2007年 07月

●大阪市・府の改革

7月24日に関西経済同友会の調査企画部会で講演をした。以下概要。
ーーー
調査企画部会(部会長 小嶋淳司・齊藤紀彦 両代表幹事)は、7月24日、慶応義塾大学上山信一 教授を招き、「地方行財政改革における首長の役割~大阪市長選、大阪府知事選を見据えて~」をテーマに講演会を開催した。以下要旨。
・大阪の首長に求められる資質とは何か
首長の役割は主に3つある。1つは行政サービス事業体の経営者としての役割。2つ目は地域代表としての役割。そして3つ目に、企業誘致や国との交渉をおこなう提携交渉人としての役割。この3つの役割を果たすためには、超巨大企業の社長レベルに値する管理経営能力のほか、議会と程よい距離感を保ち続ける議会対応能力、再選能力など多面的な高い能力が求められる。
1995年以降、全国各地の住民は中央の政治や議会としがらみのない人物を登用し、組織を浄化する「変革」を望む傾向にある。この変革期にふさわしい首長を生み出すには、首長「マニフェスト」に基づく選挙、公開討論会や公開質問状の活用などによるオープンな選挙を実現することが重要である。
この意味において次回首長選挙において大阪が変革期にふさわしい首長をつくり出せるどうかは財界が選挙をどうデザインするかにかかっている。
・大阪市・大阪府の今後の課題
 大阪市の課題は、財政再建に加え、市の莫大な資産(地下鉄、住宅、大阪市面積の25%を占める土地など)を大阪の未来のために維持・発展させることだ。事業の外部法人化・民営化や、区の統合、本庁機能のATC・WTCへの移転等、市民に見えるかたちでの官僚組織の再編も必要だ。市政改革の成果で大阪市の公債残高は減少に転じ始めた。一方、府の借金は増え続けている。府の改革は全く手ぬるい。職員厚遇の見直しも不十分だ。府についてはそもそも実態が十分に情報公開されていない。第3者の視点から見た個別の事業や部門の分析・評価が必須だ。その上で財政再建の具体計画を立てるべきだ。

カテゴリー[ 行政改革 ], コメント[0], トラックバック[0]
登録日:2007年 07月 31日 13:55:48

●大阪の地下鉄民営化

1.以下は読売。
公共交通事業の民営化を検討中の大阪市は27日、市営地下鉄・バス事業の一体的な民営化を断念し、両事業の経営形態を別々に見直す方針を決めた。市は今年度内に結論を出す予定で、7割以上の路線が赤字のバス事業を切り離し、黒字経営を続ける地下鉄単独の民営化が進められる可能性が高まった。
この日、市政改革推進会議(委員長=上山信一・慶応大教授)の外部委員と関淳一市長との懇談会で市側がバス事業の現状を説明。それによると、昨年度の営業収益は230億円。全107路線のうち77路線で経費が営業収入を上回り、最大で8・66倍に達した。最も赤字幅が大きい路線では、1日の乗客が54人しかおらず、同事業の累積赤字は昨年度末で541億円に上ったという。委員側からは「バス事業はビジネスとして成立しない。通学や通院などに欠かせない路線は福祉サービスとして市が存続すべき」などの提言があったといい、赤字が著しい路線は廃止するなどの検討が進むとみられる。一方、地下鉄事業は8路線とニュートラムを運営し、昨年度の営業収益は1673億円。2003年度以降、4年連続黒字で、昨年度の黒字額は開業以来最高の211億円を記録した。交通局が昨年12月に公表した経営シミュレーションでは、民営化した場合、税負担の発生や補助金がなくなることなどで一時的に赤字となるが、人員削減などで3年目から黒字に転換すると試算された。上山委員長は懇談会後に記者会見し、「地下鉄単独の民営化を前提に、私鉄や金融機関と協議する方向性がはっきりした」と明言。これを受け、関市長は読売新聞の取材に、「バスと地下鉄をどんぶり勘定で経営してきたが、今日の委員らの意見を十分に生かしたい」と述べた。市は、8000億円の負債を抱える交通局を改革するため、昨年6月から完全民営化に向けた研究を開始。今年1月には同局が現行での改革か、職員1700人以上の削減や最大20%の給料カットなどによる株式会社化を有力とする報告書をまとめている。
2.以下はサンケイ
市長懇 大阪市バス7割赤字 福祉的性格 「地下鉄と経営分離」

 赤字経営が続く大阪市バスの収支分析で、100円の収益を得るために必要な経費を示す営業係数が100を超える路線が、全107路線のうち77路線にのぼることが27日、分かった。これを受け、市が民営化を含め経営形態の変更を模索している市営バス・地下鉄について、市政改革推進会議の市長懇談会の議論で「バスは『福祉』の性格が強いので、地下鉄とは分離して経営を考えるべきだ」との結論になった。これまで両者を一体的に改善する方向で検討が続けられていることから、市の方針は今後、方向転換を迫られそうだ。
 市は、バス事業のすべての路線でサンプル調査を行い、収支分析を作成。路線ごとの営業係数や乗車実数、敬老優待パスなど、無料乗車数の比率なども盛り込まれた。これによると、赤字路線は約7割に相当した。もっとも乗客数の少ない路線では1日で54人で、この路線は100円稼ぐために866円を投入している計算になった。
 この収支分析を受けて、懇談会のメンバーからは「利用実態にあわせた適正規模に事業を圧縮する必要がある」という意見や「病院への通院や通学のために必要な路線もある」という指摘があり、最終的に「バスは福祉的な意味合いが強い」という結論になったという。
 市政改革推進会議委員長の上山信一・慶応大教授は「地下鉄と福祉的要素が強いバスは運営方法も収支実績も違うことがはっきりした。バス事業は地下鉄と切り離し、福祉の視点で改革すべきだ」と話していた。
3.以下は朝日
多額の負債を抱える大阪市営地下鉄・バスの民営化を検討中の市交通局が、市営バス107路線の収支を分析した結果、7割超の77路線が赤字だったことが27日、わかった。1日の平均利用者数がわずか54人の路線もあった。有識者による市政改革推進会議(委員長、上山信一・慶大教授)はこの日、関淳一市長に「バスは切り離し、(黒字の)地下鉄単独で民営化を検討すべきだ」と提言した。 同局によると、06年度で最も不採算の路線では、100円を稼ぐのに866円の費用がかかっていた。バス事業は06年度決算(速報値)で、24年連続となる約22億円の経常赤字を記録。累積赤字は約541億円に達した。売上高230億円のうち約110億円は、補助金などとして、市の一般会計から繰り入れられていた。
一方の地下鉄は利用客が回復。06年度決算(同)の経常黒字は過去最高の198億円だった。上山委員長は「バス事業は通学や通院のための『福祉』と割り切り、路線数の適正化を図るべきだ」と話している。

カテゴリー[ 大阪市改革 ], コメント[0], トラックバック[0]
登録日:2007年 07月 29日 20:30:00

●天下りと早期退職慣行問題

以下は読売。全く同感。早期退職を迫るなら再就職を斡旋するべきだし、再就職の斡旋をしないなら停年まで働く場を保障すべきだ。安倍内閣の公務員改革はこうした公務員の基本的人権を無視した暴論としか言いようがない。
ーーーーーーーー
公務員改革 全体像示せ
参院選の投票日が1週間延びて29日になったのは、安倍首相が公務員制度改革関連法の成立にこだわり、国会を延長したからだ。そうまでしたのに、選挙戦で公務員制度を巡る論議が深まらないのはなぜだろう。与党も、野党も、有権者向けに天下り根絶や人件費削減など「官」の仕組みを壊すことばかりを強調し、国の基盤となる公務員制度をどう再構築するかという全体像の説明をなおざりにしているからではないか。「あなた方は、この懇談会の味方なんでしょうね」座長の田中一昭拓殖大名誉教授からこんな言葉を浴びせられた坂篤郎官房副長官補(財務省出身)と福井良次行政改革推進本部事務局長(総務省出身)は、表情をこわばらせて「そうです」と答えた。18日に開かれた「官民人材交流センター」(新・人材バンク)の制度設計を検討する有識者懇談会でのやりとりだ。
 内閣府に来年設置される新・人材バンクは、各省が行ってきた退職官僚の再就職あっせんを一元的に管理する。懇談会に出席した渡辺行革相は「会合はインターネットで公開する。骨抜きにならないようにする担保だ」と各省の巻き返しへの警戒感をあらわにした。安倍首相は「民間への押しつけ的な天下りは根絶する。各省が持っている『天領』は召し上げる。ぬるま湯的な年功序列もやめ、能力・実績主義の公務員制度に変えていく」と訴えている。省益重視の官僚の忠誠心を官邸に向けさせ、「政治主導」を強化したいという思いが、首相にはある。
 しかし、天下りの背景には、50歳代になると、幹部ポストにあぶれたキャリア官僚が役所を去っていく早期勧奨退職の慣行がある。次官や局長になれなくても官界に残れる専門職の創設など人事制度全般の見直しが行われないまま、再就職規制ばかりが先行し、公務員を不安にさせている。与党は、〈1〉専門スタッフ職の実現〈2〉公募制の導入〈3〉官民交流の抜本的拡大〈4〉定年延長――を含め、採用から退職までの総合的改革を検討し、「国家公務員制度改革基本法案」を来年の通常国会に提出する、と公約している。だが、改革の全体像はまだ見えてこない。民主党の公約も、政治主導の予算編成や天下り根絶、地方分権による国家公務員の削減などが強調され、人事制度の具体論はほとんど語られていない。
 各省幹部となる国家公務員1種試験の今年度の申込者数は2万2435人(前年比14・6%減)で2年連続で過去最低を更新した。学生の“官僚離れ”について、人事院は6月に公表した国家公務員白書で、「官から民へ」の改革による公的部門縮小に加え、「政治主導の下で、公務員が今後、政策の企画立案や実施過程でどのような役割を果たすのか、政治と行政の役割分担についてコンセンサスが得られていない」ことが一因と分析している。ずさんな年金管理や官製談合、縦割りや“お上意識”など「官」が改めるべき点は多い。だが、公務員全体を抵抗勢力に見立ててたたき続けても、国のためにはならないだろう。政治主導が進んでも、行政を支える国家公務員に高い志を持った有能な人材を確保できなければ、日本の将来は危うい。これからの国家公務員はどうあるべきか。私たち有権者も、この機会にじっくりと考えてみたい。

カテゴリー[ 行政改革 ], コメント[0], トラックバック[0]
登録日:2007年 07月 26日 23:46:02

●JR西の変革推進会議

以下は日経。
・JR西、「安全」「風土」で有識者会議──事故調報告受け
 JR西日本は25日、福知山線脱線事故を教訓に、安全対策と企業風土改革を検討する2つの会議を設立すると発表した。国土交通省航空・鉄道事故調査委員会が6月末に公表した最終報告を受けたもので、社外有識者らで構成する。これまでの安全性向上計画に代え、2008年春までに総合的な安全対策に関する新たな基本計画と、変革のための骨子をまとめる。1つは安全対策をテーマとする「安全推進有識者会議」。安部誠治・関西大副学長(公益事業論)ら交通工学や心理学などの専門家7人が、9月上旬から安全計画について話し合う。
 企業風土を話し合う「変革推進会議」は、野村明雄・大阪ガス会長や大阪市の市政改革推進会議委員長を務める上山信一・慶応義塾大教授ら9人で発足。期間はいずれも2年で、JR西が提言を実行に移した後も、進展状況などを評価する。また同社は8月、全社員を対象に、安全意識に関するアンケートも実施する。この結果も今後の安全計画に反映させる。

カテゴリー[ 地域再生 ], コメント[0], トラックバック[0]
登録日:2007年 07月 26日 08:27:59

●I 'm not A Plastic Bag

アニヤ・ハインドマーチのエコバッグ、7月に日本で発売

【東京 18日 MODE PRESS】レジ袋の消費抑制を目的として発売されたアニヤ・ハインドマーチ(Anya Hindmarch)のエコバッグ「I'm not A Plastic Bag」が、7月18日から(一部7月14日)日本で限定発売される。
≫続きを読む…

AFPBB News


アメリカのスーパーに行くとプラスティックか紙かときかれる。ポリ袋のことをプラスティックという。香港ではこのエコバッグが大ブームで混乱のあまり販売中止になったらしい。日本でも完売しネットオークションで2100円のものが2,3万で取引されている。

カテゴリー[ 地域再生 ], コメント[0], トラックバック[0]
登録日:2007年 07月 21日 09:43:46

●大阪芸術NPOの行き先の手当てを!

以下サンケイ。大阪市は膨大な土地建物を所有している。典型が廃校になった小学校の跡地。なぜ、それを提供しないのだろうか?彼ら芸術NPOのおかげでフェスティバルゲートが今日までかろうじて維持できてきたという感謝の念も必要だ。局の縦割りを超えた救済策が必須だ。
ーーーーーーーーー
大阪・フェスティバルゲート破綻 芸術系NPO、行き場なく
 大阪市が売却方針を固めた都市型立体遊園地「フェスティバルゲート」(大阪市浪速区)を活動拠点にしている3つのアート系NPOの移転先探しが難航している。NPOは、平成13年から10年間展開する予定だった市の「芸術文化アクションプラン」に沿って招聘(しょうへい)されたが、フェスゲは破綻(はたん)、10年プランも立ち消えになり、7月いっぱいで退去するよう求められている。行き当たりばったりの市の方針に、NPOのメンバーたちは翻弄(はんろう)され続けている。平成13年に市が打ち出した「芸術文化アクションプラン」に基づき3NPOを誘致。平成14年度にフェスゲに入居し、それぞれ、「言葉」を主体とするワークショップやコンテンポラリーダンスの普及などの活動を展開してきた。当初、市は同プランは10年間展開するとし、これまで賃料、光熱費など年約6800万円(18年度)を負担し活動を支援してきた。3NPOは、地元と連携した芸術活動を公設民営で実施する「新世界アーツパーク事業」で活躍。活動への評価は高く、18年8月には地域、企業、自治体と協力し「ビッグ盆!」を開催、新世界に42年ぶりに盆踊りを復活させた。
 しかし、フェスゲは破綻。再生策が模索されたが、結局、施設が巨大すぎて安定した運営が難しいことなどから、市は施設の売却方針を固めた。この際、関淳一市長はこれらNPOの活動について評価し、活動拠点について暫定的に移転先の斡旋(あっせん)も検討するとしたが、作業は難航。また、市の文化振興担当は「市としては、正式にはこれらの事業を14年度から5年間実施した『文化集客アクションプラン』の一環として位置づけていた」としており、18年度で事実上事業は終了したという認識で、いつの間にか「10年間、継続する」というプランは立ち消えになっていた。NPOのひとつで、最先端のコンテンポラリーダンスの拠点劇場作りをめざし、海外でも知られる存在になっている「ダンスボックス」は、入居にあたってダンスに理解のある人から4000万円を借り、飲食店だった場所を改装し劇場を整備した。14年から10年間で返済する予定だったが、現在、2700万円の借り入れが残ったまま。フェスティバルゲートの破綻騒動に巻き込まれたこの1年は運営も難しくなり、5人いた有給スタッフの数を減らすなどして、なんとかしのいできた。しかし、秋までに劇場を再開できなければ、文化庁からの補助金にも影響が出かねない。ダンスボックスの大谷燠代表(54)は「これからも大阪の文化振興を目指して一緒にやっていきたいが、そのためにも市には胸襟を開いて話を聞いてほしい」と話している。(2007/07/20 16:20)

カテゴリー[ 大阪市改革 ], コメント[0], トラックバック[0]
登録日:2007年 07月 21日 00:20:29

●隠れた名著の書評:「定刻発車」」(三戸祐子)

「定刻発車」(三戸祐子)。この本は鉄道が機械・設備と人の連携で運営される巨大かつ複雑なシステムであることを教える。その運営と維持には、組織能力、歴史・文化、気候・地形、さらに国民性などあらゆるに様々な要素が絡む。鉄道に興味のない人にもお勧め。 ちなみに鉄道とオペラ・歌舞伎と自動車産業は似ている。オペラ・歌舞伎は芸術のなかでも総合芸術。歌、楽器、ストーリー、舞台装置、衣装などを総動員するからだ。オペラや歌舞伎ができない国には鉄道は運営できないだろう。自動車産業もそうだ。材料から加工、デザインまですべてが必要。自動車が作れて歌舞伎ができてオペラもやって、新幹線を定刻発車させるわが国の技術はアポロを月に送る技術とは別の意味で人類最先端である。
 この本はその本質を語るという意味で優れた文明論だ。筆者は女性。男は私も含めて鉄道に恋をしやすい(鉄ちゃん)。その危うい分野における女性の冷徹な洞察眼である。英語翻訳すれば日本文明の本質をアングロサクソン諸国に広めるのにも一役買うはずだ。

カテゴリー[ 書評 ], コメント[0], トラックバック[0]
登録日:2007年 07月 15日 08:01:16

●中国のスタバ、フランスのマック

スターバックス、北京の故宮店を閉店

【7月14日 AFP】(7月16日一部修正)スターバックス(Starbucks)は13日、追放案が持ち上がり話題となっていた北京の故宮(紫禁城、Forbidden City)敷地内にある店舗を閉店した。
≫続きを読む…
(c)AFP

AFPBB News


 かつてフランスでファストフード、米国文化粉砕といってマックの店を破壊した農民がいた。スローフード運動のきっかけのひとつとなった。今回の現象も似ている。大衆が指示した点がそっくりだ。スタバはいまや米国文化の象徴。それが大好きな中国の若者と蔓延を危惧する一部指導層の意識のずれは大きいのだろう。

カテゴリー[ 国際情勢 ], コメント[0], トラックバック[0]
登録日:2007年 07月 15日 07:23:24

●大阪市@反転攻勢

以下は読売。
・イメチェン戦術…「改革成果」訴え、負け組脱出へ
情報公開度地方債など…ランク付け重視
 第3セクターの破たんや職員厚遇問題などで信用を落とした大阪市が、経費削減などの「改革の成果」を東京や海外に向けてアピールしている。市場での「格付け」が、たちまち市債発行で億単位の金利負担に直結するなど、都市間競争を勝ち抜くために、目に見える「自治体力」が問われる時代。市は、様々な団体が公表する都市ランキングを意識しながら、「イメチェンしないと負け組から抜け出せない」と汚名返上を目指しているのだが……。
 「自分の言葉で直接発信したい」。大阪市の関淳一市長は今月13日、東京都内のホテルに外資系銀行のトップらを招き、大阪への投資を呼びかける。武器は、週1回の早朝レッスンで磨いた英語。「大阪の魅力を訴えたい」と意気込む。日本経団連の政策研究機関が5月に都内で開いたシンポジウム。市幹部が交通など67事業について2年間で経費の12%(1215億円)、職員の9%(4100人)を削減したことを紹介すると、会場から「大阪は負のイメージが強かったが、改革が進んでいるのか」と驚きの声が漏れた。市幹部はイメージ戦略の必要性を痛感したという。
 政令市比較で、常連だった下位グループから今年突然、3位に急上昇した指標がある。全国市民オンブズマン連絡会議の「情報公開度ランキング」。実は、「交際費」「退職者の再就職先」など、評価対象の項目に狙いを定めて公開を進めた結果で、「こそくなやり方」との批判もあるが、市幹部は「努力の結果」と胸を張る。
地方債ランキングでも巻き返しを狙う。「格付投資情報センター」(東京)の評価は現在「AAマイナス」で政令市では最下位。格付けは、地方債を発行する際の利率に影響するため市はランクアップを目指し、米国の格付け会社「ムーディーズ」と「スタンダード&プアーズ」社にランク付けを依頼中だ。ここで横浜市と同じ評価を得ることができれば、1300億円の市債を発行する今年度ベースで約10億円の利払いの節約にもつながる。ただし、市の期待とは逆に低い評価が出る可能性もある。「賭け」の結果は7月末に判明する。
 

カテゴリー[ 大阪市改革 ], コメント[0], トラックバック[0]
登録日:2007年 07月 12日 00:11:12

●滋賀県新幹線新駅問題に見る民主主義の威力

 安倍政権が迷走し続ける。野党も失政追及に終始し国民は政争に飽き始めている。地方では改革派首長が次々と引退し、95年以来三重県の北川前知事らが火をつけ小泉改革に至った一連の政治・行政改革の波が終焉しつつある。そうした中、唯一滋賀県で「民主主義」の大きな可能性を感じさせる大変動が起こりつつある。昨年7月、新幹線新駅の建設凍結を公約に掲げた嘉田由紀子氏が滋賀県知事に当選した。それから1年間の紆余曲折を経て凍結がほぼ確実となった。今回はこのことの意義を考えてみたい。
・1年でほぼ決着--過去に類をみないスピードで紛争処理
 新駅予定地の栗東市は京都駅から約25キロ、在来線で25分程度のところにある。ここに請願駅を作るという計画があった。「費用対効果が薄い」「無駄遣いだ」という批判の声も数多くあがっていた。だが県や栗東市など地元市町村はJR東海に合計240億円を支払い駅を作ってもらうという協定を結んだ。そして昨年5月に着工する。ところが建設凍結を掲げた嘉田知事が同7月に当選。公約に沿って予算執行が一たん凍結された。地元の栗東市長や駅前の地権者は納得しない。県議も多数が建設推進派だ。この1年、もめにもめた。だが春の県議選で建設推進を掲げた自民党が大敗。それを機に議会は知事の凍結方針を支持する。かくして県庁が資金を出すことはまずありえない情勢になった。栗東市が単独で費用負担することは無理なので本件はわずか1年で事実上の決着をみつつあると考えてよい(注1)。
 わが国ではこれまで各地で原発やダムの建設、干潟の埋め立てなどに反対する住民が行政と戦い、敗退してきた。住民投票や住民訴訟を経て見直しに至ったものもあるが何年もの歳月を費やすことが多かった。これらに比べ滋賀の新幹線問題はわずか1年で、しかも後に残る大きな傷跡を残さずに終息しつつある。史上稀にみるスマートな紛争処理事例として後世に名を残すだろう。
・本件がもたらす5つ意義--民主主義の大きな可能性を示す
また、本件はわが国の地方自治ひいては民主主義の熟度を象徴する事例でもありさまざまな意義を持つ。
第1に、既に着工済みの公共事業でも関係者が合意すれば凍結(現行計画の中止)できるということを示した。従来、行政機関はいったん取り組んだ施策を取り下げる
ということはなかった。背景には「行政に誤りはないはず」という“無謬主義の原
則”があった。だが、今回は政策の是非が選挙公約という形でストレートに住民に
問われ民意が明らかになった。圧倒的な民意を得た知事がいて衆人環視のもとで協議が始まる。知事は県庁と市町村、知事と議会の宥和と対話を掲げ、あくまで正攻法で粘り強く協議を続ける。反対勢力は最終的に民意に沿った妥協をせざるをえなくなった。
第2に、本件は自治体が公共投資などのハード主義から教育・福祉・環境保全などのソフト主義へと政策を転換しつつあることを象徴する。高度成長期ならば新駅と駅前開発の計画には現実味があった。だが成熟経済と人口減少の時代には絵に描いた餅でしかない。一方、住民は大規模公共事業よりも環境・教育・福祉などの身近な施策を求める。今までの行政はこの方針転換ができなかった。本件はこの転換を象徴する事例だ。
第3に、本件は自治体は施策の優先順位を自らの責任で決め、あるいは変更することが可能だということを改めて示した。財政危機を契機にどの自治体も予算の総花的ばらまきを見直しつつある。だが公共事業は長年の経緯や地元の利害関係、さらに国の方針などが絡み合い見直しにくい。それが今回は首長の意志でしかも短期間で実現した。
第4は民意吸い上げによる政治改革の可能性である。本件は、元はたかが新幹線新駅というシングルイシューを巡る紛争処理だった。だが実際にはこの問題にとどまらなかった。建設か凍結かは実は滋賀県全体の今後のあり方を大きく左右する象徴事例だった。シングルイシューを通じた選挙で民意を集め、それを契機に関係者は県の将来を深く考えた。最終的に新幹線の見直しは県議会の改革にまで発展した。
第5にこの1年、滋賀県民は多くのことを学んだに違いない。たった1票を活用し、自分たちの意思を政治に反映させることできる。これを知った住民が得た自信は大きい。建設凍結がもたらす混乱はもちろん大きい。だが本稿に掲げたような意義に思いを馳せれば、それも何とか乗り越えられるのではないか。関係者には50年先、100年先を見据えた熟慮を期待したい(注2)。
(注1)正式には新幹線の新駅凍結問題はまだ完全決着していない。「今年10月末までに『推進』で合意しない限り、JR等との協定類は終了する」という旨の覚書が存在するためだ。圧倒的な民意があるにもかかわらず嘉田知事が手続きや対話に時間をかける背景には「対話と共感」を掲げる知事の施政方針がある。また本件にはJR東海や栗東市、周辺市を含む4者協定が締結済みであるなど複雑な利害関係と長年の経緯がある。ちなみに建設推進派の「駅が欲しい」という思いそのものはなんら否定すべきものではない。問題の本質は財政危機の中での本件の費用対効果と優先順位の見極めにある。したがって本件は裁判などではなく関係者の合意により解決することが理想
である(注2)筆者は滋賀県庁の滋賀県新幹線新駅問題対策専門委員をつとめるが本稿の見解は全くの個人としての意見である。

カテゴリー[ 行政改革 ], コメント[0], トラックバック[0]
登録日:2007年 07月 10日 21:55:15

1   |   2      »      

プロフィール
上山信一
(男)
http://www.pm-forum.org/ueyama/
慶應義塾大学総合政策学部教授、改革コンサルタント。専門は大企業・行政・NPO等の経営刷新。近年は地域再生も手がける。大学では「経営戦略」「公共政策」等を教える。旧運輸省、マッキンゼー共同経営者等を経て現職。大阪市生まれ。50歳。中央省庁・自治体の各種委員、企業顧問等を兼務。京大法、米プリンストン大修士。趣味は登山、鉄道、料理。メール:ueyama@pm-forum.org
検索