パリコレ最終日を振り返る
パリ・コレ最終日の10月7日は、今シーズンの傾向を代表するような力作ぞろいだった。
フィナーレを飾ったルイ・ヴィトンは、マーク・ジェイコブス本来の毒がきいていて楽しめた。ここ数年は隠し味として留めていたダークな部分への感性や反抗精神などが、リチャード・プリンスとのコラボで前面に出た、という感じだ。リチャード・プリンスといえば、既存の写真を写真に撮ることで現実の題材と写真の関係を打ち壊してしまったアーティストだ。題材としても、時代の暗部に切り込むようなスキャンダラスな領域に踏み込んでいる。
ポップアートの世界でやられていることを、マークは服の表現で試みようとしたようだ。
透ける制服を着た娼婦のような看護婦や、前から見ると普通にかわいいのに後ろは下着が丸見えの服。そんな表現をルイ・ヴィトンの新作として通用させるのは、かなり大変だったに違いない。いわゆる前衛的なデザインということであれば、この程度の露出などはこれまでにいくらでもあった。
しかしマークはポップアートの手法の一つひとつを、ヴィトンの伝統やコマーシャリズムの制約の中でていねいに翻訳し直している。そんな努力と意気込みが伝わるショーだった。
ニナ・リッチのオリヴィエ・テイスケンスも、今回は彼本来のダークなものへテーストを表してしまったようだ。といっても、こちらはNYの都会風なポップではなくて、フランドルの森のゴシックな感性といったようなものが下敷きになっている。それが、たとえばアメリカ先住民のようなスタイルの表現になったのだろう。ショーの後のインタビューでオリヴィエは、一般受けするような適当なことを話している。しかしあれはダークな毒を少しでも和らげようとした配慮に違いない。
ミュウミュウの、身体表現をテーマにしたミックス感覚も面白かった。たいていのポップアートは同時代のものを混ぜるのだが、このコレクションでは時代の異なる題材がミックスされていた。しかもその結果できた服の造形はシンプルで緊張感に満ちていた。プラダのファンタジックでナチュラルなデザインをやった後でこれだけのコレクションを作ったミウッチャの力量と意欲にはいまさらながら感心させられた。
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登録日:2007年 10月 15日 18:50:27
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