●大阪の負の遺産処理、着々と・・WTCと関空

以下は19日サンケイ記事
「知事の再挑戦 WTC府庁移転」(1)政治家・橋下 負けない布石
「来年はWTC(大阪ワールドトレードセンタービルディング)の知事室から歩いて出席したい」。今月7日、WTCそばの大阪市住之江区のインテックス大阪で開幕した「新エネルギー産業フェア大阪」の開幕式であいさつに立った知事の橋下徹は、大阪府庁の移転への強い思いを語った。3月24日未明の2月定例府議会で、賛成46票、反対65票の大差で移転案が否決されてから半年あまり。橋下の表情には当時にはなかった自信が満ちていた。「ノーサイドです」。3月の移転案否決後の記者会見で、さばさばとした表情で、知事就任後初の“黒星”を認めた橋下だったが、橋下と親しい府議は「はらわたは煮えくり返っていたはずだ」と橋下の気持ちを推し量った。なぜなら当時、古くさい根回しを好まない橋下が、がむしゃらに議員回りもして移転案可決に向けて走っていたからだ。 橋下は、すでに統合廃止を決めていた国際児童文学館廃止に反対する議員には、文学館廃止撤回と引き替えにWTC案への賛成を持ちかけたり、また、議員たちと積極的に飲食の場に同席し、繰り返し頭を下げたこともあった。だが、無記名投票の結果、可決に必要な3分の2どころか過半数にも達しなかった。しかし、橋下は否決から30分もたたないうちに、ある府議に「9月(議会)に新しいボールを投げさせてください」と漏らし、リベンジを誓った。

   * * *

 橋下にとってWTCへの府庁移転は、単なる役所の移転以上の重大事だった。昨年8月、大阪・心斎橋の日本料理店で橋下と府特別顧問で慶大教授の上山信一が昼食をともにした。「大阪がパッとしないのは、鳴り物入りで建設しながら、大阪市の負の遺産と化したWTCと、利用が低迷する関西国際空港が原因じゃないのか」。
2人の意見は一致した。

 WTCをどうするか。おのずと結論が導き出された。「府庁を移転させれば、老朽化した庁舎問題が解決できるだけでなく、新たに人やモノの流れを作り出せる」と話がはずみ、橋下はベイエリア一帯の開発や関空の活性化につながるヒントを得た。この会談が、橋下が後に「WTCを全国の子供たちが府庁を覚えるシンボルにしたい」と発想する原点になったともいえる。
   * * *
初戦で完敗した橋下は、今回の移転案の再提出に際しては、細心の注意を払い、負けないための布石を打った。

 ひとつは9月に実施された堺市長選。現職と対決した元部下の竹山修身を積極的に支援し、劣勢とされた竹山を圧勝させ、影響力の大きさを見せつけた。もうひとつは、前回に比べ、関係者への説明を丁寧にした。WTCで働くことになる府職員を現地に行かせて意見聴取をしたほか、大阪市長の平松邦夫とともに、府内の市町村長向けに説明会を開き、移転について事前了承を取り付けた。この2点で橋下は外堀を埋めた。さらに、本丸の府議に対しては、移転案の賛否によって次期府議選で応援に差をつけると“脅し”をかけた。ダメ押しは、今回否決の場合には出直し知事選に打って出ることも示唆したこと。人気者から政治家に生まれ変わった橋下。そんな橋下について、上山は「政治家としては合理的な発想をしていると思う」と分析した。

カテゴリー[ 大阪府の改革 ], コメント[0], トラックバック[0]
登録日:2009年 10月 27日 06:04:55

Trackback

この記事に対するトラックバックURL:

プロフィール
上山信一
(男)
慶應大学総合政策学部教授。大阪市生まれ54歳。専門は企業・行政機関の経営戦略と組織改革。都市・地域再生も手がける。旧運輸省、マッキンゼー共同経営者等を経て現職。国交省政策評価会(座長)、大阪府と大阪市の特別顧問、新潟市都市政策研究所長、日本公共政策学会理事、各種企業・行政機関の顧問や委員等を兼務。府立豊中高、京大法、米プリンストン大学修士。著作等 ツイッター@ShinichiUeyama
お気に入りリンク
行政経営フォーラム
検索