「三都」連携日本を再生 橋下知事ビジョン
以下サンケイ。橋下徹知事は産経新聞の単独インタビューに答え、自身が掲げる「大阪都」に加え、河村市長が打ち出す「中京都」と、東京都が協調する「三都構想」が不可欠との考えを提示。将来的に三都を一つの経済圏として、世界的な都市間競争に向かうべきだと主張した。橋下氏は「都構想こそが国家戦略」としており、三都連携を軸に、新たな国のかたちづくりに本格的に乗り出す構えをみせた。橋下氏が三都構想をもとにした日本再生のビジョンを打ち出したのは初めて。当面、2月の愛知県知事選、名古屋出直し市長選に出馬する大村秀章衆院議員と河村氏を全面支援するとともに、4月の東京都知事選でも構想に理解を示す候補を支援し、各選挙を通じて構想実現のための法改正を政権与党に迫る考えだ。
ただ、産経新聞が12月、インターネットを通じて行った意識調査では、橋下氏の支持率は76・8%で高水準を維持する一方、大阪都構想実現のため自身が率いる地域政党「大阪維新の会」の政党支持率はわずか3%に低迷、浸透しきれていない様子もうかがえる。
橋下氏は三都構想について、平成57(2045)年までに東京―大阪間が開通予定のリニア中央新幹線も見据え、「日本のGDPの7割を生み出す都市圏がリニアで約1時間で結ばれ、一つの経済圏になる。東京だけでは日本は引っ張りきれない」と強調。「これまでは国土の狭さが不利だといわれたが、世界でもこれほど経済圏が近接した国はなく、その狭さがチャンス。三大都市圏のトリプルエンジンでいきたい」と語った。
その上で「三都合わせると有権者約3千万人の声になる。これを民主党が無視すれば、地域主権は虚像以外の何物でもなくなるし、無視できないのではないか」と主張。愛知県知事選や名古屋市長選、東京都知事選でもこうした構想に賛同する候補を支援し、協調して国への働きかけを進める考えを明らかにした。
三都構想の根底には、世界的な都市間競争があるといい、「今までは、都市部も地方も抱き合わせでやってきたが、都市部の意をくんだ政治勢力と、地方の意をくんだ政治勢力という軸で対立構造になる時代になってくる」と推測。こうした二極による政治グループの再編が必要との見方を示した。
「春の陣」政治生命懸ける
大阪都構想を「大阪再生の唯一の方策」と位置づけ、中京圏や首都圏を含む三都構想も打ち出した橋下氏。さし当たり、4月の大阪府議選や大阪市議選などは、持論を突き進めるための“一里塚”となる。ただ、維新の会の支持はいまひとつ広がっておらず、「大阪春の陣」に向け、橋下氏は政治生命を懸けた正念場を迎えることになる。
橋下氏は、大阪都構想について「一番重要なのは、広域行政と基礎自治の役割分担をし、広域行政は1人の指揮官が陣頭指揮を執ること」と説明。「今のように、知事の僕がやりたいといっても、大阪市長が反対というのでは成長戦略は実現できない」と話す。
橋下氏の構想に、愛知県知事選や名古屋市長選に出馬する大村、河村両氏も同調する。
大村氏は25日の会合で「アジアの大都市と戦えるのは東京、大阪と愛知・名古屋しかない」と強調。「(2月の両選挙は)歴史に残る政治決戦。私と河村さんが乗り切り、その後橋下さんが乗り切って、日本のど真ん中から日本を変えていく」と訴えた。
だが、構想に否定的な意見も根強い。
「指揮官を1人に」とする大阪都構想に対し、中京都構想は当面“2頭立て”の政治運営が前提となる。橋下氏は「絵姿は(地域事情で)まったく違う」とし、理念の同一性を訴えるが、大阪都構想に異を唱える平松邦夫・大阪市長は「中京都構想が県市連携を打ち出すのなら、大阪都構想と結びつくのは極めて不自然だ」と矛盾を突く。東京都との連携も不透明だ。
決戦に向け、橋下氏らの戦略は理解を広げられるのか。行方が注目される。(山口敦)
「大阪都構想は器」 橋下知事に聞く お任せ民主主義 脱却を
今年2月に就任3年を迎える中、なお高い支持率を維持し続けている大阪府の橋下徹知事。産経新聞のインタビューでは、大阪と中京圏、首都圏を一つの経済圏に見立て、三都連携で世界との競争に打って出るべきだとの考えを示した。だが、肝心の足元にある「大阪都構想」をめぐっては、具体性がないといった批判もたびたび噴出する。橋下氏は地方行政の変革で何を目指し、将来像をどう考えているのか―。
「大阪都構想とは装置、器をつくるという話」。橋下氏は、大阪府や大阪市、周辺市を再編する同構想についてこう述べ、中身については「方向性が定まった上で考えればいいのではないか」との考えを示した。
「人口260万人の大阪市域を8、9の特別市に分け、それぞれのトップは選挙で選ぶ。そこまでが政治的な決断」と主張。「選挙で選んだ区長のもとに住民が責任を持つということが、住民自治の基本。責任感を住民に負わせないと、いつまでたっても『お任せ民主主義』のままだ」と導入の意義を強調した。
交通インフラの民営化や経済活性化、観光誘致など大阪府域全体に関わる問題を大阪都が担い、住民サービスに直結するその他多くの行政課題は、公選区長を中心とした各区が、それぞれの地域事情に応じて独自に形作る―。橋下氏は、そんな構図を描いている。
故に、各区で異なる施策が展開されたり、場合によっては地域間格差が生じる可能性もある。この点について橋下氏は、70歳以上の大阪市民が市営地下鉄やバスに無料で乗車できる敬老パス事業を例に、「大阪都構想では地下鉄事業自体は都でやるが、敬老パスは福祉施策なので、区ごとに実情に応じて(導入の是非を)決定をしてもらう。バラバラでいい」と話す。
また、自身が思い描く各区の区議会の形としては「行政のチェック機能重視なら区議の人数は必要だが、住民がある程度直接できる。行政を運営していくマネジメントの役割を議員に求めるなら、1区6、7人ですむのでは」と述べた。
だが、都構想では各区の財政調整の方法のほか、区割りや区議の定数など、制度の根幹に関わる部分も「政治判断の範囲ではなく行政上の問題」として明らかにしていない。何より、住民にどういった具体的メリットがあるのかも不透明だ。有権者がこうした点をどう判断するのかが、今後の鍵を握りそうだ。
橋下知事のインタビュー詳報は次の通り。
■「あるべき論」意識
――就任からの3年で、大阪はどう変わったか
「(府の行財政改革で)11年間の赤字決算から脱却した。府民には見えにくいが、国際児童文学館やセンチュリー交響楽団、ワッハ上方、トラック協会への補助など、手がつけられなかったものにも手をつけた。減債基金からの繰り入れに頼らない財政運営に踏み出したが故に、私立高校の授業料無償化拡大という政策もやっと打てるようになった」
――行政が知事任せになっているように感じるが
「知事が指揮命令を出して実際に動かしている行政領域は、全体の1%程度。理屈が拮抗(きっこう)していたり、理屈で決められない、理屈を積み重ねてきたが…という部分は政治が判断することだと思う。組織の都合や特定団体、選挙にプラスになるからというような判断は駄目だと意識してきた。『あるべき論』でやってきたつもり」
――地域政党「大阪維新の会」の代表をやってみた感想は
「政治集団は組織じゃない。一体性とか組織的な活動を求めるのは無理。選出根拠は全部自分で、みんなバラバラ。それでも僕が代表をやれるのは(府域全体の)直接選挙で選ばれているから。府議からスタートしていれば無理だ。議員から信頼を得られる行動原理と府民から得られる行動原理とは違う。僕は維新で人望はたぶん全くない」
――「府議会と大阪・堺両市議会で過半数」という目標はハードルが高い。一発勝負の危険性を感じる
「話し合いを10年、20年やっても無理だと判断している。大阪都構想の中身が見えないと批判されるが、今の体制はもっと問題。二者択一だと思っている。弁護士をやっていたので、機は熟したかというところで判断する。4年後もう一回やれと言われても無理、もたない。僕は都構想やるために知事になったようなもの。ハードルを下げるわけにはいかない」
■三都で国を牽引
――河村たかし名古屋市長らとの連携は
「今、アジアの諸都市は空母のようなものになっている。その空母を相手に、今の政令市のゴムボートで戦うのか。世界が空母で攻めてくるなら、こっちも空母を造ろうじゃないか、ということでまず大阪都。河村市長も全く同じ考え方。だから中京都でいく」
――東京都知事選にはどう関わるのか
「僕らの思いを受けてくれる立候補者が出てくればいいなと思っている。(大阪都構想に批判的な)石原慎太郎知事も広域行政一本化には大賛成。三都構想で日本を引っ張り、国に法改正を迫っていくことをやれば多少はこっちを振り向いてくれるのではないか」
――三都連合で国を変えていくという問いかけか
「アジアでも欧州でも、みんな国の中の都市を発展させ、点と点を結ぶ戦略をとっている」
「(都市部と地方の)財政調整は絶対必要だが、自民も民主もメルトダウンを起こして、都市型の意見をくむ政治グループと、もっと地方に配慮すべきだという軸に分かれていくべきだ」
――自身が国政に関わることは
「僕は大阪ローカルですから。国会には全く向かない」
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登録日:2011年 01月 01日 16:09:33
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- プロフィール
- 上山信一
- (男)
- 慶應大学総合政策学部教授。大阪市生まれ54歳。専門は企業・行政機関の経営戦略と組織改革。都市・地域再生も手がける。旧運輸省、マッキンゼー共同経営者等を経て現職。国交省政策評価会(座長)、大阪府と大阪市の特別顧問、新潟市都市政策研究所長、日本公共政策学会理事、各種企業・行政機関の顧問や委員等を兼務。府立豊中高、京大法、米プリンストン大学修士。著作等 ツイッター@ShinichiUeyama
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