●市バスの抜本見直し
横浜市が中田市長の敢然たるリーダーシップのもと、次々と改革を進めている。市民病院の民間委託など事例は数多いが、ついに市バス路線の見直しが始まった。市バスはどこでも大赤字で収支改善のめどが立たない。単に民営化しても赤字が予想される場合が多く路線の見直しが必須だ。札幌は路線を民間譲渡した。京都も一部そうした。片や問題を直視せず、単に赤字を累積させている市も多い。大阪はどうか?地下鉄を完全民営化し、その黒字で維持するという案が唯一の存続策だろう。だがそれができなければ大阪市の全国最悪の財政状況に照らし、バス路線の大幅廃止は避けられないはずだ。全国どこでも財政危機の自治体のバス路線の廃止は常識になりつつある。
一方で市バスは弱者の足、福祉と割り切り税金で維持するのも一案だ。だが財源はない。他の事業の廃止や合理化を進める必要がある。市役所全体の過剰人員を切るか、バス路線を切るか、どっちを選ぶか政治判断だ。いずれにしてもバスは「昔ながらの路線とダイヤ」「公営、公務員の運転手」ではやっていけない。
お年寄り、障害者には福祉タクシーのほうが便利と割り切ってバスは全廃する市町村も多い。そもそも、バス停まで歩いていって決まった時間に来るバスにみんなで乗るという発想が現代のライフスタイルに合わないという専門家もいる。さらにお年寄りや障害者、育児家庭向けに市がタクシー券を配っても公営バスより安いはずという指摘もある。市バス改革は福祉もからむ問題だ。単に路線の見直しや合理化だけですむ問題ではない。だが財政破綻の中、バス事業は大改革なしに残ることはありえないだろう。
以下は朝日新聞記事
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市バス改廃 見通し不明確(2006年10月21日)
横浜市営バスが赤字の58路線の改廃を打ち出したことに、利用者が強く反発している。市はこのうち19路線は補助金を出して存続させる方針を示したものの、「正式決定ではない」。利用者にとってわかりにくさが増幅している。20日までに6回開いた地元説明会には計千人以上が参加、電話やメールで約1800件の意見が寄せられているという。(太田泉生)
市交通局は9月、赤字路線を中心に全区間廃止31路線、一部廃止18路線、民間移譲9路線という再編案を発表した。これとは別に市道路局が新たな補助金制度を作り、一部路線を存続させる。市は「正式決定ではない」とするが、すでに対象候補19路線を発表しており、代替交通機関がない区間を中心に存続させる見通しだ。道路局は年内に対象路線を決定する。ただ、その場合も運行区間や本数の変更は避けられないという。交通局による再編実施も時期は年度内としか示されず、結局、どの路線がいつ廃止され、どの路線のどの区間が存続するのか、市民にとっては不明確なままだ。18日夜、同市南区の南公会堂で開かれた説明会では、交通局が58路線の改廃を説明。次に道路局が、「決定ではない」としながら、存続の補助金制度を説明した。学校職員だという女性が発言した。「11系統は登下校の時間は満員。この路線を使わないと遠回りになる子どもたちもいる。存続させてほしい」市側が「補助候補となっている」と割って入ったが、女性は「決定ではないと言うからお願いしている」と続けた。
11系統は、桜木町駅前から山手地区を通り、保土ケ谷駅東口と結ぶ。特に山手地区の高台は他に交通機関がないため反発が強く、市に寄せられた1800件の意見の中でも、11系統に関するものが最も多かったという。沿線の中・高校など8校は存続を求める署名約1万5千人分を交通局に提出した。横浜雙葉学園の松下明弘常任理事は「多くの生徒が利用し、住民にとっても学校にとっても切実。赤字だからといって簡単に廃止されては困る」と話す。11系統に補助金制度を使った場合、他のバス路線と並行する区間を廃止し、港の見える丘公園―蒔田駅間だけを存続させる可能性がある。その場合、山手地区から桜木町駅までは2回乗り継ぎが必要になり、運賃は3倍になってしまう。再編対象路線の多くで、所要時間が大幅に延びたり、運賃がかさんだりする見込みだ。
交通局は04年度から職員給与を削減するなど経営改善を進めている。路線再編を実施し、07年度予算で、市から赤字補填(ほてん)を受けない、営業損益均衡を目指すとしている。
■改廃されるバス路線
《廃止される系統》10、11、18、24、27、33、42、47、60、68、72、73、80、81、93、95、96、100、109、114、120、121、122、126、127、134、162、201、302、303、308
《一部廃止される系統》14、17、19、26、31、38、41、54、57、61、70、79、85、89、99、202、300、310
《存続検討中の系統》10、11、17、18、26、27、33、54、60、72、73、80、109、121、134、300、302、308、310
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登録日:2006年 10月 24日 06:54:38
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- プロフィール
- 上山信一
- (男)
- http://www.pm-forum.org/ueyama/
- 慶應義塾大学総合政策学部教授、改革コンサルタント。専門は大企業・行政・NPO等の経営刷新。近年は地域再生も手がける。大学では「経営戦略」「公共政策」等を教える。旧運輸省、マッキンゼー共同経営者等を経て現職。大阪市生まれ。50歳。中央省庁・自治体の各種委員、企業顧問等を兼務。京大法、米プリンストン大修士。趣味は登山、鉄道、料理。メール:ueyama@pm-forum.org
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