2008年 05月
●大阪のエコミュゼ構想
以下はサンケイ
出費100億円超?反発必至「大阪ミュージアム構想」名所をライトアップ
大阪府の橋下徹知事直轄の重要政策プロジェクトチーム(PT)が近代的建築物や古墳などの名所をライトアップして府内全域を一つの博物館に見立て、にぎわい創出を図る「大阪ミュージアム構想」(仮)を検討していることが17日、分かった。御堂筋イルミネーション計画もこの一環で、100億円以上の出費となる可能性があるという。橋下知事は「大阪独特の“空気感”を出したい」と構想に強い意欲を示しているが、厳しい財政再建を進めるさなかでの提案とあって、反発も想定される。
橋下知事は今年1月の知事選で示したマニフェストで、冬季にイルミネーションイベントを実施することや「石畳と淡い街灯の街」をコンセプトにした景観づくりに取り組むことを表明していた。
就任後に立ち上げた重要政策PTには「水と光」をテーマにしたまちづくりの構想を具体的に検討することを指示。政策PTはすでに、大阪市内の御堂筋沿いと堂島川の左岸沿いを、今年の秋冬にイルミネーションで彩る「光る御堂筋」計画を府幹部に示している。
今回、浮上した「大阪ミュージアム構想」は、光る御堂筋計画に加え、大阪市中之島周辺の近代建築物▽江戸時代の街並みが残る富田林市の寺内町や岸和田市の岸和田城周辺▽世界文化遺産への登録を目指す百舌鳥・古市古墳群―など、府内の名所をライトアップする計画。
名所それぞれを一つの芸術作品として見立て、府全体を博物館として位置づけてPRする狙いがあるといい、6月上旬に示される重要政策PT案で詳細を明らかにする見通しだという。
経費面では、光る御堂筋計画だけでも10億~20億円の費用を見込んでいるため、ミュージアム構想全体の実現には、100億円単位の予算がかかることも想定。福祉、教育など住民の暮らしに直結した施策など約1100億円のカットを盛り込んだ財政再建試案が提示されているだけに、反発は必至とみられている。
光る御堂筋計画をめぐっては、今月8日に開かれた橋下知事と部長との意見交換会で、各部長から「今やることには反対」「いきなりイルミネーションをやっても府民の理解は得られない」と反対意見が続出していた。
これまでの改革案では、弥生文化博物館(和泉市)などの博物館施設の大幅見直しが盛り込まれている経緯もあり、関係者からは「博物館を縮小するなかで、ミュージアムと銘打った構想を打ち出すのは、文化施策に対する矛盾になるのでは」という指摘も挙がっている。
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登録日:2008年 05月 17日 19:53:44
●いよいよ議会との対話へ
以下は朝日。
大阪府議会がいよいよ改革案の協議と予算案の吟味に入る。私はこれまで公私さまざまな立場で全国各地の議会議員の方々とお付き合いしてきた。だが、見識の高さ、高潔さ、勉強の深さにおいて大阪府議会は全国でも群を抜いている。この議会の存在があったからこそ知事も大胆な案が出せた、いや知事が誕生した。2元代表制のもとではもちろん健全な緊張関係、健全な対立がこれから起きるわけだが結果においても経過においても府民から見てさすがといわれる知事と議会でいてほしい。議会各会派の皆さんのご活躍を期待します。ーーー
以下朝日
大阪府の橋下徹知事直轄の改革プロジェクトチームが作成した財政再建プロジェクト試案について、府議会各会派が14日、それぞれ会合を開いて議論した。最大会派の自民府議団では報酬を含む議員待遇を巡り「30%カットする方針の知事と同水準の削減はやむを得ない」との意見が大勢を占めた。
自民は同日午後、議員団総会や当選回数別の会合を断続的に開催。橋下知事が自身の基本給を30%カットする方針を固めていることを受け、「知事と議員は対等の立場。知事より削減幅が小さければ批判を受ける」との声が大半だった。
一方で、知事の月額給与が145万円なのに対し議員は93万円であるため「知事とは報酬額が違う」と慎重論もあるほか「政務調査費などを含めた待遇全体で考えるべきだ」とする意見も噴出。府議団は浅田均幹事長に対応を一任し、浅田幹事長は他会派と調整したうえで近く結論を出す考えだ。
だが、他会派からは「職員給与の削減幅を見て判断すべきだ」(公明幹部)、「知事と比べるのではなく府民生活を基準に妥当性を考えるべきだ」(共産幹部)などの異論も出ている。
自民、公明、民主の各会派は同日、試案への対案を取りまとめ、15日に発表することを決めた。各会派とも高齢者や障害者への医療費補助の削減や警察官の定数削減といった医療や治安に関する分野の削減には反対。不動産売却を前倒しして歳入増を図ることも求めている。
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登録日:2008年 05月 15日 09:02:40
●橋下改革、3ヶ月目の現場から
筆者はこの4月から大阪府の特別顧問として改革に助言している。時折、このブログで新聞報道だけではわかりにくい橋下改革の本質を解説したい(言うまでもないが、以下はあくまで筆者個人の私的感想である。大阪府庁や知事の見解ではない)。
■「休日返信不要」のメールとリーダーシップ
週末になると知事から「休日返信不要」というタイトルのメールが大量に幹部に送
られる。発信時間は深夜や早朝がほとんど。内容は、商店街振興、公営住宅、文化政
策、人事制度改革、市町村との関係など幅広い。私が見るものは幹部とのやり取りの
中でもCCで送られる一部だけだ。だがこれまで見たものは全て政策の本質に根ざした
喧々諤々の議論だった。
驚くのは知事の質問に対する幹部の真摯な回答ぶり、そして代替案の提案が出てく
るスピードの速さである。知事の質問は極めてストレートだ。例えば「なぜ府庁は公
営住宅を建て続ける必要があるのか?民間に任せられないのか」といった質問。府民
(素人)の素朴な疑問の上に個人事務所を切り盛りしてきた経営者の視点を重ね合わ
せて切り込む。
幹部からの返事は「国の法律、予算制度上の制約で、そんなに単純にはいきませ
ん」というものが多い。だが同時に「法の制約の中でも最大限こういう努力をした」
「知事がOKなら実はすぐにでもこうしたい」といった具体アイデアも多い。全体には
極めて前向きなやりとりだ。中には「あそこでこういうプロジェクトができれば府民
に喜んでもらえる」といった若手職員の熱い想いの知事宛メール(匿名処理済み)も
転送される。深夜、早朝のこうしたメールのやり取りからは、「今、この時期にこそ
大阪府を改革したい」という職員の切羽詰まった想いが伝わってくる。
新聞報道の通り各部は予算案の削減には抵抗している。だがメールのやり取りを見
る限り、政策の抜本的な見直しには前向きだ。これまで感じていた制度・慣行のおか
しさを知事が発掘してくれるのを待ち望む様子も窺える。就任からわずか3カ月。本
質に根ざした本音の議論を庁内に沸き起こした知事のリーダーシップは特筆に値す
る。
■地元で圧倒的支持率
橋下知事は対抗馬にダブルスコアの差をつけて当選した。その後の世論調査でも支
持率は8割前後を維持する。筆者は毎週大阪に行く。世間話にかこつけて喫茶店店主
やタクシー運転手の反応を聞く。橋下改革への評価は一様に高い。選挙前にアンチ橋
下だった人たちも就任後の仕事ぶりは誉める。最も評価が高いのは「おかしいものは
おかしい」と率直に言う姿勢である。そして現場を歩き土日返上で仕事をする一生懸
命の姿が共感を呼ぶ。庁内や市町村の公務員の期待も高い。「あれくらい激しい予算
削減案をぶち上げないと絶対に大阪では改革は無理」と彼らは口をそろえる。本音で
は大賛成なのである。
これに対し市町村長、財界人、そして学者など専門家の評価は必ずしも高くない。
特に東京のエリート層は「あれはポピュリズム」「4年間持たない。いずれ投げ出す」 「タレントに何ができるか」と冷淡だ。大阪の新聞紙面もおしなべて批判的だ。1100億円の予算削減案や施設の統廃合に対する懸念や各種団体が反発しているといった記事が多い。
■改革派のニュータイプ
筆者はこれまで数多くの改革派首長と仕事をしてきた。北川(三重)、増田(岩手)、嘉田(滋賀)、田中(長野)等の改革に参加し、あるいは真近で見てきた。橋下氏の改革はこうした改革派知事の実績を超えるおそらく全く新しいタイプのも
のだ。
これまでの改革は行政改革にとどまった。多くは「不祥事の情報公開」「評価制
度」「マニフェスト」などを駆使した庁内改革、つまり行政改革だった。いずれも行
政改革としては斬新だった。だが市町村や住民を巻き込み、地域の将来のビジョンを
書き換える域には達しなかった。
一方、今回の橋下改革のスケールは大きい。日本第2の都市、大阪のビジネスモデ
ル、統治構造を根底から変えようという意思が見える。例えば知事はすでに「府庁の
発展的解消」「市町村向けの補助金は使途を決めずに渡す方針に変える」といった方
針を表明している。橋下改革は、(1)財政再建、(2)府庁改革、(3)政策創造、の3つか
ら構成される。1100億円の予算削減はそのうちの(1)の皮切りに過ぎない。削減の一
方で御堂筋のイルミネーションや近代建築を生かした街づくりなどの構想を知事自ら
がぶち上げる。
新聞紙面は、連日1100億円の予算削減の報道に明け暮れる。だが知事の週末メール
は早くも「府庁のあり方」「市町村への権限委譲」「個々の政策のイノベーション」
そして「都市ビジョン」にシフトしている。したたかというべきか、ニュータイプと
評すべきか。予算削減のショックで既成の秩序を混沌にぶち込み、そこから地域再生
へのうねりを作っていく。作戦のセンスのよさは天性のものだろう。
■「難治の土地」が動き出した
国の官僚はこれまで大阪を「難治の土地」と呼んできた。住民は反権力、反中央志
向で役所の言うことをきかない。各自が自分勝手で財界もばらばらである。選挙の投
票率が低く、有力な政治家が生まれない。日本第2の都市でありながら全体を動かす
すべが見えない。衰退の一方で改革は難しい土地だった。おまけに全体をコントロー
ルすべき府庁が弱体だった。権限も予算も巨大政令指定都市の大阪市に奪われ、おま
けに財政破綻していた。
そんなところの知事を誰がいったい好き好んで引き受けるのか。あの府庁や大阪
を改革するのは不可能」これが政治・行政ののプロの見方だった。筆者もこの3年、
大阪市の改革に参加し、「難治の土地」の意味を痛感した。「大阪市も大阪府も破綻
しどうしようもなくなってからの改革しかない」と半分あきらめていた。
そこに突如、橋下知事が登場し、ついに大阪が動き出した。橋下知事は混沌の怒涛
を自ら作り出し、その真ん中で叫び、笑い、時には涙すら見せる。それでいてクール
で、「知事は独裁者。自分は危険な存在だと思う」と分析する。この若い知事に大阪
の未来を託してみたいと思う府民が増えつつある。
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登録日:2008年 05月 13日 00:36:19
●読売のインタビュー記事
以下は読売記事。
「大阪市巻き込み再生を」
上山信一(50)氏。大阪市の市政改革推進会議委員長を3月まで務め、4月から府特別顧問。橋下知事を「創業者らしい信長タイプ」と評する。
(本文)
橋下さんは「財政破たん」という軸で改革を進めない限り、みんなが納得して動き出すことはないと一瞬にして見抜いたんじゃないかな。手腕は未知数だが、センスの良さは天性のもの。職員を動かし、議員の個別利益と戦い、府民の自覚を促す――。それぞれを妥協しない形でやることが重要だと思います。イベント批判も府民感覚に沿っています。財界と府、大阪市のなれあいでひたすら投資を続けてきた御堂筋パレードは、惰性の象徴みたいなもの。そういう体質に対して、直感的に反発しているのでしょう。 補助金を当てにしている団体は、削られれば困ると言いますが、冷静に見て、そんなに気の毒な状況でしょうか。医療費助成など他の都道府県にないサービスも多い。財政危機なのだから、事業の見直しについて、一律に「弱者いじめ」と批判するのは無理があります。橋下さんは今年度に1100億円の収支改善を掲げているが、それが改革の目的ではないでしょう。財政再建を入り口に、大阪市を巻き込んだ大都市改革まで向かわないと、改革が成功したとは言えません。
いきなりの組織統合は無理でしょうが、事業統合はできます。水道、公営住宅、卸売市場などの業務提携から始めればいい。都市構造を変えるためには市営地下鉄民営化も必須でしょう。府市のトップがそろって民間出身となったことは時代の采配(さいはい)。これを機に大阪の再生を進めてほしい。 (2008年05月10日 読売新聞)
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登録日:2008年 05月 10日 20:52:12
●行政とNPOの協働(@神奈川県)
神奈川県がNPOとの協働の研究を報告書を発行。私もアドバイザーで参加しました。多くの自治体では、協働の実例が少なかった時代に提示された横浜コードを道標として協働の指針やマニアルを策定していますが、本研究は神奈川県がこれまでに実施してきたNPOとの協働事業を分析し、そこから浮かび上がった課題等を踏まえて協働に係る制度を再設計、具体的な方策について検討。
〔研究報告書の構成〕
第1章 神奈川県のNPOとの協働
・本県のNPOとの協働の取組の現状を確認
・協働事業負担金事業制度の現状を分析・確認し、制度の問題点を明らかにするとともに、その解決案を提示
第2章 県内市町村のNPOとの協働
・県内市町村のNPOとの協働推進の取組の現状を確認
・大和市の協働事業の現状を分析・確認し、県と大和市の協働事業を比較
第3章 更なる協働の推進に向けて
①協働を推進するための基盤整備
②県民への情報提供
③政策連携に向けた仕組みづくり
④県・市町村の連携による協働の推進
という4つの観点から、具体的な施策等を提案
A4版 191ページ定価 510円(税込み) 送料 340円 [問い合わせ先]
神奈川県自治研究センター研究課 電話 045-896-2932
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登録日:2008年 05月 10日 09:29:35
●オーケストラの公共性⑤
(続き)
すでに先進的な芸術団体は、演奏活動のみならず新たなフィールドで活動をはじめている。それで経営的にも成功している事例を紹介する。
・兵庫芸術文化センター管弦楽団
兵庫県は芸術文化の発信拠点として、また阪神淡路大震災からの復興のシンボルとして2005年10月に兵庫県立芸術文化センターをオープンさせた。兵庫芸術文化センター管弦楽団はこのホールの専属オーケストラで、メンバーは、主として35歳以下の若手演奏家で構成される。日本以外からも、アジア、ヨーロッパやアメリカから広く募集を行っている。最も特徴的なのは、3年間しか在籍をすることができず、入団から3年後には「卒業」しなければならない点である。つまりこのオーケストラはアカデミーとしての要素も持つ。また設立当初からアウトリーチ活動(文化芸術普及活動)に対して非常に積極的であり、年間20回以上の出前演奏会を実施している。また「スーパーキッズ・オーケストラ」と題して小学1年生から高校3年生までの子供たちを集めて、芸術監督の佐渡裕氏とオーケストラメンバーの指導のもと演奏会を開催する、といった事業も実施している。メンバーの平均年齢は27歳(2006年度)、50人弱のメンバーの約半数が外国人であるという珍しさも手伝って2006年の実績報告書によると29事業46公演で56,459人の入場者数を記録しており、地元西宮をはじめとして広く知られつつある。
・神奈川フィル
「アートを活用した新しい教育活動の構築事業」は2006年4月から神奈川県、神奈川県教育委員会、NPO法人STスポット横浜が三者で主催している事業である。県立高校等でアーティストがのべ60回程度の授業を行う。「アーティストによる事業実施事業」と「教育関係者等への普及事業」が主な柱だが、アートと学校教育の連携をシステム化した点が特徴的である。神奈川フィルはこの事業において打楽器奏者を高校の先生として派遣している。オーケストラのメンバーが団を通じて招かれ、しかも演奏以外の活動を行うことは珍しい。さらにこのような派遣を単発ではなく、年間を通じて長期で実施しているケースは新しいモデルとしてみることができる。
・オーケストラの新しいモデル
これら2つのモデルに共通するのは、いずれも目的が演奏だけにとどまらないことである。前者は「芸術家育成機能」、後者は「学校教育的機能」とも言うべき、従来のオーケストラには無いものを備えている。さらにこのモデルはオーケストラとして新しい機能を備えることによって組織的経営的にもメリットを獲得することに成功している。見方を変えれば、新しい方法で行政からの資金を引き出している事例ともいえる。
神奈川県の事例のように、教育の現場では教育課程を編成し、指導計画を策定する際に地域の芸術家や文化団体と連携したいというニーズは高い。教育事業への進出などの取り組みは、すでに多くのオーケストラにおいて行われているところである。ただ、そのほとんどオーケストラにとってはヴォランティア的に行われているケースが多く、経営的にとてもプラスになっているとはいえない。しかし学校訪問などは地域社会への貢献になると同時に、未来のオーケストラ人口を増やし、聴衆の裾野を広げる。
・行政の意識改革
行政側もこのようなオーケストラ側の思惑を上手に汲み取り、従来の発想よりもオーケストラの意義を広くとらえるべきだ。オーケストラには多くの公的資金すなわち税金が投入されている。行政もオーケストラが社会に貢献できる分野はもっと幅広いことに気づく必要がある。
・まとめ
オーケストラは誕生から300年以上が経つ現在でも脈々と受け継がれており、明治期に日本が受け入れたように、世界各国へといまなお広がりを見せ続いている。誕生はヨーロッパで、しかも一部の貴族の娯楽のためのものであったにも関わらず、現代日本においては芸術文化だけでなく教育や福祉、都市再生などより身近な、領域に広がりつつある。
しかし、芸術文化に関わる人々は概してその素晴らしさだけを訴える。支援する側もされる側も幅の広い意義や価値についての議論をしてこなかった。
しかし今日では価値観の多様化が進む。様々な局面で説明責任が求められる。特に行政からの支援については、これまで成長の影に隠れていたものが明るみに出た結果、説明を果たすことができずに続かなくなってしまったものも多い。オーケストラと行政の双方は既得権益の維持、あるいは前例踏襲を脱却すべきだ。まずはオーケストラに求められる役割・公共性を客観的に認識する。そのうえで、将来の可能性について考え、自らの役割やミッションを再提起する必要があるのではないだろうか。(おわり)
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登録日:2008年 05月 05日 08:28:28
●オーケストラの公共性④
・オーケストラの持つポテンシャル
大都市である条件としてプロ野球チーム、サッカーチーム、そしてオーケストラをもつことが挙げられることがある。いずれも都市や地域社会のシンボルになり得る。世界のトップオーケストラは実際に都市の重要な観光資源となっている。例えばウィーンフィルの本拠地であるウィーン国立歌劇場やベルリンフィルの本拠地であるフィルハーモニーホールは国を代表する一大観光地である。演奏のためにある地域を訪れれば地域全体に経済効果をもたらすこともある。オーケストラは芸術文化振興という機能のほかに、観光集客、都市再生・教育・福祉・情報発信・コミュニティ活性化など多くの分野で期待できる。
・具体イメージ
イギリスのバーミンガム市交響楽団は中心市街地再開発の際に建設された国際コンベンションセンター内に良質のコンサートホールを確保した。団の評価が向上し、文化とは無縁の産業都市だったバーミンガムがヨーロッパの一大文化都市へと発展した。
大阪センチュリー交響楽団の「タッチ・ジ・オーケストラ」のように子供たちが楽器に実際に触れたり指揮者体験をしたり、文字通りオーケストラに触れる企画も増えている。
アメリカ・カリフォルニア州のバレーオ市では市当局が繁華街でクラシック音楽を流したところ、犯罪の発生率が大幅に減ったという実験データもある。広島交響楽団では「Music for Piece」をキャッチコピーとして、「ヒロシマ」から平和を発信するべくオーケストラ活動を行っている。、新日本フィルハーモニー交響楽団は東京都墨田区にあるすみだトリフォニーホールと全国のオーケストラで初めてフランチャイズ契約を結び、地域に根付いた活動を意識して行っている。音楽、とくに何百年もの歴史を持つクラシック音楽には何かしら人間を揺さぶる「力」がある
・意識改革
オーケストラは自らの役割に対する認識を変える必要がある。オーケストラは自らが都市にもたらす芸術振興以外のさまざまな機能を再認識し、きちんと説明すべきである。自治体の財政危機に照らせば従来型の「心の豊かさ」論への固執は危険である。
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登録日:2008年 05月 05日 08:13:25
●オーケストラの公共性③
(続き)
・今後の方針
文化や芸術にスポットを当てた都市再生論や創造都市論のような政策が各地で散見される。大阪市では2007年3月に「大阪市創造都市戦略Ver.1.0」を策定し、「ソフト施策」を重視し「アーツとビジネスが融合する都市」を目指すとしている。また仙台市の「楽都仙台」や川崎市の「音楽のまち・かわさき」のように、都市ビジョンの中で音楽に注目したキャッチコピーを掲げて施策に取り組んでいる自治体もおおい。オーケストラが行政から支援を得るにあ環境は以前よりも追い風の中にある。また、「のだめカンタービレ」のブレークや「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン(熱狂の日)」(フランス・ナント発祥のクラシック音楽祭。一流の演奏を低料金で提供し2007年は106万人の来場者数を記録)の成功などで聴衆の裾野は広がりつつある。総じて見れば、わが国のクラシック音楽業界とオーケストラは明るい経営環境にある。
・潜在するリスク
以上、データをもとにわが国主要オーケストラの運営形態や収支構造、行政からの支援を概観した。総合すると一般に言われる「公的助成が少ない」「オーケストラは恵まれていない」といった意見は必ずしも当てはまらず、団員の給与水準も極端に低いわけではないことがわかった。しかし、現代日本のオーケストラが持つ2つのリスクに着目したい。ひとつはオ補助金や寄付の減少、各方面からの活動の場の提供など金銭面以外のものも含んだ支援の減少のリスクである。前者の原因は行政の財政難である。自治体の予算規模は現在縮小傾向にある。今後数年で急激に財政状況が好転することは考えにくい。現在は、オーケストラに対する支援が横ばい傾向にあるが今後もこのままのペースで推移することはきわめて不確実である。ましてや文化予算の規模を増やすことは、財政状況上非常に難しい。すなわち、文化行政の意義とは関係なく削減の対象となる恐れがある。
実際に千葉県にあるニューフィルハーモニーオーケストラ千葉では補助金の突然のカットによって2006年に楽団員のボーナス全額カット、2007年には給与が35%削減されるという事態が発生している。補助金が減少したまま運営を続けようと思えば、しわ寄せは人件費に来る。
二つ目のリスクの最大要因は地方企業の疲弊である。特に地方のオーケストラにとっては、企業からの支援は財政面を超えた意味をもつ。例えば、企業が運営する演奏会用のホールの存在は大きな支えとなる。しかし近時、地方企業の倒産件数は増加傾向にあり決して楽観視できない。例えば大阪に本社を置く石原産業株式会社は「イシハラホール」を運営していた。しかし明るみに出た不適切な不法投棄の後処理に多額の費用がかかるという理由で2008年1月にホールの休館を発表した。CSR(企業の社会的責任)やメセナへの関心が高まり、文化に対する支援も注目されてはいる。だが、本業で安定した経営ができない限り、支援は期待しにくい。地方企業の疲弊はオーケストラ経営における第2のリスク要因としてとらえられる。(つづく)
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登録日:2008年 05月 05日 07:50:57
●オーケストラの公共性②
(続き) NHK交響楽団を除く全国の主要オーケストラは、何らかの形で公的支援を受ける。次はオーケストラの経営を支えている行政からの支援についてみていく。
・文化行政の変遷
行政からの文化支援は、大きく分けて国からと自治体からの2つある。日本の文化行政は1968年に国に文化庁が設置されて以降、70年代初頭から府県レベルでの文化事業や制度の整備が開始された。さらに1980年に入ると各地方自治体は文化施設の建設に積極的に取り組み、文化公共ホ-ルと呼ばれる建物が相次いで建設された。しかし建設ラッシュは、バブル崩壊後は「箱物批判」につながり、やがてハード中心からソフト重視のホール運営、文化振興ビジョンの策定、文化振興条例の必要性など、文化領域の様々な議論を生み出した。
・国レベル
2001年末に文化芸術振興基本法が制定され、07年2月には「文化芸術の振興に関する基本的な方針」の第2弾が閣議決定された。オーケストラのような舞台芸術活動に対しては文化庁などが芸術創造活動推進施策として支援する。
・自治体の支援
一方、文化にはコミュニティを形成する力や、郷土への愛着や誇りを培う力もある。そこで「地域文化」の名の下に、自治体も役割を担っている。国の基本方針でも、「国民の生活に近い地方公共団体が高い専門性と知識を備え、主たる役割を担うことが期待される」とうたわれる。しかし地方公共団体の芸術文化関係経費の支出はバブル経済崩壊後の93年をピークに減少が続いている。ただし減少の主要因は文化施設建設費の減少であり、、オーケストラ支援のようなソフト部分は減少していない。芸術文化事業費は横ばいで推移している。
・大フィルのケース
以下では例として国・府・市のそれぞれから補助を受けている大阪フィルハーモニー交響楽団をモデルケースとして取り上げ、その推移をみる。90年代以後今日までを見ると補助はバブル経済崩壊後の92年に突出するものの、全体の水準としては比較的安定的に推移している。特に大阪市からの補助は95年(平成7年)から変化が無く、予算規模全体で見ると高水準を保っている。大阪府は99年に補助を減少させている。しかし同時期から国の補助金が増加し、減少を補っている。国の補助が97年から増加傾向にあるのは96年のアーツプラン21(ソフトの充実を目指して新しく開始された芸術支援事業)の開始によって、支援事業費が前年より大幅に増額されたからである。大阪フィルのケースでは行政からの支援はトータルとして見れば横ばい、むしろ増加傾向にあることがわかる。
・まとめ
オーケストラの経営はもともと苦しいとよく言われる。だがデータを見る限り、特に近年苦しさが増しているとはいえない。またこれまで統合(東京フィルハーモニー交響楽団と新星日本交響楽団)や分裂(日本フィルハーモニー交響楽団と新日本フィルハーモニー交響楽団)の例はあるが経営不振による倒産・解散はない。(続く)
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登録日:2008年 05月 05日 07:39:06
●大阪市議会、情報公開の遅れが歴然
以下は日経。情報公開についていえば大阪市役所の成績が良い。関改革の成果だ。最近の不祥事の続出も関改革の時代に作り上げた情報公開の仕組み(議会をのぞく)が機能しているからこそ。ところでこれは関前市長が残してくれた遺産でしかない。
今の大阪市役所についていえば、改革が前に進んでいるとはいえない。だが大きく後退もしていない。関時代に改革を後退させられないシステムがビルトイン済みである。停滞もしくは漂流。その最大の理由は大阪市特有の政治構造だ。特に大阪市議会は地下鉄民営化、水道の府市統合などの本質課題をおそらく自力では解決できない。大阪市は今の政治・選挙区構造のままでは大きくは変われない。3セク破綻による財政再生団体への転落、あるいは道州制もにらんだ府や国の手による制度改革のいずれかを経るしかないだろう。
<データ読解>大阪府28位、奈良県は44位――自治体の情報公開度
橋下徹知事の就任で、予算編成の過程など様々な情報公開が動き出した大阪府。テレビや新聞のニュースを見て「自分の住む自治体の透明度は?」と思う人も少なくないはず。近畿2府4県と4政令指定都市の実態はどうなのか。全国市民オンブズマン連絡会議(名古屋市)が3月に発表した「情報公開度ランキング」をひもといた。 「知事部局」「議会」「警察」の3つを合わせた総合ランキングでは、2府4県は全都道府県の中で「並かそれ以下」のグループでいまひとつ。一番いい和歌山県でも16位。滋賀県、京都府が19位で続く。調査時点が橋下知事の就任前だった大阪府は28位。奈良県は最下位に近い44位と低迷する。
大半は「知事部局」のランクはもう少し高いものの、奈良県が「議会」部門で、兵庫県が「警察」部門で全国最低の47位となるなど、ほかの部門の影響でランクが下がった。奈良県議会は政務調査費や議会運営委員会、兵庫県警は再就職情報の審査項目で得点が低かった。 一方、政令市の総合ランキングを見ると、近畿では大阪市の4位が最高。京都市8位、神戸市15位、堺市16位といずれも不本意な結果になった。実は5つある審査項目のうち大阪市は「交際費」「再就職情報」「予算編成スケジュール」の3部門で全政令市中でトップ。不祥事が続き、改革も停滞しているイメージがあり、意外な感じを受ける。むしろ足を引っ張ったのが「議会の政務調査費」(全国7位)と「議会運営委員会」(17位)の透明度の低さ。市議会改革も必要なようだ。地方分権の必要がいわれる中、「今後、自治体の財政や政策の中身が妥当か、市民がチェックすることが重要になる」と同会議の大河内憲司代表幹事は指摘する。情報公開はその大前提だけに、知事や市長らトップの姿勢が問われる
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登録日:2008年 05月 04日 05:37:15
- プロフィール
- 上山信一
- (男)
- http://www.pm-forum.org/ueyama/
- 慶應義塾大学総合政策学部教授、改革コンサルタント。専門は大企業・行政・NPO等の経営刷新。近年は地域再生も手がける。大学では「経営戦略」「公共政策」等を教える。旧運輸省、マッキンゼー共同経営者等を経て現職。大阪市生まれ。50歳。中央省庁・自治体の各種委員、企業顧問等を兼務。京大法、米プリンストン大修士。趣味は登山、鉄道、料理。メール:ueyama@pm-forum.org
- 最近のエントリー
- [05/17] ●大阪のエコミュゼ構想
- [05/15] ●いよいよ議会との対話へ
- [05/13] ●橋下改革、3ヶ月目の現場から
- [05/10] ●読売のインタビュー記事
- [05/10] ●行政とNPOの協働(@神奈川県)
- [05/05] ●オーケストラの公共性⑤
- [05/05] ●オーケストラの公共性④
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- [05/04] ●大阪市議会、情報公開の遅れが歴然
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