2009年 09月
●マンネリの極み・・ニッポンの国際報道
ーー(点線)以下は日経記事。
この日経記事に限らない。首相が米国に行くとマスコミはこぞって「ファーストネームだった」だの「肩を抱いた」だのと大騒ぎをする。あほじゃないか?米国人の行動様式をしっていれば何もニュースにならない。
大統領の 「フツーの米国人のフツーのしぐさ」をわが総理に対する「米国大統領の特別の親愛の表れ」だと書き立てる習慣はやめよう。なんか、「ウチんとこの村の酋長が女王陛下に会ったらやさしくしてもらったぞ・・」「村人一同、涙にむせぶ」みたいな気色悪さがある(大げさだが)。ちなみに途上国の改革エリートは自国メディアのこの種の表現には批判的だ。国民の植民地根性を無意識のうちに再生産するからだ。日本も軍事上は事実上の米国の植民地・・それが得という現実もあるが・・。自律した国家を目指すならメディアもこの種のマンネリ記事から卒業してほしい。
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「バラク」「ユキオ」ファーストネーム呼び合う 日米首脳
鳩山由紀夫首相とオバマ米大統領は24日夜(日本時間25日午前)の主要20カ国・地域(G20)首脳会議の夕食会で「ユキオ」「バラク」とお互いをファーストネームで呼び合った。23日のニューヨークでの首脳会談では控室で待つ首相を、大統領がわざわざ出迎えに来る一幕もあり、「信頼醸成」を印象付けた。
ただ、大統領は時々「ユキオ・ハトヤマ」とフルネームで呼びかける場面もあるという。首相周辺からは「『ユキオ』は言いにくいのかな」との声も漏れている。
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厳密にいうとこの記事はニュースの捏造にすら近い。なぜなら、
1.米国人は賓客を気軽にファーストネームで呼ぶ。今後も付き合うのだからファーストネームで呼ばなかったら大ニュースである。その意味では妙な解説&見出しだ。
いまどきファーストネーム=親友という間違った公式を駐在記者が信じているはずはないだろう。だとしたら見出しをつける整理部の時代錯誤か
2.控え室で待つ客を呼びに来る・・これも米国人の行動形式に照らして当たり前。なぜこれで「信頼醸成」が印象付けられるのか?安易かつ根拠レスな憶測。
●揚げ足取りはこの程度にしておく。この記事に特段の意図があるとは思わない。新任首相の動勢の和やかな現地報告記事なのだから。しかし、いいたいのは米国人の普通の行動様式を「特別な親愛の情」の表れだと報道する姿勢のおかしさである。国際感覚がなさ過ぎる、そして読者に対する先ほどの植民地根性のインプリンティングの問題・・。
この問題は日経新聞に限らない。僕は毎週、ひいひい言いながらTHE ECONOMISTを読んでいる(とても毎週全部は読みきれないし欧米中心主義のバイアスも感じるのだが)がそれに照らすと日本の海外ニュースは感覚的に世界からずれ、かつ最近は遅れてもいる。マスコミの経営改革が必要と直感する事例である。
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登録日:2009年 09月 27日 06:28:14
●JALと関空の経営危機ーー第2の国鉄問題化の懸念
JALが再び、経営危機らしい。関空(関西空港会社)も同じく巨額の負債と営業不振に悩む。どこかで見た風景・・20年前の国鉄改革である。JAL&関空は今や第2の国鉄問題と化しつつあるように思える。
国鉄は1964年に赤字に陥り、その後何度も再建に失敗。ついに87年(23年も後だ)分割民営化された。危機の原因は労組や経営能力の不足だけでなかった。赤字の政治路線、ローカル線の負担が重かった。それらを断ち切るには外科手術が必要だった。
JALと関空も同じだろうか?似ているがもっと複雑だ。鉄道は設備と運行事業者が同じ。だが空は違う。空港戦略と航空戦略の両方を検証する必要がある。そして後者の実力は前者に左右される。以下に私論(仮説)を紹介する。
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海外交易で生きるわが国にとって国際空港は重要な“戦略施設”である。80年代までのモノづくりのニッポンは良港が支えた。今後は情報とヒトの流れが重要だから国際空港が大事だ。ところがわが国には国内・国際の乗り継ぎすら不十分な欠陥空港しか存在しない。
●成田も関空も欠陥「国際空港」
日本の多くの空港が「国際空港」を名乗る。だが航空はネットワークビジネスだ。国際線と国内線の乗り継ぎがなければ国際空港としての機能発揮はできない。ところが東京は成田と羽田に、大阪は関空と伊丹に分断されている。
なぜこうなったのか。成田は開港に至る紛争の経緯から政府が機能を国際線に限定してきた。関空は、もともと国際・国内の乗り継ぎが上下移動でスムーズにできるよう設計されていた。しかも24時間空港だ。ところが大阪市内へのアクセス整備が置き去りにされたまま開港となった。そうこうしているうちに伊丹が存続することになる。国内線の多くが伊丹に残った。
関空から大阪市内へのアクセスの悪さは致命的だ。まず大阪駅からの直通列車がない。バスはあるが海外に飛び立つ乗客向けの定時性が確保できない。渋滞リスクを織り込むと乗客にとっての実質所要時間は2時間強にもなる。
伊丹に国内線を残したことの打撃は大きい。なぜなら国際線は空港所在都市の需要だけでなく、国内各地への乗継客も見込んで採算をとる。国際線の機材は通常、200人を超える中大型機材である。行き先によっては関西の地元需要だけでは席が埋まらないので全国から集客する必要がある。一方、国内線は国際線の乗継客だけで成立しない。主として国内需要で路線は成り立つ。関空の場合も国内線の主要客は大阪市内に用がある。だとすれば市内に行くのに便利な伊丹に国内線が残ればそちらに流れて当然だ(伊丹から都心は30分630円、関空からは70分以上で運賃も高い)。かくして「伊丹に国内線が残ると関空の国際線が成り立たない」という図式となる。
関空の現状打破のためには都心(特に大阪駅)に直結する鉄道が必須だ。それができれば大阪のための国内線空港としても成り立ち、同時に国際線も成立する。伊丹から国内線を移せば伊丹は廃止かビジネス需要に限定して大幅縮小できる。その資金で関空会社の債務処理もできる。
●もともとの政策に無理
なぜ、こうした不合理が生じたのか。関空ができた経緯と現状を確認しよう。航空需要が伸びる中、伊丹は限界に達していた。住宅地に囲まれ騒音問題を抱える。夜間は使えないし拡張も無理だ。当初は伊丹を廃止して神戸沖に作る新空港に一本化する計画だった。だが泉州沖の立地が決まった。この段階で実は伊丹の廃止は難しくなってしまった。
東京、名古屋、福岡への移動は新幹線でよい。だがその他都市のビジネス客にとっては泉州沖の空港となると大阪はきわめて不便な町になる。古来、全国各地との交易で成り立ってきた都市としては致命的である。エアラインも嫌がった。伊丹から関空に引っ越すと新幹線との競争に負ける(特に東京―大阪、大阪―福岡)。伊丹にはすでに設備投資もしてきた。騒音問題で反対の地元も存続支持に転じた。機材改良で騒音が小さくなり、空港を持つメリットが大きくなったからだ。かくして政府も関西の自治体、財界も「伊丹を残したまま関空を育てる」という無理な戦略をとることになった。
無理はこれだけではない。「中曽根民活」の一環で政府は空港会社に人工島の埋め立てコストを負担させた。これが約1.1兆円の巨額債務、そしてその利払いがもたらす高額の着陸料の原因となった。
かくして関空は大阪市内からのアクセス問題、巨額債務、高コストの3問題を抱えたまま今日に至る。そうこうしているうちに全国各地からの集客がうまくいかなくなり、国際路線も成立しにくくなっている。
●打開の方向性
わが国の地方都市には国際空港がたくさんある。だが主にソウル(仁川)に飛ぶ。多くの日本人がソウル経由で海外に行く。なぜ成田や関空経由で行かないのか。 島国という日本の立地、そして人口、経済力に照らせば、成田と関空の2カ所をハブに国内と世界の世界主要都市を結べるはずだ。成田は確かに難しい。開港時の経緯から国際線に限定されている。ならば関空を戦略的に使うべきだ。同時に羽田の国際化、そのための第5滑走路の建設を急ぐべきだ。
要するに空港戦略を大転換する。まず東京・大阪における「国内空港」「国際空港」の分断政策をやめる。その上で東京は羽田を、大阪は関空を中枢の国際空港に据える。成田と伊丹はその補完空港と位置づけ直す。いずれは成田は羽田に、伊丹は関空に経営統合する(つまり羽田と伊丹の国営をやめる)。そしてたとえば国内・国際ともに重要路線(ニューヨーク、ソウル、上海など)は羽田に集約させる。成田は内外ともに長距離便と貨物を引き受ける。大阪では、伊丹は最終的には廃止して関空に集約する。この前提として関空と大阪都心を10分間隔、運賃1000円、所要時間30分強で結ぶ鉄道の改良をする(「なにわ筋線」計画もしくはリニア)。
羽田と関空は高速鉄道の整備と戦略的な路線配分をすることで、一流の国際空港になれる。これを国策で推し進めるべきだ。
●具体策
具体的には4つの政策を提案したい。
①地方空港の際限のない拡張・延伸工事をやめる。空整特会の資金は関空会社の債務 (約1.1兆円)の圧縮(せめて半分にする)に振り向ける
②関空会社を事業主体とする空港連絡鉄道(大阪駅と30分あまりで結ぶ高速鉄道また はリニア)を建設する(本来、開港までに終えておくべき作業であり、二期工事よりも優先 度が高い)。その上で時間をかけて伊丹を縮小・廃止し、関西空港を国内・国際の両方の 拠点空港に育てる
③ 空港連絡鉄道の建設には伊丹の跡地を売却した資金を充当する(筆者試算では約7 千億から1兆円規模)。
④関空発の国内線に外国エアラインの参入を認め、関西空港に自由な営業努力を許す
関西空港はわが国で24時間稼働できる唯一の大型国際空港である。海上だから拡張余 地もある。空港としての出来(品質)が極めて高い。わが国全体の航空戦略にこれを活かさない手はない。関空問題とは要するにモノは良いのに経営の枠組み(政府の出資、航空戦略)で間違ってきたということだ。逆にいうと関空問題が解ければわが国全体の航空戦略や空港戦略の見直しも進むことになる。関空再生はわが国全体の空港・航空戦略の再生の突破口になる。
■航空政策の見直しも必須
さて空港の成否は航空政策とセットでないと決まらない。航空政策のレベルで取り組むべき課題が2つある。
第1は関空への航空会社のハブの誘致である。理想的には全日空(ANA)かJALあるいはシンガポール航空に極東ハブで使ってもらう。そのためには、成田や羽田と抱き合わせで関空の枠を売るなどの積極誘導策が必須だ。世界の流れは「オープンスカイ」「自由化」だが、国策でエアラインを支援する国は多い。国が航空会社の経営を支援するなら空港も経営支援すべきだ。特に発着枠の分配にも関与すべきだ。税金を投じて作った空港は有効活用しなければならない。内外問わず協力的な航空会社を優遇するべきだ。
第2は外国エアラインの国内線乗り入れの解禁である。例えばオーストラリアの航
空会社が関空に着いた後に国内線として福岡まで運行する。運賃は自由とする。そう
すれば競争も促進され、需要活性化にもつながる。
■空港政策と航空政策の連動を
最近、JALの苦境が伝えられるがそれは組合問題や経営能力の問題だけに由来しない。国内線への乗継が不十分な欠陥空港(成田、関空)をハブとせざるを得ない中で熾烈な国際競争に勝つのは容易ではない。おまけに旧JASの赤字ローカル路線を数多く抱えている。国内線では羽田がハブとして機能してきた。国内線中心のANAの経営が順調なのはこれに支えられるところが大きい。
関西空港とJALの経営危機はともに過去の失政の結果でもある。政府は国際ハブ空港としての羽田と関空に十分な投資をせず、空整特会の資金をひたすら地方空港の建設に振り向けてきた。地方の赤字空港の問題は国鉄の赤字ローカル線問題に極似する。国鉄は赤字のローカル線を建設し続け、1964年に赤字になった。地方空港に就航する元JAS(現在はJAL)の国内線の赤字も同様の構図の産物だ。国鉄の場合、地方の赤字を新幹線と山手線など都心部の収益で補填する構図が長らく続いた。やがてそれも限界に達して破綻した。いみじくも国鉄が赤字転落した1964年に新幹線が開業している。
地方の赤字空港、そしてJALの元JAS路線も国鉄の赤字ローカル線と同様の処理が必要だ。
ちなみに関空はわが国航空業界にとって国鉄の新幹線に相当する虎の子の戦略投資のはずだった。それが生かされないまま、関空は開港15年を迎えた。航空・空港問題はすでに第2の国鉄問題と化しつつある。JALと関空の再生はセットで取り組むべき課題だ。わが国は両者の経営危機を契機に航空と空港の政策を抜本的に見直す必要がある。
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登録日:2009年 09月 22日 23:19:39
●「友愛」について
最近話題の「友愛」。まだ具体性がないのですが、これは結構、時代の先端を示す言葉だと思います。
かいつまんでいうと、
・近代の歴史は「自由」と「平等」を巡って展開。自由への渇望が民主主義と資本主義を生み、政治と経済、そして国家や国民の概念を育てた。しかし、資本主義と民主主義は官僚主義化l&帝国主義化し人間らしさを失う。そこに不当なまでの格差と疎外が生まれる。それを打破すべく「平等」理念がでてくる。
・平等主義の徹底が社会主義。これが行過ぎて官僚主義に絡め取られて失敗。社会主義国家は崩壊し、福祉国家も新自由主義になる。それも行き過ぎてまた「第3の道」へのゆり戻しである。サッチャー、中曽根、レーガンからブレア、クリントン、鳩山への流れである。
・だが自由と平等の振り子運動を脱して、人類はもっと賢くなれないのか。節度を持った自由と平等のバランス・・それを確保する原理として「博愛(友愛)」がでてくる。
・考えてみればフランス革命のときにすでに「自由」「平等」に加えて「博愛(友愛)」が必要だという気づきはあった。しかし、具体性がいまいち足りないせいか公正の実現や金持ちの理想主義の域をながらく超えなかった。逆に言うと「博愛」の必要性が本当に意識されるまでには社会主義の実験とその失敗が必要だったのかもしれない。
・確かに友愛が普及すれば社会はもっとシンプルになれる。官僚主義も所得再配分も要らなくなる。宗教以外の実現手段はまだまだ要研究だが、寄付税制の見直しや世代間の負担調整などいろいろ考えられなくもない。
以上は実は若い友人たちと本を読んで考えている最中の議論から。
最近、彼らと古典をがっつり読んでいます。
「共産主義宣言」なども読んでますが、くわしくは、以下の書評ブログをみてください。
http://group2050.blogspot.com/
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登録日:2009年 09月 22日 07:38:01
●農水省 やみ専問題
以下は読売記事
「農水ヤミ専従告発見送り 省内からも批判「結論ありき」
900人近い処分者を出した農林水産省のヤミ専従問題で、同省が11日に公表した結論は「告発見送り」だった。この結論のベースになる意見書をまとめた法令遵守(じゅんしゅ)委員会は計5回開かれたものの、委員会の内部からは「初会合でほぼ結論が見えていた」との声も出ており、省内外から「はじめに結論ありき」という批判があがっている。〈本文記事1面〉
「告発について大勢が消極的。次回はそうした結論の報告書が出る」。7月29日の初会合後、秋山昭八委員長はこう語っていた。初会合はわずか2時間で終わり、5人の委員のうち2人は、この日初めてヤミ専従問題の説明を受けた。
委員会は8月5日の第2回会合で「告発見送り」を発表する予定だったが、マスコミ側から「拙速では」と批判が出たため急きょ取りやめに。同10日の3回目でも「見送り」を記者発表する段取りまで決まっていたが、次官会見で批判が出て直前に延期された。この際、委員の1人は同省側から会合を続けるよう要請されたと明かし、「開催の必要を感じない」と話した。
意見書では、「長年の慣習だった」として個人の責任を問うことに慎重な姿勢を示した。しかし昨年4月のヤミ専従調査後、同省が指導した後も、71人がヤミ専従を続けていたことが判明したが、意見書はこの点にも触れていない。省内には「身内を守ったと受け取られかねない。国民を裏切った行為に厳しく臨むべきだった」と語る職員もいる。
上山信一・慶応大教授(行政改革論)の話「社会保険庁のヤミ専従について刑事告発した厚生労働省のケースに比べ、あまりに甘い判断。告発の結果、不起訴にするかどうかはあくまで検察当局の判断で、農水省がすることではない。政権交代後、新大臣が改めて告発の是非を判断すべきで、民主党は支持勢力である労働組合にも毅然(きぜん)とした態度を示せることを証明してほしい」
[読売新聞社 2009年9月11日(金
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登録日:2009年 09月 12日 22:44:19
●大阪・天保山のサントリーミュージアム休館問題
サントリーミュージアム@大阪天保山が休館するらしい。大阪市が所有する土地の上で経営していたが赤字がとまらなかったようだ。この問題、私企業の事業撤退としてとらえるとなんでもないニュースだが「ミュージアムが都市を再生する」(日経新聞社)を書いた著者としては一言コメントしたい。また大阪市の市政改革会議の委員長の経験に照らしても意見がある。
1.今回は急に「休館」が報じられたが、唐突だ。数年前から経営問題を公表し、市民を交えた議論をするべきだった。ミュージアムは地域にとってパブリックな存在だから私企業の都合だけで決めるのは違和感がある。またサントリーミュージアムが建つ大阪市の土地は市民の土地である。利用方法、施設のあり方については市民も参加して議論するべきだ。その結果、市役所が支援するとか市民に協力を求めることもあってよい。今の大阪市には支援の余裕がないのはわかる。だがサントリーも市役所も市民に「経営不振」の事実を伝え、打開策を考える機会を提供するべきだった。大阪の企業と市役所の両方の「民主主義」の理解の浅さを象徴する事例ではないか。
2.例えば、海外ならこういう展開になったはずだ
①経営不振を機に「支援する会」などの市民運動やNPO活動が始まる。政治的にも市役所が赤字補填をするべき、買い取るべきといった議論が議会で起こる。そこから経営形態を公営化、あるいはNPO化したらどうかといった議論も起きる。いずれにしても早めに情報開示がされ市民も参加して利用促進や寄付、経営改革が始まる。
②行政は「あれは私企業の事業だから」といった逃げ口上は口にしない。文化施設は地域の活性化に大きな影響を与える。そもそも市有地の利用方法にかかわる問題である。企業に情報公開や打開策作りへの参加を求める。
3.理想的な展開は、
①早めにサントリーは経営不振の苦境を公表する
②市役所は支援策を考える
③両者は市民に打開策を一緒に考えるように呼びかける
ということではなかったのか?
今の大阪市には資金がないが本当は開館当時、土地を貸すときに運営基金を一緒に設けるべきだった。市民の寄付も募って運営費をサントリーだけに依存しない体制を作っておくべきだった。
NYでは市役所がNPO立の美術館に土地建物だけでなく運営の資金も提供している。私立だから私企業だけに運営は任せるという考え方はしない。
サントリーの場合、過去の地域への貢献はきわめて大きかった。信用もあった。だから大阪市とサントリーの契約は大雑把なものになったに違いない。
サントリーとしても余裕があって旦那的気概があった。市役所も市民もそこに期待をし、依存した。だが、余裕のなくなった旦那は早めに市民にそれを知らせる義務があったし、市民と市役所もそれを知り、助けるべきだった。
今となっては遅すぎるのかもしれないがこの10年、大阪市はさまざまな施設の建設を各地で続けてきた。その資金の一部、わずか年間数億円でも運営費に回せていたら違ったはずだ。
全国各地でこのようなことが今後は起きる気がする。行政は域内の私営の文化施設の経営状態にも目配りをし、積極的に問題提起すべきである。
また我々は「公立」「私立」の間の中間領域「NPO立」「共立」といった領域の経営形態を考えるべきだ。市役所と企業だけに任せない。市民・地域が参加する経営形態を追及すべき時期かもしれない。公立を民営に近づける改革と同時に民営を公立に近づける改革もたぶん必要だろう。
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登録日:2009年 09月 06日 21:16:47
●政権選択がもたらすもの
以下は9月4日毎日新聞掲載記事
「選択がもたらすもの:/4 慶応大総合政策学部教授・上山信一氏」
ーー政治主導のチャンス
東京では少し雨が降る空模様だったが、今回の衆院選は、投票率は現行制度では最高だった。国政を変えなくてはいけないと多くの人が思い、受け皿に民主党がなり得た。小沢一郎氏が代表を辞任し、鳩山由紀夫代表になってフレッシュなイメージが出たのだろう。
民主党は日常の暮らしという等身大のレベルに焦点をあてて自民党を攻撃した。財政再建か成長か、という議論は、「上げ潮派」という言葉を聞かなくなったころに議論は終わっていて、今回の選挙では争点としては消えていた。日本はもう大きく成長できない、ということが前提になったからだ。「ならば福祉やセーフティーネットを充実してくれ」ということだ。景気対策という自民党の発想自体が古い。
民主党は個別政策の羅列だが、普通の有権者からみれば分かりやすい。ただ、だからこそ、鳩山代表は基本哲学を述べて形にしなければならない。
民主党が掲げる政治主導は、厳密に言うと対財務省の問題だ。財務省には、使命感とエリート意識の両方がある。民主主義は目の前の客に金をばらまくから、基本的に無駄遣いをする。それを見張るのは自分たちしかいないという「厳しいお母さん」だ。その自負がプライドとエリート意識になる。
橋本龍太郎政権時代の行政改革で金融部門を切り離し、名前も変えて普通の役所に近づいた。だが、政治が無駄遣いする構図は変わらず、政治主導といっても財務省は別格となってしまう。これは簡単には変わらないが、まず政治側が財務官僚と対等に議論できるところまで財政や税制に精通しなければならない。
もともと官僚制度には政治への抵抗力がある。政治は常に暴走するから、行政の継続性を保つためにプロが判断し、変な政治家が来た時には拒絶するという仕組みだ。だから政治主導が理想的にできるとは思わないが、族議員、官僚出身の政治家、天下り官僚の三つの勢力は政権交代で力を失う。この4年間は大きなチャンス。8年かければ完全に影響力を排除できるだろう。
官僚が一番嫌なのは官僚OBだ。私が担当した大阪市の改革で、職員と気持ちが一つになったのはOBの「渡り」をやめさせた時だった。現役の官僚個人は何の利権も持っておらず、この三つの勢力がいなくなれば、役人を動かすこと自体は簡単だ。まともな大臣が就任しなければ、同じ歴史を繰り返すが、常に政権交代していれば駆逐できる。これが政権交代の重要な点だ。(聞き手・大貫智子)
◇うえやま・しんいち
1957年大阪市生まれ。京大法卒業後、旧運輸省入省。米国留学などを経て、大手コンサルティング会社「マッキンゼー」共同経営者に。横浜市、大阪市など自治体の経営改革を手掛け、現在、大阪府特別顧問。
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登録日:2009年 09月 04日 12:35:50
●政権交代
以下は昨日のわたしのプレスインタビューの要旨。わたしの専門は公共経営、改革論。政治学者ではないが自治体や大企業のガバナンス改革の経験に照らしてコメントをした。
「民主大勝の要因は、米大統領選での「チェンジ」と同じように改革を求める国民の声だった。その受け皿が、前回衆院選では小泉改革だったが、後に続いた政権がその期待を激しく裏切った。安倍政権時に郵政造反議員が復党して国民はうそを付かれたと感じた上、安倍・福田と2回続けて政権を投げ出し、実務能力がないことも判明した。
自民党惨敗の責任を負うべきは麻生さんというよりも実は小泉元首相ではないか。あれだけ「党を変える」と言ったのに変えきらないうちに辞めた上、跡を継いだ安倍政権を支え
なかった。一番気の毒なのは小泉チルドレン。能力のある人もいるのに使い捨てのように
なってしまった。
自民党は世代交代すれば次回選挙で勢力回復する可能性はあるが、公明党は党
として危機的状況だ。庶民のための政治という結党以来の理念に戻り民主党への接近を模索するか、小選挙区から撤退し比例のみに専念する戦略転換もありうるのかもしれない。
民主党も国民にうそをつけば今回の自民党のようになる。マニフェストに書いたとおり制度改革を進めることが大事。まだ族議員化していないので、道路や農林などの特別会計の改革に切り込めるはずだ。国と地方の協議機関を舞台に、個別の政策について官僚と闘うことも地方分権を進める上で大切だ。
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登録日:2009年 09月 01日 00:46:11
- プロフィール
- 上山信一
- (男)
- 慶應大学総合政策学部教授。大阪市生まれ54歳。専門は企業・行政機関の経営戦略と組織改革。都市・地域再生も手がける。旧運輸省、マッキンゼー共同経営者等を経て現職。国交省政策評価会(座長)、大阪府と大阪市の特別顧問、新潟市都市政策研究所長、日本公共政策学会理事、各種企業・行政機関の顧問や委員等を兼務。府立豊中高、京大法、米プリンストン大学修士。著作等 ツイッター@ShinichiUeyama
- 最近のエントリー
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