●商店街問題を考える(1) 8/22
しばしば“商店街”という小売りの業態は将来展望が明るくないといわれる。現に大型店舗の売上げが小売り業全体の40%を占めている。この比率は今後も上がっていくだろう。だが、小規模店舗や商店街はなくならない。また、なくなっては困る。いかにして持続可能な商店街にしていくかが問われる。
再生、そして持続可能な商店街作りに向けては、もちろん個々の店主の努力が必須だ。加えて商店街全体としての再生の工夫も必須だ。だが同時に地域や行政の支援も必要だ。そのためにはまず各地において商店街が担う社会的な役割、あるいは公共的価値や存在意義を再評価する必要がある。その上で今までとかくハード面が中心だった支援策のあり方も考え直すべきだ。
商店街の問題は3つの切り口から捉える必要がある。第1は、個々の店をいかに活性化させ再生させるか(この中には思い切って転廃業する場合もあるだろう)という問題である。これはまさに店主の工夫しだいである。あるいは商業戦略あるいは担い手の確保というビジネス継承の問題でもある。所詮は個々の店のレベルで考えるしかない。
第2に、商店街という地区をどのように経営するかという問題である。「エリアマネジメント」で商店街全体をあたかも商業ビルのように捉える。いかに商業集積空間としての価値を高めるか、競争力を高めるかというレベルの戦略が必要になる。これをやりきるためにはその地区の商店会や商工会などがデベロッパー的な能力をもつ必要がある。
第3には、都市計画の視点である。商店街問題はしばしば中心市街地活性化の話とセットで語られる。その際に必ず引き合いに出されるのがいわゆる「シャッター通り」の問題である。たしかにこれは地域の衰退を象徴する光景であり、防犯上もよくない。
だが、もしそれが住宅街ならどうか。住宅街でシャッターがたくさん下りているのはその地区が裕福な証拠だ。シャッターは車庫にクルマが2台以上ある家に多い。現に東京の高級住宅街では、軒並みシャッターが下りている。住宅地ならシャッターが下りていても地域衰退の印にはならない。こういった視点も念頭においてシャッター通りを見直してみるとシャッターをおろしていても、依然住宅として使われている店舗は多い。ならば商店街としては迷惑だが、中心市街地の“活性化”という意味からは深刻さは軽減される。同時に小売の商業ビルが建築事務所や税理士事務所などが入るオフィスビルに転換するのも悪いことではない。単位面積当たりの利益率は小売商業よりもプロフェッショナルサービスの方が高い。マクロ統計でみれば、サービス産業はどんどん伸びているし、なかでもプロフェッショナルサービスは成長分野だ。商店街がオフィス街に変わっていくというのは、実は地域の産業の高度化と経済発展の象徴とすらいえる場合もある。答えは地域によってさまざまだが必ずしも昔ながらの商店街であり続けるべきかどうか疑ってみる必要もある。かつての農地が工場になり、あるいは工場の跡地がマンションになっていくように、もちろん全ての商店街がそうなるはずはないし、そうなってはならないが商店街のなかにも住宅地に変わり、あるいは倉庫や駐車場に変わっていくものがあるはずだ。いわば生態系の変化のような流れに従うべき地域もあるはずだ。死守すべきは地域としての活性化、そして持続可能性の確保である。その手段として商店街以外の用途への転換も視野に入れてもよいはずだ。
さらに言えば、これからはコンパクトシティをキーワードに掲げたまちづくりが進んでいく。そして周辺部の住民の都市部への住み替えがどんどん起こる。空き店舗が土地ごと転売され、その跡にマンションが建つ事例がふえつつある。多くの場合、マンションの1階にはコンビニやレストランなど住人目当ての店が入る。地下には駐車場もできる。トータルで考えると決して悪い話ではない。つまり都市計画や地域経済がいかにあるべきかといった観点からも考えなければならない。
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登録日:2006年 08月 22日 17:59:39
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- プロフィール
- 上山信一
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- 慶應義塾大学総合政策学部教授、改革コンサルタント。専門は大企業・行政・NPO等の経営刷新。近年は地域再生も手がける。大学では「経営戦略」「公共政策」等を教える。旧運輸省、マッキンゼー共同経営者等を経て現職。大阪市生まれ。50歳。中央省庁・自治体の各種委員、企業顧問等を兼務。京大法、米プリンストン大修士。趣味は登山、鉄道、料理。メール:ueyama@pm-forum.org
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