2008年 02月

●新任知事の冷徹な現実直視:大阪府

以下は毎日新聞
クローズアップ2008:大阪府収支見通し 9年6500億円の荒療治
◇増収策欠く“橋下流”
 9年間で6500億円の収支改善を図る、財政収支の見通しを発表した大阪府の橋下徹知事。スタートの08年度は、6月に編成する本予算で1100億円を削減するとし、「府民にも覚悟を持ってもらいたい」と迫った。この姿勢を評価する声もある一方、削減項目や増収策を示さないまま、危機感をあおるばかりの橋下流ショック療法に、「極端過ぎる」と批判も強い。【坂口佳代、犬飼直幸、石川隆宣】
 ■公約と隔たり
 橋下知事は、早期健全化団体への転落を回避するため、「収入の範囲内で予算を組む」方針にこだわる。しかし、「収入」の定義はあいまいなままだ。知事選の選挙期間中から「府債発行は原則認めない」としながら、試算では、建設事業に充てる府債(08年度980億円)や交付税が充当される府債を「歳入」に盛り込んだ。財政課幹部ですら「『収入』の定義が不明確で混乱している」と漏らす。
 結局、発行を認めないのは職員の退職金に当てる府債など一部(07年度150億円)だけとなり、事実上の公約撤回となった。しかし、橋下知事は記者会見で「府債の抑制額が少ないのでは」と質問され、「少ないか多いかは個人の価値観の違いだ。建設費も基本は府債発行ゼロの方針で、ぎりぎりまで抑制している」と反論した。今回収支改善が必要とした金額についても、単に議論するためのものなのか、確固たる実現目標なのか疑問視する向きもある。
 ■大ナタに賛否
 「禁じ手」と言われる減債基金からの借り入れなどで財源不足を補い、一定の府民サービスを維持するという太田房江前知事の路線からの180度転換を図る橋下知事。大阪市政改革をリードした上山信一・慶応大教授は「今までの無茶苦茶(むちゃくちゃ)な予算編成がおかしい。ある日突然破綻(はたん)する前に、誰かが是正しなければいけない。まずショックを与える戦術は正しい」と評価する。
 これに対し、ジャーナリスト、大谷昭宏さんは「いつも危機感をあおって落としどころを考える拡大縮小型。コメンテーターならいいが、政治では通用しない。削減項目を示して府民の意見を聞くべきだ。知事自らが関係団体を説得するなど、泥をかぶりなさいと言いたい」と指摘した。
 また、府は08年度暫定予算で市町村への補助金などの約3割を計上しなかった。本予算ではさらなる影響が予想される。ある市の幹部は「要求側の声も聞き、バランスを考えるのが知事の役割。事前に協議もせず、一方的に削減額を出すのはおかしい」と批判した。
 ■足元からも批判
 試算に対しては、足元からも批判の声が上がった。27日夕の部局長らによる意見交換会では、改革の「ボリュームとスピード」がテーマになった。綛山(かせやま)哲男教育長は「教育予算の6300億円のうち6000億円が人件費。残りを削れば学校運営を止めかねない。借金を先送りしたくないのは理解するが、将来を担う子どもたちにも投資がいる」と主張した。
 また、芝池幸夫・水道企業管理者は「道路や河川の維持管理や建設事業にもセーフティーネットの要素がある。こんなメスを入れて、果たしていいのか。生活の安定性にも影響しないか気になる」と指摘。福田昌弘・政策企画部長は「1100億円の削減がどういうものか、数字だけでは実感がない。メニューを作り、厳しい議論をしたい」と述べた。
 ■どう捻出?
 今後の焦点は、08年度に1100億円、9年間で6500億円をどう捻出(ねんしゅつ)するのかだ。橋下知事が削減対象とするのは、私学助成や医療費助成など二千数百億円と人件費9266億円(いずれも07年度当初予算額)だ。
 府財政課は「事業費を削ると府民生活への影響は大きく、人件費削減も限界がある」と話す。その場合、手数料や授業料、施設使用料などを引き上げて増収を図ることもある。
 財界幹部は「地域経済への振興策で税収増を図ることが大切だと、橋下知事は理解していないのでは。具体的な増収策を示さないまま、約6500億円の改革が必要と言われても無理な話。何でもできると思っているのか」と懸念を示した。
………………………………………………………………………………………
 実質公債費比率は、自治体の収入に対する借金返済額の割合を示す。25%以上は危険水域の「早期健全化団体」、35%以上は破綻状態の「財政再生団体」に指定される。従来手法の実質公債費比率は、減債基金の借り入れと借り換え債の増発を続けた場合の見通し。収支改善した場合は、早期健全化基準に達しない。そのためには、9年間で6500億円の収支改善が必要となる。

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登録日:2008年 02月 29日 21:32:23

●大阪市バス:改革後退

以下は日経。
・市バス再建へ財政支援──大阪市220億円
 近畿の自治体の間で、財政支援により公営バスをテコ入れするケースが相次いでいる。大阪市は地下鉄の利益を3年間で220億円、バス事業の赤字補てんに使う。神戸市はバスや地下鉄の経営安定へ積み立ててきた基金、330億円を取り崩してバスの赤字を一掃する。「市民の足」を守るのが目的だが、赤字路線廃止など抜本策先送りとみる向きも多い。
・多くの不採算路線を抱える大阪市営バス
公営企業の財政事情を厳しく監視する地方財政健全化法が2008年度決算から適用されるため対応を迫られたことが背景にある。同法は、公営企業の財務状態が国の基準を下回ると設備投資資金の起債制限を盛り込んでいる。大阪市は黒字の地下鉄事業の利益・積立金を市営バスに転用。09年度から年間70億円超ずつバス事業会計に回し11年度までの3年間で計221億円支援する。大阪市営バスは利用者の少ない不採算路線が多く、全134路線のうち104路線が赤字。毎年度20億円の赤字が続き、累積損失は540億円と、財務体質は悪化している。広告収入などの増収対策や経費削減の効果には限界があるため、地下鉄事業からの資金支援に踏み切る。
 財政支援を受けずに経営改革を進める自治体もある。京都市は今年度、交通局が運営する市営バスの全車両の半数に当たる380台の民間委託を計画より1年早く達成した。京都市営バスは民間委託の効果などで06年度、4年連続黒字を確保している。民間委託した市バスの運行費用は市が負担するが、直営よりも人件費が低い。市は00年3月に民間委託を開始し、職員を5年間で504人減の708人までスリム化した。市は運営委託により今年度、25億円程度の財政効果があると試算している。

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登録日:2008年 02月 27日 13:58:04

●大阪府の施設の見直し④:3事例の総括

 ①②③では大阪府が傘下の財団法人を経由して民間事業者に施設の管理委託を任せた事例を三つ見てきた。三つの事例はいずれもコストの削減効果が大きい上に、施設の稼働率の向上と利用者の拡大ができている。三つの事例を合わせた収支改善効果は年間一・五億円にものぼる。後に制度化される指定管理者制度を早々と先取りした成功事例といえる。だが、先行事例であるがゆえに、施設の維持管理面などでの課題も見えている。必ずしもこの手法が万能ではない。
・本質的な改革には至らず
 第一には、施設の保守や修繕を誰がやるかという問題がある。三つのケースはいずれも行政、財団、受託事業者のどこが負担するのか未知の要素があった。受託事業者としては、薄い利益の中で設備の補修コストを出す余裕はない。建物の大きな建て替えや改修であれば、所有者の行政がその費用を出す。だが、中間のグレーゾーンの分野、例えば厨房機器や家具などの補修はどうか。十分な摺り合わせが必要だろう。
 また民間施設の場合、通常は、将来、巨額な修繕や更新の費用が発生しないよう、毎年少しずつ施設の補修や手直しをしていく。あるいは市場環境の変化を見越して先行投資を少しずつやっていく。例えば団体利用者向けの多目的部屋を壊して個人客向けのカフェに改造するといった造作である。ところが行政機関にはこの種の先を見る発想がない。その上さらに民間事業者に施設の日常の管理運営を任せてしまうと、ますます目が届かなくなる。その結果、目に見えない大きなコストが将来まとまって発生するリスクがある。あるいは施設を早めに他の用途に転用すれば良いと気付いたとする。しかし行政の場合、業者との契約期間が残っていれば動きは鈍いだろう。そのまま何年も推移といったことにもなりやすい。
 第二に、そもそもこれらの施設を大阪府が所有し続ける必要があるのかという根本的な疑問がある。例えばリゾートホテルなどは民間委託どころか民間のリゾート業者に売却するべきではないか。設立当時はともかく、もし今造るなら税金を投入せずに民間企業に当初から建設や運営を任せたはずだ。だとすれば今から売却しても決しておかしくはない。
 第三に、果たして個々の施設ごとの民間委託が正しいかどうか疑問がある。例えば青少年海洋センターの場合、この施設の潜在価値をフルに生かそうと考えるのならばリゾートホテルだけの民間委託では不十分だ。その道のプロの民間企業に近くのヨットハーバーや青少年向けの海洋センターとセットで任せるべきだ。例えば、地中海クラブのような民間のデベロッパーにエリア一帯の運営をすべて任せる。域内の施設のコンセプトを統一し、また宿泊とアクティビティをセットにしたパック商品を作る。利用料金なども全体をセットで設定し直す。あるいは、施設も含めた地区全体をまるごと企業に売却という考え方もありうる。
 もともとの青少年育成という行政目的を残すということと、民間への委託は全く矛盾しない。大阪府は、一部の事業、例えば子どもたちの海洋教室などに補助金を出せば良い。
 こうした発想でものごとを大きくとらえていけば、地区全体をリゾート地として地域再生する可能性も見えてくるのではないか。このセンターはもともと青少年育成のための施設という発想で造られた。だが、ひょっとするとそのこと自体を見直すべき時機にきているのかもしれない。
 こうしてみると、今回のケースは実は単に府立のリゾートホテルを大阪府が所有したまま民間に委託した、あるいは指定管理者にまかせたというだけのことでしかない。この三つのケースは、いずれも指定管理者制度の本格導入に先駆けて民間委託に取り組んだ。そして一定の経済効果を出した。大阪府の努力は賞賛に値すると。だが、一つの制度が試行され、数年が経つと次のレベルの課題が見えてくる。全国的に指定者管理制が整備された今、大阪府には以上に述べたような抜本改革を次には目指してほしいものだ。(おわり)

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登録日:2008年 02月 26日 23:58:30

●水道府市連携

以下は読売。
・組織新設で水道統合、大阪府が大阪市に提案へ
 大阪府と大阪市の水道事業統合に向け、府は一部事務組合として「大阪水道企業団」(仮称)を新設し、統合後の受け皿組織とする計画をまとめた。大阪市以外の市町村も含めた「オール大阪」の水道事業を同企業団に統合することを目指しており、近く大阪市に提案する。府議会終了後の4月にも開催される橋下徹知事と平松邦夫市長によるトップ会議で議論されることになりそうだ。府は、民営化や独立行政法人化を含めて受け皿組織の在り方を検討し、▽経営基盤が安定する▽市側にも受け入れられる――などの点から、一部事務組合での統合が有効と判断した。さらに、施設の老朽化や技術職員の減少などの課題を抱える市町村の現状を踏まえ、府内全域の事業統合も想定。担当者は「施設の統廃合や人員減を進めることで、安い水を安定的に供給できる」とする。市町村からは統合に賛同する声が上がる。忠岡町は「災害時を考えると、小規模自治体が独立して水道事業を運営するには限界がある」と説明。羽曳野市も「施設の維持管理が精いっぱいで、更新まで手が回らない。広域統合は喫緊の課題」と訴える。一方、大阪市が他市町村も視野に入れた府の計画を受け入れるかどうかは微妙で、府市のトップ会談の行方が計画実現の成否を握るとみられる。(2008年2月26日 読売新聞)

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登録日:2008年 02月 26日 23:55:52

●改革路線維持へ・・大阪市予算

以下は日経。「平松カラー出し切れず」というちょっと冷やかな見出しだが事実上破産している自治体の予算である。市長のカラーを強く出したら大赤字が出る。
 マスコミはむしろ「改革の流れは止めたくない。何もかもひっくり返すわけにはいかない」という市長の真摯な言葉をきちんと報道してほしい。乏しい財源の中で改革を維持するのはたいへんな苦労である。そのなかで予算をまとめあげた市長にはもうすこし暖かい言葉があってもいい。「選挙戦で否定した前任者の改革路線をあえて維持する」・・これもひとつの立派なリーダーシップの発揮だと思う。これが実は、平松カラーであり市民はそうした人柄を評価したのではないか?
  以上の評価を前提としつつ先を見越して注文をつければ、
①前年比2%ではまだまだ甘い。従前のマニフェストを超えるレベルで、もっともっと予算は削減できる余地がある。個別事業の具体に踏み込んで精査すべきだ。
②賃上げ、総額11億円はいかがなものか。カラ残業、裏金事件のなかでの賃上げ・・。市民の目にはあまりにもKYに見えるのでは?
③職員採用、当面は数十人だがいずれ一部労組などの横槍でじわじわ増える可能性が高い(②③は、土手にあいた針の穴)。
④加えて三セク2次破綻。そうなると地下鉄の補修メンテナンスのお金も出てこない。「地下鉄民営化」以外に大阪市が生き延びる財源は見当たらない。2008年初頭の民営化見送り判断が、実は大阪市役所の存亡にかかわる致命的な判断ミスだったと市民が気づくのは2、3年後である。
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――大阪市08年度予算案
2008/02/21配信
 「子育て支援策などを盛り込み、色は出せたのかなと思う」。予算案発表の記者会見で、平松市長はこう自己評価した。しかし、選挙戦で掲げた政策は、重要度の高いもの以外は盛り込まれておらず、「平松カラー」は薄い予算案となった。予算案には平松市長「肝いり」の事業として、乳幼児医療費の助成拡充(41億4000万円)、妊婦検診の助成拡充(6億7500万円)などの子育て支援施策や、市長と市民との懇談会開催(500万円)といった市民参画の促進などが並んだ。だが、関前市長の改革路線を継承したことや、圧縮を進めている市債残高もなお5兆円を超える厳しい財政状況を受け、カラーを前面に押し出すまでには至らなかった。「就任時には予算の大枠が決まっており、自由が利く部分は限られていた」と平松市長。市政改革で経費節減を進める中、市長の意向を反映できるのは、ごくわずかだったという。市長自らの意向が反映されなかったテーマは明らかにしなかったが、選挙公約に掲げていた総合的な雇用対策やセーフティーネットの構築などで、目新しいものは見当たらない。暫定予算の策定という思い切った手を打ってまで独自色を出そうとする大阪府の橋下徹知事に比べると「平松カラー」は薄く見える。平松市長は「改革の流れは止めたくない。何もかもひっくり返すわけにはいかない」と強調する。改革の流れを止めず、いかに独自色を出すか。平松市長にとって今後の大きな課題となりそうだ。

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登録日:2008年 02月 21日 19:08:02

●府市水道事業統合

以下は読売。[今日のノート]剛球VS軟投
 「素人の人間が行政のかじとりをやるっていうのは、選挙制度の恐ろしさ…」
 橋下徹大阪府知事がしみじみと言った。先日、読売新聞大阪本社で開いた平松邦夫大阪市長との対談の一こま。今の率直な気持ちなのだろう。 お二人とも、行政の現状を語る職員らの言葉をシャワーのように浴びているに違いない。次第に実態に分け入る様子が日々の報道にうかがえる。 この対談で、橋下知事は、府と市がそれぞれ行っている上水道、公営住宅、信用保証の3事業を統合するよう、平松市長に提案した。 困難は伴うだろうが、メリットは大きそうだ。例えば、上水道の統合はこれまでも経済界などから提案されている。
 府と市の水道は、ともに優秀な浄水技術を誇るが、生産力が過剰になっている。一緒になれば、将来にわたる巨額の維持経費を減らせる。 関西経済同友会は、府市だけでなく府内の市町村も含めた広域的な水道企業団とすることを、昨年、提言している。 さらに、他都市に供給すれば、稼ぎ出すことも夢ではなく、「コストをビジネスに変えられる」というアイデアを、大阪市政改革をリードした上山信一慶応大教授がかつて披露していた。
 いきなり統合に切り込む直球勝負の橋下流を、軟投型の平松氏がどう受けるか、楽しみだが、ともに行政未経験でしがらみがないことは共通している。「素人」らしい思い切りをまず事業統合で発揮してはどうか。(論説委員 田口晃也)

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登録日:2008年 02月 21日 08:17:57

●亡国のイージス・・

次々とイージス艦、そして防衛庁のミスが浮かび上がる。例の推理小説、そして映画の「亡国のイージス」を思い出す人も多いのではないか。見張り、自動操舵、連絡ミス、保安庁への出動要請の遅れなどなど、映画の中の亡国のイージス艦と防衛省の機能不全を髣髴とさせる事実が次々出てくる。だが一番驚いたのは、記者会見の際の海上幕僚本部幹部の顔に浮かんだかすかな笑み・・。二人も行方不明になっている。その責任の重さと家族の思いを少しでも感じていればあそこであれはありえない・・。社会保険庁だけでなく、防衛省にもかなりの制度疲労が来ているのではないか。

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登録日:2008年 02月 21日 00:26:49

●大阪府の施設の見直し③:紀泉わいわい村

 紀泉わいわい村は、里山体験をするための自然公園施設(里山自然学校)である。大阪府が二〇〇三年四月に金剛生駒紀泉国定公園(総面積一万五五三五ha)内に開設した。泉南市の市街地からは車で約一五分の静かな山間にある。現地には田畑、小川、雑木林に囲まれた茅葺き風屋根の宿泊棟が点在する。この施設は大阪府が所有する「府民の森ほりご園地」という敷地内にある。わいわい村の一帯は、大阪府の外郭団体である「財団法人大阪府みどり公社」が管理する。同財団が管理する地域は、わいわい村だけにとどまらない。周辺の散策路なども含まれる。「ほりご園地」の中で里山体験ができる部分が「紀泉わいわい村」と呼ばれている。
 さて、わいわい村には現在、指定管理者制度が適用されている。だがそれ以前(二〇〇三年四月~二〇〇五年三月)には先ほどの「マリンロッジ海風館」と同様に、財団法人大阪府みどり公社を経由して財団法人大阪キリスト教青年会(大阪YMCA)に管理運営がゆだねられていた。
 以下ではその成果を見ていく。
(1) 施設の概要
ここには昔の民家を復元した茅葺き風コテージの宿泊棟が六棟ある。近くのキャンプ場と合わせると、計二六四名の宿泊客を収容できる。宿泊棟には囲炉裏やかまど、五右衛門風呂などがあり、利用者は昔ながらの生活が体験できる。また、近くの山では、草刈り、間伐、炭焼きなどの里山保全活動が、また域内の田んぼや畑では農作業や収穫活動が体験できる。そしてもちろん、周辺の山林では山歩きや川遊びが楽しめる。
 希望者には自然体験や里山生活体験などの環境教育プログラムも提供する。このプログラムは、青少年団体を中心に学校単位の移動教室、高校・大学のクラブやゼミ、サークルなどのセミナーや合宿、研修や企業の環境教育も含めた社員研修に利用されている。
 施設は、大阪府が総事業費一八億二三〇〇万円をかけて建設した。そのうち半分を国が負担した。茅葺き風コテージは、一棟当たり建設費が三〇〇〇万円かかっている。
(2) 稼働と収支の状況
 利用者は、二年目の二〇〇四年度の実績では、コテージの宿泊者が約五六〇〇名、キャンプ場が約九七〇名、合計六五〇〇名強である。この他、日帰りの利用者や一般来園者が二万六〇〇〇名で、とりあえずは順調なスタートをきった。
 宿泊棟の宿泊料金(一泊二日)は、二〇〇四年度は大人(高校生以上)が四三〇〇円、小人(小・中学生)が三四〇〇円である。また、日帰り型は、一人当たり五三〇円となっている。
(3) 民間委託の内容
さて、わいわい村の委託の仕組みだが、まず大阪府が財団法人大阪府みどり公社に対して委託料として約三八五〇万円を出す(二〇〇三年度実績)。さらに同公社は、紀泉わいわい村の管理運営の大部分を、民間非営利の財団法人の大阪YMCAに委ねる。大阪YMCAは、宿泊棟部分の管理運営に加え、さまざまな環境教育プログラムの運営をする。また、専門指導者を養成し、自然観察教室やトレッキングなどを子どもたち向けに企画する。里山自然学校のスタッフである大阪YMCAの職員は、環境教育プログラムの企画から運営までわいわい村の企画・運営をまるごと管理している。
・毎年の努力で委託料が減少
 大阪YMCAへの委託期間は、当面二〇〇三年四月から二〇〇六年三月までの三年間とされた(二〇〇六年度からは引き続き大阪YMCAが指定管理者となったので、実質的には延長された)。大阪YMCAへの委託料は、二〇〇三年度は約二五〇〇万円だった。それが二〇〇四年度は二〇〇〇万円に、また二〇〇五年度は一五〇〇万円へと減った。これは大阪YMCAの運営努力によるものだ。
 みどり公社が大阪府から得る委託料と、同公社が大阪YMCAに委託する料金の差額は同公社の実質的な収入になる。同公社はこの差額でわいわい村管理の人材雇用や周辺散策路の整備をする。
 さて、契約内容は次の通りだ。大阪YMCAは、同公社から得た委託料と事業収入(宿泊収入等)の範囲内で事業運営を行う。赤字になった場合は、大阪YMCAが負担する。黒字の時は、大阪府、同公社、大阪YMCAの三者で協議して、活用方法を決める。二〇〇三年度には六四万円の黒字が出た。このお金は利用者サービス向上のための備品の購入に使われた。二〇〇四年度は一万円の黒字だった。
(4) 民間委託の成果
委託の成果としては、次のようなことが挙げられる。
 第一にみどり公社が自ら管理運営するよりも効率の良い運営ができた。
 第二に大阪YMCAが持っている野外教育プログラムの企画運営ノウハウを導入できた。ノウハウの中味は利用促進からイベントの企画、そしてボランティアの活用まで多岐にわたる。例えば野外教育は季節変動が大きい仕事だ。夏休みをピークに、春から秋にかけ、子どもたちが集中的にやってくる。そのため、日頃から専門の指導者を養成し、安全にプログラムを運用する必要がある。こうしたノウハウは、行政では一朝一夕に確立できない。
・民間事業者の信用も寄与
 第三に、大阪YMCAと組むことによるマーケティング上の効果がある。わが国におけるYMCAの知名度と信用は厚い。大阪YMCAは一八八二(明治一五)年に財団法人として設立され、長年、各種の野外教育や社会貢献活動を行ってきた。安心して子どもを預けられる機関として、社会的信用を得ている。もちろんわが国では行政に対する信頼も厚く、大阪府立の施設というだけで一定の信用は確立できる。しかし、府立とはいってもわいわい村は新興で知名度が低い。そんな中で大阪YMCAが一緒に運営を担ってくれるメリットは大きい。委託を受ける大阪YMCA側のメリットも大きい。まずこれだけの施設を自己資金で整備するのは難しい。今まで培ってきたプログラムとノウハウを実践して見せる格好の実践場所となる。また、環境関連事業で大阪府と提携するということは、大阪YMCAの信用をさらに増すことにつながる。総じて、このケースは双方にとってメリットの大きな事例だと言える。

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登録日:2008年 02月 20日 21:07:41

●がんばれ、橋下知事(大阪府財政再建)

以下は読売。予算を急に切られる府下市長の悩みは当然で同情する。だが、府民の選択である。ここは橋下知事にぜひ、持ちこたえ、がんばっていただいたい。
1.古来、改革に当たって「金がない」ほど強いものはない。ない金はどうしたって出せない。粘れば絶対勝てる!
2.勝つというのは最終的には各市の市民の理解を得るということだ。知事は時間をかけてじっくり繰り返し説明し「市民への直接の語りかけ」をしてほしい。府の財政赤字で泣くのは、大阪の若者と子供たちである。彼らのためにここは命がけで持ちこたえてほしい。
3.お手本は滋賀県の嘉田知事の新幹線問題への対応。地元栗東市は最後まで折れなかった。「折れない、降りられない」という現地市長への思いやりをにじませつつ、嘉田さんは最後は初志を貫徹して新駅投資の断念にもちこんだ。その過程で議会改革までやった。
4.要するに、ことは単に財政再建にとどまらない。目先の小金を求めてこの50年間失敗を続けてきた大阪の政治・行政・財界の長いものに巻かれようという安易な気分を根っこから払拭する好機である。それを正す絶好のチャンスとして「金がない、ないものは払えない」という府の財政状況を前向きに利用すべきだ。大阪府の財政破綻は、いわば神様からの贈り物である。それを生かすも殺すも橋下知事しだい。責任重大だ。だが若いから、素人だからこそできるのではないか。朝令暮改といわれようがまったくかまわない。「財政再建」「子供たちの未来」という基本軸は、就任後、一度もぶれていない。そこからぶれない限り、府民、市民はついてくるはずだ。
 かくして意識の高い市民(府民)は、そして子供たちの未来を考える人は少なくとも府の財政再建(NHK批判、岩国住民投票問題、過去の核武装発言などには私も異論があるがそれはこの際さておいて)については一致団結して橋下知事を応援すべきである。
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補助見送り猛反発「市を切り捨てるのか」・・橋下知事 全面対決 市長会
 大阪府の新年度暫定予算案について、「ご迷惑をおかけします」と市長らに頭を下げる橋下知事(18日午前10時33分、大阪府庁別館で)=川崎公太撮影 大阪府内の33市長でつくる市長会の定例会が18日、大阪市中央区の府庁別館で開かれ、橋下徹知事は2008年度の府の暫定予算案(4~7月)について説明し、理解を求めた。出席した市長らは市町村への補助・交付を伴う56事業の経費が計上されないことに反発。「市を切り捨てるのか」「予算を理解していない」などと再考を迫る意見が相次ぎ、〈全面対決〉の様相になった。橋下知事は「府が独断で推し進めることがあってはならないと認識した」と改めて協議の場を設ける考えを示したが、各市との調整は難航しそうだ。この日午前10時半からの定例会の冒頭、橋下知事は「おわび申し上げます」と頭を下げ、「各市に多少なりとも影響が出ると思う。ただ、府が(財政赤字で)転覆すると何もできなくなる」と協力を求めた。
 これに対し、府の補助を盛り込んだ新年度予算案の編成を終えている市側からは不満が爆発。阪口伸六・高石市長は、府と市の関係を親と子に例えて、「子や孫をつぶして親が助かることはない」と批判した。府財政課長も務めた元府教育長の竹内脩・枚方市長は「行政の在り方を覆す大問題。暫定予算案は欠陥予算だ」と述べた。新田谷修司・泉佐野市長は、知事が「府債発行の原則ゼロ」の方針を事実上撤回したことを念頭に、「知事はマスコミから朝令暮改と批判されているが、気にする必要はない」と、見直し対象となった事業を予算案に盛り込むよう促した。各市長の反発に、橋下知事は「府と市町村が、対等の協力関係で行政を進めたい」と神妙な面持ちで応じ、「十分協議しながら政治決断をしたい」と語った。終了後、市長会長の倉田薫・池田市長は報道陣に「府が補助をやめたからといって、市が事業をやめることはできない。4月の早い時期に知事ともう一度、話をしたい」と語った。
 暫定予算案で計上が見送られるのは、補助金・交付金として07年度に計714億円を予算化した56事業。周産期母子医療センターの建設費のほか、地域子育て支援センターや放課後児童クラブの補助金など福祉・教育関連事業が含まれる。橋下知事は、知事直属のプロジェクトチームで検討を重ね、6月までに中止か継続かの結論を出す方針。(2008年02月18日 読売新聞)

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登録日:2008年 02月 19日 21:49:51

●大阪府の施設の見直し②臨海スポーツセンター

一昨年に大阪市大大学院(創造都市研究科)チームが大阪府の施設研究を行った(私は同大学院の特任教授を兼務)のシリーズその2。府立臨海スポーツセンターについて調査したことを紹介する。
(1)施設の概要
「大阪府立臨海スポーツセンター」は、大阪府の南部の高石市、南海電鉄高師浜線の高師浜駅下車すぐの湾岸に面したところにある。この施設は堺・泉北臨海工業地帯の建設と同時期の一九七二年に造られた。周辺の工業地帯で働く人たちにスポーツを楽しむ場所を提供する目的で造られた。敷地は約二・五七万㎡で地上二階地下一階の鉄筋鉄骨コンクリートの建物(延床面積約一・二四万㎡)である。建物内には二つの体育室と四九五の観客席を持った大型のスケートリンク一つがある。一階と二階は吹き抜けで、二階の一部は食堂やスポーツショップになっている。体育室の一つには四五〇人分の観客席があり、バスケットボール、バレーボール、テニス、バトミントン、卓球などの試合が行われる。
(2) 稼働と収支の状況
府は当初この施設を「財団法人大阪府スポーツ・教育振興財団」に管理委託していた。ところが一九九七年度に年間一億五〇〇〇万円の赤字(年間収入七〇〇〇万円に対し、支出が二億二〇〇〇万円)を出し、議会でも問題視された。さらに一九九八年の一二月には天井にアスベストが使われていることが発覚した。そこでいったん休館し、改めてリニューアルオープンした。その後二〇〇〇年一二月二五日からは、同財団がさらに南海電気鉄道株式会社に運営委託を始めた。その後、二〇〇六年度からこの施設には指定管理者制度が適用され、同社が引き続き運営している。以下ではそれ以前の民間委託の期間について委託契約の背景と内容、成果を見ていきたい。
(3) 民間委託の内容
委託関係は次の通りである。財団法人大阪府スポーツ・教育振興財団が、まず大阪府からこの施設の管理を受託する。その上で、同財団が管理監督部分を除く管理運営業務を南海電鉄に再委託する。契約期間は、二〇〇〇年一二月二五日から〇六年三月三一日までの五年強である。
・経営努力へのインセンティブを付与
 委託契約の内容は次の通りだ。南海電鉄は管理運営を行うかわりに毎年の利用料収入を全額自分のものにできる。加えて同財団から毎年二八七七万四〇〇〇円の委託料を得る(ただし、二〇〇二年に関しては二七五三万六〇〇〇円)。南海電鉄は、実収入額が当初見込額を上回ったときは、その八割を財団側に支払わなければならない。一方、下回った場合は、南海電鉄が負担する。
 この契約では施設の性格に照らし、毎年の収支を黒字化するほどの収益改善をもともと期待しない。しかし南海電鉄は自らの経営努力によってコストダウンや集客等による増収策を講じることができる。一定のリスクはあるが経営努力次第で収益が増えるというインセンティブが与えられた(ただし、実際には委託期間中には当初見込額を上回ることはなかった)。
(4) 民間委託の成果
・大幅な収支改善
 さて成果は何か。第一は税金でまかなう経費の大幅な節減である。大阪府は従来、年間約一億五〇〇〇万円の赤字を計上していた。それが民間委託後は二九〇〇万円弱の委託料を南海電鉄に払うだけで済んでいる。差し引き一億二一〇〇万円の収支改善だ。
 第二は利用客にとってのサービス改善である。例えば、アイススケートリンクについては、開館時間を延長し、早朝と深夜の営業を行うようになった。また、南海電鉄が、自社の電車の車内中吊り広告を利用してスポーツセンターを広告宣伝し、集客増を図った。
 さらにこれまで、財団が実施してきた各種のスポーツ教室もすべて南海電鉄に任された。そこで南海電鉄は、バトミントンや卓球などのスクールを南海電鉄自身の自主事業として開講した。年会費は約三〇〇〇円で受講料も一回九〇分の授業を四回受けて四〇〇〇円と、比較的リーズナブルである。これも利用者にとってはサービス改善の一つということができる。
(5) 事業者にとってのメリット
 南海電鉄がこの事業を請け負うメリットはあるのか。第一に収支面では、黒字になれば利益の大半は財団に渡すものの一部が手元に残る。赤字が出れば南海電鉄の負担になるものの、経営努力が報われる内容と言える。
 第二に南海電鉄高師浜線の高師浜駅の利用者の維持と拡大につながる。もともと南海電鉄にとってこの施設は沿線にある重要な娯楽施設である。その施設のテコ入れを自らやれることの意義は大きい。
 第三に、南海電鉄はもともとスケートリンク運営のノウハウを持っていた。それが転用できた。南海電鉄は大阪市内のターミナル難波駅の近くにスケートリンクを持っていた。だが、同地区の再開発事業(現「なんばパークス」)のためにそれを閉鎖した。そこにちょうどこの施設の受託の話がきた。従業員の新しい職場としても本件は好案件だった。(つづく)

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登録日:2008年 02月 19日 07:37:56

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プロフィール
上山信一
(男)
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慶應義塾大学総合政策学部教授、改革コンサルタント。専門は大企業・行政・NPO等の経営刷新。近年は地域再生も手がける。大学では「経営戦略」「公共政策」等を教える。旧運輸省、マッキンゼー共同経営者等を経て現職。大阪市生まれ。50歳。中央省庁・自治体の各種委員、企業顧問等を兼務。京大法、米プリンストン大修士。趣味は登山、鉄道、料理。メール:ueyama@pm-forum.org
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