そこに呑み込まれていることへの苛立ちも背景にあるようだ。コムデギャルソンのショー会場で、デザイナーの高橋盾は「いつも寝不足で、苦しんでいて、このままでいいのか。もっとゆとりを持って、もの作りをしなくちゃいけないと思う」と話していた。
成熟と反抗精神といえば、この日のヴィヴィアン・ウエストウッドのショーも感慨深かった。パンクといえばヴィヴィアンは高橋よりかなり上の世代の元祖だが、さすがに若々しさよりは成熟がずっと勝っていた。肩に力の入った若々しさの素振りが痛々しかったが、今回のショーではそれが素直に見えてちょっと感動した。服も悪くなかった。
もう一つ良かったのは、ケイタマルヤマの展示会。軽いスイングジャズの演奏に乗せたミニショーでは、和風のモチーフでひたすら作り込んだ服が、彼らしくてとてもキュートに見えた。彼には反抗精神などなくていいのだ。
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登録日:2007年 10月 03日 08:45:28
パリ・コレ開幕
<08年春夏パリ・コレクション>ミナ ペルホネン、新作を発表
【パリ 2日 MODE PRESS】08年春夏パリ・コレクションが29日、開幕した。
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雨で寒かったミラノと比べて、パリは暖かくて気持ちがいい。29日は新人のプログラムなのでパスして書類やチケット整理、カメラの打ち合わせなどで過ごし、30日のミナ・ペルホネンのショーからスタート。いつもの通り、朝から晩まで食事抜きでパリを駆け回る一週間となる。
パリの特徴は、その多彩さだ。コレクションの中身もそうだが、観客もビジネス関係やプレスのほかに、学生やお針子もいるし、どうしてこんな風体の人が入れたのかと思う労働者風の人や、大富豪だというのだがいつもカウボーイハットを被ったファッションとは関係無さそうなアメリカ人など、さまざまだ。
ミラノが一種の産業見本市だとすれば、パリ・コレは学校の文化祭みたいな雰囲気がある。ビジネスをまるで無視したような実験的な服やショーの見せ方が多くあるのもパリの特徴の一つ。時々、世界中から大人たちが集まってよくこんなことをやっているな、と思うこともある。
ミナのショーも、そういう意味では実にパリ的だ。生地の素材の段階からこれほどクリエーションを注ぎ込んだブランドはほかにはない。それが生み出した温もり感は、トレンドとしてのナチュラルとは別次元のものだ。今回は「自然そのものでもなく、工業製品でもない」とうたっていたが、その服にはそうした意図が十分に感じ取れる説得力があった。
アントワープ出身のブルーノ・ピータースの考え抜かれたカッティングによるシャープな造形も、時代意識は感じないものの独自のデザイン意図があってパリらしかった。ショーの会場をサッカーの試合にしてしまったブレスも、ミラノやニューヨーク、また東京でさえもないような破天荒な見せ方だった。このショーでは本物のサッカーボールを使っていたので、玉が飛んでくるたびに真剣に緊張してしまった。
ベルンハルト・ウィルヘルムの展示会形式で見せた新作もおもしろかった。モデルが彫像のように木の荷物箱の中にいるのだが、星条旗をまとったモデルだけが手を縛られて、ほとんど幽閉されているようなのがおかしかった。
こんな訳で、パリの初日はトレンドどころではない多種多様さがまず目立った。
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登録日:2007年 10月 02日 17:00:31
ミラノ:9月30日
<08年春夏ミラノ・コレクション>プラダ、新作を発表【動画】
【ミラノ 29日 AFP】イタリア・ミラノ市内で25日、プラダ(PRADA)が08年春夏コレクションを発表した。
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(c)AFP/parismodes
トレンドということで言えば、今シーズンはクラシックからナチュラルへと大きく変化した。服のシルエットもゆるやかになり、色もかなり復活した。そこにどんな意味や背景があるのかとあれこれ考えるのが興味深いのだが、楽しい夢もファッションの大切な要素だ。
プラダのショーは今シーズンのミラノのトレンドを最も深い意味で代表していて、同時にファンタジーにも満ちた楽しい力作だった。一見するとまるでおとぎ話のような服は、最近の実用的なリアルクローズを見慣れた目には「これが売れるのだろうか?」と心配になるほど。しかし、今回のプラダのコレクションには、「自然」がもつ神秘的な力と楽しさへの想いを観る人に誘う迫力があった。
デザイナーのミウッチャ・プラダの念頭にあったのは、破壊されつつある地球の自然環境への危機感だ。「そうした現状への想像力をもつことが、いま一番必要とされている」と彼女は語っている。自然を破壊し始めた近現代の工業生産システムを支えてきたのは、西欧的でマッチョな合理的考え方だった。ミウッチャはそれに対し、自らの女性性にあえて注目し、妖精や少女のイメージを表現することで異議申し立てをしたようだ。
ミラノはトレンドをあえて打ち出すことでパリに対抗するのだが、プラダはややそれを裏切るスタイルでコレクション全体に厚みを持たせてきた。だが、今回はグッチがその役割を務めた格好になった。
今シーズンのグッチは、ナチュラルとは全く違って、50年代のクラシックな形を基本にした都会的で夢見るようにシックな服だった。白と黒の色調の中で、さらりと使った黄色とピンクが効果的でシックだった。50年代の優雅な形にアクセントを加えたのは、もう少し後に始まったロックのテースト。どちらもクラシックといえばクラシックなのだが、それが少しも古く見えないのは、デザイナーのフリーダ・ジャンニーニの現代女性としての生活感覚が反映されているからだ。
いずれにしても、“ストレンジャー・イン・ザ・ナイト”が流れる中で登場したワンレングスのロングドレスはうっとりするほどロマンチックだった。こういう夢や陶酔感は、いまではファッションしか提供できない。
モダンアートを服作りに持ち込んだドルチェ&ガッバーナのショーもファッションの夢に満ちていて、同時に現代的だった。大量生産の工業製品がとっくに失ってしまった合理性のオーラを補うために、最近は手作り感覚が重要視されている。ファッションも例外ではなかったが、アートは逆に工業化されつつある手作り製品ともいえる。ドルチェ&ガッバーナの今回の新作は、その二つの分野の“製品”の出会いの場をつくったような形となった。
その結果できたのが、パーツや図柄の一つひとつは既視感がないとはいえないのに全体としては見たことが全くなかった新鮮で楽しくて、しかも美しい服だった。こんな試みが成功してしまうのは、このブランドがもっているオートクチューメゾンにも引けを取らないようなテーラード技術の水準の高さが背景にあるからだろう。
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登録日:2007年 10月 01日 18:05:48
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