●大阪市厚遇是正の総決算 7/16

(以下、読売新聞7月15日)
○大阪市厚遇是正の総決算 豊かな「市役所人生」様変わり 労使蜜月にもメス
旅行券、祝い金、ヤミ年金…
 大阪市の職員や労働組合、OBへの常識外れの厚遇を次々に明らかにしてきた市福利厚生制度等改革委員会が14日、厚遇問題の〈総決算〉を発表し、その役目を終えた。委員会発足から1年7か月。見直し議論をリードしてきた上山信一・慶応大教授は、記者会見で「大阪市に、改革のDNAを作るきっかけになった」と締めくくった。一方、厚遇見直しで、職員の豊かな“市役所人生”は大きく様変わりした。 是正前、22歳で入庁した職員は、60歳定年までに旅行券を8回受け取り、総額は58万6000円分に上った。また、夫婦ともに職員で、子ども2人を高校卒業まで育てると、結婚、出産、入学祝い金は計91万円。
 退職後は総額で1人平均384万円のヤミ年金・退職金を受給できたが、こうした厚遇はいずれも2004年度末で廃止された。
 勤続30年を迎えた今年、以前なら17万6000円分の旅行券をもらえた市幹部は、「厚遇問題では、近所の人たちから白い目で見られていた。あんな思いをするぐらいなら、旅行券なんか、もらわないほうがまし」と、さばさばした表情で話した。
 厚遇の温床だった労使蜜月(みつげつ)の関係にも委員会のメスが入った。議事内容の公表を義務づけた労使交渉のガイドラインを提案し、密室交渉を封じた。
 市労働組合連合会の木下平和委員長は、一連の見直しについて「反省すべきは反省する。ただ、何でも切ればいいというものではない。委員会には、あるべき福利厚生とは何なのかを示してほしかった」と、不満も漏らした。一方、委員の上山教授は「市の組織全体に、情報公開の姿勢が広がりつつある」と、手ごたえを感じた様子。 助役を辞任するまで「改革の旗振り役」として委員長を務めた大平光代弁護士は「委員会は、改革の流れを作った。ただ、これで終わりだと思ったら、とんでもない。今度は同和行政のうみを出し切ってほしい」と話している。
(以下、サンケイ新聞 15日)
○厚遇是正に“外圧”利用 大阪市改革委
大阪市の職員厚遇問題の解明を進めてきた市福利厚生制度等改革委員会が14日に明らかにした最終報告。改革委にかかわった市幹部は「一つ一つは小さな話かもしれないが、並べると大きな問題だと改めて認識させられた」と語った。
 改革委は、職員福利厚生団体の「互助組合」や親睦(しんぼく)組織「厚生会」への厚遇が表面化したことをきっかけに平成16年12月に発足した。
 市への批判の高まりを受けて、ただちに設置され、対策に向かう立ち上がりは早かったものの、職員厚遇はその後も次々と発覚。市民からの不信感も強まるなか、改革委は17年2月、市幹部のみの構成から、外部委員も加えた陣容に移行、上山信一・慶応大学教授らが外部委員に就任した。
 委員長は当初、大平光代助役(当時)が務め、改革のきっかけをつくったが、関淳一市長の辞任、出直し選挙の過程で大平助役は辞任、同年12月からは柏木孝助役が委員長を務めた。
 改革委は17年4月の1次報告から今回の最終報告(7次)までに、市職員だけでなく外郭団体の福利厚生や職員OB団体への利益供与、天下りの状況などを解明。不適切な実態を指摘し、是正策を打ち出した。
 外部委員の一人、黒田晶志・大阪ガス常務は「改革は内部の力と外部の力があいまって可能になる。委員会の指摘を市役所が真摯(しんし)に受け止めた結果が成果につながった」とコメントした。
 〔視点〕
 ◆道半ば、労組呪縛には一矢
 「揺りかごから墓場まで」といわれた大阪市の職員厚遇問題の決着は、市政改革に向けた一つの通過点にすぎない。旧芦原病院の不正融資問題に代表される次の課題、同和行政の見直しを迫られているからだ。
 改革委のここまでの道のりは確かに平坦(へいたん)ではなかった。
 条件を満たせば返還義務がなくなる結婚時貸付金、生まれた子供の養育支援、定年退職後は三セクなどへの天下り。手厚い年金も保証される-。
 財政悪化が進む一方で、こんな「公務員天国」を温存させてきた実態が次々に明らかになり、市民の不信感はピークに達した。が、労組側は全面対決を掲げ、改革委がヒアリングしても最初はなかなか職員の協力を得られなかった。
 「まるでコメをとぐようなものだった」
 この日の会見で、外部委員の上山信一・慶応大教授は振り返った。慣例化し職員自身も厚遇と気づかないほど定着した「制度」。何度といでも濁ったままのとぎ汁のように、問題の根深さを知ったという。
 だが、改革委が厚遇の実態を解き明かし、徐々に成果を上げるにつれ、労組の影響力は次第にそがれた。労組の同意なしには施策の意思決定ができない呪縛(じゅばく)から解き放った点は評価できるが、マイナスをゼロにしたにすぎず、プラスに転ずるような改革はまだまだ途上にある。
 (徳永潔)
 ■改革委で是正された主な職員厚遇■
 公金投入した職員の「互助組合」積立金からの返金額      141億円
 ヤミ年金・退職金の年金資産の公金返還額           138億円
 互助組合への交付金見直し              47億2200万円
 健康保険組合への交付金の割合見直し              30億円
 貸与名目で職員に支給されていたスーツ         4億8500万円
 職員親睦団体「厚生会」への助成            4億5700万円
 交通局の給食事業としての食券補助            1億200万円
 永年勤続の祝い金                     2800万円
 職員のクラブ活動への支援凍結               2700万円
 実質支給となっていた結婚時の貸与金             800万円

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登録日:2006年 07月 16日 18:59:31

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プロフィール
上山信一
(男)
慶應大学総合政策学部教授。大阪市生まれ54歳。専門は企業・行政機関の経営戦略と組織改革。都市・地域再生も手がける。旧運輸省、マッキンゼー共同経営者等を経て現職。国交省政策評価会(座長)、大阪府と大阪市の特別顧問、新潟市都市政策研究所長、日本公共政策学会理事、各種企業・行政機関の顧問や委員等を兼務。府立豊中高、京大法、米プリンストン大学修士。著作等 ツイッター@ShinichiUeyama
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