●大阪地下鉄完全民営化への試算(1) 

 大阪地下鉄はなぜ完全民営化できるのか。論点整理してみたい。
完全民営化ということは独立採算、つまり毎年の黒字経営が必要条件だ。十分条件は負債が資産を上回っていることだ。自治体財務のプロの協力をえて基本的なところだけをチェックしてみた。
1.17年度決算の経常損益(高速鉄道事業会計決算):全国の公営地下鉄で黒字(181億)は大阪市だけ。札幌市▲13億、仙台市▲15億、東京都▲41億、横浜市▲51億、名古屋市▲82億、京都市▲187億 神戸市▲41億円、福岡市▲45億円。ちなみに東京メトロの経常利益は564億円で大阪はこれに次ぐ。
2.巨額の儲けの背景は投資負担が軽いこと。民営化した東京メトロと大阪地下鉄だけが歴史が古くトンネル投資の減価償却負担がダントツに少ない。乗車料収入に対する減価償却費の割合は大阪市は24.9%。東京メトロ が22.2%。この2つだけが超優良。これに対し他都市は、投資負担にあえぐ。札幌市 37.5%、仙台市34.2%、東京都 42.4%、横浜市 42.5%、名古屋市 35.3%、京都市53.8% 神戸市 57.4%、福岡市 59.1%。
3.ただし、大阪地下鉄が黒字化したのは平成15年度から。それまでは推移を示すと12年度▲174億円、13年度▲126億円、14年度▲90億円、15年度+46億円、16年度+57億円、17年度+181億円。5年で350億円の収支改善した
4.地下鉄の借金はわずか8000億円。今のペースの収支が持続すれば完全民営化は何の問題もない。元本返済に充てる原資である減価償却費+経常利益のキャッシュが毎年500億円もある。たった16年で完済可能。民間企業として社債を発行することもできるし、銀行は列を成して融資を申し込みに来る。
5.しかし市バスは大赤字。私鉄各社は他の事業の黒字でバスの赤字を埋めている。バスを足してどうなるかが課題だ。だがバスは今でも福祉と割り切って補助金を出している。
6.以上は財務の視点から。次回は経営の視点からみたい。

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登録日:2006年 09月 30日 06:37:19

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プロフィール
上山信一
(男)
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慶應義塾大学総合政策学部教授、改革コンサルタント。専門は大企業・行政・NPO等の経営刷新。近年は地域再生も手がける。大学では「経営戦略」「公共政策」等を教える。旧運輸省、マッキンゼー共同経営者等を経て現職。大阪市生まれ。50歳。中央省庁・自治体の各種委員、企業顧問等を兼務。京大法、米プリンストン大修士。趣味は登山、鉄道、料理。メール:ueyama@pm-forum.org
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