●公営バス事業の破綻
公営バスの見直しは簡単ではない。今回、横浜市が路線再編という抜本策に踏み出したが、さすが中田市長だ。(以下の記事参照)。大阪市や名古屋市のバス事業は横浜の数倍の累積赤字を抱える。にもかかわらず見直しが進まない。
私は公営バス見直しには次の5原則が大事だと思う。
1.公営バスの賃金は民間バスの倍近い。路線廃止論の前に民間委託や民営化、あるいは公務員のままなら大幅賃下げ、人員整理が不可欠だ。
2.路線別収支の情報公開が不可欠。民間並みの人件費あるいは民間譲渡したら黒字という路線は残す(通勤通学路線など意外にある)。その他は原則廃止としたうえで以下の3、4に沿って代替案を考える
3.大きな鉄のハコが決まった時間にバス停だけを運行するというバス事業そのものが時代遅れだ。民間路線でも廃止が相次ぎ、成り立つ路線は限られる。経済原則にあわないのだからとにかく昔ながらのバスの形態のまま「残す」という発想を捨てる。80年代に国鉄改革でローカル鉄道がバスに切り変わったように、バスもほかの交通形態に変えたらよい。これからはタクシーのようにニーズにあわせどこでも乗り降りできる少人数交通が便利かつ安上がりだ。市民の足としてのデマンドバス、福祉タクシーを考える。以上を念頭に置いた上で赤字路線はいずれ廃止をまぬがれないと考える。問題の先送りはよくない。
4.但し、経過措置と政治的妥協としてはいきなり廃止の前に「7時から20時まで一時間に1本、料金300円」で走らせてみる。同時に交通会計ではなく福祉として一般会計化(たいした赤字額jにならない)するか補助金で交通会計を補填する。但し、こうした路線も利用者が減ったらすぐに廃止する。
5.敬老パスには年収300万円以下という所得制限をかける。またラッシュ時の使用は有料とする。
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以下は横浜市バスに関し、11月21日の朝日新聞
○市バス再編計画 市民と連携これから
横浜市営バスの路線再編問題は、17路線を来春までに廃止か区間廃止することで決着する見通しとなった。その2年後の09年3月にはさらに13路線が無くなる。存続を求める署名が6万人を超えるなど、路線再編への反発は市が予想した以上に強く、市は2度も計画を修正することになった。公営バスの役割をどうとらえるべきなのか、識者に聞いた。
・廃止基準
市によれば、廃止か一部廃止となったのは代替交通機関がある路線だ。無くなるバス停から「別のバス停まで300メートルか駅まで1キロ」が基準で、市は「できる限り配慮した」というが、利用者の実感は異なるようだ。神奈川区の女性(65)の自宅から、14系統のバス停までは徒歩で3分。週3回、新子安駅前の病院へバスで通う。新子安駅は最寄り駅だが、直線で約900メートルある。徒歩では坂道を抜け、歩道橋を上り下りしなければならず、20分以上かかってしまう。「足腰が不自由な人々だからこそ、近距離でもバスを使っているんじゃないんですか」。女性は理不尽さを感じている。不満は他にもある。磯子区の氷取沢地区は、磯子駅に出る93系統が廃止される。上大岡や洋光台駅に向かう路線はあり、基準では交通不便地域にはならない。しかし、途中でシーサイドラインに乗り換えて仕事先に通うという女性は「遠回りになり、時間も運賃も余計にかかる」。自治会も「区役所に1本で行けなくなる」と反発した。14、93系統は反対が強く、暫定的に運行を続ける対象になったが、09年3月には廃止される。
交通政策に詳しい東京海洋大学の寺田一薫教授は「基準は坂道を考慮していないし、別のバス停があっても行き先が違えば、代替路線とは呼べないのではないか。このルールで新路線を開設するというのでなければ、市民の理解は得にくいだろう」と話す。
・市民合意
市営バス改革は、04年に識者委員会が「民間並みに効率化を進め、いずれ完全民営化することが望ましい」と答申したことに端を発している。市は答申に沿って、市営バスへの税金による赤字補填制度を06年度で廃止する。給与や手当の削減を進めても赤字超過となるため、交通局は路線廃止に踏み切らざるをえなかった格好だ。中田宏市長と親交がある上山信一・慶応大大学院教授(公共政策)は「答申に引っ張られすぎた印象だ。交通にはビジネスだけでなく福祉の視点が必要。横浜市の財政規模からみれば、バスの赤字は大した額ではない」と指摘する
市営バスへの補助金は来年度、約17億円減額される。それだけ赤字を減らす必要があるが、人件費などのコスト削減を進めており、路線再編自体の市全体への財政効果は2~4億円程度とみられている。大阪市役所の改革に委員としてかかわった上山教授は「大阪など他都市のバスも赤字で、もはやビジネスではない。福祉だと考えれば大した赤字ではなく、1時間に1本ぐらい維持できたのではないか」とみる。一方、寺田教授は「公営企業は独立採算が基本で、赤字でよいわけではない」と指摘。赤字路線は低コストの民間会社に補助金を出して運行させるべきだと主張する。寺田教授が問題視するのは、廃止にいたる過程だ。「地方では廃止の際に、自治会で回数券を購入するとか、減便すれば運行できるかなど、事業者と利用者が選択肢を示して話し合うことが多い。横浜市は答申の形に合わせることを急ぎ、市民との合意形成努力を欠いた」と指摘している。
・今後の行方
路線再編では、高齢者の反発が特に強かった。市内でも、昭和30~40年代に建てられた郊外の住宅地は急速に高齢化が進んでいる。寺田教授は「高齢化で以前は歩けた距離が歩けなくなる。丘の上の住宅地と駅を結ぶ短距離交通があちこちで必要になるだろう」と指摘する。上山教授は「横浜ぐらいアイデアのある市役所なら、デマンドバス(利用者の希望に応じて走るバス)や福祉タクシーなどの代替策を同時に出し、全市的な交通体系を示すべきだった」と批判。今後は「住民と行政がそれぞれ、地域の足をどう確保するかきちんと議論するべきだ」と話している。
市も小規模なコミュニティーバスの運行や、自動車教習所の送迎バスに地域の高齢者が乗れるようにする取り組みを試験的に行っている。今後は市民や学者で構成する会議を立ち上げて、バスに代わる新しい交通政策の検討を重ねる方針だ。
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登録日:2006年 11月 23日 13:28:13
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- プロフィール
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- http://www.pm-forum.org/ueyama/
- 慶應義塾大学総合政策学部教授、改革コンサルタント。専門は大企業・行政・NPO等の経営刷新。近年は地域再生も手がける。大学では「経営戦略」「公共政策」等を教える。旧運輸省、マッキンゼー共同経営者等を経て現職。大阪市生まれ。50歳。中央省庁・自治体の各種委員、企業顧問等を兼務。京大法、米プリンストン大修士。趣味は登山、鉄道、料理。メール:ueyama@pm-forum.org
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