2008年 05月
●警察の現場力
以下は朝日。世界に誇るニッポン警察の現場力を象徴するような事例。一見、たまたまの成功例のように見えるが、これができるには地道な日常の努力(パトロール)、直観力を鍛える教育(ぴんとくる)、労をいとわない作業への動機付けと使命感(職務質問)などが必要だ。たまたま優秀な警察官の例かもしれないがこれはお見事というしかない。
現場の巡査のパトロールでピンと来て職務質問、指名手配犯の資料の記憶。
「目をそらした!」石津容疑者にピンと来た警官
大阪、京都両府警が総力を挙げて行方を追っていた石津淳容疑者(40)。30日未明に石津淳容疑者を発見した埼玉県警の2人の警察官が当時の状況を語った。 2人は、県警自動車警ら隊の巡査部長(35)と巡査(33)。午前1時ごろ、小雨の中、巡査の運転でパトロールしていると、リュックを背負って赤い自転車をこぐ石津容疑者とすれ違った。石津容疑者がパトカーを見て目をそらしたため、職務質問をしようと車をUターンさせた。 石津容疑者は自転車を乗り捨てて土手を逃げようとした。2人は車を止めて追い、土手を上った巡査長が捕らえた。「どうしたんですか」「名前は」などの問いに、石津容疑者は口ごもったまま。「何かを隠している」。パトカーに呼び入れ、車内灯で見た顔が、指名手配犯の資料の記憶と一致した。重ねての質問に「石津です」と名乗ったという。
カテゴリー[ 行政改革 ], コメント[0], トラックバック[0]
登録日:2008年 05月 31日 07:11:43
●幸せのチューリップ
今夜なにげにテレビをつけたら何と財津和夫さんと「チューリップ」の音楽。思わず見てしまった。僕のチューリップ体験は、中高生時代。70年代前半のショッキングブルー、ベンチャーズ、シルビー・バルタン、カーペンターズの全盛時代である。アバ前夜のこの頃、博多のお兄さんたちがメロディアスでナチュラルな歌詞でのりよく歌うのをきいて感動した。ステージ101と並んで「こりゃ、日本のビートルズだい」と僕ら大阪の中学生もわくわくしたものだ。 それから20年近くの歳月が流れ、97年に再結成のニュース。それがついに今年また、というか本当に解散してしまった。その記録ドキュメンタリー&コンサート番組が今日の番組だったようだ。再放送の予定もある。ファンの方、ぜひお見逃しなく。
「SONGS 第49回 チューリップBEST」再放送日:平成20年5月31日(土) 3:40~ 4:09(総合)OR 6月 3日(火) 15:15~15:44(総合)OR6月 4日(水) 8:30~ 8:59(BS2)
カテゴリー[ ぱーそなる ], コメント[0], トラックバック[0]
登録日:2008年 05月 29日 00:29:17
●知事よ、大阪の“劣化”と戦え
以下はサンケイ。
この先生に私も激しく同意!
【古典個展】立命館大教授・加地伸行 知事よ、大阪の“劣化”と戦え 2008.5.25
えらいことですなあ。料理の残りもんの使い回し。
さすがは船場吉兆。ふつうの者には真似ができん。もったいない精神からとのことと、使い回しに小理屈をつける女将(おかみ)は大したもんだ。料理の理論化で、文化功労者となった初代はどのように思うだろうか。あの女将と、「もったいない」を連呼して当選した嘉田由紀子滋賀県知事との「もったいない対談」をだれか企画してはいかが。使い回しはどこの店もしているのではあるまいか。あるうどん屋、おいしい店なのだが、サービスに薄く切ったかまぼこを一片(ひときれ)載せる。けれども、見るからに添加物こてこての真っ赤な色つき。そんなもの、危ないから残していたが、そうか、この次は、残すけれども使い回しができんように、噛(か)み切っておこう。でも、それって、もったいないような、そうでないような…。
こういう馬鹿馬鹿しい事件が起きたのは、大阪の劣化の一つ。メディアは、吉兆を老舗(しにせ)と報道するが、真の老舗とは、例えば金剛組。六世紀の四天王寺建立(こんりゅう)以来、連綿(れんめん)と続いて現在も大阪市で活動している寺大工・建築業者。この金剛組のことを知っている大阪人は少ない。
そうした劣化の一つとして、こういう体験があった。
あるパーティー。円卓を囲んで私の隣席に大阪府幹部職員のA氏。なかなかの人物で、話がはずみ、談、教育問題に至り、私はこう言った。「高校生に漢文の面白さを伝えたいし、教員のために模範授業をしてもいい」と。A氏は「それはいいですね」と共感し、一人置いた隣席にいた府教育長B氏に「加地先生が高校で漢文の模範授業をしてもいいと言っておられます。どうですか」と言った。すると、B教育長は、なんとこう答えたのである。「それなら講師登録してください」と。A氏も私も唖然(あぜん)とした。
分かっていないとはこのこと。私は府立高校非常勤講師を志望しているのではない。特別講義、大阪の教育への協力という社会貢献なのである。この教育長はもう退職しているが、橋下徹大阪府知事の改革に対して「荒っぽい案」と批判していた。相い変わらず分かっていない。
橋下知事は、なにもかも切り捨てて大阪を破壊しようとしているのではない。聖域を置かず、すべて見直し、〈さしあたり不要不急のもの〉を洗い出し、可能な予算を組もうとしているのである。見上げたものだ。全国広しといえども、水脹(みずぶく)れとなった地方公共団体予算に徹底した切りこみを行おうとするのは彼がはじめてではないか。
橋下知事は〈公〉を第一としている。大阪の劣化とは、公や歴史の誇りを持たず、〈私〉に偏るところにある。いわば、橋下知事を頂点とする改革派は公を前面に、抵抗派は私を前面に出しての全面対決という構図か。
橋下知事よ、がんばれ。「やってみなはれ」。抵抗して文句を言っている人たちは、有り体に言えば、予算を削られる、つまりは自分たちが貧しくなるということが納得できないと言っているのである。そういうのは、昔からあるので気にするな。『論語』憲問篇はこう言っている。「貧(まず)しくして〔しかしそれに耐(た)えて〕怨(うら)みなきは〔なかなか〕難(かた)し」と。(かじ のぶゆき)
カテゴリー[ 大阪市改革 ], コメント[0], トラックバック[0]
登録日:2008年 05月 25日 05:02:31
●その後の芦屋美術博物館
以下は日経
ひたる アート美術・音楽・演劇の最新情報を 芦屋美術博物館 新たな体制模索──歴史紡ぐ担い手探る:大きな岐路に立たされている芦屋市立美術博物館(兵庫県芦屋市)
特定非営利活動法人(NPO法人)が実質的に運営する公立ミュージアムとして、全国的に注目を集めてきた芦屋市立美術博物館(芦屋美博)が、大きな岐路に立たされている。芦屋市は2009年度から指定管理者制度を導入する方針で、今年度中に新たな運営組織を決めなければいけない。現状と展望を探った。「この2年間で美博は大きく変わった。市民に開かれた場所になってきたと自信を持って言える」。館長の藤原周三.芦屋市教育長は胸を張る。芦屋美博は2年前まで市の財団が運営していたが、財政難などにより、休館の危機に直面。市民有志らがNPO法人「芦屋ミュージアム・マネジメント(AMM)」を組織し、市から運営を受託する形で2006年4月に再スタートを切った。客足は順調だ。07年度の入館者数は約2万4000人と2年前に比べて63%伸び、藤原教育長の自信を裏付ける。この間、古書市や物産展など展覧会以外の催しにも力を入れ、幅広い客層に訴えた。大阪画壇や現代美術などの企画展も好評で、07年度の観覧料収入は約260万円と06年度の2倍に達した。展覧会の事業費が年間1200万円と、財団が運営していた時から実質半減したなかで、健闘したといえるだろう。
だが、AMM理事長を務める関西学院大学の角野幸博教授の自己採点は厳しい。「反省点の方が多い。NPOで運営する限界も感じた」と言う。AMMの理事は非常勤で、報酬はない。「理事はほかに仕事があり、専従で携わっていない。きちんと給与を保証した上で、責任を明確にすべきだと感じた」と語る。
芦屋美博は1991年に開館。吉原治良ら、戦後の前衛美術を主導した「具体美術協会」のコレクションで知られる。かつては前衛美術や写真などの企画展を積極的に開いてきた。だが、現在はAMMと市との契約が1年ごとで、先々の展覧会を企画することもままならない。学芸課の明尾圭造課長は「美術館・博物館の仕事は歴史を紡いでいくようなもの。単年度で契約するのは無理がある」と訴える。
芦屋市は来年度から指定管理者の導入を目指しており、現在の体制は今年度で終了する。年間の議会運営を考えると、6月の議会までに新たな引き受け手も含めて方針を決める必要があるが、メドは立っていない。9月の議会にずれ込んだ場合、十分な準備期間が取れず、新体制へのスムーズな移行は難しくなるという。
こうした状況を受けて、明尾課長は引き受け手として公益法人を設立する案を検討中で、近く市に提示する。法人には一部の学芸員が役員として運営に加わり、芦屋にゆかりのある経済人などの有識者も迎える計画だ。「学芸員が公益法人を組織する例は、おそらく全国で初めてとなる」と明尾課長。AMMの角野理事長も「現場の学芸員らと話し合いを重ねて、次の体制を模索したい」と支援する考えだ。
自治体の財政難、公立ミュージアムの存在意義、指定管理者制度の是非――。芦屋美博をめぐる動きは、近年の文化施設の現状をそのまま反映してきた。これまでの経験から何を得て、次につなげるのか。今、議論を十分尽くさなければ、将来再び存続の危機が訪れかねない。
(大阪・文化担当 関優子)
▼指定管理者制度 美術館や博物館、音楽ホールなど公共施設の管理・運営を、民間企業や自治体の出資法人に委託する仕組み。コスト削減やサービス向上が期待される半面、運営が集客や利益に偏る懸念も指摘されている。
文化庁が2007年に、550の公立ミュージアムを対象に実施した調査によると、この制度を導入した施設は全体の17%となる93館。このうち株式会社など民間への委託は七館で1.3%にとどまる。
例えば、長崎歴史文化博物館は05年度から、ディスプレー会社の乃村工芸社(東京)に運営を委託。いち早く民間へと業務を開放した。関西では大阪府立現代美術センターが06年度に指定管理者制度を使い、有限会社とNPO法人に業務を委託。伊丹市立美術館(兵庫県)も同年度から導入し、もともと運営していた財団が3年の期限で指名された。3月末で休館した滋賀県立琵琶湖文化館も2年前、指定管理者制度に移行し、県の財団が運営していた。
カテゴリー[ アート ], コメント[0], トラックバック[0]
登録日:2008年 05月 23日 01:06:37
●大阪のエコミュゼ構想
以下はサンケイ
出費100億円超?反発必至「大阪ミュージアム構想」名所をライトアップ
大阪府の橋下徹知事直轄の重要政策プロジェクトチーム(PT)が近代的建築物や古墳などの名所をライトアップして府内全域を一つの博物館に見立て、にぎわい創出を図る「大阪ミュージアム構想」(仮)を検討していることが17日、分かった。御堂筋イルミネーション計画もこの一環で、100億円以上の出費となる可能性があるという。橋下知事は「大阪独特の“空気感”を出したい」と構想に強い意欲を示しているが、厳しい財政再建を進めるさなかでの提案とあって、反発も想定される。
橋下知事は今年1月の知事選で示したマニフェストで、冬季にイルミネーションイベントを実施することや「石畳と淡い街灯の街」をコンセプトにした景観づくりに取り組むことを表明していた。
就任後に立ち上げた重要政策PTには「水と光」をテーマにしたまちづくりの構想を具体的に検討することを指示。政策PTはすでに、大阪市内の御堂筋沿いと堂島川の左岸沿いを、今年の秋冬にイルミネーションで彩る「光る御堂筋」計画を府幹部に示している。
今回、浮上した「大阪ミュージアム構想」は、光る御堂筋計画に加え、大阪市中之島周辺の近代建築物▽江戸時代の街並みが残る富田林市の寺内町や岸和田市の岸和田城周辺▽世界文化遺産への登録を目指す百舌鳥・古市古墳群―など、府内の名所をライトアップする計画。
名所それぞれを一つの芸術作品として見立て、府全体を博物館として位置づけてPRする狙いがあるといい、6月上旬に示される重要政策PT案で詳細を明らかにする見通しだという。
経費面では、光る御堂筋計画だけでも10億~20億円の費用を見込んでいるため、ミュージアム構想全体の実現には、100億円単位の予算がかかることも想定。福祉、教育など住民の暮らしに直結した施策など約1100億円のカットを盛り込んだ財政再建試案が提示されているだけに、反発は必至とみられている。
光る御堂筋計画をめぐっては、今月8日に開かれた橋下知事と部長との意見交換会で、各部長から「今やることには反対」「いきなりイルミネーションをやっても府民の理解は得られない」と反対意見が続出していた。
これまでの改革案では、弥生文化博物館(和泉市)などの博物館施設の大幅見直しが盛り込まれている経緯もあり、関係者からは「博物館を縮小するなかで、ミュージアムと銘打った構想を打ち出すのは、文化施策に対する矛盾になるのでは」という指摘も挙がっている。
カテゴリー[ 大阪府の改革 ], コメント[0], トラックバック[0]
登録日:2008年 05月 17日 19:53:44
●いよいよ議会との対話へ
以下は朝日。
大阪府議会がいよいよ改革案の協議と予算案の吟味に入る。私はこれまで公私さまざまな立場で全国各地の議会議員の方々とお付き合いしてきた。だが、見識の高さ、高潔さ、勉強の深さにおいて大阪府議会は全国でも群を抜いている。この議会の存在があったからこそ知事も大胆な案が出せた、いや知事が誕生した。2元代表制のもとではもちろん健全な緊張関係、健全な対立がこれから起きるわけだが結果においても経過においても府民から見てさすがといわれる知事と議会でいてほしい。議会各会派の皆さんのご活躍を期待します。ーーー
以下朝日
大阪府の橋下徹知事直轄の改革プロジェクトチームが作成した財政再建プロジェクト試案について、府議会各会派が14日、それぞれ会合を開いて議論した。最大会派の自民府議団では報酬を含む議員待遇を巡り「30%カットする方針の知事と同水準の削減はやむを得ない」との意見が大勢を占めた。
自民は同日午後、議員団総会や当選回数別の会合を断続的に開催。橋下知事が自身の基本給を30%カットする方針を固めていることを受け、「知事と議員は対等の立場。知事より削減幅が小さければ批判を受ける」との声が大半だった。
一方で、知事の月額給与が145万円なのに対し議員は93万円であるため「知事とは報酬額が違う」と慎重論もあるほか「政務調査費などを含めた待遇全体で考えるべきだ」とする意見も噴出。府議団は浅田均幹事長に対応を一任し、浅田幹事長は他会派と調整したうえで近く結論を出す考えだ。
だが、他会派からは「職員給与の削減幅を見て判断すべきだ」(公明幹部)、「知事と比べるのではなく府民生活を基準に妥当性を考えるべきだ」(共産幹部)などの異論も出ている。
自民、公明、民主の各会派は同日、試案への対案を取りまとめ、15日に発表することを決めた。各会派とも高齢者や障害者への医療費補助の削減や警察官の定数削減といった医療や治安に関する分野の削減には反対。不動産売却を前倒しして歳入増を図ることも求めている。
カテゴリー[ 大阪府の改革 ], コメント[0], トラックバック[0]
登録日:2008年 05月 15日 09:02:40
●橋下改革、3ヶ月目の現場から
筆者はこの4月から大阪府の特別顧問として改革に助言している。時折、このブログで新聞報道だけではわかりにくい橋下改革の本質を解説したい(言うまでもないが、以下はあくまで筆者個人の私的感想である。大阪府庁や知事の見解ではない)。
■「休日返信不要」のメールとリーダーシップ
週末になると知事から「休日返信不要」というタイトルのメールが大量に幹部に送
られる。発信時間は深夜や早朝がほとんど。内容は、商店街振興、公営住宅、文化政
策、人事制度改革、市町村との関係など幅広い。私が見るものは幹部とのやり取りの
中でもCCで送られる一部だけだ。だがこれまで見たものは全て政策の本質に根ざした
喧々諤々の議論だった。
驚くのは知事の質問に対する幹部の真摯な回答ぶり、そして代替案の提案が出てく
るスピードの速さである。知事の質問は極めてストレートだ。例えば「なぜ府庁は公
営住宅を建て続ける必要があるのか?民間に任せられないのか」といった質問。府民
(素人)の素朴な疑問の上に個人事務所を切り盛りしてきた経営者の視点を重ね合わ
せて切り込む。
幹部からの返事は「国の法律、予算制度上の制約で、そんなに単純にはいきませ
ん」というものが多い。だが同時に「法の制約の中でも最大限こういう努力をした」
「知事がOKなら実はすぐにでもこうしたい」といった具体アイデアも多い。全体には
極めて前向きなやりとりだ。中には「あそこでこういうプロジェクトができれば府民
に喜んでもらえる」といった若手職員の熱い想いの知事宛メール(匿名処理済み)も
転送される。深夜、早朝のこうしたメールのやり取りからは、「今、この時期にこそ
大阪府を改革したい」という職員の切羽詰まった想いが伝わってくる。
新聞報道の通り各部は予算案の削減には抵抗している。だがメールのやり取りを見
る限り、政策の抜本的な見直しには前向きだ。これまで感じていた制度・慣行のおか
しさを知事が発掘してくれるのを待ち望む様子も窺える。就任からわずか3カ月。本
質に根ざした本音の議論を庁内に沸き起こした知事のリーダーシップは特筆に値す
る。
■地元で圧倒的支持率
橋下知事は対抗馬にダブルスコアの差をつけて当選した。その後の世論調査でも支
持率は8割前後を維持する。筆者は毎週大阪に行く。世間話にかこつけて喫茶店店主
やタクシー運転手の反応を聞く。橋下改革への評価は一様に高い。選挙前にアンチ橋
下だった人たちも就任後の仕事ぶりは誉める。最も評価が高いのは「おかしいものは
おかしい」と率直に言う姿勢である。そして現場を歩き土日返上で仕事をする一生懸
命の姿が共感を呼ぶ。庁内や市町村の公務員の期待も高い。「あれくらい激しい予算
削減案をぶち上げないと絶対に大阪では改革は無理」と彼らは口をそろえる。本音で
は大賛成なのである。
これに対し市町村長、財界人、そして学者など専門家の評価は必ずしも高くない。
特に東京のエリート層は「あれはポピュリズム」「4年間持たない。いずれ投げ出す」 「タレントに何ができるか」と冷淡だ。大阪の新聞紙面もおしなべて批判的だ。1100億円の予算削減案や施設の統廃合に対する懸念や各種団体が反発しているといった記事が多い。
■改革派のニュータイプ
筆者はこれまで数多くの改革派首長と仕事をしてきた。北川(三重)、増田(岩手)、嘉田(滋賀)、田中(長野)等の改革に参加し、あるいは真近で見てきた。橋下氏の改革はこうした改革派知事の実績を超えるおそらく全く新しいタイプのも
のだ。
これまでの改革は行政改革にとどまった。多くは「不祥事の情報公開」「評価制
度」「マニフェスト」などを駆使した庁内改革、つまり行政改革だった。いずれも行
政改革としては斬新だった。だが市町村や住民を巻き込み、地域の将来のビジョンを
書き換える域には達しなかった。
一方、今回の橋下改革のスケールは大きい。日本第2の都市、大阪のビジネスモデ
ル、統治構造を根底から変えようという意思が見える。例えば知事はすでに「府庁の
発展的解消」「市町村向けの補助金は使途を決めずに渡す方針に変える」といった方
針を表明している。橋下改革は、(1)財政再建、(2)府庁改革、(3)政策創造、の3つか
ら構成される。1100億円の予算削減はそのうちの(1)の皮切りに過ぎない。削減の一
方で御堂筋のイルミネーションや近代建築を生かした街づくりなどの構想を知事自ら
がぶち上げる。
新聞紙面は、連日1100億円の予算削減の報道に明け暮れる。だが知事の週末メール
は早くも「府庁のあり方」「市町村への権限委譲」「個々の政策のイノベーション」
そして「都市ビジョン」にシフトしている。したたかというべきか、ニュータイプと
評すべきか。予算削減のショックで既成の秩序を混沌にぶち込み、そこから地域再生
へのうねりを作っていく。作戦のセンスのよさは天性のものだろう。
■「難治の土地」が動き出した
国の官僚はこれまで大阪を「難治の土地」と呼んできた。住民は反権力、反中央志
向で役所の言うことをきかない。各自が自分勝手で財界もばらばらである。選挙の投
票率が低く、有力な政治家が生まれない。日本第2の都市でありながら全体を動かす
すべが見えない。衰退の一方で改革は難しい土地だった。おまけに全体をコントロー
ルすべき府庁が弱体だった。権限も予算も巨大政令指定都市の大阪市に奪われ、おま
けに財政破綻していた。
そんなところの知事を誰がいったい好き好んで引き受けるのか。あの府庁や大阪
を改革するのは不可能」これが政治・行政ののプロの見方だった。筆者もこの3年、
大阪市の改革に参加し、「難治の土地」の意味を痛感した。「大阪市も大阪府も破綻
しどうしようもなくなってからの改革しかない」と半分あきらめていた。
そこに突如、橋下知事が登場し、ついに大阪が動き出した。橋下知事は混沌の怒涛
を自ら作り出し、その真ん中で叫び、笑い、時には涙すら見せる。それでいてクール
で、「知事は独裁者。自分は危険な存在だと思う」と分析する。この若い知事に大阪
の未来を託してみたいと思う府民が増えつつある。
カテゴリー[ 大阪府の改革 ], コメント[0], トラックバック[0]
登録日:2008年 05月 13日 00:36:19
●読売のインタビュー記事
以下は読売記事。
「大阪市巻き込み再生を」
上山信一(50)氏。大阪市の市政改革推進会議委員長を3月まで務め、4月から府特別顧問。橋下知事を「創業者らしい信長タイプ」と評する。
(本文)
橋下さんは「財政破たん」という軸で改革を進めない限り、みんなが納得して動き出すことはないと一瞬にして見抜いたんじゃないかな。手腕は未知数だが、センスの良さは天性のもの。職員を動かし、議員の個別利益と戦い、府民の自覚を促す――。それぞれを妥協しない形でやることが重要だと思います。イベント批判も府民感覚に沿っています。財界と府、大阪市のなれあいでひたすら投資を続けてきた御堂筋パレードは、惰性の象徴みたいなもの。そういう体質に対して、直感的に反発しているのでしょう。 補助金を当てにしている団体は、削られれば困ると言いますが、冷静に見て、そんなに気の毒な状況でしょうか。医療費助成など他の都道府県にないサービスも多い。財政危機なのだから、事業の見直しについて、一律に「弱者いじめ」と批判するのは無理があります。橋下さんは今年度に1100億円の収支改善を掲げているが、それが改革の目的ではないでしょう。財政再建を入り口に、大阪市を巻き込んだ大都市改革まで向かわないと、改革が成功したとは言えません。
いきなりの組織統合は無理でしょうが、事業統合はできます。水道、公営住宅、卸売市場などの業務提携から始めればいい。都市構造を変えるためには市営地下鉄民営化も必須でしょう。府市のトップがそろって民間出身となったことは時代の采配(さいはい)。これを機に大阪の再生を進めてほしい。 (2008年05月10日 読売新聞)
カテゴリー[ 大阪府の改革 ], コメント[0], トラックバック[0]
登録日:2008年 05月 10日 20:52:12
●行政とNPOの協働(@神奈川県)
神奈川県がNPOとの協働の研究を報告書を発行。私もアドバイザーで参加しました。多くの自治体では、協働の実例が少なかった時代に提示された横浜コードを道標として協働の指針やマニアルを策定していますが、本研究は神奈川県がこれまでに実施してきたNPOとの協働事業を分析し、そこから浮かび上がった課題等を踏まえて協働に係る制度を再設計、具体的な方策について検討。
〔研究報告書の構成〕
第1章 神奈川県のNPOとの協働
・本県のNPOとの協働の取組の現状を確認
・協働事業負担金事業制度の現状を分析・確認し、制度の問題点を明らかにするとともに、その解決案を提示
第2章 県内市町村のNPOとの協働
・県内市町村のNPOとの協働推進の取組の現状を確認
・大和市の協働事業の現状を分析・確認し、県と大和市の協働事業を比較
第3章 更なる協働の推進に向けて
①協働を推進するための基盤整備
②県民への情報提供
③政策連携に向けた仕組みづくり
④県・市町村の連携による協働の推進
という4つの観点から、具体的な施策等を提案
A4版 191ページ定価 510円(税込み) 送料 340円 [問い合わせ先]
神奈川県自治研究センター研究課 電話 045-896-2932
カテゴリー[ 地域再生 ], コメント[0], トラックバック[0]
登録日:2008年 05月 10日 09:29:35
●オーケストラの公共性⑤
(続き)
すでに先進的な芸術団体は、演奏活動のみならず新たなフィールドで活動をはじめている。それで経営的にも成功している事例を紹介する。
・兵庫芸術文化センター管弦楽団
兵庫県は芸術文化の発信拠点として、また阪神淡路大震災からの復興のシンボルとして2005年10月に兵庫県立芸術文化センターをオープンさせた。兵庫芸術文化センター管弦楽団はこのホールの専属オーケストラで、メンバーは、主として35歳以下の若手演奏家で構成される。日本以外からも、アジア、ヨーロッパやアメリカから広く募集を行っている。最も特徴的なのは、3年間しか在籍をすることができず、入団から3年後には「卒業」しなければならない点である。つまりこのオーケストラはアカデミーとしての要素も持つ。また設立当初からアウトリーチ活動(文化芸術普及活動)に対して非常に積極的であり、年間20回以上の出前演奏会を実施している。また「スーパーキッズ・オーケストラ」と題して小学1年生から高校3年生までの子供たちを集めて、芸術監督の佐渡裕氏とオーケストラメンバーの指導のもと演奏会を開催する、といった事業も実施している。メンバーの平均年齢は27歳(2006年度)、50人弱のメンバーの約半数が外国人であるという珍しさも手伝って2006年の実績報告書によると29事業46公演で56,459人の入場者数を記録しており、地元西宮をはじめとして広く知られつつある。
・神奈川フィル
「アートを活用した新しい教育活動の構築事業」は2006年4月から神奈川県、神奈川県教育委員会、NPO法人STスポット横浜が三者で主催している事業である。県立高校等でアーティストがのべ60回程度の授業を行う。「アーティストによる事業実施事業」と「教育関係者等への普及事業」が主な柱だが、アートと学校教育の連携をシステム化した点が特徴的である。神奈川フィルはこの事業において打楽器奏者を高校の先生として派遣している。オーケストラのメンバーが団を通じて招かれ、しかも演奏以外の活動を行うことは珍しい。さらにこのような派遣を単発ではなく、年間を通じて長期で実施しているケースは新しいモデルとしてみることができる。
・オーケストラの新しいモデル
これら2つのモデルに共通するのは、いずれも目的が演奏だけにとどまらないことである。前者は「芸術家育成機能」、後者は「学校教育的機能」とも言うべき、従来のオーケストラには無いものを備えている。さらにこのモデルはオーケストラとして新しい機能を備えることによって組織的経営的にもメリットを獲得することに成功している。見方を変えれば、新しい方法で行政からの資金を引き出している事例ともいえる。
神奈川県の事例のように、教育の現場では教育課程を編成し、指導計画を策定する際に地域の芸術家や文化団体と連携したいというニーズは高い。教育事業への進出などの取り組みは、すでに多くのオーケストラにおいて行われているところである。ただ、そのほとんどオーケストラにとってはヴォランティア的に行われているケースが多く、経営的にとてもプラスになっているとはいえない。しかし学校訪問などは地域社会への貢献になると同時に、未来のオーケストラ人口を増やし、聴衆の裾野を広げる。
・行政の意識改革
行政側もこのようなオーケストラ側の思惑を上手に汲み取り、従来の発想よりもオーケストラの意義を広くとらえるべきだ。オーケストラには多くの公的資金すなわち税金が投入されている。行政もオーケストラが社会に貢献できる分野はもっと幅広いことに気づく必要がある。
・まとめ
オーケストラは誕生から300年以上が経つ現在でも脈々と受け継がれており、明治期に日本が受け入れたように、世界各国へといまなお広がりを見せ続いている。誕生はヨーロッパで、しかも一部の貴族の娯楽のためのものであったにも関わらず、現代日本においては芸術文化だけでなく教育や福祉、都市再生などより身近な、領域に広がりつつある。
しかし、芸術文化に関わる人々は概してその素晴らしさだけを訴える。支援する側もされる側も幅の広い意義や価値についての議論をしてこなかった。
しかし今日では価値観の多様化が進む。様々な局面で説明責任が求められる。特に行政からの支援については、これまで成長の影に隠れていたものが明るみに出た結果、説明を果たすことができずに続かなくなってしまったものも多い。オーケストラと行政の双方は既得権益の維持、あるいは前例踏襲を脱却すべきだ。まずはオーケストラに求められる役割・公共性を客観的に認識する。そのうえで、将来の可能性について考え、自らの役割やミッションを再提起する必要があるのではないだろうか。(おわり)
カテゴリー[ 行政改革 ], コメント[0], トラックバック[0]
登録日:2008年 05月 05日 08:28:28
- プロフィール
- 上山信一
- (男)
- 慶應大学総合政策学部教授。大阪市生まれ54歳。専門は企業・行政機関の経営戦略と組織改革。都市・地域再生も手がける。旧運輸省、マッキンゼー共同経営者等を経て現職。国交省政策評価会(座長)、大阪府と大阪市の特別顧問、新潟市都市政策研究所長、日本公共政策学会理事、各種企業・行政機関の顧問や委員等を兼務。府立豊中高、京大法、米プリンストン大学修士。著作等 ツイッター@ShinichiUeyama
- 最近のエントリー
- [02/13] これまでの地方行財政改革を俯瞰してみると、…
- [02/12] 大阪維新と中央政治
- [02/10] 読み比べたら歴然!中国新聞の意図的偏向?VS正確なサンケイ!
- [02/07] 大阪市役所 抜き打ち調査の権限付与 公益通報で制度強化検討
- [02/02] 橋下市長に「ついてゆけない」ひとたち
- [02/02] 400周年を前に
- [01/30] 改革に優先順位、民営化など推進 慶大教授・上山信一氏 キーマンに聞く
- [01/30] どうなってる、大阪の治安
- [01/28] 大阪府市統合本部、地下鉄・バスの検討チーム 2月
- [01/27] 新潟市の「バス奉行」
- 月別アーカイブ
- 2012年 02月 [6]
- 2012年 01月 [12]
- 2011年 12月 [21]
- 2011年 11月 [14]
- 2011年 10月 [9]
- 2011年 09月 [6]
- 2011年 08月 [6]
- 2011年 07月 [5]
- 2011年 06月 [6]
- 2011年 05月 [11]
- 2011年 04月 [22]
- 2011年 03月 [20]
- 2011年 02月 [18]
- 2011年 01月 [15]
- 2010年 12月 [9]
- 2010年 11月 [5]
- 2010年 10月 [7]
- 2010年 09月 [11]
- 2010年 08月 [10]
- 2010年 07月 [19]
- 2010年 06月 [6]
- 2010年 05月 [3]
- 2010年 04月 [4]
- 2010年 03月 [12]
- 2010年 02月 [4]
- 2010年 01月 [7]
- 2009年 12月 [10]
- 2009年 11月 [9]
- 2009年 10月 [14]
- 2009年 09月 [7]
- 2009年 08月 [7]
- 2009年 07月 [8]
- 2009年 06月 [7]
- 2009年 05月 [5]
- 2009年 04月 [5]
- 2009年 03月 [1]
- 2009年 02月 [7]
- 2009年 01月 [7]
- 2008年 12月 [8]
- 2008年 11月 [9]
- 2008年 10月 [14]
- 2008年 09月 [6]
- 2008年 08月 [15]
- 2008年 07月 [8]
- 2008年 06月 [12]
- 2008年 05月 [15]
- 2008年 04月 [15]
- 2008年 03月 [18]
- 2008年 02月 [21]
- 2008年 01月 [5]
- 2007年 12月 [13]
- 2007年 11月 [9]
- 2007年 10月 [11]
- 2007年 09月 [5]
- 2007年 08月 [5]
- 2007年 07月 [14]
- 2007年 06月 [24]
- 2007年 05月 [28]
- 2007年 04月 [18]
- 2007年 03月 [25]
- 2007年 02月 [22]
- 2007年 01月 [25]
- 2006年 12月 [19]
- 2006年 11月 [31]
- 2006年 10月 [27]
- 2006年 09月 [24]
- 2006年 08月 [22]
- 2006年 07月 [25]
- 2006年 06月 [19]
- 2006年 05月 [11]
- 2006年 04月 [11]
- 2006年 03月 [10]
- お気に入りリンク
- 行政経営フォーラム
- 検索