2009年 01月

●橋下府政 「チーム橋下」が語る1年 

以下は読売新聞〔大阪〕。聞き手は清永慶宏記者。
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2月6日で就任1年を迎える橋下知事。関係者の証言から橋下府政1年を検証し、2年目の課題に迫る。まず、「チーム橋下」として知事を支える外部ブレーンのインタビューから始める。
◆上山さん 予算組み直し、好判断
上山 信一さん 慶応大教授、府の特別顧問。大阪市の関淳一市長(当時)の外部ブレーンとして市政改革を推進した。
――橋下府政1年の評価は。
一番良かったのは就任早々、予算を組み直すと決めた判断ですよね。一気に改革のエンジンが入ったという感じ。大阪府は金がないというのが伝わって、みんな、府に「あれやってくれ、これやってくれ」と、言う気がなくなった。支持率が高いのは、過剰な期待をさせる予算をぶっつぶして期待値を下げちゃったから。この効果は大きい。
 予算編成の過程は、当選した後にマニフェストを作っていったようなもので、対府民、対議会、財政問題、全国へのアピール、全部ができた。
――特別顧問の役割は。 知事とディスカッションして一緒に作っている感じ。知事からのメールは多い日は10本くらいになる。
――府と大阪市の連携が動き始めた。
府・市間の課題はずっと前からわかっている。やっと市民に発信されただけ。まだ何も改善していない。

 発信力は非常に大きくて、解決に向けたパワーは高まっているとは思うが、急には解けないと思いますよ。
――〈橋下流〉の政治手法とは。
反論できないでしょう、結構、正論を言っているから。言葉遣いは賛否の「否」が多いだろうけど、それを除くと、みんなが薄々思っていたことを言っている。橋下知事は府政を守る側じゃなく、外から来て攻める側。そういう意味では我々と立場は変わらない。(聞き手・清永慶宏)

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登録日:2009年 01月 31日 09:02:09

●朝日新聞大阪版1月26日記事について

 1月26日付朝日新聞の朝刊(大阪府関連記事)に私についての記述がある。字数に限りあるためか誤解を招きかねない内容でたいへん迷惑である。関係者は以下もお読みいただき、何が真実か、そして正しい報道の役割とはなにか、をお考えいただきたい。
正しい経緯は:
1.空港戦略についての12月の大阪府案(経営会議にかかったもの)について、私が「内容未熟。あのままでは問題が多い」と知事に問題提起したのは事実。しかしそれは職員に対してではなく知事に対して、しかも経営会議にかかった後に行なった。なぜそういうタイミングだったのか。経営会議の前には担当部門から相談も資料提供も一切なかったからだ。一方、担当部門は経営会議の前に知事に対し「上山顧問に見せて賛同を得た」と説明していた。ところがそのような事実はない。これが問題の本質である。中身の問題以前にこのことが大問題なのだ。
2.こうした担当部門の行動様式には誰しも疑問を持つだろう。知事という「上司」に対する正しい事情説明を怠った。この理屈を理解しない相手に対して正しい仕事のやり方をどうやって伝えるか。「書類を破いて席を立つ」という伝え方もありえるのではないか。
3.職員に対して私の「私案」を新たな「府案」とするよう指示した事実は全くない。そもそも「私案」など存在しない。1の問題提起の際には12月の府案にいかに大きな欠陥があるか説明したコメントは送った。だが、それは体裁や内容からして府案になるはずはない。誰でもそれくらいはわかる。
 それを今回の記者はわざわざ私が「私案を検討するように要求した」と書いた。背景にはどういう記者の意図、あるいは第3者の圧力(?)があったのか?ブログという反論の道具がなければ、一方的に決め付け斬り捨てる大新聞社の常套手段にやられるところだった。怖いことである。本件に限らず、一部のプレスには妙な義侠心に由来してか、あえて紛争や対立を強調したり、煽る傾向がある。だがプレスはニュースを正しく書くのが仕事。ニュースを捏造してはいけない。

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登録日:2009年 01月 26日 18:24:29

●関空10年先をみた経営

 関西では 「神戸、伊丹、関空の3空港を一体運用」というアイディアが一部にある。大阪府の空港戦略案になったという報道すらあって、驚いた。市営、国営、民営の3つの欠陥(かつそれぞれ実質赤字、含む騒音対策費用等)の空港3つを一緒に経営するというのは数十年先の夢物語、可能性としては否定しない。だが関空問題を解く戦略論として全く意味を持たない。むしろ本質を見失わせる無用かつ実益のない(現実味なし)の空論ではないか。愚論に流されず、さっさと関空のアクセス問題を動かすべきだ。なにわ筋線が決まれば関空は「大阪駅から30分」。伊丹より便利になる。おのずとエアラインは伊丹の戦略を変え、経済原則に沿って事は決まる。3空港のダイヤの調整ならエアラインがすでにやっている。空港のカルテルは世界の流れにも逆行。ロンドンでは3空港の一体経営が独禁法に抵触するとして係争中。分離運営の流れだ。一体運用論はナンセンス。一体何をするのか?
 財界人が時々思いつきでそう言う。公務員の一部にもいる。しかし、今のまま一体化してみても何ともならない(そもそも不可能)。さらにいえば神戸は単なるローカル空港、関空の国際ハブ空港のあり方論とは全く無関係である。神戸は十分独自にやっていける
 ちなみに以下読売、村山社長の現状報告。
<09年 かく闘う>関西国際空港会社 村山 敦社長 70
10年先に必要な手打つ

 円高で韓国や香港方面への日本人旅客数は多少上向いているが、増え続けてきた訪日外国人旅客が2008年に減少に転じた衝撃は大きい。今後も顧客満足度を高めるための取り組みを続けるが、旅客が減れば空港の商業施設の収入も落ち込む。今はコスト削減の工夫で我慢せざるをえない。

 景気の見通しは厳しく、メーカーの減産などで関空の国際貨物も減り始めている。世界経済の悪化に伴う企業の業績不振が本当に響いてくるのは今年からで、前年比で2~3割落ち込んでくるだろう。

 関空の根本問題は、財務体質をどう改善するかと、2期島の施設展開方針の政策決定の行方だ。国土交通省も解決には前向きで、09年はこれらの中長期的な課題にじっくり取り組み、10年先に必要な手を打つ年にしたい。社長の任期は6月まで。私自身が人事を決めるのではないが、現状で敵前逃亡するつもりはない。

 日本航空や全日本空輸の路線廃止・減便は関空に大変な打撃で、関西は切り捨てられた。意欲ある外国の航空会社が国内路線を飛べるよう、規制緩和を国に求めたい。東京一極集中は本当にひどく、バランスの取れた発展には道州制実現しかない。関西3空港問題も、解決策は運営の一体化ではなく、関西州として3空港をどうするか、意思決定できるようにすることだ。

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登録日:2009年 01月 18日 08:12:34

●地域再生と自治体改革の本(読書案内)

自治体の改革や地域再生について、わたしの書いた本や記事の読書案内をまとめてみました。

1.「自治体の改革」について

・「自治体業務の外注管理」、「指定管理者制度」、「民営化」については桧森隆一氏との共著「行政の解体と再生――ニッポンの“公共”を再構築する」(東洋経済新報社、2008年)で詳しい事例分析を紹介している。
・福岡市役所、横浜市役所の改革については「自治体DNA革命」と「横浜市 改革エンジン フル稼働」(東洋経済新報社、各2001年、2005年)にそれぞれの経過と手法の詳細を紹介した。
・三重県の改革などの評価は「行政の経営改革」(第一法規)、基本的な理論は「行政経営の時代」(NTT出版)で紹介

2.「橋下改革と関西」について

・05年~08年の大阪市改革の経過についてはメルマガ、日経BPガバメントテクノロジーのHPに筆者の連載記事のバックナンバーが合計で16本掲載されている。
・橋下改革についても最新情報を上記メルマガで随時発信している。定期購読(無料)をお勧めする(申し込みは上記サイト)
・さらに拙著「行政の経営改革――大阪市役所の挑戦」(時事通信社、2008年)では主要67事業の分析結果を紹介した。また公会計改革研究会著「公会計改革」(日本経済新聞社、2007年)の第2章では情報公開が大阪市改革で果たした役割を論じた。

3.「地域再生」について

・わたしも発起人・幹事のひとりである「脱藩官僚の会」の著作「脱藩官僚、霞ヶ関に宣戦布告!」(朝日新聞出版、2008年)の第4章で分権改革についての意見を寄稿した。なお文化が地域再生に果たす役割については稲葉郁子氏との共著「ミュージアムが都市を再生する」(日経新聞社、2003年)が詳しい

4・「公務員のあり方」について
・能力開発と政策大学院の役割については梅村雅司氏との共著「行政人材革命」(ぎょうせい、2003年)で日米の比較と共に詳細を論じている。

5・「国の行政改革」について

・国政レベルの改革については若松謙維・樫谷隆夫氏と共同監修の「行財政構造改革工程表」(ぎょうせい、2005年)で詳細の戦略を提案した。
・また官から民への受け皿となるNPO、企業、社会企業、CSR、SRIについては「行政の解体と再生」(先掲)の第5~9章で116ページにわたり内外事例の調査結果を紹介した。
・なお「政策連携の時代」(日本評論社、2002年、日本NPO学会賞受賞)では米国事例を参考に地域、NPOと自治体の連携による問題解決を論じた。

6・「行政評価」について

・拙著「日本の行政評価―総括と展望」(第一法規出版、2002年)、伊関友伸氏との共著「自治体再生戦略――行政評価と経営改革」(日本評論社、2003年)をご一読いただきたい。
7・「改革スタッフの心構えやノウハウ」について

具体的な改革ノウハウを拙著「だから、改革は成功する」(ランダムハウス講談社、2006年)で解説した。

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登録日:2009年 01月 15日 05:25:26

●今年読みたい、お勧め本

今年、ぜひ読みたい10冊(上)――混迷深める世界を理解するために

 お正月の新聞には、「米財務省、ビッグスリーに公的資金を注入」という見出し。テレビをつければ「日比谷公園で野宿する人に厚労省が講堂を解放」というニュース。驚いた。まるでSF小説を読んでいるみたいだが、これが現実だ。マルクスやレーニンの予言が実現しつつある。これはたぶん「資本主義の自己崩壊」の静かなる序幕なのかもしれない。こういう時代になるといくら目の前の現象や数字を分析しても次は見えない。現象よりも大局を観る。科学的手法よりもむしろ歴史観、思想、そして哲学を手がかりにしたい。そこで今回は世界を読むための5冊、次回は日本を動かすための5冊を紹介したい。

1.ジャック・アタリ『21世紀の歴史』(作品社)

 ミッテラン大統領の補佐官や欧州復興銀行総裁なども務めてきたフランスの碩学。作家、思想家でもある。ソ連崩壊や金融バブルなどを早くから予見した。2006年に書かれた本書では「マルクスの予言は正しく、2025年までに米国の資本主義は破滅する」と言い切っている(実際はもっと早いペースだったが)。その後の世界は大混乱が続く(超紛争)という。そして2060年ごろに「超民主主義」がようやく定着し、人類は破滅を免れるという。

2.ジャック・アタリ『反グローバリズム―新しいユートピアとしての博愛』(彩流
社)

 99年に書かれたこの本では1.の「超民主主義」のもととなる博愛思想を説明する。アタリは、民主主義を市場主義が破壊するのが現代の脅威だとする。その上でそれを防ぐのが「博愛主義」であり、既に庶民金融(マイクロクレジット)やNPO、環境運動に「博愛主義」が見られるという。そしてこの原理はフランス革命の自由・平等・博愛の伝統に根差すが、「自由」「平等」に比べ「博愛」はおざなりにされてきたという。その上でアタリは一種のユートピア思想を推す。つまり、「博愛」がいずれは地球規模で広がり世界を救うしかない。そのためには「見返りを期待せずに自分をささげよう」と呼びかける。やや狐につままれた気分になるが政府の要職を務めた著者がそう叫ぶと逆に危機感が高まる。

3.田中明彦『新しい中世』(日経ビジネス文庫)

 96年に出た当時もたいへん話題になった本。冷戦後、米国の一極支配も続かず、いずれ世界は相互依存を深めながら、多層的秩序が入り乱れる時代になるという予言だ。参考になるのが西洋中世だという。西洋中世ではローマカトリック教会という国家を超えた存在が全体をつないで支配した。先進国を中心にこれからの世界も国際機関などが国家や領土を越えて影響力を行使し、国家や領土という観念が緩んでくるという。その後の投資銀行やイスラム原理主義などの発展を見るとまさにこの予言は当たっている気がする。国家を基軸に社会や世界をとらえる発想を問い直すべき時代だ。

4.レーニン『帝国主義論』(光文社文庫)

 この本は92年前に書かれた。だが、この本が予言したことがまさに今、世界で起きている。肥大化した金融資本が世界を分割支配し、国家を動かすという予言である。最近の20歳前後の学生たちは左翼の功も罪も知らない世代だ。だが慶應大学(SFC)の僕のゼミ生の多くが「大いに共感した」という感想を寄せた。大昔に読んだ人もう一度、再読の価値ありだ。

5.堀紘一『世界連鎖恐慌の犯人――アメリカ発「金融資本主義」の罪と罰』(PHP研
究所)

 堀紘一はボストンコンサルティングの日本法人を育てた人物。マッキンゼー日本法人を育てた大前研一氏と並ぶ経営コンサルタントの草分け的存在である。二人とも70年代からずっと米国企業と付き合ってきた親米派である。その二人が最近、「アメリカはもうかつてのアメリカではなくなった」と嘆く。経済のことではない。良心やモラルの衰退を嘆く。掘氏は、その最たるものがこの10年の投資銀行の蛮行の数々だという。私も事例はいくつか仄聞してきた。この本は、今何が起きているのか、素人向けにうまく説明した好著だ。
(つづく)

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登録日:2009年 01月 14日 04:34:52

●日経のパネルベイの記事・・評価はどっち?

 新聞記事への素朴な疑問。みなさんはどう読みますか?
 以下(下線以下)は日経(大阪)だが、12月15日には「パネルベイも不況かも」と書き、一週間後には「勢い増す」とある。どっちが本当なのだろう・・?書き手が違うコラムだから少しの矛盾はいいけれど、2週連続で「冷やしたり、暖めたり」というのはちょっと解せない。
 後者は前者への抗議を受けて書いた?論旨も何か「変」である。編集方針に疑問ありだーーーーーーーーーーーーー
<先望鏡>シャープ効果に不安――堺コンビナートに忍び寄る不況の影
2008/12/15配信
 シャープが堺市に建設中の「21世紀型コンビナート」で液晶パネル工場などの建屋が並び始めた。2009年度に第1期工場の生産開始をめざしているが、金融危機による世界不況の影が忍び寄る。12月の堺市議会で「シャープの業績悪化で液晶パネル工場の操業開始時期は遅れないか」「(液晶パネル共同生産の)シャープとソニーの合弁会社は予定通りか」と質問が出た。市がシャープに代わり「計画通り」と答えたものの、地元は不安を募らせている。シャープは11月、亀山工場(三重県)の液晶パネル減産、12月に三重工場(同県)と天理工場(奈良県)の液晶パネル生産の亀山移管を明らかにしたが、堺コンビナートの計画は変更していない。堺コンビナートで太陽電池の工場を稼働させる計画もある。 □  □
 計画変更が発表されない以上、堺へのシャープ進出による経済波及効果の予測も修正しようがない。堺市が07年に発表した経済波及効果は絶大だった。初期投資額1兆円の前提で工場建設の直接効果が約8000億円、第1期の液晶パネル工場の生産活動の効果が約1兆1000億円、操業後10年間は市が税金の一部を減免しても年間平均で約19億円の税収増と予測した。着工後1年の現時点で工場建設の直接効果に疑問も上がる。関係者は「堺市内の建設業者はシャープ工場の仕事を請け負うと低価格で採算が合わず、大半が取引を避けていた」と明かす。予測したほどの効果がなかった可能性もある。
 景気循環はいずれ避けられない。むしろ長期にみてパナソニックやシャープの大型投資に沸いた大阪湾岸地域(パネルベイ)にとって不安なのは、直近の景気変化より将来の地域の経済構造の変化ではないか。シャープのコンビナートは堺・泉北臨海工業地帯の北端に位置する。同工業地帯は石油、化学、鉄鋼などを中心に製造品出荷額は約2兆3483億円(07年の大阪府速報)。シャープ第1期液晶パネル工場の完全稼働時の製造品出荷額は約1兆円(堺市推計、太陽電池を除く)とみられ、単純に加算すると一帯の製造品出荷額は約1.4倍になる。製造品出荷額が増えるだけでなく、産業構造も変わる。臨海工業地帯の主役が素材、エネルギーなどの多様な企業と分野からシャープ1社の液晶と太陽電池の2分野に代わる。成長は期待できるが、企業と分野が集中すれば事業が低迷した場合に影響は大きい。企業城下町になる不安だ。もうひとつの不安は地元の中小企業に潜む。10月にシャープと大阪府内の中小企業の商談会、11月にシャープ工場の装置メーカーなどと堺市内の中小企業の商談会が相次いで開かれ、活況だった。取引が始まり、シャープと成長する企業もやがて現れるだろう。しかし取引が実現する企業も、これらのうち成功する企業も選ばれた少数にすぎない。ある聞き取り調査で市内企業の多くが「シャープの進出に期待していない」と答えた。シャープ進出の恩恵を受ける企業が少数であることを地元経営者は冷静に見つめている。(堺支局長 種田龍二)
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<先望鏡>各地とひと味違う「変」な年末――勢い残す大阪湾岸

2008/12/22配信
 2008年の世相を映す「今年の漢字」に「変」が選ばれた。変は俗字で元の字は「變」。会意文字で上半分が「続く」、下半分が「打つ」を意味し、連続する物事を断ち切って別の物事に「変える」という字義を持つ。「普通でない」「突然起こった現象」「便宜的な手法」などを指すときにも使う。選出理由の1つは「政治の変」。日本の首相が交代し、次期米国大統領が「変革」を訴えて当選したからだが、麻生太郎首相は国語力まで「変」だった。相次ぐ産地偽装で食の安全性が揺らぎ、物価も上昇して「生活の変」が進行した。激震をもたらしたのが資源価格の乱高下や株価急落、円高・ドル安で景況感を一変させた「経済の変」。企業は一斉に非正規社員削減と設備投資抑制に走り、中部圏の自動車産業は急ブレーキを踏んでギアをバックに入れそうな情勢だ。
 
 だが、大阪湾岸で整備が進む薄型テレビと太陽電池の産業集積「パネルベイ」は歩みを止めていない。関西経済連合会の下妻博会長は8日の記者会見で「パナソニックもシャープもベイエリアの工場建設は遅らせないと言っている」と述べ、関西経済は冬ごもり一色ではないと指摘した。薄型テレビ市況は厳しいが、韓国サムスン電子や台湾の友達光電(AUO)が世界最大の「第11世代」と呼ぶ液晶パネル工場の計画を明らかにしており、パナソニック、シャープとも後には引けない事情がある。
 シャープは堺市に加え、イタリアでも合弁で太陽電池工場を新設する。京セラは滋賀県野洲市に400億円前後を投じて太陽電池の新工場を建設する。09年2月に着工し、10年春に生産を開始する。三洋電機は10年度までに年産能力を08年度比で約2倍の60万キロワットに増強する。
 カネカは3年後を目標に変換効率を従来の13.5%から15%に高める製品を大阪大学と共同開発中だ。三菱電機は11年度までに太陽電池生産能力を今秋時点に比べて約3倍の60万キロワットに増産し、最終組み立て工程を持つ京都工場(京都府長岡京市)の設備を増強する。太陽電池の国内5強であるシャープ、京セラ、三洋電機、三菱電機、カネカがいずれも関西で事業を積極展開する。
 パナソニックの大坪文雄社長が19日の記者会見で、三洋電機買収の利点として真っ先に挙げたのが燃料電池・太陽電池・2次電池事業の相乗効果。経済産業省が“電池3兄弟”と呼ぶこれら3種類のデバイスを一括供給できる唯一の存在がパナソニック・三洋連合だ。将来性を確信する大坪社長は環境エネルギー事業を「5つ目の戦略事業」と定義し、攻めを貫く。
 パネルベイの道のりは平たんではないが薄型テレビ、環境エネルギーとも勢いを残す。各地の経済情勢とはひと味違う「関西経済の変」も存在するのだ。「易経」には「窮まれば則ち(すなわち)変じ、変ずれば則ち通じ、通ずれば則ち久し」とある。行き詰まれば変化が生じ、変化すれば通じる道が生じる。通じる道ができれば永遠に続くという意味だ。09年はかくありたい。
(編集委員 竹田忍)

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登録日:2009年 01月 05日 02:12:17

●新潟から、謹賀新年

上山@新潟市都市政策研究所長です。
この2年弱、新設の研究所長を務めてきました。新潟市にとっても僕にとってもはじめての経験で手探りの苦労を重ねてきました。支えは、新生の政令市にふさわしい政策を作りたいという市長と職員の熱い想い。それに応えるべく試行錯誤を続け、少し形が見えてきました。でも提言は実行され、成果が出てナンボの世界です。いよいよ3年目は都市構想の作業に入ります。本丸に取りかかる期待と決意を研究所ブログで冨井副所長が書いてくれましたので引用紹介します。全国からの応援を期待します。
ーーーーーー
今年で研究所もいよいよ3年目に入ります。後発のシンクタンクではありますが,振り返ってみますと自治体の内部シンクタンクとしては非常に効率的な研究活動をこの2年間行ってきたと自負しています。全国に例を見ない“田園豊かな多核連携の政令市”という新潟市の特性を見据え,分かりやすいテーマから研究に取り組み,逐次,研究結果を「研究所だより」で発信をしていくというやり方は,他の自治体のシンクタンクにはあまり例を見ない進め方のように感じます。
 人員体制面,予算面さらには研究ノウハウの面でもよちよち歩きの組織でしたから,まず市の職員と関係者の皆さんから興味を持ってもらうことが何よりも大切だと考えました。
 そういう意味では,「銘産品25品目のブランド評価」にしても「米農業の強さと弱さの構造分析」にしてもあるいは「Web評価」にしても,身近で分かりやすいテーマです。
 これらのテーマから研究をスタートさせたことは,一般にとっつきにくい印象のシンクタンクの理解につながったのではないでしょうか。そして何よりも新潟市にとって大きな成果は,上山所長の発案による“特任研究員制度”です。
 兼務ではありますが,それぞれ本務の仕事と密接なテーマに30代の若手職員に参画をしてもらい協働作業ができたことは,市長からも特任研究員との懇談会の際にお話されたように,彼らにとって「政令市新潟の次代を担う職員として,自分の属している領域に捉われず,総合的かつ領空侵犯的な発想で今後の市の政策を考え,企画・立案することを体得する」練習が出来ていくものと確信するからです。
 特任研究員以外にも,多忙な日常業務にも拘わらず,研究所の活動に休日や放課後に自ら参加してくれている3人の若手職員も出てきています。誠に頼もしい限りです。
 研究所をはじめ外部の様々な人々から知的刺激を大いに受け,大きく成長してくれることでしょう。新型インフルエンザのパンデミックは,現代医学の力で是非ともストップしたいものですが,研究所での研究活動を通した“知力と創造力の感染”は,職員はもとより高校や大学などで学ぶ若者にも大いに広まることは大歓迎です。
 そういうシンクタンクがあっても良いのではないでしょうか。
 今年は,上山所長をはじめ全国の様々な領域で活動されている研究アドバイザーや大学の先生方の“新鮮かつ刺激的な指導”のもと,いよいよ3年目の集大成として,「田園環境都市にいがた」の構想構築に向けて,一丸となって取り組んでまいります。
 そして職員が「自主的に参加し,自由に意見交換ができ,行動に移せる」そんな研究所の姿も視野に入れながら,この3年間の経験を22年度以降の新たな取り組みに活かしていければと夢を描いています。
 今年の干支は“丑”ですが,“虫の目と鳥の目で物事を見る”ことを基本姿勢に据え,一歩一歩着実に「市民協働の市政運営に寄与する研究所」を目指したいと思います。
 本年もどうぞ宜しくお願いいたします

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登録日:2009年 01月 01日 01:16:32

プロフィール
上山信一
(男)
慶應大学総合政策学部教授。大阪市生まれ54歳。専門は企業・行政機関の経営戦略と組織改革。都市・地域再生も手がける。旧運輸省、マッキンゼー共同経営者等を経て現職。国交省政策評価会(座長)、大阪府と大阪市の特別顧問、新潟市都市政策研究所長、日本公共政策学会理事、各種企業・行政機関の顧問や委員等を兼務。府立豊中高、京大法、米プリンストン大学修士。著作等 ツイッター@ShinichiUeyama
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